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    キョートサプライズ セカンド・第10話(3/3) 魅惑のミュージックビデオ

    12.Club-LB
    河原町通りの繁華街のはずれ。
    その高級クラブの入口には『本日貸切』の看板が出ていた。
    水無月と畔たちが着くと、バニーガールがいて席に案内してくれた。
    フロアに並ぶ20ほどのテーブル席は先客で埋まっていた。どうやら畔たちが最後に入った客らしい。
    ライブで地方に行ったときなど、バニーガールがお酒を運んでくるような場所に連れてもらうことは珍しくない。
    でも、このお店はそんな今までの場所とはどこか雰囲気が違った。
    ・・何だろう?
    畔は周囲を見回して気がついた。
    女性客が多いのだ。
    たいていのテーブルは男女のカップルかグループ。男性だけのテーブルは少なく、代わりに女性だけのテーブルがある。
    披露宴かパーティにでも来たみたいなお洒落なドレス姿の女性も目立った。

    やがて畔たちのテーブルに白いスーツを着た小柄な女性がやってきた。
    髪をアップにしてお化粧は濃い目。
    スーツの胸にはピンクのコサージュ。スリットの入ったタイトスカート。そして薔薇の柄が入った網タイツ。
    その人が床に膝をついて挨拶する。
    「水無月さま、ご無沙汰しています」
    「よぉ、典子ちゃんっ。お客さんを連れてきたぜ」
    「存じております。"Shimmer" の皆様ですね」
    女性は Club-LB のマネージャーで、黒川典子と名乗った。
    「もうお顔を隠さなくても結構ですよ。こんな場所でサングラスじゃ見難いでしょう?」
    「ここは会員制で客筋はいいんだよ。たとえアメリカの大統領が来たってじろじろ見る客はいないさ」
    典子と水無月に言われて3人はサングラスを外した。
    「あの、Club-LB って、このお店のことですか?」音々が質問した。
    「ここは場所を借りているだけですわ。私達はお客様にショーをしますの」
    ・・ショー?
    「あの子も出るぜ」
    YAYOI ちゃん!!
    3人は YAYOI のことを同時に思い出した。
    「あの、YAYOI ちゃんは?」
    「もうすぐ登場しますわ。ここではトウコっていう名前なんですよ」典子が言った。
    「今夜の緊縛士は旦那さんかい?」水無月が聞く。
    「瀬戸くんですわ」
    「あの若いのか。大丈夫なの?」
    「おほほほ、それはご覧になって確かめて下さいませ。・・では、どうぞごゆっくり」
    典子はそう言って離れていった。

    ・・見た? 今の人、すごいピンヒール。
    うんっ。SMの女王様だったりして。
    畔たちは黙って視線を交わす。
    「ああ見えても、あの人はものすごいマゾなんだぜ」
    3人の様子を察して水無月が言った。
    「えーっ、本当ですか?」
    「じゃ、もしかして水無月さんあの人も、」
    「緊縛したぜ。初めて縛ったときは、あの子もチャキチャキの学生だったねぇ」
    ・・すごい!
    いったい何年前のことよー。
    「その子がもうすぐKSの社長になるっていうんだからねぇ」
    水無月は感慨深げにつぶやいた。
    ・・KSって何?
    3人が首をかしげているうちに、照明が暗くなった。

    13.イリュージョン
    フロアの奥にあるステージが明るくなり、タキシードを着た男性が登場して頭を下げた。
    背後に掛けられた紫の布を外すと、ガラスの水槽が置かれていた。
    水槽は長さ2メートル弱、高さと奥行きが50センチ弱。
    中には透明な水がいっぱいに入っている。
    男性はポケットから鍵を出すと水槽の蓋を開け、中の水を手にとってすくってみせた。
    再び蓋をして、水槽全体に鎖を巻きつける。
    紫の布を手に持つと、そのまま水槽の上に立った。

    ・・これ、イリュージョンだよね?!
    うん。あたし結構好きだよ。
    想乃が畔と音々に視線で伝えてきた。
    普通だったら、水の中に美女が入って、一瞬でマジシャンと交換するんだけどね。
    あぁ、テレビで見たことあるっ。でも美女なんていないじゃない?
    そうだよねぇ。

    男性は笑いながら紫布を広げて水槽を隠した。
    そして数秒後、布を外して水槽を見せた。
    おお~! 客席から声が上がる。
    空っぽだった水槽の中に人影があった。
    白いキャミソールドレスの少女が、白布で目隠しをされて、その上全身を麻縄で縛られて、水中に浮かんでいた。
    金髪のウィッグこそつけていないが、その衣装はあのMVで着ていたものとそっくりだった。

    「YAYOI ちゃん!!」
    3人は声を上げた。
    数秒前まで誰も入っていなかった。人が飛び込む音もしなかった。
    だいたい、最初からいっぱいに水が入っていたのに、それがこぼれた跡もない。
    でも、今は YAYOI ちゃんが入ってる! おまけにぎちぎちに縛られてる!
    「水無月さんっ。・・あれ! あれ!」
    「ああ、あの子だな」
    「ど、どーなってるんですか?!」
    「マジックのことまでは俺にも分からんよ。ほれ、拍手拍手」
    一斉に拍手が沸いていた。3人も慌てて拍手を送る。

    男性は水槽から飛び降りて、水中の少女を指差すと、何やら合図をした。
    水槽の中に水色の照明が点いて、少女を明るく照らした。
    その色は青、紫、赤、黄色とゆっくり変化して、少女の白いドレスを同じ色に染める。
    ・・うわぁ~。
    ほぇ~、綺麗っ。
    3人は水中の様子に見とれる。
    「すぐに綺麗なんて言ってられなくなるぞ」水無月が言った。
    「?」
    まもなく気がついた。
    少女は水中に閉じ込められたままだった。
    男性は横に立ったまま、水槽の蓋を開けるそぶりもしない。
    少女の口がへの字になった。
    身体を屈め、首を左右に振った。
    鼻からこぽこぽと泡を吐く。
    首を捻って水面の空気を吸おうとするが、水槽の中に余分な空気はほとんどなかった。
    空しく蓋の裏にキスをするばかりである。

    ・・何、いったい?
    畔が想乃を見た。想乃が音々を見た。音々はちょっと迷ってから水無月を見た。
    ・・YAYOI ちゃん、息できない!

    やがて少女は苦し気にもがき始めた。
    がんじがらめの縄を引きちぎらんとばかりに、全身に力を入れて暴れる。
    「あれじゃあ、胸の中の空気もすぐになくなるな」
    水無月がのんびりつぶやいた。そして畔たちの視線に気づくと弁解するように言った。
    「縛ったのは俺じゃないぞ」
    「あんなに苦しそうにしてるのに! 死んじゃいますよぉっ」
    「心配するな。ここじゃ苦しむのもあの子の仕事だ」
    「え?」

    もがき続けた少女の動きが止まった。
    緊縛された身体が水中にゆっくり漂う。
    ぽかんと開いた口から、小さな泡がこぼれた。

    ようやく男性は水槽の鎖を緩め、鍵を解いて蓋を開けた。
    タキシードが濡れるのも厭わず両手を差し入れると、水の中から少女をすくい上げた。
    少女はぐったりと動かない。
    ステージに少女を横たえ、膝をついて少女の頭を抱き上げた。
    白い目隠しを外す。
    目を閉じた YAYOI の顔が現れた。

    ・・やっぱり YAYOI ちゃん!!
    動かないよ。
    まさか、死んじゃったの?

    男性が YAYOI の頬を軽く叩いた。
    鼻に手を近づけて呼吸を確かめる。
    もう一度頬を叩く。
    少女の顔が小さく震えた。
    「あぁっ」
    目を閉じたまま声を出した。
    男性が彼女の上半身を起してやると、YAYOI は目をあけて周囲を眩しそうに見渡した。

    男性は立ち上がると、YAYOI の背中の縄を掴んで一緒に立たせた。
    倒れそうになる身体を後ろから抱いて支えながら、客席に向かって言った。
    「新人FBのトウコです。皆様どうぞ可愛がってやって下さい」
    大きな拍手が起こった。
    トウコと紹介された YAYOI も朦朧とした表情のまま少し笑って会釈した。

    ・・あぁ!!
    生きてたっ。
    私、心臓が止まるかと思ったぁ~。
    畔たちも互いに喜び合う。

    水無月は何も言わず、にやにや笑っている。
    落ち着いてよく見てれば気付いたはずだ。
    目を覚ますとき、あの子は少しでもむせたか? 口から水を吐いたか?
    肺に少しでも水が入れば大変なことになる。あんな簡単に蘇生するはずがない。
    ・・あの子は、自分から安全に溺れたのさ。
    FBは客の前で苦しむのが仕事だ。
    よくできたFBなら、綺麗に落ちて、綺麗に目覚めることができる。
    あの子はもう十分合格だろう。

    14.交わす想い
    ステージに立つ男性とトウコの上から、ロープに繋がったフックが降下してきた。
    男性はトウコの膝と背中に手早く縄を加えると、フックに掛けて右手を上げた。
    トウコはずぶ濡れのまま、さらにはがんじがらめに縛った縄もまったく解かれることなく、横吊りになって空中に浮かび上がった。
    黒髪から水滴がぽたぽたと垂れている。
    あのMVで最後に吊られた姿とよく似ていた。

    はぁ~っ。
    畔は深呼吸をしながらトウコを見上げた。
    両手で自分の胸を押さえる。どきどきして息が止まりそうだった。
    音々と想乃もトウコを見ていた。
    互いに視線を交わして、同じ気持ちでいることを確認する。
    「15分休憩します」
    ステージの男性が宣言した。
    「トウコはこのまま飾りますから、ご自由にご覧下さい」

    ・・緊縛放置? また?
    可哀想に。
    何言ってるのよ。羨ましいくせに?
    あんたこそ。
    えへへ、ちょっと。

    「では、これから順にお席に参りますから、緊縛ご希望のお客様はお申し出下さい」
    男性がそう言ってテーブルを回り始めた。
    すぐに手があがり、男性がその脇に屈んで話している。
    「どうだい? 君たちは」
    水無月が言った。
    「何ですか? あれ」
    「緊縛サービスさ。希望の客・・一応、女だけだが、望むように縛ってくれるのさ」
    「ええっ?」
    確かに男性は手をあげた女性客を後ろ手に縛り始めていた。
    その女性はうっとりした顔で目を閉じている。

    「この後は、自分も緊縛されてショーの続きを見るって趣向だよ」
    一人の客が縛られると、それを見ていた他の女性たちが自分も自分もと手をあげる。
    男性は順番に希望を聞いては、一人ずつ丁寧に縄で縛って行く。
    全員を縛るにはかなり時間がかかりそうだ。
    「・・何人縛ると思ってるんだ。手際が悪いっ。段取りも悪いっ」
    水無月はそれを見ながら一人でぶつぶつ言っている。

    畔、音々、想乃は視線を交わし合う。
    ・・ね、どうする?
    決まってるよね。
    うん!
    「すみませーん!」一斉に手をあげて、男性を呼んだ。
    ステージの上に吊られたトウコがこちらを見て、驚いたような顔をする。

    まもなく男性がやってきた。
    「これは、トウコと縁のあるお客様ですね。ご希望の縛り方はありますか?」
    「彼女と同じ気持ちにしてもらえますか」畔がトウコを指して頼んだ。
    「あたしも」「えへへ、右に同じ」
    「分かりました。では、十分に無力感を味わえる緊縛を」
    「うわぁ♥」

    生まれて初めて受けた緊縛は、少しも痛くなかった。
    まったく動けないのに、夢のように気持ちがよかった。
    それどころか、身体を締め付ける縄を感じれば感じるほど、自分の自由を他人に預けていることを意識するばするほど、快感が倍増した。
    YAYOI ちゃん、ものすごく辛い目にあってると思ってたのに、こんなに素敵な気持ちでいたの・・?

    男性は3人を縛り終えると、水無月に向かって頭を下げた。
    「まだまだ未熟者ですが」
    水無月は笑ってその背中を叩いた。
    「そんなことはないさ。君の縄は女をこんな顔にさせるんだ。・・ま、頑張れ、瀬戸くん!」

    3人はもう男たちの会話など聞いていない。
    ・・畔ぃ、とろけそう。
    あたし、もう解いて欲しくないって思ってるぅ。
    本当、すごいエクスタシー。
    もはや視線を交わす必要すらない。
    互いの吐息を聞くだけで感じ合うことができた。

    そのとき、3人はステージのトウコに目があった。
    トウコは緊縛された3人を見ながら微笑んでいた。
    ・・ようこそ! あたし達、仲間ですねっ。
    畔、音々、想乃もトウコに笑みを返した。
    ・・ありがとう! こんな気持ちを教えてくれて。
    互いの想いが通じ合う。
    それは、甘く切なくて、ほんの少しだけ哀しい想いだった。
    生まれて初めて感じるのに、とても懐かしくて、幼い頃から知っていたような想いだった。



    ~登場人物紹介~

    畔(ほとり):25才。女性3人のヴォーカルグループ "Shimmer" のリーダー。
    音々(ねね)、想乃(その):共に25才。"Shimmer" のメンバー。
    YAYOI :19才。新曲MVの緊縛モデル。KS/Club-LB の新人FB。SN(ステージネーム)はトウコ。
    水無月:36才。KSと縁の深いプロの縄師。
    黒川典子:30才。KS/Club-LB のマネージャー。
    瀬戸:22才。KS/Club-LB の緊縛士。

    お待たせいたしました。
    キョートサプライズセカンドの第10話をお届けします。

    国内外アーティストのMVやPVに手錠・鎖・檻などの拘束系アイテムが使われることはそれほど珍しくありません。
    最近では緊縛シーンが出てくることもあり、先日も某バンドのMVに一鬼◯こ氏がプロデュースしたという綺麗な緊縛イメージが登場して見入ってしまいました。(もちろん女性モデルの緊縛ですよ、念のため)
    こういう映像が、ネットの動画サイトで、しかも成人制限も何もなしで見れるのですから、『緊縛』という表現手段がいかに一般的になったか実感させられますね。
    この傾向が女性アーティストや美少女アイドルのMVにまで広がってくれれば素晴らしいのですが、さすがにそれはまだまだ夢物語でしょう。
    という訳で今回、アイドル出身の女性グループのMVに緊縛少女を登場させることにしました。
    顔の知れていないモデルをということで依頼されたのは、もちろん我らがKS。
    新人FBのトウコが、モデル名 YAYOI として派遣されました。
    完成映像はソフトで綺麗、でも実際の撮影は過酷で可哀想、というのを目指して書きましたがどうでしょうか?

    本シリーズをお読みの皆様にはお分かりと思いますが、YAYOI は第2話と4話に登場した千代田弥生ちゃんです。
    第4話ではまだ高校生、缶詰配達される途中で失敗して泣いてしまった弥生ちゃん。
    今は大学生となり、自らFBの道を選びました。
    なお、本話では弥生ちゃん以外にも懐かしい人に登場してもらいました。
    作者の自己満足のようなものなのでいちいち挙げませんが、分かる人には以前の登場シーンを思い出してもらえれば嬉しく思います。

    イリュージョンは、以前どこかの後書きで触れた、水槽の中に出現するアシスタントのバリエーションです。
    私のオリジナルはそのまま水中に閉じ込めてガチで窒息させてしまうところ、それらを全身緊縛状態で演じさせることです。
    水中イリュージョンの訓練を積み、窒息パフォーマンスができる身体能力と度胸があり、さらに緊縛を受け入れる被虐性を兼ね備えた女性・・。
    現実のイリュージョンではあり得ないですね(笑)

    最後に、お知らせします。
    第1部、第2部と長く続いたキョートサプライズはあと2回で終了する予定です。
    あと2回といっても、現在の連載ペースではまだ何ヶ月もかかりそうですが^^。
    最終回までどうぞよろしくお願いいたします。




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    No title

    いろんなグループを虜にしてしまう、キョートサプライズを改めて凄いと思いました。水中イリュージョンでそのまま水中窒息に移る様は、キョートサプライズならではですね。弥生ちゃんも成長してたくましいです。キョートサプライズもあと二回で終了ですか・・・キョートサプライズが終わったらイリュージョン八景や、他のSSを掲載するんですか?個人的にイリュージョン八景の第二部が読みたいですね(笑)

    Re: No title

    ◎とうめいさん
    いつもコメントありがとうございます~。
    はい。他所には絶対にないイリュージョンだと思います。
    女の子をガチで溺れさせるなんて、もはやイリュージョンのカテゴリじゃありませんし。
    弥生ちゃんは成長しましたよー。
    前回登場の最後が可哀想だったから、1年経って立派になった彼女を見せるのが今回テーマの一つでした。
    KS終了後にどうするかについては、未定です
    キョートサプライズの終了後については、考えてはいるんですが、なかなか・・。
    イリュージョンを止めてしまうことはありませんよ!

    No title

    以前、管理人のコメントで、キョートサプライズが終わったらブログを閉鎖する。みたいなコメントがあったので安心しました。管理人のイリュージョン小説は、オリジナリティがあり、イリュージョンフェチの私たまらなく好きなので、嬉しい限りです。以前私が要望したセクシーイリュージョンも読みたいですからね(笑)

    Re: No title

    ◎とうめいさん
    イリュージョンを扱う小説自体が他に少ないですからね。
    今後のイリュージョン小説をどうするかは、まだ決めていません。
    しばらくイリュージョン以外のネタに走るかもしれませんが、イリュージョンは止めませんので期待しすぎることなくお待ち下さい。
    プロフィール

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    Author:82475
    女性の拘束に関わる小説/SSと
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