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    アネモネ女学院高校文化祭マジック研究会公演記

    1.
    「えーっ、どうして講堂はダメなの?」 井沢月路(いざわつきじ)が聞いた。
    「もう空きがないそうです。中庭のテラスでやれって」 毛塚純(けづかじゅん)が答える。
    「弱小同好会の悲哀ですねー」 出水仁衣那(でみずにいな)が言った。

    三人はアネモネ女学院高校のマジック研究会のメンバーである。
    月路は3年生。後輩二人を引っ張る苦労性の研究会長。
    純は2年生。マジックの技術は一番の副会長。
    そして仁衣那は1年生。可愛いけれどどこか能天気な会計担当。

    わずか三人のマジック研究会は正式なクラブとは認められず、同好会の扱いであった。
    例年、文化祭では講堂でマジックの発表会をしているが、今年は講堂の出演希望が多いので、人数の少ないマジ研はサブステージの中庭に押し出されてしまったのである。

    「中庭って屋外よね。風吹くし、後ろからも見られるし」
    「マジックには向かないねぇ」
    「センパイ、持ちネタの種類も少ないですしねー」
    「アンタは何できるっていうのよっ、にんにん!」

    三人の背後に人影が現れた。
    「ふふふ、困ってるようね。マジ研の諸君!!」
    「!?」
    振り返ると、長い髪をポニーテールに括った美少女が腕組みをして立っていた。

    「そ、そこにいるのは、御手洗優莉(みたらいゆうり)生徒会会長!」
    「いや別に、フルネームに役職まで付けて紹介してくれなくてもいいんだけど」
    「どうして生徒会長がここに!?」
    「だって生徒会室の前で騒いでるだもん、あなたたち」
    「!!」
    そこは校舎の廊下で、目の前の部屋には『生徒会執行部』の看板がかかっているのであった。

    「聞いてたんなら助けてよ。何とか講堂で出れるようにならない?」 月路が優莉に聞く。
    「無理ね。講堂の出場枠はいっぱいよ。マジ研を入れたらどこかが溢れてモメるわ」
    「そんなぁ、お代官様~ぁ!」
    「あきらめて中庭で頑張んなさい。どうせならド派手にやったら? 文化祭は何やってもOKなんだしね」
    「ううっ~」
    その場に崩れ落ちて悲観にくれる月路の背中から優莉が抱きしめた。

    「応援してるわ。・・月ちゃんなら、きっとできる」
    「ああ、っ」
    月路がびくっと震えた。
    優莉が月路の耳にキスをしたのである。
    「・・いいなぁ」 仁衣那がぽつりと呟く。

    「では皆さん、ごきげんよう♥」
    優莉は妖しい微笑みを浮かべながら生徒会室に消えていった。

    「生徒会長さん、素敵ーっ。美人で頭もよくて、皆の憧れですよー」仁衣那が言った。
    「月さん、会長とどんな関係なの?」 純が聞いた。
    「はあ、はあ・・、何もないわ。去年まで同じクラスだっただけ」
    「それにしては親密というか、妙に生々しいモノを感じましたけど」
    「あいつは、誰に対してもああなのよ!」

    月路は壁に手をついて、よろよろと立ち上がった。

    「決めたっ。イリュージョンやる!」
    「イリュージョンですか!?」
    「思いきり目立って、生徒会長の鼻を明かしてやるわ」
    「でも、イリュージョンなんて、道具もないし、お金もないし」
    マジック雑誌などに載っているイリュージョン機材は何十万円もするのが普通なのだ。

    「自分で作るのよ!」「ええ~っ?」
    「どんなネタするんですか?」 仁衣那が聞いた。
    「それはこれから考えるわ、にんにん」
    「ならちょっとセクシーなの、やりませんか」「セクシー?」
    「はいっ。色っぽいコスチュームにして、脱衣系のイリュージョンなんてのもいいかも」仁衣那はそう言ってにたりと笑った。
    「脱衣? うふふ、やだぁ~」 純も笑った。
    「そうね。ウチの発表いつも真面目だし、ばーんとエロいの、やろうか」 月路も賛成した。

    それから三人は、自分たちでもできるセクシーなイリュージョンの相談をした。

    2.
    そして舞台はあっという間に文化祭。
    校舎と校舎に挟まれた中庭には小さな屋根のついたテラスがあって、少人数のイベントステージに割り当てられていた。
    今、そこでマジ研の発表が始まろうとしていた。
    講堂ほどではないにせよ、何十人かのお客が来てくれている。
    校外からのお客はわずかで、ほとんどがセーラー服の制服を着た女生徒たちだった。

    アシスタント役の仁衣那がテラスの中央に一本足の小さなテーブルと小箱を運んできて置いた。
    仁衣那も制服姿である。

    軽快な音楽な流れ始め、マジシャン役の純が登場した。
    フリルがいっぱいついた赤いワンピースのミニドレスを着用している。
    テーブルの小箱を取り上げ、その中から箱よりも大きなフラワーアートを取り出した。
    テラスをぐるぐる歩きながら、ピンクや黄色、水色のフラワーアートを次々出しては振り撒いた。
    地味なコンクリートのテラスが一気に華やいだ。

    続いて仁衣那が膨らませた風船を持ってきて純に渡した。
    直径10センチ、長さ1メートルほどの細長い風船である。
    純はそれをしばらく眺め、やがてその風船の先端を咥えた。
    口を大きく開けて、目を白黒させながら、自分で口の中にぐいぐい押し込む。
    ・・え~っ?
    皆が驚いてみている中、長さ1メートルほどの風船は割れることなく純の口の中に入ってしまった。
    口を開けて中に何も入っていないことを示す純。
    一斉に起こる拍手。

    仁衣那が再び同じ風船を二本持ってきた。
    純はもう無理というように首を振るが、仁衣那は強引に押し付けてしまう。
    すると純は引き返そうとした仁衣那を後ろから羽交い絞めにした。
    暴れる仁衣那を押さえつけて、その口に風船を押し込み始めた。

    仁衣那は自分の腰をぱんぱん叩きながら首を振って抵抗するが逃れられない。
    うぐうぐと風船を呑まされている
    純が呑んだのと同じく、細長い風船が割れることも萎むこともなく、仁衣那の口の中に入ってしまった。

    一本目を全部呑ませると、純は二本目も仁衣那の口に押し込んだ。
    仁衣那はますます激しく自分の腰を叩く。
    と、そのスカートの前が妊婦のように膨らみ始めた。
    何のことはない。仁衣那が自分で空気ポンプを叩いて膨らませているのだ。
    黄色いチューブがちらりと見えたりしてバレバレだが、それでも観客は笑っている。

    二本目の風船を全部食べさせる頃、仁衣那の大きく膨れたお腹が 「ぱん!」 という音とともに割れた。
    仁衣那は仰向けに倒れてぴくぴく動いている。
    その隣でお辞儀をする純。
    観客は爆笑して大拍手である。

    3.
    ・・マジ研?
    ・・面白いんだって!!
    中庭に集まる女生徒の数が増えていた。

    音楽が重々しいものに変わり、ステージに月路が登場した。
    黒いフードを頭から被り、首から下にも地面まで届く黒マントを着けている。
    足元はハイヒール。手には長い木の杖。
    まるで魔法使いのような雰囲気である。

    月路は紫色のシルク布を出し、それに杖で魔力を込めるようなしぐさをした。
    杖を置き、両手の中に布を揉み込む。するとその中からウサギのぬいぐるみが出てきた。
    一つ、二つ、三つもぬいぐるみを出して見せた。

    観客が拍手をする間に、純と仁衣那がイリュージョンの道具を運び込んだ。
    教室にある生徒机の上に、高さ1メートルほど大きなダンボール箱をガムテープで固定したものである。
    ダンボール箱の表面には模造紙を貼り、トランプのマークがポスターカラーで描かれていた。
    箱の下の机の部分には目隠しの白い布が巻かれている。

    箱の後ろの扉を開き、靴を脱いだ純が中に入った。
    月路は扉を閉めて、ガムテープを貼って固定する。
    仁衣那がサーベル(剣)を入れた籠を運んできた。
    このサーベルもダンボールから切り出して細工したものにアルミホイルを巻いた手作りである。

    月路はその一本を取り上げると、先端を箱の側面の小穴に突き当てた。
    箱にはサーベルの断面の形に細長く抜いた小穴がいくつも開いているのだ。
    その穴の縁にサーベルの柄(つか)が当たって止まるまで、ゆっくり慎重に押し込んだ。

    箱の四面から2本ずつ、合計8本のサーベルを突き刺した。
    それから箱の下に巻いた目隠しの白布を取り外し、机の下を見せた。
    そこは当然のように空っぽで、純が箱から出て隠れているようには見えなかった。

    やがて箱の上面に丸い穴が開き、そこから純が頭を出して笑った。
    おお~っ、ぱちぱちぱち!! 一斉に拍手が起こる。
    一流マジシャンのスピード感には及ぶべくもないが、それでも立派な箱詰め美女の剣刺しである。
    サーベルの長さが箱の寸法よりも短いので、その先端は箱の反対側に抜けていない。
    でも純の体には多数のサーベルが突き刺さっているはずである。

    月路は箱の上面にもう一つ別の穴を開け、腕を突っ込んで中をまさぐった。
    純が目を白黒させ 「あぁん」 とか 「いやん」 とか声を上げる。
    やがて、引き抜いた月路の手には赤い布地が握られていた。
    客に向かって広げて見せると純が着ていた赤いワンピースのドレスだった。

    そのドレスを仁衣那に渡し、替りに黒い布を受け取る。
    広げて見せるとそれはレオタードだった。
    サーキット場でコンパニオンが着けるようなチューブトップで、脚ぐりの切れ込みが大きいハイレグデザインである。
    それを穴に入れ、純の頭も箱の中に押し込んだ。

    BGMが軽快な音楽に戻った。
    月路は箱に刺さっったサーベルを一本ずつ引き抜いた。
    全部抜いて箱の上面をノックすると、そこから純が立ち上がった。

    きゃあっ!! 観客の女生徒たちが喜んだ。
    純の衣装は黒のレオタードに変化していたのである。

    まさにレースクイーンだった。
    一見バニーガールのようにも見えるが、ウサ耳とタイ、カフスをつけておらす、お尻に尻尾もない点がバニーとは違っていた。
    何より、網タイツを穿かない生足の太ももがハイレグの下半身にむっちりと生えていた。

    純は月路に手をとられて箱から降り、仁衣那が置いたハイヒールを履いた。
    月路の隣に立つと、恥ずかしそうにポーズをとって微笑んだ。

    すると、それを見た月路が自分のフードとマントを解いてはらりと落とした。
    現れたのは、これまた黒いハイレグ生足のレオタード。
    月路もマントの下に純と同じレオタードを着用していたのである。
    大きく露出した色白の肌がうっすらピンク色に染まっていた。

    ピーピーっ。きゃ~んっ、色っぽ~いっ!!
    観客はさらに大騒ぎである。
    中庭には生徒たちが集まり続け、その数は100人をはるかに越えていた。

    4.
    仁衣那がそ知らぬ顔で道具を片付け始めた。
    と、月路がその仁衣那を指差してにらんだ。
    純が駆け寄って仁衣那の肩を押さえる。仁衣那はびくりと直立して動けなくなってしまった。
    月路がその顔の前で手をひらひらと振ると、仁衣那はすぐに目を閉じて首を垂らした。
    催眠術にかかったのである。
    直立したままで固まるのは不自然だが、お約束なので許されるのだ。

    仁衣那が運ぼうとしていた道具は純が片付け、新たに白布の衝立(ついたて)が持ち込まれた。
    保健室の遊休品を借りてきたのである。その数は4枚。
    さらに仁衣那の身長より少し高いくらいの細長い板が運び込まれた。
    三人が『戸板』と呼ぶそれは、ダンボールの周囲を細角材で補強し、さらに表面に白布を張った、これまた手作りの品である。
    足元には小さなスタンドがついていて、自立できるようになっていた。

    月路は目を閉じたままの仁衣那を戸板の前に立たせ、両手を開いて小さくバンザイするようなポーズをとらせた。
    頭の丸いピン状の画鋲を出して、セーラー服の肩と袖、スカートの腰と裾を戸板に留めた。
    小さなピンだから少し力を入れれば簡単に外れるとはいえ、仁衣那は昆虫標本のようにピン留めされたのである。

    純が戸板の周りに衝立を置いた。手前に2枚、後ろに2枚。
    ひし形の形に並べて仁衣那の姿を隠した。

    月路は衝立の陰から長い杖を取り出すと、正面に立った。
    何やら呪文らしきものを唱えながら杖を振る。
    やーっ!!
    叫びながら杖を振り下ろした。

    純が衝立を開けて中を見せる。
    そこには先ほどと変わらずピン留めで固定された仁衣那の姿があった。
    ・・あれ?
    観客の笑いを受けながら首をかしげる月路。

    もう一回っ。今度は純と一緒だ。
    並んで密着して互いの腰に手を回し、揃えて出した手に杖を持った。
    ぐっと妖艶な雰囲気になった。
    唱える呪文もどこか色っぽく聞こえた。
    本来であればドライアイスの白煙など使って盛り上げたいところであるが、そんなお金や人手はない。
    代わりに衝立の反対側で明るい閃光が何度か光った。カメラのストロボを取り付けたのだ。

    はあぁ~んっ!!
    どこか喘ぎ声のようにも聞こえる掛け声を出して杖を振り下ろす二人。
    しばらくそのまま動かない。

    衝立を外すと、そこにいたはずの仁衣那の姿が消えていた。
    ただし、着用していた制服の上下はそのままピン留めされていた。足元にはソックスと制靴のローファーも残っていた。
    魔法の呪文で、少女の肉体だけが消失したのである。
    固定しなかったはずのソックスまでピンで留まっているのはご愛嬌といえよう。

    美少女消失?

    月路がスカートの裾を摘んで捲ってみせた。
    スカートの中にはしっかりショーツがあった。
    セーラー服の上をめくると、そこにはブラジャーもあった。
    わーっ! やあだぁっ!! きゃははは。
    観客は大喜びである。
    さっきの子、裸で消えちゃったの!?

    月路は戸板からセーラー服とスカートを外し、中のブラとショーツだけを出して元の場所にピンで留めた。
    ブラはスポーツブラ、ショーツは水色の水玉模様。いかにも女子高生の下着である。
    月路は下着を指差し、杖を振る仕草をしてから、腕組みをして考え込み、それから手を叩いて喜んだ。
    なるほど!
    観客にも伝わった。
    さっきの女の子を復元して、下着だけの格好にするのね♥

    すると純が後ろから月路の肩をつつく。
    月路が振り返ると、純は別の下着を出して見せた。
    極小の三角ブラとTバックのショーツである、
    どちらもほとんど紐ばかり。布地で覆う部分がほとんどない。
    きらきら光る飾りがたくさんついていて、まるでサンバカーニバルの踊り子の衣装だった。

    月路と純はきゃっきゃっと喜びながら、戸板に留めていたスポーツブラと水玉ショーツをサンバ風のブラとTバックに交換した。
    再び衝立で戸板を隠し、二人は杖を構える。
    唱える呪文はさっきとまったく同じに聞こえたが、もちろん誰も気にするところではない。

    ・・抱き合ってーっ
    客から声がかかった。
    二人は苦笑いしながら、向かい合って抱き合う。

    ・・足絡めてーっ
    ・・おっぱい重ねてーっ!
    次々と注文が飛ぶ。
    二人のポーズは次第にエロくなって行く。

    ・・キスして~っ!!
    え?
    月路と純は驚いたように声の方を見る。
    そこには、生徒会長の御手洗優莉が笑って手を振っていた。
    もうっ!!
    二人は顔を寄せて唇を合わせた。背の低い純が踵を少し上げている。

    きゃあああ~!!
    いいわステキー!!

    5.
    衝立の向こう側でストロボが光った。何度も繰り返して光る。
    いい加減に先に進みなさいと誰か催促しているかのようだった。
    抱き合っていた月路と純はようやく離れた。
    はぁはぁとしばらく息をついてから、体勢を整え直して「たぁっ」と杖を振った。

    衝立を開くと、戸板の前に仁衣那が消滅したときと同じポーズで立っていた。
    ちゃんとソックスとローファーを履いていて、体にはサンバ風の極小ビキニとTバックを着けていた。
    きゃ~あっ! やったー! 観客が叫ぶ。

    月路と純が仁衣那の手を取った。
    仁衣那は両目をぱっちり開け、それから自分の体を見下ろして悲鳴を上げた。
    「きゃあぁ~~んっ!!」
    胸を手で押さえながら大袈裟に身をよじらせる。練習に練習を重ねた悲鳴である。

    可愛いーっ!! きゃんきゃんきゃんっ
    予定調和ともいえる仁衣那の悲鳴に観客は大喜び。
    拍手と歓声はいつまでも鳴り止まないのであった。

    6.
    その日の午後。
    ステージが済んで一息ついたマジ研メンバーは校庭にやってきた。三人とも制服に着替えている。

    「あそこですーっ」仁衣那が指差して先に走っていった。
    後から月路と純が続く。
    並んで歩きながら純が月路の腕に自分の腕を絡めてきた。
    「?」
    「えへへ、いいでしょ? お姉さま♥」

    ・・しかたないなぁ。
    月路は純のしたいようにさせる。
    まだ胸がどきどき鳴っていた。
    人前であんなに露出したのは初めてである。
    月路は昨夜はお風呂で何度も何度も体を洗った。無駄毛の処理もやりすぎてひりひりするくらいである。
    多分、純と仁衣那も似たようなものだろう。

    ぎゅうっ。
    純の腕に力が入って、強く密着されてしまった。
    可愛すぎるぞ、純。
    ステージで抱き合ったときの感触が蘇る。
    二人はレオタードで足を絡めあい、キスまでしたのだ。
    あのときの純は、とても柔らかくって、いい匂いがして・・。

    「もう、センパイたちっ、何くっついてるんですかー!」 仁衣那が戻ってきて言った。
    「うふふ」
    「女子高だなー!」
    「あんたが言ってどうするの、純っ」

    三人が校庭に来たのは、そこで生徒会執行部がイベントをやっていると聞いたからである。
    確かに、朝礼台の前に100人以上の女生徒が集まっていた。
    立看板があって『会長受難! 大声を出してうっぷんをはらそう!』と書かれていた。

    「あそこにいるの、生徒会長さんじゃないですか?」 仁衣那が指差して言った。

    朝礼台の上のパイプ椅子に生徒会長の御手洗優莉が座っていた。
    どうも後ろ手に縛り付けられているようである。
    優莉の回りには、レインコートを着た生徒が数人立っている。
    パイプ椅子の後ろには脚立があって、そこにもレインコートの生徒が跨っていた。
    足元にはバケツが並んでいて、どれも水が入っているようだ。

    少し離れた校庭には100人以上の女生徒たちが集まっていた。
    集まった女生徒たちの中から10人ほどのグループが出てきて、スタンドマイクに向かって一斉に叫んだ。
    「オ・ト・コがいなーーーーい!!」
    測定器を持った女生徒が出てきて、数値を読む。
    「音量は、・・120ホン!」
    きゃ~ぃ!!!
    大声を出したグループが飛び跳ねて喜んだ。
    さばっ。
    それと同時に、朝礼台の優莉の頭の上にバケツの水がざぶりとかけられた。

    「会長、今の声に一言!」
    「うむ、男の子を掴まえるには一に愛嬌、二に笑顔、三四がなくて五に色気。順番に気をつけて頑張りなさい!」
    「ありがとうございましたーっ」
    髪から水滴を垂らしながら優莉が答え、それに女生徒たちが頭を下げて礼をした。

    「あれ、何」口をぽかんと開けて見ていた純がつぶやいた。
    「100ホン以上の声を出したら、生徒会長さんが水をかぶるみたいです」 仁衣那が看板を読んで説明する。
    「生徒会長も大変ねぇ」
    「でも御手洗さん、何か楽しそうですけどー」

    確かに優莉は嫌がっているようには見えなかった。
    椅子に縛り付けられ、次々と水をかぶらされる。
    制服はおろか下着までずぶ濡れにされて、それでもなお明るく笑いながら生徒たちに応対する。

    「皆のために、自分を犠牲にして頑張ってるんだよ」
    「尊敬しちゃいますよー」

    ・・違うわ。あの優莉がそんな聖人のはずない。
    月路はあのときのことを思い出す。
    去年の春、同好会の手続きで訪ねた生徒会室だった。
    その当時生徒会副会長の優莉は、窓に向ってスマホを見ていた。
    ノックして入ってきた月路に気付いていないようだった。

    声をかけようとして、月路は固まってしまった。
    後ろから見えたスマホの画面には、縄でぎちぎちに縛られた女の子が映っていた。
    自分たちと同じくらいの歳の子に見えた。
    「はぁ・・、」
    優莉は小さな溜息をつきながら、画面を指ではじいて次の画像を表示させた。
    制服の少女を縛って天井から吊るした写真だった、
    優莉は生徒会室で緊縛写真集を見ていたのである。

    がたん。
    無意識に一歩下がった足が机に当たって音がした。
    優莉は初めて振り返り、そこにいる月路を見た。

    「・・井沢月路、さん?」
    「あのあたし、その別に黙って見た訳じゃ・・」
    「あ、これ?」
    月路はそのときの優莉をはっきり覚えている。
    優莉はスマホの画面を隠さないどころか、月路に向って示しながら言ったのだ。

    「不思議よね、緊縛って」
    「はい?」
    「こんなに惨めなのに、綺麗なんだもの。ぞくぞくするほど色っぽいんだもの。自分も同じ目にあいたいって思ってもいいでしょ?」
    「えっと・・、その・・」
    「うふふ、誰にも言わないでね。私は別に気にしないけど、生徒会役員にこんなマゾがいるって知れたら先生たちが困るでしょうから」
    そのときの優莉の微笑み。
    とても妖しくて、そのまま呑み込まれてしまいそうだった。

    月路は考える。
    このイベントも優莉が自分で言い出してやったのではないだろうか。
    そうだ。きっとそうだ。
    ホントにいいんですかー? と聞く周囲に、アイツは涼しい顔をして「皆が喜んでくれるなら構わないわ」なんて言ったに違いないのだ。

    さばっ!
    「・・はぁっ」
    またバケツの水をぶちまけられ、優莉が声を上げた。
    わざと上を向いて顔面に水を受けている。
    動けない体を確かめるように、ぶるぶる震えている。

    あいつめーっ。生徒会会長の特権を乱用しやがって・・!

    「よし、あたしらも出よう」月路は純と仁衣那に言った。
    「三人で大声出して、生徒会長に水をかけよう!」
    「はい!」「おーし、やりましょー!!」

    列に並び、スタンドマイクの前に立つと、朝礼台で縛られた優莉と目が合った。

    ・・来たわね、マジ研! ステージ大成功だったじゃない!
    優莉はにっこり笑って三人を見た。
    既にぐっしょり濡れそぼり、制服も下着も乾いている部分はない。
    ポニーテールはべたりとつぶれ、そこらじゅうから水滴がぽたぽた垂れる惨状である。

    さあ、次は、あなたたちが大声を出して水をかける番よ。
    私に惨めな思いを味わわせてちょうだい。
    ぞくぞく、ぞくぞく、させてちょうだい。

    ・・さ、せーのっ。
    三人は叫んだ。
    「来年もイリュージョンっ、やぁるぞぉーーーっ!!」



    ~登場人物紹介~
    井沢月路: アネモネ女学院高校3年 マジック研究会会長
    毛塚純: 同2年 マジック研究会副会長
    出水仁衣那(にいな): 同1年 マジック研究会会計
    御手洗優莉: アネモネ女学院高校3年 生徒会会長

    学園祭モノを連続投稿します。
    前回の「アネモネ女学院高校文化祭訪問記」でコメントをいただき、思い立って書き起こしました。
    セクシー系イリュージョンと名乗っていますが、高校生の演じるネタですし、それほど過激ではありません。
    あまり下品すぎないのが作者の好みでもありますしね。
    マジック、イリュージョンのネタはおそらくすべて現実にあるものです。
    女の子たちが楽しみながら演じているのが伝わればいいなと思います。

    そして最後の水かぶりゲームは、前回書いたネタが美味しすぎてもったいないので、少々濃ゆ目にして再登場させたものです。
    生徒会長の優莉さんは美貌と知性を兼ね備え、いつも凛としていて下級生女子たちの憧れの的。
    そしてもちろん、私の小説のお約束として真性のM女であります^^。
    きっと男に対しては厳しい人ですから、彼女にしてお付き合いするのは大変でしょうねー。

    ではまた。
    ありがとうございました!




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    No title

    おお!久々のイリュージョンですね!前のコメントを反映してくれたみたいで恐縮です。一つ目の手品はよく女性の人が演じる場合が多いですね。勿論、男性でも演じている人がいるんですけど、動画サイトでも女性が演じる場合がほとんどです。女性の方が受けがいい理由の一つに、太くて硬いものを口で銜えて飲み込む様子がエロいからです。演じている本人は分かりづらいですが、見ている人にはエロく感じてしまうそうです。かくゆう私もその一人です(笑)二つ目のイリュージョンは美女の剣刺しで、マジック研究会らしく使用する道具が手作りなのがいいですね。プロには及ばないないけど、私たちも引けを取らないぞ!といゆう感じがなかなかグッドです。三つ目は私が好きなセクシーイリュージョンですね。高校生とはいえ、ソックスとローファーを履いていて、極小ビキニとTバック現れるとは・・・仁衣那は以外に度胸がありますね。演出はシンプルになっていて、衝立で隠ししばらくすると服だけ残る・・・シチュエーション的透明人間を思い出しました。姿全体が隠れて、着ていた服を一着ずつ脱ぐ焦らしや翻弄ではないのも女子高生らしくてよいです。準備中の段階で焦らしや翻弄を妄想していましたが、女子高生が演出するにはセクシーすぎますね(笑)そういった演出を演じるのは、キョートサプライズみたいな集団でなければ合いませんからね。

    Re: No title

    ◎とうめいさん

    早速のコメントありがとうございます。
    久しぶりのイリュージョンは書いていても楽しかったです。
    個々の演出の意図などはお察しの通り。
    風船呑み(正しくは何と呼ぶんでしょう?)は演出によるでしょうけど、私はあまりエロは感じません(笑)。

    仁衣那の極小ビキニは、セクシーイリュージョンの言いだしっぺなので覚悟してやってます。
    実はショーツだけの手ブラも考えましたが、女子高とはいえ観客に男性が混じる可能性のある文化祭では止めました。
    確実に女子だけの場(例えばクラス会)なら、やれると思うし、やれば絶対に大ウケなんですけどね。

    三人とも実はすごく恥ずかしかったのは、SS後段の「昨夜はお風呂で・・」のくだりで少し触れました。
    余談になりますがこの部分は実話でして、とあるパーティで女の子たちが衣装を揃えてダンスをしてくれたことを思い出して書いたものです。
    その衣装は、おへそがチラ見えするショートパンツ程度のものだったのですが、普段はそういう格好を絶対にしない子たちだったので、ものすごく恥ずかしがって、それでもパーティの前にわざわざお風呂に入り「足を綺麗にして」(本人談)、踊ってくれたのです。
    皆「ストリッパーかよ」と笑いましたが、私を含めた何人かはその心理に妙に萌えてしまったのでした。(本人バレしない程度に脚色してます)
    ・・しまった、これ後書きに書けばよかったかも?

    キョートサプライズなら、そもそもプロなのでお客が喜ぶことなら何だってやるでしょうね。

    No title

    風船吞みの正式名称はBalloon Swallowing 。その名通り「風船を飲み込む」ですね。日本だと、ふじいあきらさんが演じているのを、テレビで観た事がある人が多いんじゃないでしょうか。海外だと何故か女性が演じる場合が多く、男性が演じると不評だそうです。個人的な理由としては、海外フェチ物で女性が何か口に銜えて、目を細めて色っぽい表情をしながら「ふぁむ・・・」とか「ん・・・」などの行為を観て興奮するフェチがあります。こういったフェチが好きな人が一定数いて、男性よりも女性が注目されるようになったのではないかと。YouTubeなどで検索しても女性が多いですね。コメントも手品の内容よりも「セクシー!」とか「エロい!」とかが多いです(笑)

    恥ずかしながら頑張る女性はいいですね!私がそれにはまったのは、セクシーイリュージョンですね。あんなにノリノリで演じていても、裏では無茶苦茶恥ずかしがったりしているのでは?と妄想して萌えを補給しています(笑)管理人の実話でそのような出来事があるとは、現実は小説より奇なりとは、まさにその出来事。普段はそういう格好を絶対にしない所が萌えるところですね。

    管理人のイリュージョンで私も萌えを補給しました。キョートサプライズやイリュージョン八景みたいなシリーズ物も期待しています。あと余談なんですが、サイトのトップでの最新コメントが管理人と私だけになっていますね(汗)私だけ長々とコメントしていいものかと、妙な気持ちになります。

    Re: No title

    ◎とうめいさん

    ご自信のコメントで埋まっていること、気になさらないで下さい。
    当ブログは来る人は拒まず、去る人は追わずです。

    Balloon Swallowing とはまんまの名前ですね。
    私はふじいあきら氏のしか見たことがありません。海外では女性が多いのですか。
    元々、女性がバナナなどを咥える構図に萌えもエロも感じないので、この小説でもそのような意識はありませんでした。
    仁衣那ちゃんには風船を咥えながらヨガリ声のひとつでも上げさせたら、女生徒たちにウケたもしれませんね。

    次にいつイリュージョンを出せるかは分かりません。
    動画サイトなどの探索もできておらず、最近どのようなネタが流行っているのかも分からない始末。
    すみませんが、あまり期待しないでお待ち下さい。

    No title

    勿論、気長に待ちますよー。シリーズ物でなくても短編でも長編でも。イリュージョン大好き人間なので、ちょこっと出てくるだけでも私は喜びますね。イリュージョンの流行についてですが、種ついての流行は飽食気味ですね。時代が進んで、誰でも道具を購入したり、種さえ知っていれば自作して簡単にイリュージョンが演じる事ができます。勿論、プロには及びませんが、同じだと新鮮味がないので、そこでプロマジシャン達の多くは、同じイリュージョンでも何か一つ加える、もとい演出に拘るようになりましたね。私たちの演じるイリュージョンはこういうイリュージョンです!みたいな感じが多いです。イリュージョン単体で楽しむ。ではなく大抵は、ストーリー仕立てになっていて、イリュージョンはその演出として扱われる場合が多いです。あとは日常にあるものを使いイリュージョンを演じるとかありますね。そっちの方があからさまな道具や、単体よりも受けがいいですからね。流行については種より演出です。私も演出重視のイリュージョンが好きですね。キョートサプライズが好きなのもそれが理由です。

    Re: No title

    ◎とうめいさん
    エンタテーメントですから演出が重要なのは当然ですよね。
    ここでいう演出とは、決してストーリー仕立てやダンス、道具立てだけを指すのではなく、昔ながらの前口上や客によるネタ改め、アシスタントが一瞬で眠る催眠術、すべて立派な演出だと思います。
    私の小説のイリュージョンの演出はその程度のものですよ。
    大して工夫した演出などありません。
    だから自分で面白いと思いさえすれば、平気でマジシャンに意味不明な呪文も唱えさせますww。

    この週末、久しぶりに2チャンネルの関連スレを開いたら、最近のイリュージョンは新鮮味がないというような意味の発言があって、そうか、ベテランファン?の皆さんはそう思って見ているのかと感じました。
    私などは、イリュージョン好きの原点が『可哀想な目にあっても頑張る女性アシスタント』ですから、それっぽいネタならどんなに古臭い演出でも喜んでしまいます。
    逆に、いくら演出がスゴくても、延々とダンスが続くようなモノは飽きてしまって見るのを止めます(笑)。

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