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    Bondage Model その3(1/2)・氷の美女

    1.
    毎年恒例の雲島市サマーフェスティバル。
    昼間は野外ステージでミニライブやパフォーマンス。夜は1万発の花火大会。
    他にも屋台や路上イベントなど、町をあげてのお祭りでたくさんのお客を集めている。

    今、商店街のアーケードでは『氷の彫刻展』が開催されていた。
    巨大な氷の板から削り出された動物、アニメのキャラクター、有名建造物のミニチュアなど様々な作品が並んでいる。
    使用されている氷は、純水をゆっくり凍らせて作った気泡のない特別な氷で、真夏の屋外でも融けにくく4~5時間は形を保つことができた。
    そのおかげで周囲に涼しげな空気が漂って、人々はゆったりと彫刻の美しさを楽しんでいた。

    展示されている中に、特に見物人を集める作品があった。
    『氷の美女』とタイトルがついたそれは、一辺1メートルほどのただの四角い氷であった。
    はたして彫刻と呼べるかどうかも分からない代物に人気が集まる理由は、そこに水着の女性が埋め込まれていたからである。

    女性は、透明な見えない椅子に腰掛けるような姿勢で、膝上からお腹までの下半身が氷の中に入っていた。
    手前には、にょっきり突き出した素足の膝小僧。
    そして上面には、黄色いビキニのブラ一つだけ着けて微笑む女性の上半身。
    もちろんマネキンなどではない。
    生きた本物の美女の氷詰めだった。

    氷の美女

    行き交う人々のほとんどが驚いて作品の前で立ち止まる。

    「ママ、見て! どうなってるの、これ?」「うわぁ、分からないわ」
    指差して聞く子供と、答えられない大人。
    「きゃあっ、あたし、やりたい!」「涼しそー!!」
    きゃあきゃあ騒ぎながらスマホで写真を撮る女子高生の集団。
    「冷えないのかしら」「よく見なよ。氷の中は何か着けてるぜ」「あ、ホントだー」
    質問する彼女に説明するアベックの彼氏。

    この彼氏が正解だった。
    女性はちょうど氷に埋もれる部分に肌色のスパッツを穿いていた。
    おそらくスパッツが防寒の機能を備えているのだろう。

    ただし、それだけで女性が無事に過ごせるとは思えなかった。
    非常に融けにくい、よく締まった氷である。取り囲んでいるだけで冷気を感じる程だった。
    スパッツで肌が直接氷に触れないとはいえ、ほとんど身を覆うものもない彼女がどうして平気でいられるのか不思議だった。

    2.
    広告代理店でイベントの企画をしている遠藤くんから電話があったのは、先月のことだった。
    「ミーアちゃん、モデル辞めたって本当?」
    「辞めてないよ。事務所移っただけ」
    「辞めてないんだね? よかった! 頼みたい仕事があるんだ。田舎町のイベントなんだけどね」
    「ちょ、今は夏だけど?」
    「分かってるよ。新しい事務所の連絡先を教えてくれない。ちゃんとオファー入れるからさ」
    「りょーかい」
    「仕事が済んだら一緒に飲もうぜ。じゃあね!」

    アタシは電話を切ってから苦笑した。
    遠藤くんが持ってくるのはいつも「寒い系」のお仕事なのだ。
    彼はアタシと同い年で、タメ口で話しあえる10年来の仕事仲間だった。

    初めて一緒にやったお仕事は、信州の某スキー場のTV-CFとポスターの撮影だった。
    遠藤くんはまだ下っ端の撮影助手で、レフ版を持って走りまわっていた。

    今でもはっきり覚えている。
    アタシを含めてスキーの得意な女の子が4人集められ、全身に日焼け止めを塗って、マイクロビキニでスキーをさせられた。
    よく晴れてはいたけれど、ゲレンデの気温は摂氏1度。
    何度もテイクを繰り返す中、他の子は寒イボをたてて震えているのに、アタシだけ平気だった。
    それがディレクターの眼に留まって、「本当はウェアを着て滑るんだけど」と、ビキニのままでダウンヒルコースを滑って欲しいと頼まれた。
    アタシはもちろん「やります」と答えた。断るなんて考えもしなかった。

    カメラマンとディレクターはコースの途中でスタンバイし、アタシと遠藤くんだけがリフトで頂上まで上がった。
    スタート地点に立つと、目の前に崖を駆け下りるようなコースが見えた。
    アタシはスキーブーツ、手袋、サングラスの他は、小さなマイクロビキニを着けただけの格好。
    もし転倒したら絶対に無事で済まないと思った。
    ハンディカメラを構えた遠藤くんが合図した。
    アタシはエイヤと雪を突いてスタートし、そのまま4000メートルのコースを麓まで滑りきった。

    それからアタシ此花美亜(このはなみあ)は、「酷寒ミーア」なんて呼ばれるくらい寒さに強いモデルとして名が知れた。
    冬になると、雪や氷の上で水着やヌードになるお仕事に呼ばれた。
    遠藤くんはだんだん偉くなってイベントプランナーなんて仕事をするようになり、アタシ向けのお仕事があれば必ず声をかけてくれるのだった。

    ・・遠藤くんと電話で話した数日後、事務所からサマーフェスティバルのお仕事の連絡が入った。

    3.
    サマーフェスティバルの朝。
    アタシは商店街の精肉店の冷凍庫にいた。
    温度はマイナス18度。
    外は朝から30度以上の猛暑だけど、ここは別世界。
    みんな防寒着と手袋を着けている。

    集まっているのはアタシと事務所の小木社長、遠藤くん、そして氷彫刻職人の氷室さんと助手の人。
    遠藤くんの会社はサマーフェスティバルの企画運営を請け負っていて、遠藤くんは彫刻展の目玉に『氷の美女』を出すことを提案したのだという。
    もちろんアタシを念頭に置いてのことだった。
    この冷凍庫を借りて、これから『氷の美女』を製作するのだ。

    「すごいわっ。女の子の氷詰めなんて初めてよ!」小木さんがうれしそうに言った。
    「アタシだって初めてです」
    「え~? 大丈夫なの? ・・未亜ちゃんにもしものことがあったら、それはそれで楽しみだけど」
    「あのですねぇ」
    この女性社長は何にでも子供みたいにはしゃいで喜ぶところがある。

    そもそもアタシが事務所を移ったのは、小木さんがいたからだ。
    モデルのお仕事をするようになって10年。
    頑張ってシェイプアップしてるからボディは若い子に負けない自信がある。
    でも、いつまでも酷寒ミーアだけでやれるはずもないし、アタシはこの先どうしようかと迷っていた。
    そんなとき、モデル仲間の紹介で知り合った小木さんが誘ってくれた。
    「・・緊縛モデル、やってみない?」

    前の事務所はアダルト関係のお仕事は基本NGだったから、アタシは本格的な緊縛を知らなかった。
    だから小木さんの事務所でイベントを見学させてもらって衝撃を受けた。
    涙、嗚咽、絶叫。苦辱の中でオーガズムを感じて乱れ狂うM女。
    ビジュアルだけの世界にはない凄さに圧倒された。
    そして自分も縛られて、意識が飛びそうなほど被虐に感じた。

    アタシは小木さんの事務所に移籍を決めた。

    4.
    「じゃ、作りましょう」
    遠藤くんが宣言して、氷室さんたちが作業を始めた。
    氷室さんは遠藤くんが頼んで来てもらった氷雪造形のプロで、いままでいろいろなイベントで雪や氷の彫刻を作ってきた人だ。
    そんな氷室さんといえども人間の氷詰めは経験がなく、今回は事前にいろいろ検討してもらったそうだ。

    使用する氷は、製氷工場で純水を3日かけて凍らせた一つ135キロもある氷の板だった。
    長さ108センチ、幅56センチ、厚さ28センチ。
    表面にアルミ板を当ててアイロンをかけると、その面が平滑になって氷同士を接着することができる。
    こうして氷板を2列×3段に積み上げ、大きな立方体を形成してゆく。

    目的の大きさまで積み上げると、次にアタシの腰を埋める空間を削り出す作業だった。
    氷室さんはドリルと電動ソーを使ってみるみる氷を彫り込んでゆく。
    大体の形ができると、ノミで小さな角を削って丸くした。

    「座ってみて下さい」氷室さんが言った。
    アタシは穿いていたスキー用のハーフパンツを脱いで、削り出された窪みの中にスパッツの腰を下ろした。
    それはアタシのお尻からおへそまでが収まるだけの深さがあった。
    スパッツはダイビング用のドライスーツと同じ素材で、完全防水の防寒構造になっているから、氷の中に座っても特に冷たくは感じなかった。
    氷室さんはアタシを何度も立たせたり座らせたりしてアタシの下半身がぴたりと収まるように細かく調整した。

    「上を乗せます」
    膝の上に別の氷板が乗せられた。
    その氷板も氷室さんが削ったもので、裏面にはアタシの膝の形、手前には胴体のカーブに合わせた切り欠きが彫り込まれていた。
    上に乗せた氷板をハンマーで軽く叩いて安定させた後、継ぎ目に水を垂らした。
    その水はたちまち凍りついて全体が一つになった。
    最後に積み上げた氷の周囲をグラインダーで軽く削って、全体を綺麗な立方体に仕上げた。

    「できました。しばらく置いて氷を安定させます。今さらこんなことを聞くのは何ですけど、寒くないですか?」
    アタシは笑って大丈夫と答えた。
    上にはアノラックと手袋、膝から下には毛皮のブーツを着けている。

    「すごい手さばきでしたね。ありがとうございました」
    「いえ。人を埋めるなんて僕も初めてですからね。ドキドキしながらやらせてもらいました」
    遠藤くんがお礼を言うと、氷室さんは初めて笑って答えてくれた。

    ・・2時間後、アタシは外に運び出され、大きな白布で覆われて台車で移動した。
    展示会場について白布を外されると、見物人がわっと寄ってきた。

    5.
    設置作業が済んでから、アタシはいつまで飾られるのか聞いていなかったことに気が付いた。
    周囲を見回しても遠藤くんや小木さんの姿は見えなかった。

    「お姉さん?」
    小学生くらいの男の子が不思議そうな顔で見上げていた。
    「はい、こんにちは」
    笑って挨拶すると「わ、生きてるぅ!」と叫んで逃げられた。失礼ねっ。

    ま、いいか。
    見世物になるのがお仕事。
    どうしたって、もう自分では動けないんだしね。

    6.
    ・・どれくらいの時間が過ぎたんだろう。
    商店街を行きかう人々、自分を取り巻く観客の様子に変わりはない。

    スパッツ越しに冷たさが気になってきた。
    穴が開いて水が入ってきたのではない。
    身体が全体に冷えかけていた。

    運動量が足りないせいだと思った。
    今までどんな寒さでも平気だったのは、身体を動かして体内から発熱していたからだ。
    とりあえず、お客さんに向って振る手に必要以上の力を込めた。
    下半身の筋肉にも力を入れたり緩めたりした。
    少しだけ冷たさが和らいだような気がした。

    アタシを閉じ込めた氷は、表面はしっとり濡れているけれど、まだまだ融けそうになかった。
    膝も腰もしっかり固まったままだ。
    耐えられるかしら?
    ちょっと不安になった。

    「あの、エフエム・Kですっ」
    「はい?」
    「インタビューさせて下さいっ」
    目の目にマイクを持った女の子がいた。
    Tシャツの袖に『報道』と書いた腕章をつけている。

    「あ、はい。どうも」
    「雲島サマーフェスティバルっ、氷の美女になったご気分はいかがですか?」
    んなこと急に聞かれても。

    「あ、えっと、光栄です」
    「みなさん汗だくになっているところ、お一人だけ涼しい気分を味わえてうらやましいです!」
    ならアンタが代わりにやってよ。

    「い、いえ、ずいぶん涼しいというか、冷たい思いをさせてもらってます」
    「最後に、あなたの彼氏に、一言!」
    何それ。彼氏なんていねーよ。
    一瞬、遠藤くんの顔が浮かんだ。どうしてアイツ。

    「そ、そうですね。・・アタシのこと冷たい女だって嫌わないでね!」
    「は?」
    女の子のバックに「?」マークがいくつか浮かんで消えた。

    「あ、氷の美女だから、冷たい。・・なるほどなるほど! ありがとうございました~っ」
    そんなリアクションされたら、答えたこっちが恥ずかしくなるでしょ。

    7.
    何時間か過ぎていた。
    身体が芯から冷えて、アタシはぶるぶる震えていた。

    通り過ぎる人々の会話に「花火大会」の単語が聞こえた。
    そうか花火があるのかと思ったけど、それ以上に思考が続かない。
    ただ早く時間が過ぎて欲しかった。

    うーっ。
    カチカチと歯が鳴りそうになる口を無理に閉じた。

    「・・もしもし、大丈夫ですか?」
    「あ、いえっ。ご心配なく!」
    親切そうなおばあさんに聞かれて、慌てて返事をした。

    その瞬間。
    股間がほんのり暖かかくなり、すぐに冷たくなった。
    あー、やっちゃった。ずっと我慢してたのに。
    アタシは慌てた拍子に、スパッツの下につけていたオムツにおしっこを漏らしたのだった。

    8.
    遠藤くんたちが来てアタシを回収してくれた。
    氷はすっかり角がなくなって、アタシが腰掛けた部分が20センチも沈み込んでいた。
    氷室さんが氷を割ってアタシを出してくれた。
    アタシは地面に座り込んで、そのまま動けなかった。

    「よく耐えたね」
    遠藤くんがアタシを抱えるようにしてアノラックを着せてくれた。
    「頑張ったよ~。今、何時?」
    「5時だよ。ミーアちゃんは6時間氷詰めになってたんだ。最初から含めると」
    「へ、6時間!?」
    「さすがの酷寒ミーアも参ったみたいだね」
    「えへへ。アタシも歳かなぁ」
    「いいさ。もう酷寒じゃないんだろ?」
    「ん?」
    「小木さんに聞いたよ。緊縛モデル始めたこと」
    そうか。遠藤くんに知られちゃったか。

    「よっ」
    遠藤くんはやおらアタシを抱き上げると、そのまま歩き出した。

    「何するの」「歩けないだろ?」
    「いいよ、気を遣ってくれなくて。・・それに」「それに?」
    「オムツ濡らしてるから、遠藤くんの服、汚しちゃう」「だ、大丈夫だよ」
    「今、引いたでしょ」「引いてない」
    「ウソ、このおしっこ女って思ったくせに」「自分で言ってどーする」「えへへ」
    「・・俺さ、ミーアちゃんのこと、冷たい女なんて思わないから」
    「はあ? どういう意味」
    「覚えてないの? さっきのインタビュー」
    「ああ、聞いてたの?」
    「うん、あれ、地元のコミュニティFMだし」
    「アンタ、もしかしてアタシの彼氏のつもりじゃないでしょーね!」
    「え? 違うの?」
    「下ろせー」「やだ」

    遠藤くんはアタシを抱いたまま商店街を歩いていた。
    皆が見ている。
    やがてアタシは黙って遠藤くんにしがみついた。
    この歳になって、まさかお姫様抱っこされるのが嬉しいとは思わなかった。

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