スポンサーサイト

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    アンバードール第4話(2/2)・ドール工房の恋

    10.
    西の作業室には、俺と胡桃子ちゃん、そしてクローンの胡桃子ちゃんだけがいた。
    僕はまずクローン体の髪と爪を丁寧に切り揃えた。
    髪にスプレーとブラシをかけて括り、爪をワックスで磨いた。
    髪型はもちろん胡桃子ちゃんと同じポニーテール。
    次は身体。

    僕は胡桃子ちゃんに頼んだ。
    「身体を見せてくれる」
    「はいっ」
    胡桃子ちゃんはすぐに服を全部脱いで、クローン体の隣に横たわってくれた。
    彼女も分かっていた。
    僕がクローンの素材をオリジナルとそっくりに仕上げるつもりであることを。

    僕は胡桃子ちゃんの身体を見て、そしてときどき触って確認しながら、クローン体を手入れした。
    荒れた肌を専用オイルでクレンジングし、保湿クリームを塗る。
    ムダ毛も処理して、つるつるにする。

    僕がクローンの両足の膝を持って開くと、胡桃子ちゃんも黙って自分で膝を立てて両足を開いてくれた。
    「ありがとう」
    僕はお礼を言って、クローンと胡桃子ちゃんの股間を観察する。
    クローンの方は、濃い目の体毛がびっしりと肛門の後ろまで茂っていた。
    それを脱毛クリームで除去して。胡桃子ちゃんの量と形に合わせる。

    性器の中も指で開いて確認した。
    当たり前だけど、このクローンはバージンで、胡桃子ちゃんはそうでなかった。
    クローン体の素材を製品に使うとき、処女膜のような機敏な部位はショップや購入者の意向を確認する。
    オリジナルが処女でなくても、クローンに処女を求めるお客は多い。逆にその反対を望むお客も少数ながらいる。
    今、胡桃子ちゃんのクローン体について判断するのは僕自身だ。
    僕の方針は、すべてをオリジナルと同じにすること。

    僕はクーパー(手術用ハサミ)を使い、その場所を胡桃子ちゃんと同じになるよう丁寧に切除した。
    そして全体をオイルを含ませた脱脂綿で拭いたら、胡桃子ちゃんのそこよりもずっと薄いピンク色になった。
    ここは、後で色素をのせて調整しよう。

    「くちゅんっ!」
    胡桃子ちゃんがしゃみをした。
    「あ、ごめん!」
    僕は慌てて毛布を彼女にかけた。
    クローンの仕上げに夢中で、胡桃子ちゃんが全裸でいてくれたことをすっかり忘れていたのだ。

    「しばらく休もうか」
    「大丈夫です。周防さんが続けられるなら、続けて下さい」
    「でも」
    「あたし、周防さんのお手伝いをしたいんです」
    胡桃子ちゃんはじっと僕を見て言った。
    「・・ありがとう」
    僕は彼女の頬を両手で押さえてキスをして、それからまたクローン体に向き合った。

    性器の処理が済んだら、次は青白い体色を調整する。
    肌の色を濃くするといっても、紫外線ライトで日焼けさせるようなことはできない。
    クローンは生きていないから、そんなことをしたら皮膚がただれるだけだ。
    だからここは、専用の顔料をエアブラシで吹いて、胡桃子ちゃんの肌と色味を合わせるのである。
    僕はマスクをして、隣で横たわっている胡桃子ちゃんにもマスクをつけてあげて、ブラシのノズルを握った。

    11.
    本物の胡桃子ちゃんと、瓜二つの胡桃子ちゃんができあがった。
    18才になったばかりの胡桃子ちゃんと、18才の身体に作られたクローンの胡桃子ちゃん。
    胡桃子ちゃんは、服を着てから、自分の分身をじっと見つめた。

    「すごく不思議ですね」
    「そうだろうね。自分とそっくりな女の子がもう一人いるんだから」
    「いいえ。そういう意味じゃないんです」
    「?」
    「不思議なのは、周防さんがこの子をあたしと同じにしてくれたことです。あたしの恥ずかしい場所も、何もかも」
    「え」
    「ものすごく不思議で、それから、ものすごく嬉しいです」
    「・・そうか」
    「約束して下さいね。この子を素敵なドールにしてあげること」
    「うん。約束する」

    12.
    もうすっかり暗くなっていた。
    工房の中は誰もいなかった。みんな先に帰ったらしい。
    僕と胡桃子ちゃんも帰ることにした。
    一旦別れて帰って、それから僕の部屋に胡桃子ちゃんを呼んで誕生パーティをすることになっていた。

    「じゃ、また後で!」
    二人は工房の前で別れた。
    僕は胡桃子ちゃんの姿が見えなくなるまで手を振って、それからスクーターに乗って帰った。

    13.
    その夜、胡桃子ちゃんは僕の部屋に来なかった。
    彼女のスマホにコールしても、圏外の応答が返るばかりだった。
    心配していると、深夜になって親方から連絡があった。
    胡桃子ちゃんは自宅の近くで轢き逃げにあったという。
    暗がりに倒れているところを発見されたのだ。

    急いでスクーターで病院に行くと、彼女はもうこの世の人ではなくなっていた。
    頭を強打したのが致命傷だった。
    突然の出来事に僕は何も言えなかった、

    胡桃子ちゃんの家族、工房の人たちも集まっていたけれど、やがて僕らを二人きりにして部屋から出て行ってくれた。
    その気遣いに感謝しつつ、僕は黙ったままだった。
    これからどうしたらいいんだろう。
    胡桃子ちゃんがいなくなった工房で、僕は何をすればいいのか。

    14.
    気がつくと、僕は冷たくなった胡桃子ちゃんの手を握って眠っていた。
    時計を見ると明け方が近い時間になっていた。

    ふう・・。
    ため息をつく。
    その瞬間、頭の中に閃くものがあった。

    僕は廊下に出て左右を見回した。誰もいなかった。
    外に抜け出して、スクーターで工房に行った。
    冷蔵室のガラスケースを運び出し、工房のトラックに載せた。

    病室に戻ると、背負っていた裸の女の子にベッドで寝ていた女の子の服を着せた。
    そして二人を入れ替え、服を脱がせた女の子を背負って、再び病室を出た。
    どちらの女の子も胡桃子ちゃんだった。

    まったく奇跡的なことだけど、僕は病院で死んだ胡桃子ちゃんとクローンの胡桃子ちゃんを誰にも出会わずに交換することができた。

    15.
    1年後。
    僕は見習職人を卒業して、一人前のドール職人になっていた。
    一人前といっても、一番下っ端であることに変わりはない。
    親方は相変わらずドールの仕上げを誰にも任せずにやっていたし、ツネさんと春木さんもそれぞれ自分の仕事をやっていた。

    卒業試験で、僕はアンバードールを作った。
    事前加工、縮小、校正、硬化、仕上げ、そしてクリスタルのモールディングまで全部の工程を一人でやった。
    仕上げのとき、親方は僕に「お前、エロいぞ」と言ってくれた。
    きっと、褒めてくれたんだろう。

    そのときに作ったドールは、今、僕の部屋に飾られている。
    それは胡桃子ちゃんの姿をしていた。
    クローンではなく本物の胡桃子ちゃんを使ったアンバードールだ。

    クローンでないことは、僕だけが知る事実だ。
    あの夜、入れ替えたクローンはお葬式の後で火葬されてしまったし、僕が作ったドールが本物かクローンか調べる手段は何もない。
    DNA証明書も作っていないし、仮にDNAを調べたところで当然本物とクローンが識別できる訳もない。

    胡桃子ちゃんは、透明クリスタルのキューブの中で、髪型だけは生きていたときと同じポニーテール。
    でも衣装はビキニのブラとデニムのローライズショートパンツだ。
    揉み心地のいい胸。すべすべした腰。むっちりして柔らかい太もも。
    僕が思う胡桃子ちゃんの魅力を強調する衣装だ。
    綺麗なだけでない、男を挑発するような、セクシーな姿で、ポーズをとって笑っている。
    生前の胡桃子ちゃんはいつもジーンズとTシャツの地味な格好だったけど、きっとこの方が彼女の気持ちに適っていると僕は信じている。

    工房の方は、仕事の評判がよくてドールの発注が続いているから、嬉しい悲鳴だ。
    今度、新しい見習職人が入るようだ。可愛い女の子だったらいいなと思う。
    おっと、またむっつりスケベをすると胡桃子ちゃんに叱られる。
    いつか一人立ちして自分で工房を持つまでは、彼女の機嫌を損ねないで真面目に頑張ろうと思う。



    ~登場人物紹介~
    周防勉 (すおうつとむ): 23才。ドール工房の見習職人。
    本郷胡桃子 (ほんごうくるみこ): 18才。見習職人。親方の姪で、周防の恋人。
    鶴田興利 (つるたおきとし): 53才。親方。鶴田ドール工房の主人。
    東恒夫 (あずまつねお): 47才。ベテランのドール職人。通称ツネさん。
    春木宗太 (はるきそうた): 35才。ドール職人。

    アンバードールのお話もいよいよ本命のドール工房の登場です。
    ドール工房には、量産志向の大手工房と、職人気質の小規模工房とがあります。
    日本は小規模工房の比率が高く、それぞれ独自の仕上げで勝負していて諸外国から高い評価を受けています。
    本話の主人公とヒロインはそんな工房で働く見習いの職人としました。

    本シリーズにはクローン体の製造工場も登場します。
    労働集約型のドール工房に対し、クローン工場はほぼ機械化されています。
    クローン体はアンバードールだけのために作られる訳ではなく、医療・医薬用、研究用、または人体の一部を原料とする工業資材の生産などが主目的です。
    食肉用にクローンを作ることは、日本では法律で禁止されていますが、禁止されていない国もあるようです。
    (この辺はアンバードールとは関係ないですね。また書き過ぎてしまいました^^)

    アンバードールの作り方は例によってすべてファンタジーです。
    無水セイロって何ですか? とか真面目に質問しないで下さいねー。

    さて、製造方法まで登場したので、アンバードールの設定 を公開しようと思います。
    主に、この世界における、アンバードールの歴史です。
    こちらも作者の趣味に走った突っ込みどころ満載ですが、細かい設定をたくさん盛り込みましたので、お好きな人だけお楽しみ下さい。

    ありがとうございました。




    関連記事
    スポンサーサイト
    [PR]

    [PR]

    コメントの投稿

    非公開コメント

    No title

    第3話に続き、クローン体ドールの話ですね。製造過程がちゃんと書かれていて面白いです。フィクションとはいえ、管理人が世界観を大事にしている証拠です。

    Re: No title

    ◎とうめいさん
    コメントありがとうございます。
    設定だけはアホほど考えてますww。
    もうすぐ掲載しますので、ご覧になって下さい。

    プロフィール

    82475

    Author:82475
    女性の拘束に関わる小説/SSと
    落書きを書いてます。

    更新案内と目次


    自己紹介
    メール送信/コメント投稿について

    カテゴリ
    最新記事
    最新コメント
    ブログ内記事検索
    (コメントの検索はできないみたいです)
    リンク

    ◎pixiv

    pixiv 82475のpixivページ
    R-18/R-18G 閲覧設定していないと見れません。

    ◎検索サイト

    駄文同盟.com
    駄文同盟.com


    ◎このブログへのリンクについて

    リンク、ブックマークは
     http://82475.blog15.fc2.com/
    へお願いします。
    「いつか感じたキモチ」 バナー
    メールフォーム

    名前:
    メールアドレス:
    タイトル:
    本文:

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。