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    囚われ島のナイフ投げ(3/3)

    15.
    深夜。
    二人を軟禁していた部屋の扉が開いた。
    田村のキーホルダーには小さなボタンがついていて、それが無線で鍵を開けてくれるのだった。
    少女たちが廊下に忍び出る。
    ジーパンなどは用意していなかったので、二人ともメイド服の長いスカートを短く切って動きやすくしていた。
    ハルが覚えていた。あの海岸にボートがあったわ。あれに乗って漕ぎ出せば。
    ユキも覚えていた。エレベータの横に非常階段があったよ。きっとそれで下まで降りれる。
    ベッドで眠りこけた田村は朝まで、もしかしたらお昼まで起きないだろう。
    猫のように廊下を進み、非常階段の前に出た。
    鉄の扉の前にキーホルダーを差し出す。
    カチャ。
    鍵が開いて二人は鉄の扉を開けた。
    ごおっ。
    風圧で扉が重い。二人で力を合わせて扉を押して隙間を通り抜けた。
    外は雨まじりの強風だった。
    崖の下まで続く壁に張り付いた鉄の階段を下りて行く。
    下まで何十メートルあるのだろうか。
    たちまち二人はずぶぬれになり、風で短いスカートがめくれ上がる。
    何度も滑って尻餅をつきながら、手すりを伝ってゆっくり下りて行く。
    風の音。下からは打ち寄せる波の音。
    こんな嵐の中をボートで漕ぎ出せるのだろうか?
    二人とも同じ不安を抱きながら、階段を下りて行く。
    もう、戻れないのだ。
    ・・
    途中に階段の踊り場が広くなっている場所があった。
    屋根のさしかけが深くなっていて、雨風をしのげそうだった。
    「ちょっと休も」「うん」
    二人で転がるように座り込む。
    ハルが腰に巻いた布からタオルを出してユキを拭いた。
    ユキもハルを拭く。
    そしてそのタオルを二人のお尻の下に敷いた。
    「お尻が冷たいね」
    「えへへ、そうだね」
    短く切ったスカートの下は小さなショーツだけだ。
    二人は並んで座り、互いの腰に手を回して密着するようにして休憩する。
    ユキが顔を寄せるとハルがキスをした。
    そのまま時間が経つ。
    嵐がいっそう激しくなっているようだった。
    「行こう」「うん、行こう」
    二人は立ち上がり、そして残りの階段を下りていった。
    ・・
    海岸に続く傾斜地に降り立った。
    もうすぐよ。うん、もうすぐ。
    二人手を繋いで海岸へ下りて行く。
    左手にあの建物が見えた。
    死体の焼却場が嵐の中に建っていた。
    あまりそちらを見ないようにして回りこむ。
    エレベータに通じる洞窟の脇を抜けたところで、ハルが前方を指差した。
    あった!
    小さな白いボートが逆さに伏せて置かれていた。
    二人は小走りでボートの方に向かう。
    突然、足元の砂が崩れて二人は穴の中に落ち込んだ。
    ざあっ。
    砂の中で転倒したユキの両足にゴムのようなものが巻きついていた。
    そのまま引き上げられて空中に舞い上がった。
    ああっ。何?
    嵐の中でユキは逆さ吊りになった。
    ハルちゃんは?
    「ハルちゃん!」
    呼びかけたが返事はなかった。
    ごお。
    強風が吹いて、ユキの身体は空中でくるくる回った。
    「ハルちゃんっ。ハルちゃぁん!」
    ユキの声がむなしく響いた。

    16.
    眩しさに目を開けた。
    水平線から朝日が昇ろうとしていた。
    昨夜の嵐がうそのような小さな波が静かに打ち寄せていた。
    足、痛い!
    そう思った瞬間、ユキは自分の高さに驚いた。
    彼女は頭上に張り出した木のやぐらから、4~5メートルほどの高さに逆さ吊りになっていたのである。
    罠?
    何かの仕掛けに掛かったのは確かのようだった。
    ああ、ハルちゃんは?
    周囲を見回して気付いた。
    ユキのほんの1メートルほど下で、ハルは片足首を吊られてぶら下がっていた。
    あまりの近さに昨夜は気付かなかったのだった。
    「ハルちゃん、慶子ちゃん!」
    ハルは両手をだらりと下げたまま身動きしなかった
    ・・
    何時間過ぎただろうか。
    いくらもがいても足首のゴムは解くことができなかった。
    日はすっかり昇り、逆さ吊りになったユキの体力ををじりじりと奪ってゆく。
    血が頭に上って正常な思考が困難になる。
    あたし、ここで死ぬのかな。
    ・・
    自分の身体がゆっくりと下がっているようだった。
    下に誰かいるようだ。
    誰かな。
    田村さんかな。

    17.
    冷たい水を浴びせられた。
    遠くの方で誰かが呼んでいる。
    何よぉ?
    もう一度冷水をかけられた。
    目を開けた。
    「起きなさい」
    男性の声だった。
    ・・
    その場で下着まで脱がされた。
    冷水をかけられてガタガタ震えながら、ユキは全裸で男性の後について歩かされていた。
    「これからも黙って従って下さいよ。力づくは簡単ですが、人を増やすと経費がかかるんですよ」
    気がつくとハルがいなかった。
    自分と男性の二人だけで歩いていた。
    一緒に水をかけられたような気もするし、ずっと一人きりだったような気もした。
    連れて行かれたのは、かつて田村と3人で住んだ建物とは別の棟だった。
    どこか薄汚れて、すえたような匂いがした。
    小さなドアを開けると、そこに大型犬を入れられるくらいの金属の檻があった。
    「ケージに入りなさい」
    ・・
    その部屋は打ちっぱなしのコンクリートで囲まれていた。
    空調が効いているのか寒さや暑さは感じなかった。
    ハルは口の中に円筒形の器具を装着され、それはベルトと南京錠で外せないようにされた。
    自殺防止だと言われた。
    筒の中に舌を押し込んだ状態で、満足に会話もできず「あー」とか「ほー」としか発音できなくなった。
    檻の中では身をかがめて横たわっているしかなかった。
    定期的に薄いスープのようなものを無理やり口の中に流し込まれた。
    さらに、たまに檻の外から水をホースでかけられて長い柄のブラシで洗われた。
    ユキは悲鳴をあげて狭い檻の中を逃げまどった。
    いつまでこんな扱いをされるんだろう。
    肌は荒れて、体中青あざだらけだよ。
    ハルちゃんはどうなったんだろう。
    死んじゃったりしてないよね。

    18.
    何日過ぎたのか分からなかった。
    檻から出されて、口の器具を外された。
    あの男性に黙ってついて行くと、ハルと田村がいた。
    ハルはユキと同じく全裸で床に座り込んでいた。
    その前に椅子に座った老人が一人。
    ユキはハルに駆け寄った。
    「ハルしゃん!」
    あれ、あたし変な喋り方だよ。舌がしびれてうまく話せないんだ。
    「ユキちゃんっ」
    ハルもユキをぎゅっと抱きしめてくれた。
    「あ~ん、ハルしゃんっ、ハルしゃんっ・・」
    ユキはただハルの名前を呼び続けた。
    無事な姿を見れただけで涙がこぼれた。
    「黙りなさい」
    老人の横に立った男性が、いつまでも泣き止まないユキに向かって言った。
    ぴしり。
    「きゃあ!」
    背中に激痛が走った。男性の右手に小さな鞭が握られていた。
    「ユキちゃん・・」
    ハルが小さな声でささやきながら、ユキの背中をゆっくりとさすった。
    「・・あ、・・・」
    あふれそうな嗚咽をこらえてユキはようやく黙った。
    「それで俺達はどうしたらいいんだ」田村がゆっくり聞いた。
    「お前のあの腕を葬るのは惜しい。今でもリクエストが殺到しとるんだ」老人が答えた。
    「美少女の心臓を貫いて欲しい、とかそういうリクエストばかりじゃがな」
    ひ。
    ユキは老人が自分に向かって笑ったような気がして、ぞくりとした。
    「じゃあ、また目隠しして投げればいいのか」
    「それは認められん」老人が答えた。
    「その程度では客は満足せん。それにもうこれ以上、お前の腕を試すようなギャンブルはできんのだ」
    「あなたが失敗する方に賭けるお客様は、もういないんですよ」男性が横から言った。
    「そうか。この子らが絶対に助からないショーをやれ、ということか」
    「お察しがいい」
    ハルがユキの手をぎゅっと握った。
    ユキはごくりとつばを飲み込む。
    「しかし、こいつらは幸運の女神なんだ。こいつら相手なら、どんな奇跡でも起こせるんだ」
    「あなたがしっかりとこの子らを管理していたなら、その言い分も多少は通りましたがね」男性が冷たく言った。
    「そもそも、何でこういうことになったのか、よく考えた方がいい」老人が続けた。
    「俺の命もどうなるか、わからんということか」
    男性と老人は何も答えなかった。
    田村はしばらく考えて、答えた。
    「わかった。何でもやるさ。・・また金を貯めて別の女を買うことにするよ」
    それからハルとユキを見た。
    「すまん。守ってやれなかった。覚悟してくれ」
    今度はハルがユキの胸に顔をうずめた。
    声を出さないで泣くハルの背中をユキはさすった。

    19.
    そこはかつて田村がハルとユキを案内して見せた『実験』のための部屋だった。
    あの無機質な部屋は、壁にサテンのカーテンを張り、床に毛足の長い絨毯が敷かれ、ほの暗い照明で照らされて、高級クラブのような雰囲気に変わっていた。
    特別に招かれた客が10人ほど座っている。
    男性だけでなく、半分は女性だった。
    どの客もフォーマルなスーツやドレスを着用しアイマスクで顔を隠していた。
    やがて生贄の少女が二人引き出されて、正面の台の上にひざまずかされた。
    二人とも全裸で、首輪と手枷を施されている。
    ユキは隣のハルを見た。ハルは無表情で、その目に生気はなかった。
    あたしもきっと同じ顔をしてる。これからなぶり殺されるのだから。
    「ようこそ、今回の素材は女子高生が2体です」
    司会の男性が前に立って挨拶する。
    「この娘らはナイフ投げの的に使われてきましたが、粗相をしたので処分されることとなりました」
    びく。ハルの背中が動いたようだ。
    「今宵、皆様には、趣向をこらした解体ショーとナイフ投げのパフォーマンスをご覧になっていただきます」
    客席から拍手が鳴った。
    「やあああぁぁっ!!」
    ハルが大声で悲鳴を上げた。
    男性が振り返ってハルの頬を張った。ハルは横とびに倒れて黙った。
    「少女の悲鳴は悪いものではありませんが、まず皆様に品定めしていただかねばなりませんので」
    ・・
    ハルとユキは手枷を鎖で吊り上げられて、背中合わせで爪先立ちにされた。
    「どうぞ、ご自由にお確かめ下さいませ」
    客達が寄ってきて二人を弄ぶ。
    乳首をつままれる。乳房を揉みしだかれる。
    片足を持ち上げられて、性器を広げられる。
    前と後ろに指が入ってくる。小さな芽を指でねじられる。
    「あぁっ! や!」
    身をよじって逃れようとしても、かなわない。
    ハルとユキは顔を背けて耐え続けた。
    ・・
    一通り嬲り物にされた後、二人は縄で高手小手に縛られた。
    そして背中合わせに連結された状態で三角木馬に乗せられた。
    「!!」
    声にならない悲鳴が上がる。
    木馬は断面が正三角形。
    表面を平滑に仕上げられた金属製で、足がかりや手すりなどは一切なかった。
    二人の体重は完全に股間の1点に集中する。
    少しでも楽になろうと太股や膝に力を入れて踏ん張ろうとするが、つるつるの表面に滑って、かえって痛みが増加した。
    死んじゃう!
    ユキはパニックになってもがいた。
    少しでも楽になろうと上体を前屈する。
    「ひ・・ぁあっ」
    後ろでハルの声が聞こえた。
    あぁ、ハルちゃん!
    自分が前屈すると、ハルは身体が伸びて木馬の先端が後方に食い込むのだ。
    ごめんねっ、ごめんね!!
    あわてて体を起こす。
    あたし達、どうしてこんな目にあってるんだろう。
    誰か助けて。お願いだから。
    間断なく激痛が突き上げる。
    やがて太ももの内側にひと筋、ふた筋と赤い液体が流れるが、二人はそれにも気付かず苦しみ続けた。
    観客たちは、カクテルグラスを傾けながらその姿を楽しむ。
    ・・
    どれくらい放置されたのだろう。
    気がつくとユキは両手両足を広げて固定されていた。
    何これ。頭がぼうっとしてうまく考えられなかった。
    ゆっくりと世界が回転していた。
    回転板?
    どうやら自分はナイフ投げの円板に固定されて回っているらしい。
    明るいライトが自分に向かって照らされていた。回りは暗くてはっきり見えない。
    それにしても、あたしのあそこ、どうなっちゃったんだろ。
    あれだけ続いた痛みは消えていた。
    それどころか、股間からじんじんと快感が広がっていた。
    あ・・、キモチイイ。
    いったい、どうして?

    20.
    ユキのいるスペースと反対側にスポットライトが点き、そこに白いベッドが見えた。
    ベッドには仰向けに横たわったハルが手足を大の字にして固定されていた。
    ハルちゃん!
    叫ぼうとしたが声が出なかった。
    あれ?
    猿轡をされている訳でもないのに、声が出せなかった。
    バチ!!
    突然頬が殴られた。殴られたと思ったけど、痛くなかった。痛みの代わりに、例えようもない快感が走った。
    「ああぁんっ」
    ユキの口から大きな声が出た。それは甘い喘ぎ声だった。
    「感淫剤が効いたようね」
    目の前にセーラー服の女が立って言った。
    あの金髪の女拷問人だった。
    「痛がってくれないのは、あたいにとっては残念だけどね。・・ま、見てな」
    女はベッドの方に向かい、寝かされたハルの腹を拳骨で殴った。
    ぐぼ。
    変な音がして、ハルが口から半透明の液体を吹いた。
    「ひゃん、はぁ・・」
    ハルも顔を左右に振りながら、快感に捕われた声を出した。
    「ひゃははははっ!」
    女は狂ったように笑いながらハルを殴り続ける。
    「おぉい、司会者さんよ。次はあたいの担当だよ。始めていいかい?」
    「あ、はい。・・で、ではお待たせしました。まず皆様の投票で選ばれた娘が解体されます。処刑人はマリー・ルーズ!」
    ・・
    マリーはナイフを出すと、笑いながら自分の舌を出して刃に押し当てた。
    ナイフに流れる自分の血をセーラー服にこすりつけて拭う。
    そしてナイフの先をハルの右の乳房に当てると、そのまま無造作に引いた。
    「ん、は、はぁ~んっ!」
    ユキはハルの声を聞きながら、不思議に思った。
    あれ、今、ハルちゃんのおっぱい、切り取られた?
    ・・
    ベッドの白いシーツと女の白いセーラー服が赤く染まっていた。
    マリーは小型の電動鋸でハルの手足を切断した。
    胴体の方は切断面に血止めを施すが、切り離した手足はそのまま自分の頭上にかざし、したたり落ちる血を顔面に受けるのだった。
    「あぁ、ひ、・・」
    ハルの声は弱々しくなっていたが、まだまだ快感に満ちていた。
    マリーはハルの口に自分の唇を押し当てる。
    「ひゃはは。いい娘だねぇ。まだバージンかい?」
    両足のなくなったハルの股間にナイフを何度も突きたてた。
    「ひゃあ・・、あん、あん、あぁ~!!!」
    血の海の中でハルがぶるぶると震えて、最後の叫び声が響き渡る。
    マリーは電動鋸を取り上げるとハルの首にあてた。
    ハルの目から大粒の涙がこぼれた。
    ・・
    ハルちゃん! 慶子ちゃん・・っ。
    ユキも涙を流していた。
    だめだよぉ。死なないで。
    一緒に生き延びよぉって、二人で帰ろって、約束したじゃないっ。
    ・・
    テーブルに銀の盆が置かれ、その上にハルの首が載せられた。
    マリーはスカートの中に手を入れて下着を脱ぐと、テーブルに上がり、ハルの首の上で両足を広げて膝をついた。
    「はぁ~、あっ、あんっ」
    血まみれのセーラー服とルーズソックスを着た女が腰を振って自慰をする。
    やがてその股間から透明な液体がほとばしり、ハルの首にふりそそいだ。
    ・・
    「あ、ありがとうございました」
    司会の男性が出てきて、マリーの毒気に当てられたように言った。
    「・・この後は、ナイフ投げをお楽しみいただきます」

    21.
    短い休憩の後、ユキの前に田村が立った。
    その横には大量のナイフが入った籠。
    田村は無表情で、ユキに対して何の思いもないように見えた。
    あぁ、とうとう。
    あたしも殺されるんだ。ハルちゃんみたいになぶり殺されるんだ。
    ・・
    ユキを固定した円板が猛速度で回り始めた。
    カジノのステージで田村が使った円板は人力で回したが、これは電動モーターでその回転速度は比べ物にならない速さだった。
    強烈な遠心力に視界が赤く染まるような気がした。
    ダン!
    ダン!
    ダン!
    ほんの数センチ横にナイフが突き立つ。
    その数がみるみる増えて行く。
    ぱらぱらと拍手が起こる。田村の実力は皆が知っているから、この程度で大きな拍手は起こらないのだ。
    観客が待っているのは、違う投げ方である。
    「では、次は的の狙い方を変えます。・・当たらないようにではなく、当てるように」
    ユキの中で特に激しい感情は起こらなかった。
    ただ、股間にわずかに刺激が走った。
    アタシ、トウトウ、コロサレル。田村サンニコロサレル。
    前に立つ田村の姿がはっきり見えないのは、自分の回転速度が速すぎるせいだろうか、それとも涙のせいだろうか。
    その田村がナイフを手に見たことのないポーズで振りかぶると、上に向かってナイフを投げた。
    そのスピードは目にとめることができず、まるで何本かの光線が周囲に向かって一斉に放たれたように見えた。
    ぱりばりばりっ。
    ガラスが割れるような音がして照明が消えた。
    部屋は暗闇になった。
    「どうした?」「停電か?!」
    「お客様、落ち着いて!!」
    円板の回転が急に止まった。
    全身の拘束が解かれた。ユキは回転板から落ちて床に倒れた。
    エ? ドウシタノ?
    何も考えることができなかった。
    そのユキを男性の腕が抱え上げた。
    田村の腕だった。
    ・・
    扉を開けると部屋の外は照明が点いていた。
    「あそこだ!」
    明かりが差し込むと、中から複数の男性の声が聞こえた。
    「田村ぁ、てめぇっ!!」
    マリーが叫びながらナイフをかざしてとびかかってきた。
    田村は渾身の力で自分の大型ナイフを投げる。
    それはくるくる回転しながら飛んでゆき、マリーの右の膝を砕いて切断した。
    マリーはもんどりうってその場に倒れ、ルーズソックスを履いた片足だけが転がってきた。
    田村はその足を部屋の中に蹴り込むと、扉を閉めて外から鍵を掛けた。
    ・・
    再びユキを抱えて廊下を走る。
    通路を曲がり、いくつかの扉を抜け、真っ暗な倉庫に飛び込んだ。
    「大丈夫か」
    「・・マスター、・・田村さん」
    「俺はもうマスタじゃない」
    田村はそう言いながらユキを床に寝かせた。
    「ここの監視カメラは回線を切ってあるからしばらく時間稼ぎができる。いずれ見つかるのは時間の問題だがな」
    「ど、どうして」
    「俺にもわからん。・・本当は二人とも助けるつもりだったが、あんな段取りでハルが先に殺されるとは思わなかった」
    ユキの頭の中に、生きたまま切り刻まれたハルの姿が蘇った。
    「あぁっ、ハルちゃん、・・えっ、えっ、」
    「泣くな!」
    「えっ、・・ひ、」
    田村がユキの頬を叩き、ユキは嗚咽をこらえた。
    「・・お前だけでも島を出してやる」
    「え、・・どうやって」
    「心配するな」

    22.
    30分後。
    田村はユキに自分のジャケットを羽織らせると、その手を引いて通路を抜けた。
    鉄扉を開けて外に出ると、そこは海に面した狭い道だった。
    海は静かで、空には満天の星が輝いていた。
    近くに小さな桟橋があった。照明灯の下に警備の人影が見える。
    「従業員用の船着場だ」
    二人は桟橋の反対側に広がる岩場の影に隠れた。
    「100メートルほど、泳げるか」「はい」
    手を繋いで、海に入った。
    ゆっくりと海から桟橋に近づく。
    係留されていたモーターボートに桟橋の反対側から上がった。
    「・・キーを挿したままだ。燃料が入っているかどうかは神のみぞ知る、だな」
    ユキを座席の下に伏せさせると、田村は暗闇の中で動いて前後のもやい綱を解いた、
    モーターボートが桟橋から離れ、静かに流されて行く。
    そのまま4~50メートル離れたところで、男性の叫び声が聞こえた。
    桟橋を走る足音。
    田村がキーをひねってエンジンをかけた。
    スクリューが回り、モーターボートは急加速した。
    突堤を回って海に出るころ、2隻のモーターボートが桟橋を離れて後を追ってきた。
    ・・
    モーターボートは激しく上下しながら突進していた。
    後を追う2隻のサーチライトがこちらを照らしている。
    たん、たん。
    時折拳銃の音がして、両側に水煙が上がる。
    田村はボートを旋回させると立ち上がった。
    「田村さん!」
    たんっ、たんっ、たんっ。
    拳銃の音が迫る。
    田村は両手にナイフを持ち、そして投げた。
    追っ手の船から転落する人影が見えて、そして2隻は互いに衝突して動かなくなった。
    「やったぜ!」
    田村は叫び、再びボートの舳先を沖に向けた。
    ・・
    それからモーターボートは2時間ほど全速力で進み、燃料がなくなって止まった。
    「田村さん! 明かりが!!」
    前方に島があった。
    黒い山影と点滅する灯台の光、そして家々の明かりが見えた。
    「・・あそこに着けば、だ、大丈夫」
    田村が小さな声で言った。椅子にぐったり座ったまま動かない。
    「田村さん?」
    ユキが田村に抱きつく。田村の腹にはねっとりと血が流れていた。
    「田村さん!!」
    「・・いいか。俺が死んだら、そこのロープとイカリを縛りつけて、海に捨てろ」
    「田村さん!!」
    「お前の本当の名前は、何だったかな」
    「涼音です。高山涼音」
    「そうか、涼音ちゃん。・・すまなかったな。いろいろ可哀想なことをした」
    「田村さんっ。田村さん!!」

    23.
    海は静かだった。
    涼音は言われた通りに田村の死体を海に沈めた。
    田村のジャケットを素肌に羽織り、ボートの椅子の間にじっと座り込んだ。
    両手に田村の血がついていた。その手を顔に近づけて匂いをかぐ。
    忌まわしい記憶がまざまざと蘇った。
    血まみれになって鞭打たれていた女性。
    仕掛け罠にかかって逆さ吊りになった自分。
    感淫剤を打たれて生きたまま解体されたハル。
    ・・
    突然、激しい欲情にかられた。
    陵辱されたいと思った。
    人間の尊厳も何もかも打ち捨てて、いたぶられて嬲りものにされたかった。
    股間に指を入れて、強く押さえた。
    もの足りずに硬いモノを求め、ボートの後部にもう一個残っていたイカリに跨った。
    モーターボートが大きく揺れる。
    やがて夜が明け、通りがかった漁船に救助されるまで、涼音は血まみれになった局部にイカリの先端を押しつけて自慰を続けていた。



    ~登場人物紹介~
    ユキ: 16才。誘拐された女子高生。本当の名前は高山涼音。ハルと共に田村の所有物。
    ハル: 17才。ユキより先に誘拐された女子高生。本当の名前は宮城慶子。
    田村: 組織に所属するナイフ投げ。酒好き。
    マリー: 20台後半。セーラー服・ルーズソックスの女拷問人。マリーは芸名で生粋の日本人。

    最後までお読みいただいた皆様、ありがとうございました。
    キョートサプライズに引き続くナイフ投げネタですが、まったく違う超ダークなストーリーです。
    女性に対して無理矢理な行為を強要しないのが当サイトのお約束(『H氏~』も『アクナス』も女性が受け入れた被虐です)でしたが、今回その禁を破りました。
    こんな小説をよりによってクリスマスイブの夜に掲載するとは、私は地獄に落ちるかもしれません^^。

    少女が凄惨に拷問されて、生きたまま解体される。
    自分で決めた展開とはいえ、殺されてしまうハルちゃんが可哀想で何回もゴメンナサイと謝りながら執筆しました。
    いわゆるリョナ的な表現としては他所様の小説、イラストにもっと過激なものがありますが、82475的にはこの辺りが限界です。
    女性を無理矢理虐げるお話は、もう当分書かないでしょう。

    お話の舞台設定(悪の治外法権的なカジノとか、組織の手で拉致されてきた美少女とか)は、それほど珍しくもないと思います。
    この島を舞台にしたら、嫌がる女の子を相手に R-18G なお話がいろいろ書けそうですね。
    (だから書かないですよ~ww)

    さて、2012年の更新はこれで終わりです。
    本年も1年間お付き合いいただき、ありがとうございました。
    来年は、もう少し心温まるお話から始めたいと思います。
    ここ数日、急に冷え込んできました。
    皆様、風邪など引かないように暖かくしてよいお年をお迎え下さいませ。




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    キョートサプライズのナイフ投げと違ってダークなお話ですね。H氏やアクナスよりも残虐で救いようのない話ですが、そこはフィクションや妄想の世界。救われる話があればそのまた逆も然り。ダークで救いようのない話しも、私は好きですよ。今年最後の更新ですね。来年もコメントやアドバイスなどしていきたいと思います。それではよいお年を。

    コメントありがとうございます

    救いようのない話もお好きとのこと、ありがとうございます。
    私自身、衝動にかられるように書いたお話でした。
    とうめいさんにはいつもコメントをいただき大感謝です。
    2013年もどうぞよろしくお願いします!

    No title

    これは残酷ですね。でもこういう話もきらいじゃないですw次の更新は来年ということなので楽しみにまってます。
    では良いお年を!

    Re: No title

    コメありがとうございます。
    残酷ですよね~。
    自分でもこんなモノを書いた/書けたことに驚いておりますです。
    来年もどうぞよろしく!
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