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    キョートサプライズ セカンド・第6話(1/3) 佳織、帰国する

    1.隣席の男性
    日本に向かう機内。
    離陸してから2回目の食事は、きんぴらを挟んだライスバーガーだった。
    隣に座った男性が目をむいている。
    これはどうやって食べるのかという顔をしてフォークでバーガーをつついた。
    国際線の機内食に何ちゅうモンを出すのよ。
    小嶋佳織はそう思いながら、男性に教えてあげことにする。
    "これはライスバーガーです。中に入っているのは野菜ですよ"
    そう英語で話しかけた。
    "これは野菜なんですか?"
    "ゴボウという日本の野菜を醤油で炒めたものです。この袋の海苔をトッピングして食べて下さい"
    "オー、ありがとう!"
    男性は佳織に言われた通りに刻み海苔をかけると、バーガーを手に持ってかじり、不思議な顔をした。
    それを見て微笑みながら、佳織もライスバーガーを食べた。
    男性も佳織を見て笑った。
    "うん、美味しいな"
    "よかった!"

    食事の後、男性は佳織に話しかけてきた。
    "ありがとう。さっき教えていただいたお礼に、ちょっとご覧下さい"
    "?"
    男性はポケットから白いハンカチを出すと、広げてみせた。
    あら。この手つき。もしかして・・?
    男性はハンカチを左手の上にかぶせた。そして一息おいてハンカチを外して見せる。
    男性の左手には赤い造花の花があった。
    "これをあなたに"
    懐かしい想いがした。僕も以前はこんなマジックをしてたな。
    "ありがとうございます! あなたはマジシャンなんですか?"
    "まあ、似たようなものです。あなたは日本人ですか?"
    "はい。住まいはサンノゼですけれど"
    "私の血も四分の一は日本人なんですよ。仕事で日本に行くところです"
    "そうですか。東洋系の人かなとは思ってましたけど"

    着陸するまでの間、二人は当たり障りのない会話を続けた。
    男性は身長175センチの佳織よりも長身だった。
    茶色の瞳に黒髪、年齢は35~6才くらいに見えた。
    落ち着いた話し方で、優しそうな笑顔が魅力的だった。

    "お話できて楽しかったです"
    "ええ、こちらこそ"
    「サヨナラ!」
    空港で男性は手を振って去っていった。

    2.KS事務所
    事務所の練習場にやってきた佳織を昔の仲間と現役のEA達が迎えた。
    「佳織ぃ~!」
    「元気そうじゃない!」
    「髪の毛切ったの? あのポニーテール可愛いかったのにぃ」
    「もう可愛いなんて歳でもないでしょ」
    黒川典子と鈴木純生(すみお)が佳織に抱きついた。
    典子と純生は佳織がKSにいた頃の同期の仲間だった。
    今では典子はマネージャー、純生は最年長のEAリーダーである。
    「何年ぶりの帰国なん?」
    「典子の結婚式以来だから、3年ぶりかな」
    「そんなになるのかー」
    「それで典子、赤ちゃんはまだ?」
    「佳織こそ、いい人はまだ?」
    「ふふふ」「あはは」
    佳織は大学を卒業してシリコンバレー企業の研究所に入り、アメリカで5年間一人暮らしをしている。
    今回は、ようやく取得した長期休暇での帰国だった。
    「いつまで日本にいられるの?」
    「7月いっぱい」
    「そっか! なら、こっちにいる間は遊びにきてね」
    「ありがとう。・・皆さん、よろしくね」
    「よろしくお願いします!」EA達が揃って頭を下げた。
    彼女達のほとんどは現役時代の佳織を見たことがない。
    ただKSで初めてエスケープアートをやった女性として、佳織の名前は皆が知っていた。
    「今日はね、佳織が来るからエスケープの練習を見てもらおうと思って準備してたの」典子が言った。
    「へぇ、今でもエスケープをやってるんだ」
    「ううん。佳織が卒業してから途絶えてた。・・じゃあ準備してくれる」
    「はい! よろしくご指導お願いします、先輩っ」
    現役EAの加山涼と張麗華が立ち上がった。
    エスケープアートとは、厳重に拘束された演者が観客の前で脱出して見せる技である。
    マジックとは違う、タネのないガチの脱出パフォーマンスだった。
    約ニヶ月前から涼と麗華は、典子の指導で緊縛とエスケープの練習をしてきた。
    緊縛は麗華、脱出は涼の担当である。
    「指導なんて無理だよ。もう何もできないんだから」
    「まあ、いいやない。見るだけでいいから」
    典子に頼まれて、佳織も断ることはできなかった。
    「そうだね。ただの観客として楽しませてもらうよ」

    3.涼のエスケープ
    皆が輪になって座り、その真ん中で涼と麗華のエスケープの試演が始まった。
    涼がトレーニングウェアを脱いだ。下には露出の大きな白いマイクロビキニを着けていた。
    綺麗な身体! 佳織は涼を見て感心する。
    佳織と比べたら小柄だが、張りのあるバストときめの細かい肌が魅力的だった。
    涼は白いブーツを履き、両手を背中で組んだ。
    麗華がその腕と胸のまわりを縛り、さらに左足を膝で折らせて縛った。
    右足首にも縄を巻くと、天井から下ろした縄に繋いだ。
    そのまま右足だけで涼を吊り上げる。
    片足吊りでエスケープ?
    「きっついよぉ♥」
    佳織が驚いていると、典子がそう言って笑った。
    麗華は縄の状態を確認しながら、上下逆になった涼の身体を指で辿った。
    足首、太ももの内側、腰、腹、そして胸の谷間。
    「はぁ・・っ」
    涼が全身を震わせて小さな声を上げた。
    その顔にアイマスクで目隠しをすると、麗華は涼の背中をとんと押した。
    「OK。・・行こうっ、リョウちゃん!」
    涼の身体が振り子のように大きく揺れた。

    ああ、この感じ。懐かしいな。
    佳織の脳裏に昔の自分の姿が浮かんだ。
    かつて、佳織は典子に縛られて縄抜けをしたのだった。
    少しだけ動かせる指先で縄の結び目を辿り、そこにある小さな隙間を開く。
    一見無造作に施された緊縛には、縛り手が施した脱出のための糸口が隠されてる。
    縛り手と抜け手だけに分かる小さな抜け道。
    今、涼はその抜け道を手探りで辿っているのだ。

    片足吊りエスケープ

    涼は振り子のように揺れながら、同時に回転していた。
    くるくる回ってやがて止まり、縄の捩れが戻るのに合わせて今度は逆向きに回った。
    このような動きは観客に作業を見えにくくするのに効果的だ。
    だが同時に、演者の肉体的負担も大きい。
    佳織は涼のアイマスクで覆われた顔の色が少し赤みががっているのに気づいた。
    彼女は頭に昇る血に耐えながら、一人で戦っているのだ。
    それはかつて佳織が戦ったのと同じだった。

    がんばって!
    心の中で応援する。
    あの頃と違うとしたら、佳織はたいていレザーや厚めのデニムの衣装で緊縛されていたが、涼はマイクロビキニだけで縛られていた。
    肌に縄を直接掛けた状態でもがけば、その擦れは皮膚にダメージを与える。
    その上片足だけに体重を掛けて吊られ、もう一方の足は小さく折り畳まれて動かせない。
    自分のときより確実に厳しくなっているのだ。
    佳織の中にぞくぞくした気持ちが流れた。それは久しぶりに感じる気持ちだった。
    縛られた涼のことを羨ましいと思った。
    がんばれっ。もう少し!

    手首の縄が外れた。
    すかさず腕をこじって胸の上下に巻きついた縄を緩める。
    ばさ。上半身の縄が床に落ちた。
    涼はアイマスクをもぎ取ると、次に手を伸ばして左足を縛る縄を解いた。
    そして腰を曲げ両手を精一杯伸ばして右の足首の縄を外した。
    すとんと床に立った。

    ぱちぱちぱち。
    皆が拍手をする中、麗華が走り寄って涼の身体を支えた。
    涼は肩で荒い息をしながら笑う。その肩を麗華が抱いてキスをした。
    そこにいる誰もそれを不自然とは思わなかった。
    「実は、ノーミスでエスケープできたのは、今のが初めてなの」典子が言った。
    「すごいじゃない。もう立派にショーができるよ」
    「そうやね、次の公演でやってみよっか」
    涼と麗華は嬉しそうに笑った。
    涼の身体には縄の痕がくっきり残っていた。柔らかい肌に刻まれた緊縛の残滓だった。
    それは無惨で、そして美しかった。

    4.5年ぶりの挑戦
    深夜。
    練習場のドアが開いて典子と佳織が入ってきた。
    「だから無理だってばぁ」佳織が抗弁している。
    「まあまあ、誰も見てないんやし」
    典子は練習場の奥の装置にかけた布を外してみせた。
    「どう? 懐かしいでしょ」
    「これ・・」
    それは10年前、19才だった佳織が初めてエスケープをやったときの装置だった。
    ハムスターの回し車を大きくしたような直径2メートルの金属の籠。
    軸にはモーターがついていて、回し車の本体とそこに固定された女体をルーレットのように回転させる。
    「まだあったの」
    そう言って佳織は懐かしそうに金属枠を撫でた。
    「うん。久しぶりに倉庫から出してきたの。・・ちゃんと動くよ」
    ごくり。佳織は思わず唾を飲み込む。
    「ね、佳織。昼間のエスケープを見てどう思った?」
    「う~ん。厳しい緊縛だったと思うけど」
    「あの子達、二人ともFBなの」
    そうか、悦んでたのか。
    佳織は理解した。
    あのビキニの子、それであんなに色っぽかったんだ。

    女性の拘束シーンを楽しむKSの裏クラブ。そこで働く女性がFBだ、
    EAの中でも特に被虐性が高いと認められた女性だけが誘われる仕事である。
    かつて典子も佳織もFBだった。自分の中にあるマゾの本性は理解していた。
    「あのとき涼ちゃんを見る佳織の目を見て、今夜は佳織を縛ってあげようって思ったの」
    「典・・」
    「昔と同じ仕掛けで縛ってあげる。佳織はできるところまで、がんばればいい」
    ぞくり。
    昼間と同じ感情を感じた。
    「僕が着れるウェアはある?」
    「もちろん」

    佳織はレザーのボンデージコスチュームに着替えた。
    普段は恥ずかしくてとても着れないスチュームだったけれど、ここでなら平気だった。
    その衣装で回し車の前に立ち、両手を左右に広げて典子を見た。
    典子が縄束を持ってにっこり笑った。

    「あ、・・ふぅ」
    「佳織、体形変わってないね。羨ましい」
    「ジムで鍛えてるから」
    「どんな気持ち?」
    「すごく、懐かしい。・・本当に」
    佳織は回し車に縛りつけられた。
    大の字に伸ばした手足はほとんど動かすことができない。
    ただ、かつてと同じく、手首だけは少しだけ動かす余地があった。ここが糸口なのだ。
    佳織はかつての手順を思い出そうと努める。
    ここを解いたら、肘の部分を緩めて。それから、肩までを自由にする。
    「行けそう?」
    「大丈夫。回してくれる」
    「OK」

    鈍いモーター音がして、回し車がゆっくりと回転した。
    佳織も大の字のままで回る。
    目の前に立つ典子がゆっくりと回転して見えた。
    ・・ああ、この感覚。
    佳織は右手をゆっくりと抉った。
    手首の縄の隙間を最大に生かすように。指先が結び目に届くように。
    昔の記憶を思い出しながら、佳織は少しずつ糸口を辿っていった。

    15分後。
    典子はモーターを止めた。大の字の佳織が回転を止めた。
    くっ。
    悔しさが溢れた。
    どの縄も、まったく解くことができなかった。
    佳織はなす術もなく、ただ回り続けるしかなかった。
    「縄、解こうか」典子が聞いた。
    「まだ、いい」
    「いいの?」
    「このままにしておいてくれる。この感じをしばらく味わっていたいから」
    「そうか」
    「僕、変かな?」
    「そんなことない。佳織やったら、きっとそう言うと思ってた」
    「ありがとう」
    「・・ね、向こうで縛ってくれる人は」
    「いない。典子が羨ましいな。毎日縛ってくれる人と一緒になれて」
    「毎日ってことはないけどね」
    「いいよ。満たされてるって顔に書いてある」
    典子は黙って微笑んだ。お互いのことは誰よりも分かり合えている二人だった。
    「時間はどうする?」
    「本当は朝までって言いたいところだけど、30分だけ」
    「灯りは?」
    「消してくれる。暗い方が惨めだから」
    「そうね。じゃ、放置してあげる」
    典子が練習場を出て行き、照明が消えた

    はぁ~っ。
    闇の中で佳織は深く息をついた。
    ぎちぎちの拘束。モノになった感覚。
    僕は今、何もできない。
    典子が戻ってきて助けてくれるのを待つしかないんだ。
    無力感、そして被虐感。
    こんなキモチは何年ぶりだろう。
    ほんの少し哀しくて、幸せだった。
    自分はそれが嬉しい女なんだと思った。

    続き




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