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    キョートサプライズ セカンド・第6話(2/3) 佳織、帰国する

    5.イリュージョン・メーカー
    佳織はその夜は典子のマンションに泊まり、翌日和歌山の実家に帰った。
    親元でしばらく羽を伸ばすつもりだったが、帰宅した佳織を待っていたのは両親と親戚からの「お見合いしなさい」攻撃だった。
    結局三日ほどで逃げ出して、再び京都にやってくることになった。

    KS事務所に来ると、ちょうど大型のトラックが駐車場から出て行くところだった。
    「あら? 佳織さん、和歌山に帰ったんじゃ」事務室から市川綾乃が声をかけてきた。
    「あはは、聞かないで。・・あれは何を運んだの?」
    「ショーで使う道具を購入したんですよ。イリュージョンの新作とかありますよ~」
    「へぇ」
    「1階の倉庫に入ってますよ」

    教えられた部屋には梱包を解いた荷物が並んでいた。
    これは、ガラスびん?
    中に人間が入れるほど大きなワインボトルが立てて置かれていた。
    この中にアシスタントが入るのかな。中に入ることができれば、だけれど。
    その隣は、十字架だね。
    それは高さ2メートルほどの、細かい金属の装飾が施された十字架だった。
    イリュージョンよりも、クラブのショーでFBを縛り付けて飾ったらよさそうに思えた。
    佳織は、いくつも並ぶ道具を見て回った。

    「ハロー!!」
    後ろから声を掛けられた。
    振り向くと、背の高い外国人の男性とその横に島洋子と長谷川行雄が立っていた。
    島洋子は株式会社キョートサプライズの社長、そして長谷川は技術担当の指導者である。
    あっ!
    一瞬驚いて、それから英語で言い直した。
    "飛行機の中で一緒でしたね"
    "はい。ここであなたと再開できるとは思ってませんでした"
    男性はにこやかに微笑むと佳織の手を取って言った。
    「まぁ、知り合いだったの?」
    洋子が興味深々という顔で聞いた。

    男性はリチャード・フジタという日系アメリカ人だった。
    昔はステージマジシャンで、今はイリュージョン・メーカーをしていると自己紹介した。
    "イリュージョン・メーカーって?"
    "イリュージョンの道具を企画製作しています"
    "なるほど。見たことのないイリュージョンばかりみたいですね。この十字架なんかすごく綺麗"
    "ありがとうございます。でもそれはイリュージョンじゃないんですよ"
    どういうこと?
    リチャードはにやっと笑った。
    "それは趣味で作っている、トーチャー・ギアです"
    torture gear って、・・拷問器具?
    「うふふ。ミスタ・フジタはね、そっちの道具も作ってるのよ。いくつか一緒に買うことにしたの」
    洋子が言った。
    「佳織ちゃん。久しぶりに帰国したんだから、ちょっと拷問されてみない?」
    「遠慮します。って、ちょっとドキドキしながら答えたりして」
    「うふふ」「ははは」
    "何を笑ってるんですか?" リチャードが聞いた。
    「えっと、シー、ワズ、オールドメンバー、オブ、キョートサプライズ!」洋子が適当な英語で答える。
    "ほう、それは本当ですか?"
    "そうです。彼女は昔ここでマジックやイリュージョンをやってたんですよ" 長谷川が説明した。
    「もう、長谷川さん」佳織が止めたが、長谷川は話を続けた。
    "すごい根性の持ち主で、エスケープアートもしていたんですから"
    "エスケープですか、それはすごい!"
    "あ、今は何もできないんですよ。期待しちゃダメ!"
    "是非、ミズ・コジマのプレイを見たいものですね"
    "だからダメなんですってば"
    「スライハンドの簡単なやつ位なら、できるんじゃないかい?」長谷川が言った。
    あのねぇ。そう簡単にできないからスライハンドなんだよ?
    でもそこまで言われると、ちょっとやってみたくなる。
    何ができるかしら。
    「じゃあ、ええっと、長谷川さん、煙草を1本下さい」
    「ごめん、煙草は止めたんだ」「え~っ?」
    "タバコでしたら私が持ってますよ" リチャードが煙草の箱を出してくれた。
    「失敗しても笑わないで下さいね」
    渡米した最初の年にラボのクリスマスパーティで見せたネタだ。
    煙草を右手の人差し指と中指の間に挟んでみせた。
    それをくるりと回して中指と薬指の間に移動させる。さらに薬指と小指の間に移り、続いて元の人差し指へ。
    手のひらを返してみせると、そこには何もなかった。
    と、左手の指の間に煙草が現れた。
    同じように指の間を煙草が移動して消える。
    両手を広げて何もないことを示した。
    その手を何度かひらひらさせると、右手の中に煙草が出現した。
    ボールの替りに煙草を使ったマニピュレーション。
    「やるじゃないの、佳織ちゃん!」
    皆が手を叩いて褒めてくれた。
    「自分でもハラハラしながら演ったんですから」佳織も頭をかきながら笑う。
    "カオリさん、ワンダフル!"
    リチャードがそう言って握手を求めた。
    佳織を見るリチャードの目は明らかに変わっていた。

    6.好感
    その夜、佳織はリチャードに食事に誘われた。
    リチャードはしばらく日本に滞在して、いろいろな芸能事務所やマジシャンに商品のプロモートをするという。
    "私のイリュージョンはアメリカでは何十セットも売れているんですよ。それを日本でも拡大したいと思ってます"
    "そうですか。成功したらいいですね"
    "はい。でも、今は別の成功を勝ち取りましたよ"
    "それは?"
    "こんな美しい女性と、再会できたことです"
    えっと、どう答えようか。
    アメリカで生活していると、男性から臆面もなくおせじや褒め言葉を言われることは珍しくなかった。
    とりあえず、軽く笑って済ませることにする。
    "ありがとうございます。でも、フジタさん。仕事に来てそんな軽口を叩いてると奥様に叱られません?"
    "私は一人です。妻はいません"
    "あら、そうですか"
    "失礼ですが、あなたにボーイフレンドは?"
    えっと、えっと。どう返事しよう。
    佳織はテーブルの上に置いた両手を見たまま固まってしまった。
    ちらりと目を上げると、リチャードが微笑みながらこちらを見ていた。
    誠実そうな、まなざしだと思った。
    "僕も一人です"
    "そうか!"
    リチャードは大げさに両手を叩いて喜んだ。
    "それなら、堂々とデートできますね!" 
    "そうですね"
    "私のことはリックと呼んで下さい。それから、あなたをカオリさんと呼んでもいいですか?"
    "ええ、どうぞ"
    それから、リチャードは自分のマジシャン時代のことや仕事の夢を語った。
    自分のことは喋ったが、佳織のことは無理には何も聞かなかった。
    ・・いい人だな。
    佳織の中で心が動いた。
    その想いは次第に大きくなっていった。

    7.ボトルイリュージョン
    KS事務所で新しいイリュージョンの練習があった。
    佳織が遅れて練習場に来たとき、リチャードが皆の前でボトルイリュージョンの説明を始めたところだった。

    1メートルくらいの木製の台に、巨大なワインボトルが横向きに寝かせて置かれている。
    ボトルの中には薄いピンクの液体がほぼ一杯に入っていた。
    口にはコルク栓を模した蓋がはまっていて、ボトルを横にしても中の液体がこぼれないようになっていた。
    栓の内側には小さなライトが点いていて、何もない水中を明るく照らしていた。
    "中身は薄く着色しただけの水道水です。ロゼ・ワインといったところですね"
    リチャードが説明し、それを長谷川が日本語に訳して伝えた。
    "さて、ここで美女の登場です"
    リチャードはEAの寺原詩織の肩に手を置いて紹介した。
    詩織は黒い競泳水着と潜水用のゴーグルを着用していた。
    "ゆっくり進めますから、落ち着いてやって下さいね"
    「はい!」詩織は元気に返事する。
    リチャードはボトルの前に大きな衝立(ついたて)を立てた。そして詩織の手を取って衝立の反対側に隠れた。
    ばしゃ。しばらくして水音がした。
    リチャードが一人で前に出てきて、衝立を外した。
    ボトルの中に詩織が笑いながら浮かんでいた。
    口元からぽこぽこと泡が出て浮かび上がる。ゴーグルの中の目がウインクをした。
    彼女はどうやってボトルの中に移動したのだろうか。
    コルク栓の部分は狭くてとても人間が通れる広さはなかった。

    "・・このイリュージョンの難点は重量です。ボトルと水、そしてアシスタントの体重を合わせて約400ポンドになります"
    リチャードはボトルを載せた木の台を指差す。
    "台にはキャスターがついているのでボトルを載せたまま押して運ぶことができますが、ステージの床にはそれに耐えられる強度が必要です。・・おっと、”
    話しながらにやっと笑った。
    "私があまり熱心に説明していると美女が苦しくなりますね"
    ・・わざと引き伸ばしているくせに。でもEAだったらこれくらい平気だよ。
    佳織は考える。
    確かに、水中で息を止めて耐えている詩織の顔から笑みは消えていたが、それ以上に苦しそうな様子もなかった。

    "さあ、これからが本当のマジックですよ"
    リチャードはそう言って、ボトルをもう一度衝立で隠し、自分も衝立の反対側に隠れた。
    ・・アシスタントと人体交換?
    佳織がそう思っていると、すぐにリチャードが出てきて衝立を外した。
    「え?」「まぁ」「あら!」
    イリュージョンに慣れたKSの女性達が声を上げた。
    佳織も驚いてボトルを見つめる。
    ボトルの中には赤いビキニの女性が入っていた。ゴーグルを自分で外して手を振った。
    それはEAの臼井由梨絵だった。
    リチャードが衝立の陰に隠れたのは、ほんの数秒だった。
    その間に、どうやって詩織が消えて由梨絵が出現したのだろうか。

    その後、リチャードは三たび衝立でボトルを隠し、その陰からぐっしょり濡れた由梨絵を連れ出してきた。
    衝立を外してボトルを見せる。
    ボトルの中にはピンクの液体が波打っているだけで、他には何も入っていなかった。
    「グレート!」洋子が叫んで大げさに拍手をした。
    佳織や他のメンバーもぱちぱちと拍手をした。

    "ではタネ明かしです。どうぞ近くに来て後ろから見て下さい"
    「あぁ」「なるほど」
    皆はボトルの反対側を見て納得した。
    ボトルの中の空間は、中央に設けた仕切り板で前後に分かれていた。
    そして、後ろの空間に呼吸用のチューブを咥えた詩織が入っていたのである。
    仕切り板は半透明のアクリル製で、ボトル口から照らす照明を工夫することで裏側の物体や仕切り板自体が正面から見えないようになっていた。
    さらに、この仕切り板はボトルの中心軸で180度回転し、中の女性を前後に移動させることができた。
    リチャードはコルク栓の中に隠されたレバーを指差した。
    "カオリさん、回してみますか"
    佳織はリチャードに促されてレバーを操作した。
    それは意外に重く、力いっぱい押して、ようやく回すことができた。
    正面から見たボトルの中に詩織の姿が現れる。
    "水の抵抗とアシスタントの重量があるので、回すのは結構大変です。もし女性だけで演じるのなら二人がかりで回すことをお勧めします"

    佳織は詩織と由梨絵が入れ替わった仕掛けを理解した。
    由梨絵は最初から仕切り板の反対側に仕込まれていたのだ。
    詩織が仕切り板の手前に入った後、衝立で隠してレバーを動かせば、仕切り板が回転して詩織と由梨絵が入れ替わるのである。
    つまり、このイリュージョンはまず女性をボトルの中に隠しておく必要がある。
    水中に閉じ込められて、あの呼吸用チューブだけを命綱にして待ち続けるのか。
    KS向きのイリュージョンだな、と思った。

    "・・では最後に出入りのギミックです"
    リチャードがボトルを載せた台を操作すると、その台はボトルの底面を上に向けて斜めに傾けることができた。
    そうしておいて、ボトルの底の部分を持って半回転させると底面がそっくり外れた。
    ボトルは底を上に45度くらいの角度で傾いているので、中の水はこぼれない。
    "開け閉めはごく簡単です。十分練習すれば15秒で出入り可能です。・・では、そろそろ美女を助け出してあげましょう"
    リチャードはボトルの中に手を入れ、半ば逆立ちになった詩織の足首を掴んで引き上げた。

    その後、由梨絵と詩織を交互にボトルに詰めて皆で練習をした。
    自分もボトルに入ってみたいと水着に着替えたEAもいて、終始きゃいきゃいとにぎやかな練習だった。

    8.宴会
    練習の後、皆で居酒屋に繰り出した。
    「佳織。あんた、フジタさんのこと、どう思ってるの?」典子がジョッキのビールをぐびりと飲んで聞いた。
    「どうって。素敵な人だと思うけど」
    「あの人、あんたのこと他の女の子とは違う目で見てるよ」
    「そうかなぁ」
    「佳織は昔から男性に迫られたら弱いもん。気をつけるんやで」
    「え」
    佳織は隣のテーブルのリチャードを見る。
    そのリチャードには、EA達が群がってお酌をしていた。
    僕、彼のこと・・。
    「ああ、もう手遅れかな?」
    「もう、典っ」「あはは」
    佳織もぐびりとビールを飲んだ。火照った喉に流れるビールが美味しかった。

    「ねぇ、あのボトルって、イリュージョンだけに使うのはもったいないと思わなかった?」洋子が言い出した。
    「うんっ。思いました思いました!」純生が同調する。
    「何人くらい詰められるかしらねぇ」
    「あ、もしかして洋子さん、同じこと考えてるうぅ!」「きゃあ、じゅんちゃんも?」
    「もう、すぐにそういう方向に持ってくんやから~」典子が突っ込んだ。
    「でもねぇ、あんなに綺麗なボトルなのに」「ねぇ」
    「まぁ、私も本物のワインみたいなラベル貼ったらいいかな、とは思ったけど」
    「あら素敵、なんて書くの?」
    「えっと、『ボトルガール』とか?」「やっぱり!」「きゃはは」
    あ~あ、みんな何年経っても変わらないなぁ。
    佳織は内心呆れながら一緒に笑った。

    "私のイリュージョンの話ですか?"
    リチャードがやってきて佳織の隣に座った。
    "どうもウチの社長とマネージャーは、あのボトルを違う目的で使いたいようです" 長谷川が答えた。
    "違う目的ですか"
    "あのボトルは、中の仕切り板を外したら何人くらいの女性が入れますかね"
    "そうですね。4~5人は入れるでしょう"
    「4~5人は詰められるって」長谷川が日本語で伝えた。
    「きゃあっ」「あはは、ぎゅう詰め」
    「やろうやろう」女性達は盛り上がる。
    「でもさ、ラベル貼っちゃったら、中身が見えにくくなるね」「それくらいでいいのよ。全裸で入ってるんだから」
    「ええ? 裸って決まってるんですか?」「あら、違った?」「きゃはは」
    「拘束する?」「ああ、手錠とか、いいかも」「水中で手錠? いいなぁ」
    「典子、あんた、詰められる側のつもりで言ってるでしょ」「え~?、純生は違うの?」「あはは」

    "皆さん、何の話をされてるんですか?" リチャードが佳織に質問した。
    "どうやら、あなたのボトルでエンケースメントをやりたいみたいね"
    "エンケースメント!"
    "ええ。女の子を裸で飾るとか、手錠を掛けて詰められたい、とか言ってるわ。うふふ"
    "それはショーのお話ですか? それともジョークを交えた女性の願望ですか?"
    いけない。この人は何でも真面目に聞いてくるんだった。
    "そういう質問は日本ではヤボって言うのよ、リック。・・でも"
    注意深く考えながら説明する。
    "キョートサプライズのショーにはセクシーな演目もあって、そこでは女性が小さな箱にパッケージされたり、縛られたりすることも、あるわ"
    "そうなんですか。それは見てみたいな"
    "ええ。日本にいる間に、是非"
    "あの、ヤボな質問を繰り返して申し訳ありませんが"
    "はい?"
    "こちらの女性には、マゾヒスティックな嗜好の人が多いのですか?"
    "・・うん。そういうタイプの女性も多いかな"
    "カオリさんは?"
    "え、僕?"
    "カオリさんも、同じタイプですか?"
    "あ、その・・"
    "すみません。無作法な質問でした"
    "いえ"
    佳織はほっとして答える。頬が熱かった。

    "カオリさん、"
    解散した後、リチャードが話しかけてきた。
    "今夜もお誘いしてよろしいでしょうか?"
    "あら、これからですか?"
    "はい。私の滞在先で一緒に過ごしませんか。神戸ですが"
    え、それって。
    佳織はリチャードを見る。リチャードの目は真面目だった。
    ああ、僕は。
    "・・はい" 佳織は答えた。

    続き





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