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    Sisters 第11話・緊縛教室 ~二人の歩む道~

    「高院遥と申します。遥と呼んで下さい」
    「こんにちはっ。モデルの江田五月です!」
    マンションの玄関で二人の女性が挨拶をした。
    遥さんは、眼鏡を掛けた小柄な人。ジーンズとトレーナーの上にダウンジャケットを羽織り、お化粧薄めの、ちょっと地味な感じだった。
    五月ちゃんは、瞳の大きな子。ショートパンツにルーズソックス、長袖のスモックブラウスとマフラーだけの格好で、その若々しさがまぶしかった。
    「こちら、菊池学さんと桐原奈津子さんですね」
    「はい、よろしくお願いします」
    あたしは隣で居心地が悪そうにしているマナブの背中を押して、一緒にお辞儀をさせた。
    あ~ぁ、とうとう来ちゃったよ。マナブの顔には追い詰められた感がありありと出ている。
    いい加減に覚悟しなさい!
    あたしはマナブをちょっとにらんでから、お客様をリビングに通した。
    ・・
    マナブとあたしは大学のサークル時代から10年の付き合いになる。
    在宅でITエンジニアをしているマナブのマンションにあたしが転がり込んで2年。
    あたしも会社勤めで仕事は嫌いじゃないけれど、来年は30才。そろそろウェディングドレスを着たい気持ちもないといえば嘘になる。
    なのに典型的草食系男子のマナブはそんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、ひたすら仕事に熱中する毎日。
    えっちだって月に1回あるかないか。これじゃ、あそこに蜘蛛が巣を張るって言い方がぴったりだわ。
    思いきってあたしが選んだ手はSMプレイだった。
    通販の手錠が届いたのが2ヶ月前。
    あたしの両手に手錠を掛けてするセックスに、マナブは明らかに興奮した。
    あたしも今までない刺激を感じた。拘束されるのって、悪くない。
    「ねえ、縄で縛ってみない」
    何回目かの手錠セックスの後であたしは言った。彼が興味を感じているうちに押し切らないとね。
    「縛り方なんて分からないよ」
    「練習すればいいのよ。マナブだったらできるわ」
    あたしはいろいろ調べた。
    それで知ったのが訪問緊縛サービスだった。初心者向けの緊縛教室もやってくれるという。
    人に教えてもらってまで、と渋るマナブを説得して、あたしはサービスを申し込んだ。
    こうして、あたしがお休みの日曜日、訪問緊縛の女性縄師さんが来てくれたのだった。
    ・・
    「じゃあ、お二人とも手錠以外はご経験なし、ということですね」遥さんが聞いた。
    「はい」
    「大丈夫ですよー。この人は見た目は子供みたいだけど、すごい縄師なんですよぉ」五月ちゃんが遥さんを差して言う。
    「こらっ。子供みたいは余計っ」
    遥さんは五月ちゃんを叱ってから、あたし達に向かって言った。
    「ご心配なく。丁寧にご説明しますから、上手に縛れるようになりますよ」
    「どうぞよろしくお願いします。・・彼、こういう方面はあまり積極的でなくって」
    「こういう方面って、緊縛のことですか、それともセックスですか?」
    いきなり遥さんに聞かれて慌てる。そんな、はっきりと。
    「あ、その、・・セックスの方です」
    マナブが、うわぁ、何の話をするんだよ、という顔をしている。
    「そうですか。失礼ですが、週に何回くらい?」
    「えっと、月に2回くらい」
    マナブが天井を見た。これでも多い目に言ってあげてるんだよ!
    「うわぁっ、奈津子さんそれでよく我慢・・」五月ちゃんが言いかけて、遥さんに口を塞がれる。
    「こほんっ」遥さんは無理に咳払いして言った。
    「奈津子さんみたいなセクシーな女性と、夜の生活が淡白ってのは困りますねぇ」
    「あら、あたしセクシーですか?」
    「はいっ。奈津子さん、同性から見ても綺麗で大人の女性の色気があって素敵です。どんな殿方だって参ってしまうはずって思いますもん」
    「まあ♥」
    マナブが頭を抱えている。わかってるわよっ、お世辞だってことぐらい。
    「今日は初心者の方でも十分楽しめる縛り方をお教えします。奈津子さん、ご主人が飛びついてこられるくらい魅力アップしますよ」
    「あの、彼は夫じゃないんですよ。一緒に住んでるだけで」
    「大丈夫! 奈津子さんが素敵に縛られてあげれば、あっという間にゴールインですわっ」
    「あらぁ、そうかしら?」
    とうとうマナブが大げさにひっくり返った。
    あたしは立ち上がってマナブをどやしつける。
    「くぉら、いい加減にしなさい!」
    遥さんと五月ちゃんがくすくす笑った。
    ・・
    「お待たせでーす」
    五月ちゃんが紺のブレザーとグレーのミニスカートの制服に着替えてきた。
    「うっほ、JK」
    マナブが変な声を出したのを横目でにらむ。あなた、まさか女子高生に趣味があるんじゃないでしょね?
    まあ、確かに五月ちゃんは制服がよく似合っていた。
    こんなに可愛い子を縛れるんだったら、男の人は嬉しいんだろうな。
    「本当に高校生みたい」
    「あたしですか? コーコーセーですよ」
    え?
    「ごほっ、ごほんっ」遥さんが大げさにセキをした。
    「・・っとぉ、高校は、去年卒業してましてぇ、今はお洒落な女子大生~♥」
    面白い子だなぁ。
    「じゃあ、まずこの子を縛りましょう。これはご自宅でもこんなにできますっていうデモみたいなものですから、難しく考ずに、ご覧になって楽しんで下さいね」
    遥さんがそう言って鞄から縄の束を取り出した。
    「これは綿で編んだロープなんですよ」
    ピンク色の綺麗な縄だった。
    ・・
    五月ちゃん緊縛

    膝立ちになった五月ちゃんを遥さんが縛り始めた。
    脇腹の横で両手を合わせて縛る。
    胸の上下と二の腕をまとめて縛り、さらにお腹の前から両足の間に縄を通して縛った。
    遥さんはとても手際がよくて、あっという間に五月ちゃんを動けなくしてしまった。
    ブレザーの上から縄が食い込んでいて、女性の身体は縛れば締まるものだということがよく分かった。
    スカートの前は捲り上げられて、下着が見えている。
    その下着の上に縄が食い込んでいて、ちょっとドキっとした。これ、股縄っていうんだよね?
    「どうぞ縄に触ってみて下さい」
    そう言われて、あたしとマナブは恐る恐る五月ちゃんの縄を触る。
    「縄の下に指を入れて、締まり方を確かめて下さい。・・はい、ご主人も遠慮なさらずに」
    遥さんも五月ちゃんもにこにこ笑っていて、SM緊縛の暗さや淫靡さは全然なかった。
    「このまま抱きしめてあげてもいいですし、道具をつかって喜ばせてあげるのもいいですね」
    「道具ですか?」
    「ええ、こんなのを持ってきました。・・可愛いでしょ?」
    遥さんが見せてくれたのは、繭のような形をした赤いローターだった。
    「えぇっ、それ使うの!?」五月ちゃんが驚いたように聞く。
    「あんた、緊縛モデルでしょ? いい顔するのよ」
    「あ~ん・・」
    遥さんはローターを五月ちゃんの股の縄に挟んで固定した。
    「足が開かないように膝も縛りましょう」
    五月ちゃんの足を閉じさせて膝の上を縄で縛った。
    「そして、スイッチオン!」
    ケーブルの先に繋がった電池ボックスのスイッチを入れると、ローターが小さな音をたて始めた。
    じ、じ、じ。
    「はぁっ・・」
    五月ちゃんが可愛い声を出して、膝立ちの腰を後ろに引いた。
    「そんなに激しい振動ではないけれど、女の身にはこれでも十分刺激的です」
    遥さんはローターに人差し指をあてると、ゆっくりと押し込んだ。
    「くっ。あぁ・・んっ」
    五月ちゃんはもがくように身をよじらせる。
    「やっぱり女の子はこれくらいに感じてるのが一番可愛いですよねぇ」
    「もう、ばかぁ。・・はぁん!!」
    軽口をたたく遥さんと、それに応えながらも喘いでいる五月ちゃん。
    ごくり。無意識のうちに唾を飲み込んだ。
    生まれて初めて目の当たりにする、生身の女の子の、緊縛。
    生まれて初めて耳にする、生身の女の子の、あの声。
    「どうですか? 同じ女性が縛られているのを見て」遥さんがあたしに聞く。
    「あ、はい、何て言うか・・、可愛いのに、すごく色っぽい・・」
    「奈津子さんは、こんな風にされてみたいですか?」
    「あ、あたしですか? こんなにセクシーに見えるなら、とは思いますけど・・」
    遥さんは微笑みながら五月ちゃんの背中に回り、密着するように膝をついた。
    後ろから五月ちゃんの左右の胸を押さえ、そして強く揉みしだいた。
    「あぁぁっ!!」
    五月ちゃんの声が大きくなった。そのままイヤイヤをするように首を振っている。
    さっきまであんなに元気で明るかった五月ちゃんが、今は縄に囚われ、苛められて喘いでいる。
    すごいと思った。
    心臓がどきどきして、少し息が苦しかった。
    あたしは隣のマナブの腕に自分の両手を絡めた。
    そのマナブは口をぽかんと開けて、ただ五月ちゃんの様子に圧倒されているようだった。
    「奈津子さん」遥さんが手を動かしたまま、あたしに向かって言った。
    「は、はい・・」
    「あなたも、こんな風になるんですよ。縛られたら」
    きゅん。
    下腹部に刺激が走った。
    マナブに抱きつく手に力が入った。
    「なっちゃん・・?」
    マナブが初めてあたしを見た。
    あたしの頭の中で遥さんの言葉がリフレインしていた。
    『あなたも、こんな風になるんですよ』
    「・・くぅっ」
    静かな部屋に五月ちゃんの声が響いていた。
    ・・
    遥さんが安全に縛るための心得と注意事項を説明している。それから綿縄の扱い方の説明。
    五月ちゃんはもう縄を解かれていて、ソファにちょこんと座り、胸の前で持ったコップのコーラをストローでちゅうちゅう吸っている。
    そのミニスカートの足には縛られた痕が残っていて、あたしはそれをちらちら見ながら落ち着けないでいた。
    マナブ、ごめん。あたし、遥さんの説明、半分も聞けてない。
    正直、あたしは自分がこれほどマゾっ気に満ちてしまうとは思っていなかった。
    緊縛はプレイのひとつで、これをきっかけにマナブが夜の生活にもっと興味を持ってくれたら、という程度だった。
    もちろんあたしだって人並みに女だから、縛られることには興味があったし、覚悟もしていた。
    しかし、さっき見せられた五月ちゃんの緊縛はそんな心の準備をぶっとばすくらいに、あたしを興奮させたのだ。
    「ん? ・・はい、どうぞ♥」
    五月ちゃんはあたしの視線に気づくと、スカートをたくしあげて、太ももの縄の痕がはっきり見えるようにしてくれた。
    「あ、やだっ。あたし、そういう訳じゃ・・」
    あわてるあたしに、遥さんと五月ちゃんが揃って笑った。
    「・・奈津子さんは、すっかりスイッチが入っちゃったみたいですね」遥さんが楽しそうに言う。
    「奥様を大切に、しっかり縛ってあげて下さい。学さん」
    「はい」マナブが返事した。
    何だかマナブの表情に、決意のような、頼もしいものを感じた。
    ありがとう。あたしを上手に縛ってね。
    ・・
    それから、あたしはキャミソールとレギンスに着替えて、マナブに緊縛された。
    遥さんの指導を受けながら、マナブはとても優しく真剣に縛ってくれた。
    生まれて初めて肌に受けた縄の感覚は、とても気持ちよかった。
    多分、あたしは縛られている間じゅう、ずっと、とろんとした顔でいたと思う。
    ときどき強く縛りすぎて痛くなることもあったけど、すぐに遥さんが締め加減を調整してくれた。
    マナブがあたしを縛る横で、遥さんは五月ちゃんを繰り返し縛って見本を見せてくれた。
    マナブはそれを見ながら、あたしを縛り直して練習する。
    合間には、あたしも五月ちゃんを縛らせてもらって女体を縛る感覚を理解させてもらった。
    あっという間に時間が過ぎた。
    この日は、手首などを縛るときなどの本結びの方法と、両手を頭の後ろで組んで縛る後頭縛りを教わった。
    後ろ手の緊縛でなくて後頭縛りなのは、腕に男性の体重を受けずに縛られたまま正常位のセックスができるから。
    遥さんは、パートナーと絆を深め合うことが一番大切だと言った。いろいろな縛り方を覚えるのはそれからでいいと。
    「くれぐれも無理をしないで下さいね」
    遥さんが注意する。
    「奈津子さんがいくら求めても、ご主人は冷静に、絶対にエスカレートしちゃ駄目。いいですか?」
    「はい」マナブが神妙に返事する。
    ど、どうして、あたしが求めるんですかぁ。
    「だって奈津子さん、すっかり縄のトリコでしょ? うふふ♥」五月ちゃんが笑った。
    あたしは口をぱくぱくさせながら、何も言い返せない。
    「もっと縛り方に興味を持たれたら、また呼んで下さい。次は、高手小手縛りを勉強しましょう」
    遥さんはそう言って、ウインクした。
    「それまでは、お二人、ゆっくり愛情を交わして下さいね」
    ・・
    遥さんと五月ちゃんの帰り際。
    「今日はありがとうございました」
    「こちらこそ喜んでもらえてよかったです。・・実は、緊縛教室は今日が最初だったんです」
    「え? とてもそんな風には見えなかったです」
    「私達もドキドキだったんですよ。この子も勉強になったと思います」「えへへ、なりました~」
    「あの、お二人はとっても仲がいいみたいですけど・・」
    私は気になっていたことを聞いた。
    「遥さんと五月ちゃんって、どういうご関係ですか?」
    「私達ですか?」「うふふ」
    遥さんと五月ちゃんは互いに顔を見合わせて笑った。
    「この子を縛ったら、何だか妙になつかれてしまいまして」
    「あのね、なつかれたはないでしょ。まるで猫みたいに」
    「そうかしら。私に縛られて、きゅんきゅん泣いてたあんたは、猫に見えたわよ」
    「あぁ~、言ったなあっ。ハル姉だって本当はマゾじゃない」
    「な、何言ってるの。お客様の前でっ」
    「こぉんなに太いバイブ、あそこに差し込まれて、あんあん喘いでたのは誰だったかなぁ?」
    「あ、あ、あああ・・」
    「もうエロエロになって、お願いしますぅ、私をただの女として縛って下さ~い、なんて頼んでたよねぇ」
    「うるさいうるさいうるさいっ。絢なんか、股縄で吊られて、腰がくがくさせて、あげくに潮吹いたじゃないっ、しお!」
    「シオシオってねぇっ、誰でも潮くらい吹くわよ! だいたい、あんときはハル姉だって一緒に吊られて、すっごい声だしてたでしょ!!」
    「あ、あれは、あんたが一緒に縛られてお願い、なんて頼むから付き合ってあげたのっ」
    「このドMの変態縄師っ」「あんたこそ、変態女子高生!!」
    口から泡を飛ばして言い合う二人の前で、あたしとマナブは呆然としていた。
    マナブが小さな声でぽつりと言った。
    「鼻血、出そう」
    ・・
    二人が玄関を出て行って、ようやくマンションの中は静かになった。
    「面白い人達だったわねぇ」
    「そうだね。ごめん、ちょっとタバコ」
    マナブはベランダに出て行った。あたしはテーブルのお盆を片付ける。
    本当に変わった二人だったな。でも、いい人だった。
    おかげで、・・これから、マナブ、あたしを縛ってくれる♪
    「うふ、うふふふ」自然と笑いが出た。あたし、下品かな。
    「なっちゃん、来てみて。あの二人が見える」
    マナブに呼ばれてベランダに行くと、ちょうど前の道路を帰って行く遥さんと五月ちゃんが見えた。
    二人は楽しそうにおしゃべりしながら歩いていた。
    五月ちゃんが大げさな身振りで何か言って、遥さんが笑っている。
    そして二人は立ち止まり、その場で向かい合った。
    ん? 何をするんだろう?
    五月ちゃんが少し腰を屈め、遥さんが少し身を伸ばした。
    「お」「ま」
    あたし達は見逃さなかった。
    次の瞬間、二人が唇を合わせたことを。
    「・・こんな街中で」「すごい」
    短いキスの後、遥さんは周囲を見回して近くに誰もいないことを確認している。
    まさか、上から見られてるなんて思いもよらないだろう。
    やがて二人は再び歩き出した。
    五月ちゃんが遥さんの腕にしがみついてはしゃいでいる。
    あたし達は彼女達の姿が見えなくなるまでずっとベランダにいた。
    はぁ~、あの二人、本当に人を驚かせる天才。
    「あれって、レズ?」マナブが聞いた。
    「そうかも。・・でも、ただの恋人じゃない気もする。もっと近い関係」
    「例えば?」
    「ん~、生まれたときから一緒に過ごしてきた、姉妹」
    「えぇっ、お姉さんと妹でキス? まさか」
    「あたしもそう思うけど。事実は小説よりっていうでしょ? ・・それより」
    「ん?」
    「また頼む? 緊縛教室」
    「なっちゃんは?」
    「あたし、マナブに上手に縛れるようになって欲しい」
    「なら、来てもらおう」
    「うんっ、しっかり勉強してね」
    「次は高手小手って言ってたな。どんなのかな」
    「多分、こんな縛り方。・・手首を高く上げて縛るの」
    あたしは、両手を背中で組んで縛られる真似をする。
    「きつそうだね」
    「うん。でもマナブが縛ってくれるなら、平気」
    「そう言ってくれて、嬉しい自分(笑)」
    「うふふ」
    「あ、その手、下ろさないで。上げたままでいてよ」
    「えぇ~、エア緊縛ぅ?(笑)」
    あたしはもう一度、意識して自分の腕を高く捻り上げるようにする。
    マナブがそのまま後ろから抱きしめてくれた。
    「あぁっ・・」
    両手がぎゅっと圧迫されて、とても気持ちよかった。
    本当に縛られているような気分だった。首を後ろにむけてキスをする。
    この先、彼にもっと縛られることになるのかな。
    「・・ね、まだ昼間だけど」あたしはマナブにおねだりする。
    「・・やりたい?」
    「うんっ」
    あたし達は部屋に入ってカーテンを閉めた。
    とても新鮮な気分だった。
    二人の生活はきっと変わる。そんな気がした。



    ~登場人物紹介~
    菊池学:31才。在宅ITエンジニア。
    桐原奈津子:29才。学と同棲するOL。
    高院遥: 21才。女性縄師。訪問緊縛の仕事をしている。新たに緊縛教室も始めた。
    江田五月:17才。高校2年生。緊縛モデル。本名は高院絢で遥の妹。

    Sisters の最終回です。
    遥さんと絢ちゃんが選んだ道は、第7話で遥さんが考えついた、カップルのお客様向けの緊縛教室でした。
    縛られる女性の気持ちを理解した女性による女性のための緊縛教室です。
    もしかしたら二人の従姉妹の美人のお姉さんも、たまにモデルとして来てくれるかもしれません。
    遥さんは師匠に一人前の縄師として認めてもらいましたが、今まで通り、訪問緊縛の仕事も続けています。
    縛られる思いを胸に抱いた、ごく普通の女性の希望をかなえてあげるため、遥さんはこれからも頑張ることにしたようです。

    ここで一点ご注意を。
    本話の緊縛教室は、読者の皆様に楽しんでいただくためのファンタジーです。
    リアルの世界の初心者がそのまま真似しても安全と快感を保証するものではありません。
    きちんとした経験者の指導を受けて勉強して下さいね。
    まあ大したことは書いてませんし、そんな人もおられないと思いますが、一応念のため。

    さて、当シリーズも約1年の連載になってしまいました。
    全話をお読みいただいた読者の皆様には深くお礼申し上げます。
    縛られたり吊られたりゴキブリに這われたり(笑)、いろいろ頑張ってくれた遥さんと絢ちゃんにも感謝したいと思います。
    このシリーズでは初めて、第1回から最終回まで長編的なストーリー展開をやってみました。
    最終回にたどりついて思うのは、全体の物語を進めつつ各回のお話をまとめるのは、やはり楽でない、ということ。
    シリーズ構成の観点では中学生縄師やKSのように、各話を独立にして途中回の入れ替えも可能、という形式の方が絶対に楽ですね。
    次のシリーズでは、おそらく各話独立の形式になるでしょう^^。

    今後のシリーズについては、今はまだ考える余裕がありません。
    とりあえず他の連載が終わるまでには決めたいと思っています。
    ありがとうございました。




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    Sisters 第10話・卒業試験 ~3人連縛~

    「じゃ~んっ。お待たせしましたぁ!」
    カーテンを開けて高院絢と北大路舞華が出てきた。
    「ハル姉も早く!」
    絢に手を引かれて、高院遥も出てくる。
    3人とも胸を強調するデザインとミニスカートで有名なウェイトレスのコスチュームを着ていた。
    「な、なんで私まで、アン◯ラ・・」遥は困ったような顔でスカートの裾を押さえている。
    「遥ちゃん、照れてちゃ駄目。こういうときは、うんと、はっちゃけなきゃ損よ!」
    舞華が遥の肩を押さえて先頭に立たせた。
    「胸を張って。はいっ、足も隠さないでばぁーんと見せる!」
    「ひぃ~ん」
    「ハルカよ。お前、そういう格好したら、えらく可愛く見えるんで驚いたぞ」遥の緊縛の師匠の榊悠然(さかきゆうぜん)がにやにや笑いながら言った。
    「先生、笑わないで下さいよぉ」遥が情けない声で抗議する。
    「ぶわっはっはっ」
    「じゃ、記念写真ね」マスターがデジカメを構えた。
    「はーい♥!!」「はい。チーズ!」
    絢と舞華は満面の笑みでピースサインをしている。
    遥はこわばった笑顔。顔の横に添えた両手はグーのままで、猫の前足のようだった。
    ・・
    ここは榊がしばしば緊縛イベントを開催するフェティッシュバーである。
    今日は定休日で、マスターの好意で店内を借り切っているのだった。
    遥は、榊の下で緊縛の勉強をした後、武者修行と称して一人で訪問緊縛の仕事をしてきた。
    その期間も1年を超え、榊が遥の腕前を試験すると言い出したのだった。
    榊は業界でも著名な縄師である。
    その榊が認めた腕であれば、遥は映画やドラマで緊縛の仕事を単独で受けることができるし、イベントショーなどにも出演できる。
    もちろん、わずか2年やそこらの経験で一人前の縄師になれるはずはない。
    実際、榊には遥より10年以上古い弟子が何人もいるが、縄師の仕事で食べている人はほとんどいないのが現状である。
    それでも、榊は誰にも頼らず一人で頑張っている遥に期待していた。
    遥なら、今まで誰も係わったことのない新しい世界で活躍することができるのではないか。
    そう考えてのことだった。
    ・・
    師匠の条件は簡単だった。
    モデル二人の連縛。それ以外は自由。
    遥は考えた末に、プロの緊縛モデルではなく、舞華と絢を着衣で縛りたいと申し出た。
    舞華と絢は遥の役に立てるのならと、喜んでモデルを引き受けたのである。
    ・・
    ・・
    「じゃあ舞華さん、お願いします」
    遥が舞華に一礼した。
    「昔みたいにマイ姉って呼んでいいのよ、遥ちゃん」
    「でも、もう大人ですから」
    「そんな他人行儀なこと言ってたら縛らせてあげないわよ」
    「あ、すみませんっ。お願いします。・・マイ姉、さま」
    舞華は笑いながら立ち上がった。もちろん縄を受ける覚悟はできている。
    「うふふ。じゃあ、あたしを好きにさせてあげる。言っておくけど、これでもこの世界はあなたよりベテランだからね。なまじっかな縄じゃ、感じてあげたりしないわよ」
    「わかりました。じゃあ、両手を後ろに」
    遥が使い慣れた麻縄の束を取り出した。
    舞華が背中で合わせた手首に縄が巻きついて行く。
    ・・上手だわ、遥ちゃん。
    舞華は遥の縛りに感心する。
    遥の緊縛には力強さや荒々しさはなかったが、心と身体にしっとりと馴染んでくるように感じられた。
    胸の上下に掛かった縄がバストを絞る。
    「んっ」自然と声が出た。
    もともとバストを強調するコスチュームとあいまって、突き出した舞華の胸がいっそう巨乳に見えた。
    「そのままうつぶせに寝て下さい」
    遥は高手小手に縛った舞華を床に寝かせると、天井からロープを下ろしてその先に金属のリングを結びつけた。
    そして舞華の左足首から背中に掛けて5本の縄でリングと連結した。
    縄の状態を調べ舞華の身体が緩みなく縛られていることを確認すると、体重を掛けて滑車の反対側のロープを引いた。
    リングが上昇し、舞華の左足が浮かび上がる。
    次いで腰、そして上半身。最後に頭が床から離れた。
    小柄な遥が自分より大きな舞華を吊り上げるのは重労働である。
    ロープを壁のフックに巻きつけては手繰り寄せて、安全を確保しながら少しずつ引いて行く。
    突き上げられた左の足先が天井に届きそうなところまで引き上げると、ロープをフックに縛り付けて固定した。
    頭は床から1.5メートルくらいの高さ。
    遥は舞華の拘束されていない右足を膝で折り、太ももと脛を2箇所で縛った。
    その右足を軽く突くと、弓のように横反りになった身体がゆっくりと回転する。
    「マイ姉ちゃん、綺麗」絢がつぶやいた。
    遥はしばらくそのまま見ていたが、やがて舞華の腰に両手を回して抱きついた。
    それから、やおら膝を曲げて自分の体重を乗せた。
    「あぁぁっ!!」舞華が叫んだ。ロープがぎしぎしと音を立ててしなる。
    肉体を締め付ける縄の痛みが極限に達し、痛覚以外のすべての感覚が意識から消えた。
    遥がしがみついていた時間はほんの2~30秒ほどだろうか。
    遥は床に降り、舞華の脇に屈んでその髪を撫でた。
    「ごめんね。マイ姉、あんまり綺麗で素敵なんだもの」
    「・・あ、ありがと。そう言ってくれると、嬉しい、わ」
    舞華は苦しげに答えて微笑んだ。

    舞華

    ・・
    遥が舞華にぶら下がったとき、絢は声にならない声を上げた。
    以前、舞華の緊縛を見たときの興奮を思い出した。
    あのとき、舞華は片足だけを吊られて、腰が折れそうなくらいに反り返って縛られていた。
    今日もマイ姉ちゃんは無残に吊られて苦しんでいる。
    もうあたしにだって分かるよ。マイ姉ちゃん、あんな目にあってエッチに感じてる。
    マイ姉ちゃん、責めが厳しくて苦しいほど、感じて、そして綺麗だ。
    あぁ、もしかしてハル姉、今日の縛りはそれが目的?
    綺麗な緊縛と苦しむM女の組み合わせ。
    ・・そうか。なら、あたしも、苦しむんだ。
    気がつくと、遥が笑いながら自分に向かって右手を差し出していた。
    いいよ。あたしも、お姉ちゃんのために喜んで苦しむよ。
    絢は立ち上がって、遥の手をつかんだ。
    ・・
    遥は絢に作業を手伝うように言った。
    金属リングをもう一つ出してきて、舞華の右足から縄で吊るした。
    「この輪っかを持って、ぎゅっと引いてくれる」
    「いいの?」
    恐る恐る下に引く。
    「もっと強く、体重をかけるくらいに」
    「じゃあ・・」
    絢はリングを胸に抱え、強く引き下げた。
    「はあぁっ!!」
    舞華が声を出すと同時に右足がぐいっと下がった。
    「うん、大丈夫ね」
    「お姉ちゃん、どうするつもりなの?」
    遥は楽しそうに言った。
    「どうするのって、ここにあーやをぶら下げるのよ」
    「えっ」「えっ」
    絢と舞華が同時に声を上げた。
    ・・
    「膝をついて」
    遥は絢を舞華の下に膝立ちにさせる。
    「ねえ、お姉ちゃん、そんなことしたらマイ姉ちゃんの足が」
    「黙って従いなさい」
    「・・はい」
    遥は絢の手首を背中に捻り上げると、高手小手で縛った。
    そのまま胸の上下を絞られて、上半身を固められる。
    「く」
    手首の位置が高い。今まで縛られた中で一番厳しいと思った。
    背中から縄が伸びて舞華の右足のリングに繋がれる。
    続いて右足を膝で折って、2箇所で縛られた。
    その膝から延ばした縄もリングに通される。
    「倒れちゃ駄目だよ」言うなり遥はその縄を引き上げた。
    「あぁっ」
    右足が吊り上がり、絢は片足だけで膝立ちになった不安定な姿勢のまま固定されてしまった。
    た、倒れそうだよ。
    注意していないとたちまちバランスを崩してしまいそうだ。
    左足に力を入れてかろうじて耐える。

    舞華+絢

    ・・
    天井から逆さ吊りになった舞華。
    絢は、その舞華の右足から上半身と右足を吊られ、どうにか左足一本で体勢を維持していた。
    舞華をこれ以上苦しまないためにはできるだけ左足で自分を支えていたいけど、それももう限界だ。
    ごめんっ、マイ姉ちゃん。
    絢は背中と右足に少しだけ体重を預ける。
    舞華の右足が少し下がった。
    左足が辛い。絢の腰ががくがくと揺れる。
    「あ、絢ちゃん・・、無理しないで、ぶら下がって。・・大丈夫、だから」
    舞華がかすれそうな声で言う。
    だ、だって。そんなことしたら、マイ姉ちゃんが。
    絢の脳裏には、先ほど遥がぶらさがったときの舞華の悲鳴が蘇った。
    もしかして、ハル姉、さっきはあたしに見せるために・・?
    ぐらり。
    「やぁだぁ!」
    上半身が傾いて、絢は後方に倒れこんだ。
    「ああぁっ!!」
    舞華も耐え切れずに声を出した。
    逆さ吊りの右足がぐいっと下がって、しなった。
    絢の体重の大半が舞華の右足にかかっていた。
    あぁ、マイ姉ちゃんっ、ごめんなさい!
    一度体勢が崩れるともう自力では元に戻れない。
    絢は起き上がろうと力を入れるが、無駄にもがいて舞華の身体に余分な痛みを加えるだけだった。
    ・・
    ああ、遥ちゃん。すごい。
    舞華は空中でゆっくり揺れながら、全身を締め上げる縄の感触を味わっていた。
    右足に受ける絢の重さも当たり前のことに思えた。
    逆さ吊りになって何分経ったのだろう。
    ゆっくりと混濁する意識。全身に満ちて行く被虐感。
    じんじんするほど気持ちイイ。なんて素敵な感覚なんだろう、
    まさか、同性に縛られてこれほど感じるとは。
    初めて逆さ吊りに縛られたときのことを思い出した。
    あれは、あたしが大学2年で、彼は中学生だった。
    あのときと、同じね。あたし、もう、とろとろ、かな。
    くぅ。・・あ。
    広大くん、ごめんね。あたし、広大くん以外の縄で、イッちゃった。
    ・・
    マイ姉ちゃん、ごめんなさいごめんさいっ。
    絢の意識の中には、舞華に苦痛を与えていることへの痛恨の気持ちだけがあった。
    両手と右足を締め付ける縄は痛かった。
    あたしの太もも、紫色になっているかも。
    そして見上げる舞華の右足も色が変わっているような気がした。
    マイ姉ちゃんの苦しさとくらべたら、あたしなんて。
    「はぁ・・」
    声が聞こえた。舞華の声だった。マイ姉ちゃん?
    「・・あぁん」
    それは明らかにエクスタシーの声だった。
    もしかして、こんな目にあって、まだ感じてるの?
    じゅん。突然、自分の身体が熱くなった。
    縄の痛みが平気になった。違う、縄の感触が快感になった。
    まるで舞華のエクスタシーが自分に伝染したかのようだった。
    舞華と一緒に責められて、苦しみと快感を二人で共有することがたまらなく嬉しかった。
    「あぁ・・っ」
    絢の口から自然に声が漏れた。
    ・・
    ・・
    遥は緊縛した二人をそのままに、榊に向かって一礼した。
    「ご覧いただいて、ありがとうございました」
    「ハルカよ。お前は・・、」榊が真面目な顔で言った。
    「お前は、まだまだへっぽこだ」
    「はい」
    「こんな縛りで、俺の弟子を名乗るには10年早いわ」
    「はい」
    「だが、お前の縛る女がこんなにいい顔をするのは初めて見た」
    「・・」
    「女の縄師はM女の気持ちが分かるというが、お前の縄にも女にしか発揮できない力があるのかもしれないな」
    榊は遥に歩み寄るとその頭をぽんと叩いた。
    「よく修行をしているな。・・ハルカ。お前は立派な縄師だよ」
    「ありがとうございましたっ」
    遥は振り向くと、舞華に走り寄って抱きしめた。続いて絢を抱きしめる。
    「マイ姉も、絢も、ありがとう!」
    舞華と絢が微笑んだ。
    二人とも普通に喋れなかったが、それぞれ遥を祝福していた。
    「・・あ、あの、お願いがあります」遥が絢を抱いたまま榊に言った。
    「私も、この二人の仲間にしてもらえますか」
    「お前も作品になりたいのか、ハルカ」榊が鷹揚に聞く。
    「はい」
    「ぶわっはっはっ」榊が大きな声で笑った。
    「俺がお前を弟子にとったのはな、女の弟子はいろいろ便利だと思ったからだ。女にしかできないモデルの世話もあるし、モデルが足りないときは代わりに縛れる。しかし、」
    喋りながら、両手を広げた。
    「・・こういう手間もかかるとはな」
    遥は立ち上がっておどけた調子で答える。
    「そーなんですよ、先生。便利だけど『女』なんです。ときどき、こういう手間がかかるんです」
    そして頭を下げた。
    「お願いします。・・私を、縛って下さい。弟子じゃなく、ただの女として縛って下さいっ」
    ・・

    舞華+絢+遥

    榊が遥に縄を掛ける。
    「難しい縛りはしない」
    高手小手に縛った縄を背中で引き絞った。
    「はぁっ」
    遥が小さな声でうめいた。
    師匠の縄は自分よりもずっと手早くて、厳しい。
    遥は榊に弟子入りしたその日に緊縛された。裸にもされて、柔肌に縄を受けさせられた。
    その後も、新しい緊縛のテストや、本番撮影前のカメラリハーサルなどの度に縛られてきた。
    弟子になったのだから、どんな扱いをされても当たり前だと思ってきた。
    でも、今日は何だか少し違うと感じる。
    今日の先生、ちょっと優しい。
    「さぁて、」
    榊は自分の鞄から道具を出した。
    電動のディルドだった。コードで繋がった電池ボックス。そこからさらに長いコードが2本、その先にスイッチボックス。
    え? 遥の顔から血の気が引く。
    「怖いか? 言っておくが、俺は普段こういう道具は使わないぞ」
    なら、どーして持ってるんですかっ。
    榊はまるで遥の心の中を読んだように、ウインクしながら言った。
    「たまたま、鞄に入ってたんだよ。たまたま」
    うーっ。わざわざ準備したに決まってるわっ。
    スカートの中に榊の手が入ってきた。まったく遠慮する様子もない。
    そのまま、ずるっとショーツが引き下ろされる。
    「足を開きなさい」
    ああっ。
    「お前のここを見るのも久しぶりだが、生え具合も、濡れ具合もなかなかのものじゃないか」
    「そ、そんな、・・言わないで、ください、よぉ」
    「ローションは使わんでよいな」
    ディルドを股間に叩き込むように押し込まれた。
    ひぃっ。先生、今日は優しいなんて、取り消し!
    榊は遥の股間に縄を取り回して、ディルドが抜け落ちないようにした。
    そのまま座らせて、太ももと膝、足首を合わせて縛った。
    それは自分を内側から強烈に圧迫している。
    こんなに太いのが、私の中に入るなんて。
    もう逃れられなかった。
    女にだけに許される貶められる気持ち。ぞくぞくする被虐感。
    私もこれから堕ちて行く。
    ・・
    「さて、お二人。まだ意識はあるかな?」
    榊が立ち上がり、縛られたままの舞華と絢に聞いた。
    舞華は顔を歪めながらも、わずかに微笑んで頷いた。
    絢も黙ったまま目で、大丈夫と答えた。
    「さすがだ。じゃあ、このスイッチを持たせてあげよう」
    榊はそう言いながら、二人の縛られた手の中に小さな箱を持たせた。
    ちょ、先生。それっ。遥が慌てた表情でこちらを見ている。
    二人が握ったスイッチボックスからそれぞれ長いケーブルが延びて、遥の股間に繋がっていた。
    「二つのスイッチを同時に押したときだけハルカのバイブが動く仕組みだ。・・さあ、お嬢さんたち、刑を執行してくれるか」
    舞華と絢が揃って答えた。
    「はい」
    遥の両足の間で鈍い音が響いた。
    「やあぁっ!!」
    遥の首が仰け反った。
    「ひゃっ、やんっ、・・・」
    その身体ががくがくと揺れる。
    バイブを内蔵したディルドが胎内で暴れている。
    思考が停止し、すべての意識が股間に向いた。

    遥

    ・・遥ちゃん、可愛い。
    舞華は思った。
    自分をこんなに見事に逆さ吊りにした遥が、今は縛り上げられてバイブに喘いでいる。
    バイブのスイッチを操作するだけで、遥を好きなだけ責めることができるのだ。
    手元のスイッチを止める。振動が止まって遥の肩ががくりと沈む。
    すぐにスイッチを入れる。遥はバネに弾かれたように仰け反って再び声を上げる。
    「あ、ああっ、あんっ・・」
    遥ちゃん、ごめんね。おもちゃにして。
    でも、女の子を苛めるのって、面白いわね。
    ・・お姉ちゃん、可愛い。
    絢も思った。
    今まで自分を思うように縛ってきた姉が、今は自由を奪われてバイブに翻弄されている。
    ハル姉、あたしと同じ、とってもエッチでマゾなんだ。
    手元のスイッチを止める。全身から力が抜けてぐったりとする遥。
    スイッチを入れ直す。再び身体をがくがくと動かして悶える遥。
    「がぁっ、はぁんっ、ひぃんっ・・・」
    いっぱい苛めてあげるね、お姉ちゃん。
    妹の思いのままにされてるって、考えるだけで気が狂いそうになるでしょ?
    ・・
    ・・
    1時間後。
    拘束を解かれた舞華、遥と絢がソファに並んで座り、マスターが入れてくれた飲み物を飲んでいる。
    彼女達の手足には縄の痕がくっきりと刻まれていた。
    絢が舞華と遥に何かささやいた。女3人が同時にくすくすと笑う。
    「皆、元気になったようだな」榊が話しかけた。
    3人は榊に顔を向けて微笑む。どの顔も被虐の後の満足感に満ちていた。
    「先生、」遥が身を起こして立ち上がった。
    「今日は本当にありがとうございました」
    「おう。で、どうだった?」
    「先生のこと、この鬼っ、って思いました」
    「わはははっ。それは光栄だ。今度はそちらの二人も俺が地獄に連れて行ってやろうか?」
    遥は舞華、絢と顔を見合わせ、何かをうなずき合う。
    「こら。男に分からんテレパシー飛ばし合うんじゃない」
    「すみません、先生。・・二人は、私にだけ、縛られたいみたいです」
    「え? そうなの?」
    うふふ。舞華と絢が笑った。
    「弟子に負けるとは思わなかった」榊は頭をかきながら言う。
    「・・それで、ハルカはこれから縄師としてどうするんだ?」
    「訪問緊縛を続けます。私を待っていて下さるお客様もいますし」
    「そうか」
    「でも、先生のイベントにも呼ばれたら行きます。へっぽこですけど、前座で縛らせて下さい」
    「おう。ライバルは多いから、覚悟して来い」
    「はい、それはよく分かってます。・・それと、」
    「何だ?」
    「先生の気が向いたときだけでいいですから、私をステージで縛って下さい。どんな責めでも受けます。縄師の修行にもきっと役立ちますから」
    「責められることも縄師の修行か。男の俺には真似できないことだよ」
    「えへへ。先生、羨ましいって思いました?」
    「アホ。師匠をからかうんじゃない」
    「私、いつか縛る方も縛られる方も一流になって、先生の方から縛らせて下さい、って言わせて見せますから」
    「お前、冗談もいい加減に、・・」
    「先生、大好きですっ♥」
    遥は榊に抱きついて、頬にキスをした。
    「わ、ハルカ、こら!」
    遥はしばらくの間、榊に抱きついたまま離れなかった。
    「お姉ちゃん」突然、絢が遥に言った。
    「お尻、出てるよ」
    「!?」
    遥は自分の腰に手をやる。
    めくれあがったミニスカートの下から、下着を穿いていない尻がぺろりとのぞいていた。
    そういえば、ディルドを挿入されたときからずっとノーパンのままなのであった。
    遥はスカートの裾を押さえ、深呼吸して、それから悲鳴を上げた。
    「きゃあ~~っ!!」



    ~登場人物紹介~
    高院遥(こういんはるか):21才。女性緊縛専門の縄師。
    高院絢(こういんあや):17才。高校2年生。遥の妹。
    北大路舞華:24才。遥と絢の従姉妹。かつて中学生縄師の被縛モデルをしていた。
    榊悠然:プロ縄師。遥の師匠。

    大変お待たせいたしました。Sisters 第10話をお届けします。
    遥さんの卒業試験、というと大げさですが、縄師として、またM女としてひと皮むけるお話です。
    舞華さん・絢ちゃん・遥さんの3人がそれぞれ縛られる様子を1ページに収めたので、各シーンの描写は少々詰まり過ぎた感じがあります。
    満足のいく出来ではありませんが、これ以上遅れるのも忍びないので、ここであきらめてアップすることにします。

    イラストは3人分を描いたので、ただでさえ遅れているのに一層時間がかかってしまいました。
    以前から公約していた通り、遥さんの緊縛姿を描いてみました。
    童顔でときには妹の絢ちゃんよりも幼く見えるイメージで描きましたが、どうでしょうか?
    背景を変えた絵を pixiv に投稿しますので、よろしければ、そちらもご覧下さい。

    3人がコスプレで制服を着用したア◯ナミラーズは、社会人になった最初の年に同僚に連れられて一度だけ行ったことがあります。
    何の予備知識も持たずに行ったので、あのウェイトレスさんは確かに衝撃的でした。
    まさに、緊縛されるためにデザインされたような制服だと思います。
    (私のイラストではその魅力の半分も描けてませんが・・)
    今は店舗の数も減っているようですね。若かりし頃の懐かしい思い出です。

    さて、次回の Sisters はいよいよ最終回を迎えます。
    当サイトの更新はまだしばらく不安定な状況が続くかもしれませんが、ごゆっくりお待下さるようお願いいたします。
    ありがとうございました。

    Sisters 第9話・静夜思 ~深く、濃密に~

    マンションの玄関を入ったところで、高院絢(こういんあや)が振り返って聞いた。
    「何してるの?」
    ドアの外で姉の遥(はるか)がもじもじしている。
    「いや、なんていうか、ちょっと入りにくいかなぁ、って」
    「ハル姉の家なんだから、堂々と入ってきてよ」
    「じゃあ、お邪魔しまぁす」
    遥はそう言って靴を脱ぐと、泥棒のように爪先立ちで中に入ってきた。
    「・・変わってないんだ、家の中」
    リビングからダイニングを抜けてきょろきょろする。
    「父様と母様、今夜は帰ってこないから、心配しないで」
    「うん」
    「どっちにする? あたしの部屋? それともハル姉の部屋?」
    「そうねぇ」
    縄師を目指した遥がこの家を飛び出したのは2年と半年前。高校卒業と同時だった。
    遥はそれ以来初めて帰宅してきたのである。
    それは、絢との約束を果たすためだった。
    約束とは、遥が縄師になったら、絢のために二人きりの緊縛の時間を持つこと。
    「ここにしよっか」
    遥は応接間のドアを開けて妹に言った。
    ・・
    絢はソファに座り、緊張した面持ちで遥を見上げる。
    普段着のブラウスとミニスカート姿。揃えた膝の上で両手を合わせていた。
    「そんなに固くならないでいいから」
    「だって」
    「そうだ。これを父様と母様に」
    「?」
    遥は大きな封筒を出した。
    「私が持ってきたって言ったら驚くだろうから、郵便で届いたとか言ってくれる」
    「うん」
    封筒の中身は色紙だった。
    そこには、遥らしい丁寧な文字で漢文が記されていた。
    「ハル姉が書いたの? まだ習字やってたんだね」
    「書道って言ってよ。これは李白の漢詩だよ」
    「リハク?」
    絢は色紙をながめる。ぜんぜん読めなかった。
    「リンゼンカンゲッコウ?」
    「しょうぜんにげっこうをみる、って読むの」
    「あたし、古典ぜんぜん駄目なんだもん」
    「大丈夫。父様と母様ならきっと分かるから」
    「なら、渡すだけだよ」
    「いいよ。・・それから、これだったら興味あるでしょ?」
    「うわぁ♥」
    次に遥が鞄から取り出したのは、縄束だった。
    訪問緊縛の仕事で使っている麻縄である。それはよく使い込まれていて、柔らかそうだった。
    「綺麗な縄」
    「私の一番の財産だよ。いろんな女の人の汗や油をいっぱい吸い込んだ縄」
    「え」
    姉の言い方に絢の胸がどきんと鳴った。
    「あ、心配しなくて大丈夫だよ。ちゃんと汚れは落としてるし、密蝋クリームを塗りこんで綺麗にしてるから」
    そういう意味で驚いたんじゃないのにな。ハル姉、早とちりは変わってない。
    「どうしたの? 何笑ってるのよ」
    「何でもないよ。・・ね、これで何人くらい縛ったの?」
    「うーん、そうねぇ。延べで、120~30人くらいかな」
    「120人!?」
    ハル姉はそんなにたくさんの女性を縛ったのか。
    絢は縄に見入る。
    100人以上の女の肌に絡み付いて、自由を奪ってきた縄。
    そう思うと、ただの縄にものすごい妖力が秘められているような気がした。
    「ねぇ、ハル姉のお仕事、教えてよ」
    「私の仕事?」
    「うん。どこでどんな人を縛ってるの? ほら、この間は太ったおばさんを縛ってたじゃない」
    「ああ、あのご夫婦」
    それは、とあるマニア夫妻の家だった。
    夫から妻の緊縛を依頼されて訪問した遥と、被縛のアルバイトで訪れた絢が偶然出会ったのだった。
    2年ぶりの再会で絢はいきなり遥に縄を受けることになったのである。
    「私のお客様はね、夫婦のときもあるけど、一人暮らしの女性が多いの」
    「一人暮らし?」
    「そう。OLさんとか学生さん。・・パートナーがいない人、いても相手にその趣味がなくって縛ってもらえない人。一人でSMバーとかに行く勇気がない人」
    「へぇ、ハル姉にぴったりの仕事だね」
    「どうして?」
    「だって昔から言ってたじゃない。女性による女性のための仕事をしたいって」
    「うふふ。本当だ」
    「繁盛してる?」
    「まぁまぁね。でも毎月行って縛ってあげてる人もいるよ」
    「やっぱり。・・ねぇ、そういう人って、縛られたら綺麗? 色っぽい?」
    「うんっ、とっても」遥は力を込めて肯定する。
    「どの人もね、すごく可愛くて綺麗になるわ。目を閉じて感じるときの表情とか、とってもセクシーで、もう、こんな姿を私一人で見せてもらっていいのかって思うくらい」
    遥はそう言って笑った。絢も笑う。
    「その上、お金までもらってでしょ?」
    「そうそう!」
    「あはは」「うふふ」
    やがて遥は縄束を解き、応接セットのテーブルの上に並べた。
    「じゃ、今日は絢がお客様。代金はいただかないけどね」
    「うんっ」
    遥は絢の耳元に口を近づけて、ささやくように言った。
    「あーやを、綺麗に、セクシーに、してあげる」
    絢は顔を赤らめて、嬉しそうにうなずいた。
    ・・
    遥は絢に白布で目隠しをした。
    「あーや、目隠しされるの、好きだったよね」遥が楽しそうに言う。
    「いじわる」絢が答える。その声は決して目隠しを拒んでいなかった。
    「両手を前で揃えて」
    差し出された手首を合わせて縄で縛る。
    そしてソファに絢を仰向けに寝かせ、両手を頭の上に伸ばさせた。
    「腰、浮かして」
    「ん」
    スカートを脱がせた。
    続いてブラウスの胸元に遥の手がかかり、ボタンを上から順に外して行く。
    全部のボタンを外し終えると、ゆっくりと、じらすようにブラウスがはだけられた。
    「はぁ・・」
    目隠しをされているので姉のしていることは見えないけれど、それでも絢は自分がブラとショーツだけの下着姿にされたことは分かっていた。
    上に伸ばした手を無意識に動かそうとして「動いちゃ駄目」と怒られる。
    慌てて手を上げ直し、身を固くして姉の次の作業を待った。
    しばらく間が開いた。

    「・・絢、すっかり女の身体になったね」
    「やだ、あたしを見てるの?」
    「そうだよ。絢も知ってるでしょ? お姉ちゃん、美少女を観察するのが大好きだって」
    「あたし、美少女なんかじゃないよ」
    「何言ってるの。絢はときびりの美少女だよ」
    ぷち。
    「!」
    ブラのフロントホックが外された。
    「あーやのおっぱい♥」
    「やだ・・」
    絢は見られていることを意識した。
    「そんなとこ見ないでよぉ、お姉ちゃん」
    「こら、動くな!」
    「ひーん」
    乳首がつんと固くなるのが自分で感じられた。それはハル姉にもはっきり分かっているだろう。
    あぁ、何で。こんな。
    自分を見ているのは男性じゃない。女同士なのに。お姉ちゃんなのに。
    その乳首に突然柔らかいものが触れた。右側の乳首だった。
    「はぁん!」
    背中まで突き抜けるような衝撃に。絢は頭をのけ反らせる。
    「えへへ、あーやの乳首に初めてキス♥ しちゃった」
    胸が苦しい。下半身がじゅんっと音をたてたようだった。
    はぁ、はぁ。
    「次は」
    まさか。
    「はい、そのまさか、だよ」
    ショーツの左右に手がかかり、一気に引き下ろされた。
    「やあっ!!」
    「絢のすべてを見るからね」
    「やぁだぁ~っ」
    「毛深くなったんだね、中学の頃よりも」
    「イヤ! そんな・・」
    そんなふうに言わないで。
    言葉が続かなかった。
    絢は、何も言えずに、ただ姉に見られる場所を意識した。
    「あーやのあそこ、ピンク色に染まって綺麗」
    あ、あ・・。
    そこに遥の手がそっとかぶさるのが分かった。
    「中はもう濡れてるの?」
    あ、あ、あああ。
    何も抵抗できなかった。
    姉の手は、ただ、やさしくそこを押さえているだけだった。
    それでも絢は動けなかった。
    まだ手首を縛られただけなのに。目隠しをされただけなのに。どうして、こんな。
    も、もう、あたし。
    「お、お姉ちゃん、」
    「なあに?」
    「縛って。・・ぎゅっと、縛って」
    「え?」
    「い、いじわる、しないで。早く縛ってよぉっ」
    「うふふ」
    「!!」
    絢の唇に遥の唇が押しつけられた。その唇はしばらく離れなかった。
    思考が停止する。
    どれくらいの時間が過ぎたのかわからなかった。
    「この間のお返し」
    もう何も答えられなかった。
    身体の隅々までエクスタシーが満ちて、絢はもう、横たわっていることしかできなかった。
    両手の拘束が解かれた。
    「お望み通り、ぎゅうぎゅうに縛るね。あーやの綺麗で可愛い身体を」
    「あ・・」
    絢は小さな声を出すのが精一杯だった。
    ・・
    絢ちゃん

    高手小手に組まれた腕と胸の上下に縄が掛かっている。
    縄で絞られた乳房が盛り上がり、淡いピンクに染まる。
    別の縄が下腹部から股間に割り込んで、絢の下半身も包み込んだ。
    遥の縄は、とても優しくて、そして絶対に許してくれなかった。
    絢は目隠しで視界を奪われたまま、縄の刺激に悶え続けた。
    17才の少女のココロとカラダが、きゅんきゅんと音をたてた。
    ・・
    目を開けると、前に遥が座って微笑んでいた。
    お姉ちゃん?
    「気がついた? あーやのイッちゃった顔、可愛くて色っぽかったよ」
    「やだ・・、もう、」
    無意識に手を上げようとして、自分がまだ縛られたままであることに気づいた。
    「あーや、綺麗」
    遥が絢の頬を両手で押さえて、再びキスをした。
    「ん・・、」
    絢は目を閉じて受け入れた。
    ・・
    縄を解かれた絢は黙って遥に抱きつき、しばらく泣いた。
    やがて落ち着くと、服を着て、それからお茶を入れた。
    長い時間をかけて、二人はお喋りをした。
    別々に暮らした2年間の出来事を語り合った。
    互いの思いと、相手への気持ちを語り合った。
    ときどき絢が涙を流し、ときどき遥が涙を流した。
    遥が帰っていったのは、深夜、ほとんど日付が変わる頃だった。
    ・・
    ・・
    翌日、帰宅した両親に絢は色紙を渡した。
    「遥さんから!?」「あの子はどこで何をしてるんだ!?」驚いた母親と父親が聞く。
    「分からないわ。手紙も何も入ってなかったし、封筒には姉さまの名前しか書いてなかったもの」絢が答える。
    「これは、・・『静夜思』だな」父親が色紙を見ながら言った。
    セイヤシっていうの?
    絢が思っていると、父親が朗じた。

    静夜思

      牀前(しょうぜん)月光を看る
      疑うらくは是れ地上の霜かと  
      頭(こうべ)を挙げて山月を望み
      頭を低(た)れて故郷を思う

    しばらく誰も何も言わなかった。
    部屋の中の空気が少し澄んだような気がした。
    やがて、母親がハンカチを出して目の下にあてた。
    「本当に、あの子ったら、どこでお月様を見てるのかしらね」
    「もう2年半になるか。・・長い旅をしているようだな」
    父親もどこか感慨深げだった。
    「母さん、心配しなくていいよ。遥はこの家のことは忘れていない」
    「そうですね。・・きっと帰ってきますよね。こんなものを書いてよこすんですから」
    絢にはさっぱり分からなかった。
    いったい、父様と母様はこれを読んで何を思ったんだろう?
    ハル姉はこの漢詩で何を伝えたかったんだろう?
    まったく理解できなかったが、絢には両親が安心したらしいことだけは分かった。

    ハル姉、うまくいったよ。
    よく分からないけど、お姉ちゃんの気持ちはちゃんと伝わったみたいだよ。

    この日から、この色紙は高院家のリビングに永く飾られることになった。



    ~登場人物紹介~
    高院絢(こういんあや):17才。高校2年生。遥から初めて縄を受けたのは中学1年生。
    高院遥(こういんはるか):21才。絢の姉。高校を卒業したとき縄師の修行のため家を出た。

    姉妹が久しぶりに二人だけの時間を過ごすお話です。
    本格的に縛る前の前戯(?)で絢ちゃんをトロトロにしたテクニック、遥さんはいったいどこで身につけたんでしょうね^^。

    遥さんが色紙に書いた『静夜思』は李白の五言絶句の超名作です。
    詩文の意味はネットのあちこちに解説がありますので、興味のある方は検索して調べてみて下さい。
    実は私は、この天空から降り注ぐ月光のイメージに緊縛された少女を重ね合わせて、『静夜思』をモチーフにしたSSを書こうとしたことがあります。
    しかし、私の力量ではこの詩のスケール感に適うストーリーを完成させることができませんでした。
    ちょっともったいない気もしますが、独立したSSはあきらめて、本話で遥さんから両親へのメッセージに使うことにした次第です。

    イラストは初めての全裸の緊縛絵です。
    通常なら着衣緊縛しか描かないのですが、本話では普通の着衣のシーンはないので、思い切って描いてみました。
    結果は・・・、まあ笑って許して下さい。

    さて、絢ちゃんと遥さんの物語も佳境にさしかかってきました。
    Sisters はあと2回で最終話にしようと思います。
    最後までお楽しみいただければ幸いです。

    ありがとうございました。




    Sisters 第8話(1/2)・フェティッシュサイトモデル ~五月と静子、連縛~

    「逢坂ケンジさん? もしかして Artistic Rope の?」
    「そうだよ。静子ちゃん、知ってるの?」
    「あっと、あのサイトは18禁でしたよね。知らなかったことにして下さい」
    「そういうことにしておくよ。・・それでね、その逢坂くんが五月ちゃんのことを聞いて、サイトのモデルをしてくれないかって頼まれたんだ」
    「Artistic Rope のモデルですか?! きゃあっ、素敵ぃ~っ」
    電話の向こうから坂本静子の歓声が響き渡った。山内はその声の大きさに携帯電話を耳から遠ざけて苦笑する。
    山内は、江田五月が半年前に緊縛のアルバイトを始めたとき、最初に五月を縛った客だった。
    そしてそのとき事前に山内と面接したのが五月のマネージャーを自称する坂本静子である。
    「でも、サイトのモデルってことは、五月の写真が公開されちゃうんですか?」静子が質問した。
    「ああ、それは逢坂くんも考えてくれてるようだよ」
    逢坂ケンジはセミプロの写真家で、個人で運営している Artistic Rope というフェティッシュサイトで緊縛写真を発表していた。
    縄に拘束された女体をモノクロ写真でオブジェのように表現する作品は、SM緊縛の分野にとどまらずアートとして広く評価されていた。
    山内は緊縛愛好家の交流で逢坂と知り合い、そこで江田五月の話になったのだった。
    やたら明るく元気な真性Mの女子高生がいると聞いて、逢坂は興味を示した。
    「サイトには公開するけれど、顔と名前は出さないし、ヌードも撮らないと言ってくれてるよ」
    「それだったら、大丈夫です。嬉し~い!! ・・じゃなくて、五月はきっと喜びますよ~っ」
    「じゃあ、五月ちゃんと会ってもらえるんだね」
    「はいっ。えっと、山内さんも来るんですか?」
    「いや、彼は一人でモデルと向き合うタイプだから。後は逢坂くんと直接段取りしてくれるかい」
    「了解です!」
    山内は逢坂の連絡先を伝えて、電話を切った。
    「うふふ。楽しみです~」
    最後に静子が言ったセリフが耳に残った。
    坂本静子って、あんなにはしゃぐタイプの子だったっけ?
    ・・
    ・・
    ローライズのショートパンツとチビTシャツを着た江田五月がスタジオに入ってきて叫んだ。
    「すご~いっ!」
    スタジオの中央には白いシーツのダブルベッド。そしてバックには白い壁紙を貼ったパネルと柱。
    天井からはたくさんのパイプや鎖が吊り下がっている。
    そしてそれらを取り囲むように配置されたレフ板とライト類。
    そこは、五月が今まで縛られてきたSMホテルや個人宅のプレイルームにはない、写真撮影のための設備が揃っていた。
    「こんなところで写真を撮ってもらうなんて、プロのモデルさんみたい!」
    「プロのモデルになったつもりでいいよ。・・僕はプロのモデルを使ったことはないんだけどね」
    そう答える逢坂ケンジは身長185センチの背の高い男性だった。
    「えーっ、逢坂さんのモデルさんってプロじゃないんですか?」
    「違うよ。サイトに載せているのは普通の女性だけだよ」
    「それであんなに美人ばかり?」
    「五月ちゃんは僕のサイトを見てくれてるの?」
    「はい。あたしもこんなに綺麗に縛られたいなって思いながら見てます」
    「それは嬉しいな。・・モデルに応募してくれる人が、たまたま綺麗な人ばかりなんだよ」
    逢坂は肩に掛けていたカメラケースをテーブルに置きながら言った。
    「僕は写真で仕事をしてるけど、緊縛写真はただの趣味なんだ。ここだって貸しスタジオだし、撮影助手もいない。・・衣装もメイクも照明も、それからロープワークも、全部僕一人でやるんだ」
    「じゃ、今日は逢坂さんとあたし、二人きりなんですね?」
    「そうだよ。・・怖い?」
    五月は逢坂の顔を下から見上げるようにして笑った。
    「怖いです」
    「え」
    「逢坂さんが怖いんじゃないです。・・あたし、逢坂さんに縛られて、自分がどうなっちゃうのか分からなくて怖いんです」
    逢坂は一瞬驚いた。この子は僕を誘惑しているのか?
    「お願いします」五月が頭を下げた。
    「あたし、まだ17のガキですけど、他のモデルさんと同じように縛って下さい。いえ、それより厳しく縛って下さい。・・どんなに厳しくても構いません。あたしを、ただのモノにして下さい」
    ・・
    まぶしいライトの中で五月が後ろ手に縛られて身をくねらせていた。
    ショーツひとつの上に逢坂が用意した男物のワイシャツをまとっている。
    「五月ちゃん、どんな気分?」
    「気持ちいいです。逢坂さんの縄」
    五月は自分を縛る縄を味わうかのように両手に力を入れてもがいてみせた。
    「うん、綺麗だ」
    ピ。・・カシャ、カシャ。
    撮影音が響くと、五月は目を閉じて切なげな表情をした。
    ・・この子は、教えてもいないのに。
    「カメラの音、気持ちいい?」
    「はい。自分のこんな姿を撮られてるって思うだけで、どきどきします」
    「縛られて撮られるのは、やっぱり恥ずかしいかい?」
    「もうっ。恥ずかしいに決まってるじゃないですかぁ」
    逢坂は新しい縄束を持ってきた。
    五月の足首を合わせて縛り、そこからさらに脛と膝、太もものつけ根まで6箇所を縛った。
    「あぁん・・」
    五月が我慢しきれないような声を出す。
    「ちゃんと立ってられる?」
    「大丈夫、です」

    五月ワイシャツ緊縛

    ピ。・・カシャ、カシャ。
    はぁ、はぁ。
    静かなスタジオにカメラの音と縄で縛られた女子高生の息遣いが響く。
    「まだまだ平気そうだね、五月ちゃん」
    「や、そんなこと、・・ないです」
    「そうかな。ぜんぜん物足りないって顔に見えるけど?」
    「やだ・・。苛めないで下さい」
    「五月ちゃん、自分で楽しんでるでしょ?」
    苦し気だった五月の顔が、急に普通になった。
    「分かりますか?」大きな目で逢坂を見て聞いた。
    ああ、やっぱり、この子は。
    「やっぱり不自然かなぁ。すみません。白けさせちゃって」
    「そんなことはないけど」
    「あたし・・」
    「?」
    「その、感じてないんじゃないです。逢坂さんの縄、刺激的で、もう、すごくドMです。・・ただ」
    五月の顔が少し赤らんだようだった。
    「もっと、もっと、みじめに、壊して欲しいかな、って」
    逢坂は山内の語った言葉を思い出した。
    『・・で、その高校生の両手を背中で縛ったら、これじゃ物足りない、高手小手にして手首を吊り上げろ、足もきつく縛れって要求されましたよ』
    そうか、この子が「どんなに厳しくても構わない」って言ったのは本当の気持ちだったんだな。
    僕の本気度が試されてる訳か。
    「あ、こんなこと、女の子の方からお願いするなんて、もしかして気分悪くしてたら、ごめんなさい!」
    「いや、大丈夫だよ」
    逢坂は照明のライトを落とした。
    あれ?
    五月が不思議に思っていると、いきなり抱き上げられた。
    「きゃっ」
    「もっと僕も本気になろう。・・五月ちゃんの希望の通りに」
    「あ、はい。お願い、します」
    ・・
    五月をベッドにうつ伏せに寝かせて、膝を折らせた。
    両足を7箇所で縛る縄が食い込み、生足がソーセージのようにくびれた。
    「んあっ」
    五月が眉をひそめながら声をあげた。
    「痛いだろう?」
    「・・だ、だいじょーぶ」
    「無理に頑張らなくてもいいよ。痛くしてるんだから」
    「くぅっ」
    膝を折り曲げたまま、別の縄で足首と腰を連結して膝が伸びないようにした。
    「これは五月ちゃんの足に縄の痕を刻むのが目的なんだ。五月ちゃんを苛めるためにやってるんじゃないからね。・・苛められてるって感じるのは自由だけど」
    「は、はい」
    「このまま2~3時間も置いたら綺麗に縄目ができるよ。1週間くらいは残るかな?」
    「い、いっしゅーかん? やぁだぁ!!」
    「みじめに壊して欲しいって頼んだのは、五月ちゃんだよ?」
    「あぁっ」
    「昔縛った女の子が言ってたんだけどね。『諦める』って気持ちは一度味わうと忘れられないそうだよ」
    「あきらめ・・? あたし、あきらめないと、いけない?」
    「そうだね。諦めて、学校でも家でも縄目のついた足で過ごすんだ。五月ちゃんが縄で縛られて喜ぶ女の子だって、みんなにばれちゃうね」
    「ひぁっ!!」
    逢坂は手を離して五月の顔をのぞき込んだ。
    五月は両目をぎゅっと閉じて、何かに耐えているような様子だった。
    逢坂は五月の額の髪を少し撫でて、それから五月の傍を離れた。
    壁に掛かった時計を見上げ、それが五月からは見えない角度にあることを確認すると、ドアのノブに手をかけた。
    「じゃあ、2時間ほどしたら戻ってくるから」
    「え?」
    五月が慌てて振り返ると、逢坂の出ていったドアが閉まるところだった。
    ・・
    下半身の縄が両足をじんじん締め上げている。
    ネットで見た緊縛写真が頭をかすめた。
    がんじがらめに縛る縄が女体に食い込んだ姿は、もう人間の身体とは思えないほどだった。
    ああ、あたしの足も、生ハム。
    両足に力を入れて動かすが、痛みが強くなってすぐに止めた。
    だめ、逃れられない。
    ・・『諦め』って気持ちは、一度味わうと忘れられなくなるよ。
    逢坂の言葉がよみがえった。
    あたし、このまま2時間放置される。
    あきらめ。絶望の気持ち。あたしは今、無力だ。
    どきん。どきん。
    下半身の痛みとは別に、胸がいっぱいで息が苦しい。
    はぁ、はぁ、はぁ。
    あたしの太もも、綺麗にくびれるかな?
    縄目の刻まれた肌を想像する。
    柔らかい肌に縄の痕。・・素敵かも。
    どきん、どきん。
    あぁっ、我慢できない!
    五月は全身の筋肉に力を入れて逆海老に反り返る。
    下半身を固められたままベッドの上でくるりと寝返りをうって回った。
    仰向けになると、折り曲げた足首と脛に体重が掛かって、縄の締めつけが一層きつくなった。
    「はぁん!!」
    無意識に声が出た。
    そのまま締め上げられる感触と痺れるような痛みを味わう。
    はぁ、はぁ、はぁ。
    どきん、どきん。
    ・・
    逢坂がスタジオに戻ってきたのは20分後だった。
    このスタジオは廊下からガラス越しに中を眺めることができる。
    逢坂は廊下で缶コーヒーを飲みながら五月の様子を見ていたのだった。
    縄目を刻むだけのために2~3時間は不要である。
    あまり長い時間、肌を縄で締めつけていると内出血で紫色に鬱血する場合すらある。
    2時間と言ったのは五月への嘘で、実は最初から早い時間で戻ってくるつもりだった。
    「五月ちゃん、いい感じになったね」
    「・・逢坂さん?」
    「縄を解こう」
    「もう2時間過ぎたんですか?」
    「まあ、そんなところだよ」
    まず五月の後ろ手の拘束を解く。
    それから足首と腰を連結する縄を外して膝を伸ばし、両足を縛る縄を上から順に解いた。
    下半身に血流がどっと戻る。
    「はんっ」五月は両手を握りしめてこわばった。
    「痺れるでしょ?」
    「はい、・・あぁ!!」
    逢坂が五月の脛を揉んだのだ。
    「きゃ!! もう、逢坂さんの意地悪!」
    五月は痺れる足を押さえて、もがきながら笑った。
    ・・
    五月の生足の肌にはくっきりと縄目が残っていた。
    「はぁ、すごいです・・」
    「じゃあ、次に行こうか。五月ちゃん」
    「はい?」
    「やっと材料の下ごしらえが済んだところだからね」
    きゅん。
    「あの、材料って、あたしのことですか?」
    「もちろん」
    「あぁっ。あたし、これから本格的にお料理されるんですか?」
    「そうだよ」
    きゅん、きゅんっ。
    「あぁ、逢坂さん。そんな言い方されたら、あたし、きゅんきゅんが止まらない」
    「五月ちゃん、とっても色っぽくて綺麗だよ。その気持ちでいてくれたら、きっと美味しい料理になるよ」
    きゅん、きゅん、きゅんっ。
    「あぁっ。・・もう、」
    五月は自分の胸を押さえながら、言った。
    「・・お、お願い、」
    「ん?」
    「お料理ができあがったら、逢坂さん、食べてくれますか」
    「え」
    五月の顔はもはや真っ赤になっている。
    「あ、あたしを、食べて欲しい、です」
    「・・五月ちゃん、我慢できなくなったんだね」
    逢坂は五月を見下ろして言った。
    今までの撮影でも、モデルの女性が性感に耐えられなくなって逢坂を誘惑することは何度もあった。
    そういうときに落ち着かせてあげるためには。
    逢坂はやおら五月の腰に両手を回すと、力を入れて強く抱きしめた。
    「はうっ・・!! あ、・・んっ」
    五月は全身をがくがくと震わせた。ほんの短い時間、身体の隅々までエクスタシーがあふれた。
    逢坂が離れると、腰の力が抜けてベッドに力なく倒れ込む。
    「五月ちゃん、僕はコックなんだ。お客じゃない。料理を食べるのは、サイトの写真を見てくれるお客さんだよ」
    「はぁ、はぁ・・」
    「だから、これ以上抱いてあげたりはしない。五月ちゃん、その気持ちを大事にして、縄を受けてくれるかな」
    「は、はい」
    「少し落ち着くまで待ってあげる」
    ・・
    しばらくして五月の呼吸が落ち着いた。
    「大丈夫かい」
    「はい。さっきはすみませんでした。・・あの」
    「何?」
    「あたしのこと、どうしようもない、えっちな女の子だって思いました?」
    「いいや、そんなことはないよ。マゾっ気のある子なら、誰だってあんな風になって不思議はないんだから」
    「ありがとうございます。・・本当言うと、あたし、今もまだすごくえっちな気分です」
    五月は逢坂をじっと見て言う。
    「本当は、今すぐオナニー始めたいくらい」
    「え」
    「でも、今は頑張って逢坂さんの縄を受けて、いいお料理になります。・・オナニーはお家に帰ってからいっぱいやります!」
    「おいおい」
    「んふふ」五月は笑った。今までのおどけた笑いとは違う、色気を感じさせる笑い方だった。
    ・・
    逢坂は五月の両手を再び後ろ手に縛った。今度は手首の位置が前よりずっと高かった。
    バストの上下に縄を回して、胸を締め上げる。
    「高手小手で縛られるのは初めてじゃないんだっけ」
    「あ、はい。・・でも逢坂さんの高手小手が一番素敵です」
    「光栄だね」
    五月は逢坂の縄を受けながら性感に包まれて陶然としていた。
    あたし、乳首つんつんだ。あそこだってぐっしょり。
    もう机の角でも何でもいい、何か硬いモノを押し当てたくってしかたないよ。
    きっと逢坂さん、何もかも分かってる。
    でも、それでいい。あたしのすべては、逢坂さんのお料理の材料なんだから。
    「はぁ、・・あん」
    ついつい甘い声が出るが、それはもう演技でも何でもなかった。
    逢坂は天井から金属のパイプを降ろし、五月を開脚させて左右の足首をパイプの両端に縛りつけた。
    「吊るすよ」
    「はい」
    五月の身体が上下逆になり、そのまま空中に浮かび上がった。
    今まで吊られたことはあるけど、こんなにぶらんと吊られる逆さ吊りは初めてだった。
    ・・あぁ。気持ちいい!!
    両足に逆向きに掛かる体重が気持ちよかった。
    ゆっくり頭に血が上ってくる感覚も気持ちよかった。
    「幸せそうな顔だね」
    「はい。幸せです」
    「そんなに嬉しそうな顔をされたら、ずっと吊っておきたくなるよ」
    「逢坂さんだったら許します。このまま、あたしが死んじゃうまで吊るされても」
    「言うねぇ」
    照明のライトが明るく点灯した。
    その眩しさに五月は思わず目をしばたかせる。
    ピ。・・カシャ、カシャ。
    再びカメラの音が聞こえた。
    逢坂がカメラを手持ちにして、五月の足を舐めるように撮っていた。
    ああ、そうか。・・太ももの縄の痕。五月は自分の足に残る縄目を意識した。
    綺麗に撮って下さい。
    あたしの肌に刻まれた縄の痕。
    しばらく消えない、緊縛の証拠。

    五月ワイシャツ逆吊

    ・・
    ・・
    五月は逢坂の車で駅前まで送ってもらった。
    「サイトに写真載るの、楽しみにしてますね!」
    「掲載するときは連絡するよ。・・それから、五月ちゃんに謝ることがあるんだ」
    「え? 何ですか」
    「その縄の痕のこと」
    五月は自分の足を見た。
    ショートパンツから生えた生足には、相変わらず縄目があざやかに残っていた。
    「あたしコインロッカーにジーンズ置いてますし、それ穿いて帰りますから・・」
    「実はね、1週間残るって言ったのは嘘。無茶な締めつけはやってないし、多分、月曜日には消えると思う」
    「嘘? じゃあ、すぐに消えちゃうんですか」
    「五月ちゃんがあきらめた顔を見たかったんだけど、あんなに色っぽい顔で感じてくれるものだから、参っちゃったよ」
    「もうっ」
    「何か、痕が消えるのが残念みたいな顔してない?」
    「足隠すのが大変だから困るなーっとは思ってましたけど。・・でも、あたしの身体に消えない痕が刻まれるのも、ちょっと素敵かなって」
    「はあ?」
    「そんな呆れた顔で見ないで下さいよぉ。・・もう、いいです。どうせ、あたしドMの変態ですから!」
    二人は互いに見つめ合い、それから同時に吹き出した。
    「あはは。五月ちゃんのこと気に入ったよ」
    「きゃはは。あたしも逢坂さんのこと大好き」
    「また縛らせてくれるかい」
    「はい、喜んで♥」
    車は駅前のロータリーに止まった。
    五月が降りて、バッグを肩にかける。
    「そうだ! ねえ五月ちゃん」
    「はい」
    「坂本静子ちゃん、いるでしょ。五月ちゃんの友達の」
    「はい」
    「今度、静子ちゃんの緊縛、できるかな」
    「静子を縛りたいんですか?」
    「うん。山内さんから、彼女も多分そういうこと嫌いじゃないって聞いてるんだ」
    「そうですね。・・うん、そうかも」
    「五月ちゃんから頼んでくれないかい。今度、僕のスタジオで縛られてみませんかって」
    「分かりました。静子は、縛られたことはないけど、逢坂さんだったらOKだと思いますよ」
    「それはよかった。ありがとう!」
    「いいえ、うふふ」
    「じゃあ、また。五月ちゃんと静子ちゃんのJK連縛、楽しみにしてるよ」
    「はいっ、さようなら!」
    逢坂の車は走り去っていった。
    五月も駅に向かって歩き出す。
    えへへ。JK連縛だって。面白いな。
    え? 連縛?!
    江田五月であり、坂本静子でもある高院絢はその場に立ち止まった。
    え~っ? どーしよお~!!

    続き




    Sisters 第8話(2/2)・フェティッシュサイトモデル ~五月と静子、連縛~

    電話の向こうで北大路舞華が言った。
    「えぇっ? できるわけないじゃない。五月ちゃんと静子ちゃんが一緒に縛られるなんて」
    「そうなんだけど、OKしちゃったの・・」絢が困り果てた声で答える。
    「絢ちゃん、賢くやってると思ってたのに、馬鹿ねぇ」
    「言わないでよぉ。嬉しくなってちょっと失敗しだけなんだから」
    「で、どうするの?」
    「だから相談してるのよぉ~っ」
    「そうねぇ。そうだ、静子ちゃんの代わりに、あたしが行って縛られるってのはどうかしら?」
    「あのね、逢坂さんはマイ姉ちゃんくらいのモデルさんには困ってないの。五月と静子はね、高校生だから縛りたいって誘われてるのよ?」
    「大丈夫よ。あたしだって制服着たらばっちり女子高生に見えるから」
    「もう。冗談~っ」
    「はっきり言うわねぇ」
    「・・ねぇ、それで、いったいどうしたらいい?」
    「自分でまいたタネなんだから、自分で解決しなさいっ、て言うところだけどね、普通だったら」
    「普通だったら?」
    「うふふ」舞華はもったいをつけるように話す。
    「今、絢ちゃんが相談すべき相手は、あたしじゃないでしょ」
    「え?」
    「ほら。この間、再会した人がいるんじゃなかったかな?」
    「あ」
    絢は舞華との電話を切ってしばらく考えた。
    それから机の引き出しからメモ用紙を出した。
    絢はそこに書かれた番号をダイヤルして、相手が出るのを待った。
    ・・
    ・・
    逢坂のスタジオに江田五月と坂本静子がやって来た。
    「逢坂さん、こっち静子ちゃんっ」五月が静子を紹介する。
    「坂本です」
    「あ、どうもっ。逢坂です。よろしく!」
    「逢坂さん。静子はね、ちゃんとした緊縛を受けるのは初めてなんだからね。大切に大切に縛ってあげて下さいね!」
    「それはもちろん。いや今日が初縄とは感激です」
    「あ、いえ。そんな」静子はぎこちない様子で応える。
    五月と並んだ静子は五月よりも背が低く見えた。
    髪を後ろで括り、黒縁の眼鏡をかけている。
    化粧っ気はほとんどなく、派手な五月に対して地味な印象である。
    服装も五月のショートパンツとチビTに対して、静子はロングスカートにブラウスだった。
    「えっと、衣装は聞いてたサイズで用意してるけど、静子ちゃんは7号でいいんだね?」
    「はい」
    逢坂が用意していたのは高校の制服で、アイドルドラマか萌えアニメに登場するような派手な色使いのものだった。
    当然、スカートは限界まで短い。
    「可愛い!」五月は制服を手に喜ぶ。
    「でも、これ普通に立ってるだけでもパンツ見えちゃいそうですねっ」
    「そうだね。だから下着は見せパンで揃えてあるよ」逢坂がにやにや笑いながら言った。
    「きゃぁ~、縞パン♥ ほら静子、見て!」
    「やだ、・・私も、これ、着るんですか?」静子が困ったようにつぶやいた。
    「当たり前でしょ~。こんなに可愛い制服なんだよ? きっと静子も素敵な、女・子・高・生♥に見えるから。ねっ」
    五月は「女・子・高・生」の部分に間を置きながら嬉しそうに言った。
    静子は一瞬五月を睨み着けるような顔をしたが、やがて「もうっ」と言ってすぐにブラウスのボタンを外し始めた。
    「・・ちょ、ちょっ。静子ちゃん。着替えは更衣室があるから」逢坂が慌てて更衣室のドアを指差す。
    「あ、すみません」
    「静子! 今、あたしも一瞬、恥かしかったわよっ」
    「何言ってるのよ。あんただって、いつもサービス過剰の格好で歩き回ってるでしょ? それでよく風邪ひかないもんだと思うわ」
    「だからって、どこでもほいほい服脱いで着替えたりしないわよ」
    「どうせ、縛られるんだから、気にしてもしかたないじゃない」
    「それとこれとは別なの!」
    二人はお互い言い合いながら更衣室に入っていった。
    逢坂は笑いながらそれを見送り、そして思った。
    あの二人、友達というより、姉妹みたいだね。
    ・・
    五月と静子が女子高生のスタイルで並ぶ。
    その後ろに逢坂が縄束を持って立った。
    「じゃ、五月ちゃんから」
    「はいっ、お願いしまっす!」
    逢坂は五月の両手を背中で組ませて縄を掛けた。五月は顔を赤らめながらも嬉しそうに縛られてゆく。
    「次、静子ちゃん。いいかい?」
    「はい」
    逢坂が静子の背中に立つと、静子は自分から両手を後ろで組んだ。
    ん?
    静子は合わせた手首を背中から浮かして待っていた。
    逢坂は一瞬驚く。
    これは、縄師が縄を通し易いように、縛られ慣れたM女がする気配りだ。
    五月が横から元気な声で言った。
    「逢坂さんの縄、痛くないからね。大丈夫!」
    「あぁ、・・どきどきしてます。心臓が止まりそう」静子は逢坂を横目で見ながら言って、恥ずかしそうに笑った。
    気のせいか?
    逢坂は静子の手首を固定し、そのまま胸の上下に縄をまわした。
    静子は五月よりも小柄で細身だが、バストはふくよかで身体も柔らかい感じだった。
    この子、脱いだらいい身体してるぞ。
    「あ・・」静子が小さくうめく。
    上下を絞られた乳房が前方に突き出した。
    「静子、おっぱい案外大きいんだぁ」五月が遠慮なく口に出す。
    「もうっ。五月! そんなにはっきり言わないで。恥かしいんだから」静子が静かに文句を言った。
    逢坂は五月と静子を背中合わせに立たせて、カメラを構えた。
    ピ、カシャ、カシャ。
    シャッターの音が響き始めると、二人の少女はうなだれて言葉がなくなった。
    「少しうつむいて。・・そうそう。そのまま背中の相手を意識して」
    カシャ、カシャ。
    いいぞ。二人ともいい雰囲気だ。
    特に初縄の静子が照れも嫌がりもせず、素直に緊縛を受け入れていることに、逢坂は感心した。
    これならまだまだ大丈夫だな。
    逢坂は五月と静子の背中の縄を連結して、二人を密着させた。
    天井から下ろしたフックで背中の縄を吊り上げ、二人の踵を浮かせぎみにする。
    「大丈夫だね?」
    二人が問題なく耐えていることを確認して、それぞれ、口の上からガムテープを貼った。
    「君達は誘拐された女子高生だよ。・・助けは来ない。このまま吊られて、もうすぐ犯人の思いのままにされるんだ」
    五月の肩がびくりと震えた。
    五月は周囲をゆっくり見回し、逢坂と視線が合うと目を閉じて顔を背けた。
    そのまま耐えられないように両手と両足の筋肉に力を入れて、ゆっくりともがいている。
    ・・さすがだ。もう、なりきったか。
    この子はその気になりさえすれば、囚われの高貴なお姫様にだって、自分から両足を開くような奴隷女にだってなれる。
    今、彼女の中では犯人に弄ばれる少女の恐怖と不安、そして被虐の願望が渦巻いている。
    「ん、・・んっ、・・んん!!」
    とろり、とろり。
    生まれついてのMの資質が五月の中から溢れている。
    五月は捕縛された女子高生に身も心もなりきることで、比べようのない快感に浸ることができるのだ。
    ・・
    さて、静子はどうしているのだろうか?
    じっと前方を見ていた静子は、逢坂の視線に気づくとこちらを見た。
    その表情は落ち着いていて、とても初縄を受けた女子高生には見えなかった。
    静子には恐怖も不安もなく、かといって五月のような性的な興奮もないようだった。
    彼女は緊縛をごく自然に受け入れていて、まるで、自分が縛られるのは女として当たり前のこと、と考えているかのようだった。
    ふと、静子の表情が和らいだように見えた。
    逢坂は驚いた。・・この子、ガムテープの猿轡の下で笑ったのか?
    逢坂は静子の眼鏡を外し、その顔を両手で挟んで正面から話しかけた。
    「静子ちゃん。縄が気持ちいいのかい? それとも、もっと縄を増やして欲しい?」
    二番目の質問は冗談のつもりだった。
    しかし、静子は逢坂の掌に挟まれた顔をはっきり縦に振ったのだった。
    逢坂は、落ちついていると思っていた静子の瞳の中に、ちろちろと燃える赤い炎のようなものを感じた。
    それは静子自身の被虐の願望だと理解した。
    「そうか」逢坂は小さな声でつぶやいた。
    ジャッという音がしたので五月が振り返ると、逢坂がガムテープを引き出したところだった。
    「?」
    逢坂は20センチほどに切断したガムテープを眼鏡を外した静子の目の上に直接貼り付けた。
    ・・
    逢坂は別の縄束を出した。
    今まで使っていたものよりやや細めの縄だった。
    静子の腰に縛りつけて、縄尻を静子の制服のスカートの下へ引き下ろした。
    「・・んぁっ」静子が初めて大きな声を出した。
    静子の両足の間を抜けた縄をさらに五月の両足の間に通し、そのまま前に引き上げて五月の腰に縛りつけた。
    「・・んっ、ん!!、んん~っ!!」
    「ごめん、五月ちゃん。二人で同じ責めを受けてもらわないと、写真にならないんだよ」
    逢坂はそう言って、五月にも目隠しのガムテープを貼り付けてしまった。
    続いて、天井の別の滑車を使って新しいフックを降ろし、二人の背中の間を通して尻の高さまで下げた。
    そしてそのフックを二人の股間を貫通する縄に掛けて、外れ止めをセットした。
    「静子ちゃん。いい声を出してくれるかい。五月ちゃんも一緒にね」
    「?」
    目隠しのために何が起こっているのかわからない二人が首をかしげている。
    逢坂はロープを引いてフックを引き上げた。
    「・・んいぃ!!!」
    「・・んあぁ!!!」
    五月と静子が猿轡の下で同時に叫んだ。
    二人の踵が浮き上がって完全に爪先立ちになるまでフックを引き上げると、逢坂はフックが下がらないように滑車を固定した。
    二人は両足を内股ぎみにこすり合わせながら、動かせない身体を精一杯動かして耐えている。
    どちらかの身体が不安定に揺れるたびに、股間に割り込んだ縄が自分だけでなく背中合わせの相手にも刺激を与えた。
    「静子ちゃん、とってもセクシーで綺麗だよ。女の子に生まれてよかったかい?」
    「んんっ! んぁあっ!」静子が逢坂の言葉に反応するかのように、首を仰け反らせて喘いだ。
    「五月ちゃんも、今日はこれが運命だと思って、諦めてくれるかい?」
    「んんっ!、んんん!!」五月も声を出して喘いだ。
    ・・ピ、カシャ、カシャ。
    逢坂は二人にカメラを向けてシャッターを押した。
    この写真はサイトには使えないな。そう思ったが、撮るのを止めるつもりはなかった。
    五月と静子はまるでどこかのスイッチが入ってしまったかのように、もがき、喘ぎ続けている。
    「ん、ん、ん、んんん~~っっ。んあぁ・・!!」
    五月の腰ががくがくと揺れたかと思うと、股縄の下から透明な液体が噴出した。
    それは五月だけでなく背中合わせの静子の足も濡らして床に流れた。
    ・・
    ・・
    五月と静子が逢坂の車から降りて挨拶をした。
    逢坂の車は走り去り、残された二人は並んで歩きだした。
    五月が静子に言った。
    「ありがと、ハル姉」
    静子は黙って黒縁の眼鏡を外し、鞄から別の眼鏡を出して掛けて言った。
    「こんなこと、これっきりだからね」
    もちろん、五月に扮していたのは高院絢。静子に扮していたのは高院遥である。
    遥は絢の四つ年上の姉で、女性緊縛専門の縄師をしている。
    妹よりも身長が低く童顔ぎみなので、絢と同じ学年の静子に扮することができたのだった。
    「それにしても驚いたわ。いきなり絢が電話してきてあたしと一緒に縛られて!なんて頼むんだから」
    「ハル姉、縄師の仕事をしてて、縛られることってあるの?」
    「あるよ。師匠の弟子で女は私だけだから、新しい縛り方の実験台とかさせられるし、モデルが足りないときの応援とかでも縛られてる」
    「そうか。それで縛られ方も決まってたのかな」
    「そう見えた?」
    遥は少し嬉しそうに笑う。
    「あの逢坂さんって人、縛りも女の子の責め方も上手で感心したわ」
    「でしょ? あたしのお客さんで最高の人だよ」
    「ま、私もたまには師匠以外の縄で勉強できてよかったかな」
    「ハル姉の喘ぎ声、初めて聞いたけど、すごく色っぽかったよ。女のあたしでもどきどきしたもん」
    「ば、ばか。何言ってるのよ」
    「ハル姉、顔赤い」
    「こら、お姉ちゃんをからかうな。あんたなんか潮吹いてじゃないっ」
    「あ~、言ったなぁ。あれ、死ぬかと思うほど快感だったのにぃ」
    「うふふふ。実はお姉ちゃんも、すごく快感だった」
    「きゃはは」
    「そうだ」
    遥は鞄から包みを出して絢に渡した。
    「はい、これ」
    「え、何?」
    「この間、誕生日だったでしょ? 17才の」
    「うわあっ。開けるね!?」
    プレゼントの中身は香水だった。
    「絢はフローラル系のが好きだったと思って」
    「きゃあっ、ハル姉、大好き!」絢は遥に抱きつく。
    「こ、こら。街なかで」
    「いいじゃないっ。ごろにゃん!」
    「もう」
    苦笑いしながら遥も抱きつく妹の背中に手をあてて撫でた。
    「・・ねえ、絢。聞こうと思ってたんだけど」
    「なあに」
    「あんた、どうしてこんなアルバイトやってるの?」
    「!」
    「あ、絢?」
    絢は遥に抱かれたまま顔を上げた。きっと睨んだ目からぽろりと涙がこぼれる。
    「わかんないの? あたしをこんな女にしたの、ハル姉なんだよ?」
    「あ・・」
    「いろんな人に出会えてよかったと思ってる。でも、本当はね、ハル姉に縛られる代わりにこんなこと始めたんだから」
    「・・ごめん」
    「それに、」
    「?」
    「このアルバイトしてたら、ハル姉に会えるかなって、思ってた。・・それで本当に会えたんだけど」
    「そうか」
    遥は絢の背中をもう一度撫でた。
    「私、絢にいっぱい謝んないといけないね。こんなにお姉ちゃんのことを思ってくれる妹を放り出して」
    絢は黙って遥の胸に顔をうずめた。
    「・・ねえ、ハル姉、」やがて絢が言った。
    「家に帰って来ない? 父様も母様もきっと許してくれるよ」
    「ごめん。それはまだ、無理」
    「じゃ、じゃあ、また縛ってくれる? 昔みたいに」
    「・・」
    「前に会ったとき、ハル姉の縛りがすごく上手になっててびっくりしたよ。・・お姉ちゃん、本当に縄師になれたんだなって思った」
    「絢・・」
    「お姉ちゃん、家を出る前、約束してくれたじゃない。縄師になったら縛ってくれるって」
    「そうだったね」
    遥は絢の頭を撫でた。
    「わかった。縛ってあげる。・・あーやの望むように。あーやの好きな縛り方で」
    「きっとだよ」
    「うん。約束」
    「じゃあ、約束のしるし」
    絢は遥から離れると、少し膝を曲げて姉にディープキスをした。
    「え? ・・きゃぁ!」
    遥が目を見開いて、あわてて絢を押しのけた。
    「絢。・・何するの」
    「きゃはは。ハル姉、悲鳴は昔と変わってないね!」
    「もうっ。こら! 絢!」
    絢はあっかんべーをして逃げ出した。
    遥はしばらくあきれたように妹を見ていたが、やがて笑いながら追いかけて行った。



    ~登場人物紹介~
    高院絢(こういんあや):17才。被縛アルバイトをしている高校2年生。江田五月(えださつき)はアルバイトの偽名。坂本静子は五月のマネージャーを演じるときの偽名。
    高院遥(こういんはるか):21才。絢の姉。実家を飛び出して女性緊縛専門の縄師になった。
    逢坂ケンジ: 28才。フェティッシュサイト Artistic Rope 主宰の写真家。
    山内: 江田五月を最初に縛った中年男性。
    北大路舞華:24才。絢のアルバイトの秘密を知っている、絢と遥の従姉妹。


    皆様、猛暑+節電で大変な中、お元気でしょうか。
    管理人都合により更新間隔が少し開いて申し訳ありませんでした。

    今回のメインは、ドMを突き進んでエロエロになってしまった五月ちゃん、そして五月の分身である静子を演じてくれるお姉ちゃんの遥さん(ややこしい!)との連縛シーンです。
    どちらも大いに楽しみながら執筆した結果、またもや量が増えて7話に引き続いての増ページ版となってしまいました。
    ほとんどが逢坂さんのスタジオ内のシーンなので、単調さを感じる方がおられたら申し訳ありません。

    本シリーズもいつの間にか8話にまで達し、絢ちゃんと遥さんの関係もひとつ壁を越えたようです。
    そろそろ、終わり方を考えようと思います。
    さてここで、坂本静子というキャラクターについてネタばらしをします。
    五月と静子は絢が演じる仮想の女子高生ですが、さらに静子については遥さんにも演じてもらって五月(=絢)と連縛することを当初から目論んでいました。
    そのため、髪の毛とか眼鏡とか遥さんとあまり相違ない姿をイメージして表現するようにしてきました。
    第8話にしてようやく二人を連縛して上げることができ、静子に感謝しています。
    (静子の出番は多分これで終わりです)

    イラストは、Artistic Rope に掲載されるモノクロ写真のイメージで2枚描きました。
    本当はあと1枚、五月と静子の連縛シーンを描きたかったのですが、描ききれませんでした。
    遥さんの緊縛絵はまだ描いてないので、最終回までに何とか1回は描いてあげたいと思っています。

    ありがとうございました。




    Sisters 第7話(1/2)・女縄師のお仕事 ~高院遥の華麗なる24時間~

    「きゃぁ~!!」
    高院遥(こういんはるか)が台所で悲鳴を上げた。
    「どうしたっ」同居人の木場裕巳(きばひろみ)がダイニング兼居間から声をかけた。
    「ゴ、ゴキ、ゴキ・・」
    遥は震える手で流し台の下を指す。そいつもこちらの様子をじっとうかがっているようだ。
    「よーし、待ってろ」
    「は、早く来てよぉ。どっかに隠れちゃう」遥が情けない声で頼む。
    裕巳が丸めた新聞紙を手に台所にやってきた。
    遥は片手にお玉を持ったまま、台所の奥の壁にぴたりと背をつけて、ゴキブリとにらめっこしていた。
    「遥はこっちに出て待ってろ」
    「駄目」
    「どうして」
    「あ、足がすくんで動けない」
    しゃあないなぁ。
    裕巳は新聞紙を振りかぶる。狙いは流し台の下だ。
    ぱしり。当たった!!
    いや、そいつはわずかにかわして逃げ出した。すばらしいスピード。
    ぱしり。ぱしり。何度も叩くが、間に合わない。
    そいつが向かう先には遥がいた。「や、や、や」情けない声を上げている。
    そいつは奥の壁に突き当たると、遥のショートパンツの素足を這い上がり、膝の上で止まった。
    よし、そこなら!
    すかさず叩く。床に落ちたところをもう一回、叩く!!
    「やったぞ」
    ゴキブリは仰向けになって動かなくなった。長いヒゲだけがぴくぴく動いている。
    ティッシュでつまんで水洗トイレに流した。
    「片付いたよ。・・大丈夫かい?」
    遥は最初とまったく変わらないポーズで硬直していた。
    「遥?」
    「び、びぇ~っ。あ、足あし足の上、登ってきたぁ~!!」
    はぁ。これが、新進気鋭の女縄師なのかねぇ。
    とりあえず、コンロの火を消して遥の手に握られたお玉をまな板の上に置いた。
    「よしよし。怖かっんだね」遥の頭をなでてやる。
    「びぇ~ん!!」
    遥は裕巳に抱きついた。
    ・・
    遥と裕巳はおよそ1年前に知り合った。
    たまたま居酒屋で隣に座って意気投合し、2ヶ月後に遥が訪問縄師の仕事を始めたときから同棲している。
    国立大学の工学部のオーバードクターで研究室の技官をしている裕巳にしてみれば、遥の縄師という仕事はまったく異世界のものだった。
    遥が見せてくれた写真には、様々に緊縛された女性が写っていた。
    中には全裸で開脚して逆さ吊りになっている写真もあって驚かされた。
    自分で撮ったデジカメ写真だから、何ひとつ隠すところなく鮮明に写っている。
    「これ全部、遥が縛ったの?」
    「うん。えへへ、ちょっと刺激的すきたかしら?」
    「そうだね。でも、意外と綺麗なものだと思ったよ、緊縛って」
    「でしょ? もっと綺麗に縛れるよう、まだまだ修行中なんだけどね」
    「遥は僕も縛りたいの?」
    「私が縛るのは女の子だけだよ。でも、裕巳に興味あるなら縛ってあげてもいいよ。そうか、縛りたい方だったら、私がコーチ兼モデルしてあげるよ」
    「僕はどっちも遠慮するよ。でも遥が夢を追いかけて日本一の縄師になれるようには応援するよ」
    「優しいんだね、裕巳。ありがとうっ」
    こうして、裕巳は遥の仕事に直接触れることなく、そして遥も裕巳にそれ以上強要することなく、一緒に暮らしている。
    互いの仕事や過去のことには不必要に立ち入らず、それ以外は共有する生活は、二人にとって心地よい大人の関係であった。
    ・・
    ゴキブリ騒ぎで遥が平静を取り戻すまで30分かかり、それから裕巳は遅刻して大学に出ていった。
    その後、遥は洗濯と掃除をする。またゴキブリが出ないかドキドキしたが幸い何にも出くわさずに片付いた。
    スーパーで買物を済ませ、午後から書道教室のアルバイトに行く。
    高校時代に毛筆検定2級資格を取っていたことと、遥の書を教室の先生が気にいってくれたことで、遥は小学生に習字を教える講師をしているのだ。
    訪問縄師の仕事で得られるお金は不安定なので、収入的には書道教室の方が本業である。
    優しく丁寧に指導する遥は子供に人気があり、保護者の評判もよかった。
    もちろん、この小柄で温厚な「高院先生」が実は女性緊縛専門の縄師であることは書道教師の誰も知らない事実であった。
    書道教室の小学生クラスは午後6時まで。
    その後ファーストフードのサンドイッチで夕食を取ってから、いよいよ訪問緊縛サービスの仕事に向かう。
    ・・
    独り住まいのアパートに遥を迎えたお客は磯川敦子。27才で公務員だという。
    「これを、使ってもらえるでしょうか」
    敦子がそう言って恥ずかしそうに遥に渡したものは、カプセル型の赤いローターである。
    ケーブルで繋がった手元の電池ボックスからコントロールできるようになっている。
    「きゃあ♥、可愛いっ。いつも使ってるんですか!?」
    遥がローターを見て歓声を上げたので、敦子は少しずっこける。
    「あ、はい。その、一人でいるときに」
    「ですよねっ。彼氏には見せられないですよね。女の子の方からピンクローター見せたりしたら男性って引くんですよね。女だって、ローターくらい使うわよ! って言いたいのにね~」
    「いえ、あたし、お付き合いしている人はいなくって、ずっと一人なんです」
    「あ、そうですか。ごめんなさいっ。私、気にさわること言っちゃったかしら」
    「いいえ。・・くすっ」敦子は口に手をあてて笑った。
    「?」にっこりしなから首をかしげる遥。
    「縄師さんって、もっと怖い感じの人かと思ってました」
    「あ、私、怖くないですか? やっぱり」
    「ええ、ぜんぜん」
    「うーん。私、こんなチビで中学生に間違われるような見かけしてますからね、縄師の威厳っていうか、重々しさが足りないな、とは思ってるんですよ。でも、先生に言われたんですけどね。あ、先生っていうのは私の緊縛の師匠なんですけど」
    遥は勢いよく喋り続ける。敦子は笑いながら聞いている。
    「・・別にそれでいいじゃないか、お前にはお前の持ち味があるからって。・・だから」
    遥は自分の胸をどんと叩いた。
    「私、決めたんです。お客様に親しみを感じてもらえる縄師になろうって。・・ほら、女同士じゃないですか。仲のいいお友達とぺちゃくちゃお喋りしながら縛ってもらう、そんな感じでもいいかなって」
    「・・遥さん、いい人なんですね」
    敦子が言った。「あたし、ローターのこと、お願いするの恥ずかしかったけれど、平気になりました」
    「そうそうっ。ぜんぜん恥ずかしくないですっ」
    「あたし、いつも自分を縛ってローター使うんです」
    「自縛ですか?」
    「はい。下着の上にローターを当ててジーンズ穿いて、膝をロープかガムテープでしっかり縛って、それで手首は下げられないように、ドアのノブに縛るとかして」
    「あ、それ、もしかして、自分を壊すオナニー」
    「知ってましたか? それでローターの振動が最高になるようにして、コントローラーを放り出すんです」
    「うわぁ。・・どうなりますか?」
    「電池が切れるまで、そのままです。何度もイッて、意識をなくして、気がついては、またイッて」
    「・・敦子さん、あたしが縛る必要ないんじゃないですか」
    「もう自縛じゃ駄目なんです」
    「・・」
    「何時間も悶え狂って、とことん堕ちる気持ちを味わっても、最後は自分で縛めを解くんです。自縛は自分で解けるから自縛なんです」
    「・・じゃぁ、」
    「あたし、人に縛ってもらうのは初めてです。あたしを自分では解けないように縛って、それでローターを当てて下さい」
    敦子の目が妖しく光り始めている。願望を口に出すだけで身体が熱くなっているようだった。
    「実はあたし、来月結婚するんです。相手の人は普通の男性です。このローターも処分するつもりです」
    「そうだったんですか」
    「お願いです。絶対に逃れられない絶望感を味あわせて下さい。・・ああ、あたし本当に変態です。でも、一回だけ、たった一回だけ、経験したいんです」
    「敦子さん・・」
    遥はしばらく敦子の顔を見て考えていたが、やがて言った。
    「分かりました。・・ただ、ご結婚されたら、ご主人になる男性を愛して下さいね」
    「ええ、もちろんです」
    「ご主人のペニスもですよ」
    「あ、・・はい」
    「よかった。じゃ、縛りましょう」
    ・・
    遥は麻縄を出した。
    あまり締め過ぎないよう注意して敦子を後ろ手に縛った。
    敦子はTシャツとショーツだけの姿である。
    胸の上下には縄が巻きついて、やや大ぶりなバストをいっそう大きく見せていた。
    左右の足は膝で折って、それぞれ太ももと脛をまとめて縛った。
    そして太もものつけ根からウエストにかけて柔らかい細引きで縛り、ショーツの下に埋めたローターが外れないように押さえつけた。
    既にそのショーツは、黒い茂みがはっきり透けて見えるほどに濡れている。
    「はぁ・・、は、恥かしいです」
    敦子は自分の股間を見下ろして、小さな声で言った。
    「恥かしいなんて言ってられなくなりますよ。生まれて初めて縛られた気分はどうですか?」
    「胸がいっぱいです。すごくすごく、息ができないくらい。・・この縄、もう自分では絶対に解けないですよね」
    「はい、絶対に無理ですね。敦子さん、もう私の思いのままなんですよ」
    「ああ、そうやって言われるだけで刺激的です」
    「では最後の確認ですけど、ローターが自然に止まるまで何があっても助けない、ということで本当にいいですか」
    「はい」
    遥はローターのコントローラーを敦子の背中の手に握らせた。
    「じゃあ、心の準備ができたら、後は自分で地獄に落ちて下さい」
    敦子は黙って遥を見た。その目はもう十分潤んでいるようだった。
    やがて彼女は深呼吸をして、少し微笑んだ。
    そしてスイッチをMAXまで入れてコントローラーを放り投げた。
    ブブブブブ。ローターが鈍い音をたてる。
    敦子は両目をぎゅっと閉じ、すぐに声を上げた。
    「あ、あああああ、・・・ひっ、やぁああああ」
    全身がバネのように跳ねる。
    「あ・・、あたし、あたし、・・・ひ、・・ああ!!」
    そのまま床に転倒し、縄が食い込んだ身体を激しく仰け反らせる。
    「や、やん。・・そんな、み、見ないでっ、くださ・・・。は、ああん!」
    遥の視線に気付いて喘ぎながら訴える。
    ・・
    うらやましいな。遥は思った。
    この人の感じるエクスタシーは肉体と精神の両方から由来するのだ。
    初めて他人から緊縛されて、そのままローターを当てられて放置される。
    絶対に助けてもらえない運命。何十分か何時間か、いつ終わるとも分からない間ローターに苛められ続ける。
    逃げようのない被虐感。もがき、喘ぐほどに増加するみじめさ。
    しかし、そうなるように仕向けたのも彼女自身なのだ。
    遥は考える。
    この人は自分のことを理解している。
    自分が、自ら望んで被虐の世界に堕ちるような女であること。
    自分が、自縛ではもの足りずに縄師の遥を呼んで縛られるような女であること。
    何て業の深い女なんだろう。何て破廉恥な女なんだろう。
    それを思うと、せつなくなるのだ。
    そして、ローターで乱れ狂う時間がみじめであればあるほど、せつなさも増しますのだ。
    みじめさとせつなさが互いに補い合いながら、どんどん高みに登って行く。
    否が応でも頂点に登り詰めるのだ。
    そして頂点を過ぎたら、一度転がり落ちて、また登り始める。
    彼女の肉体と精神が崩壊しない限り、そしてローターの電池が保つ限り、このループは永遠に続くのだ。
    ・・
    約15分後。
    「あ、・・・・い、・・・・ひ」
    敦子は首をのけ反るようにして、そのまま静かになった。
    遥はすぐに彼女の眼球と呼吸を調べる。大丈夫。
    ブブブブブ。ローターが鈍い音でうなり続けている。
    遥は敦子の脇に膝をついて、ずっと寄り添い続けた。
    ・・
    敦子は3回失神し、その度に目覚めては再びもがいた。
    次第に声が小さくなっていったが、それでも目覚めている間は最後まで喘ぎ続けた。
    4回目に意識を失うと、まもなくローターが動かなくなった。
    スイッチを入れてから2時間半だった。やるな単3電池。
    遥は敦子の拘束を解放した。
    バッグからタオルを出して台所で絞り、涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔を拭く。
    ローターを外すと、粘性質の液体が長く糸を引いた。
    ショーツの中は洪水のようで、タオル1枚ではとても拭いきれなかった。
    そもそも拭いている最中からこんこんと湧き出てくるのできりがなかった。
    えっと、どうしよう? 遥は少し困る。
    これじゃ、帰れないよねぇ。
    ・・
    薄暗がりの中で敦子が目を開けると、隣に遥が座っていた。
    「あ、敦子さん。気分はいかがですか?」
    「遥さん?」
    敦子は、毛布に包まっていた。
    「ごめんなさい。風邪を引いちゃうといけないので濡れた下着は外しました。クローゼットに毛布があったので、汚したら悪いと思ったんですけど使わせてもらいました」
    「あ、あたし・・・。今、何時ですか?」
    「えっと11時過ぎです」
    「え、そんな時間!?」
    慌てて起きようとすると毛布がはだけた。毛布の下は何も身につけていなかった。
    敦子は自分の胸を押さえて小さな悲鳴をあげ、遥はくすりと笑った。
    ・・
    遥が敦子のアパートを辞したのは12時前だった。
    素敵なM女さんだったな。
    「結婚しても、また縛ってもらえますか」なんて頼まれちゃったよ。あ~あ、案の定。
    新婚の旦那様を差し置いて私が縛れるはずないのにねぇ。
    そうだ、男の人向けに女性の縛り方教えます、ってやったらどうかな。カップルとか夫婦をお客さんにして。
    たっぷり縄で愛されて、その後は彼のペニスで愛してもらう。
    きゃあっ、理想的っ。
    それにしても、私、初めて「ペニス」なんてお客様の前で言っちゃった。
    愛の指南師、高院遥、なんちて。えへへ。
    遥は一人で言って笑う。
    ・・ぐぅ。お腹が鳴った。
    早く帰ろう。最終電車には間に合いそうだ。
    鞄の中で携帯電話が鳴った。
    はいはい、お腹が鳴ればケータイも鳴る。裕巳かな?
    「おー、ハルカか?」
    「先生!?」
    電話の相手は、遥の師匠である榊悠然(さかきゆうぜん)だった。
    年寄りっぽい名前でもまだ35才の縄師である。
    遥は榊の元で1年半、緊縛技術を修行したのだった。
    「今な、生畑のスタジオなんだが、来れるか」
    「あのですね、先生。いったい何時だと思ってるんですか」
    「ん、今何時だぁ? もう深夜か。ここは外の天気も分からんのだよ」
    師匠の榊から仕事の手伝いで急に呼び出されるのは初めてではない。
    弟子である以上、お世話になった先生の元に何としても駆けつけるのは義務である。
    「わかりました。また亜文化レーベルの撮影ですか?」
    「いや、それがAVじゃなくてな、誘拐シーンの再現ビデオなんだ。どっかのテレビで使うらしい」
    「テレビですか。珍しい」
    「おうさ。女優は17才の女子高生だぞ」
    「こんな時間に17才? ・・それ、まずいんじゃ」
    「知ってるさ。俺らにそんなことをとやかく言う権限がないこともな」
    可哀相に、その子。
    撮影スケジュールが押してくると、深夜労働だの言ってられなくなるのは遥にも分かる。
    それに法律を意識すべきは現場の責任者である監督であって、一介の縄師には関係のないことである。
    「すぐに行きます。タクシー代、ちゃんと出ますよね」
    「おー、大丈夫だ。待ってるぞ」
    遥は裕巳に今夜は帰れない旨メールを打って、タクシーに飛び乗った。

    続き




    Sisters 第7話(2/2)・女縄師のお仕事 ~高院遥の華麗なる24時間~

    スタジオに入って榊と合流する。
    出演者らしい少女が白いブラウスの制服を着て不安気にパイプ椅子に座っていた。
    「あの子だ。こういう仕事は初めてらしい」
    「ははぁ」
    「縛りは2カットだけ。ただし二つ目は逆海老の吊りで、ワイヤを使って補助吊架(ちょうか)するそうだ」
    「ワイヤって何ですか?」
    「そうか、お前は知らないか」
    ワイヤ吊架とは、女優の衣服の下に着用したハーネス(ベルト)に細いワイヤをかけて吊るすテクニックである。
    緊縛されての吊りシーンの撮影では、ライティングの調整やカメラテストなどの間、女優はかなり長い時間吊られたままで過ごす必要がある。
    これを縄で縛っただけで吊られ続けるのは大変に厳しいので、このような方法を併用するのである。
    またカットの合間で休憩する場合、一度縄を解くと縛り直したときに縄の形が変わってしまう問題があるが、これも緊縛したままワイヤ吊架することで解決することができる。
    画面に写り込んだワイヤは後で画像処理で消去するので、視聴者には縄だけで吊られているように見える。
    注意すべきは、ワイヤに体重をあずけていると縄だけで吊られた場合と比べ不自然なポーズになるので、本番の撮影時だけはワイヤを緩めて縄だけで吊する必要があることである。
    近年、デジタル処理が珍しくなくなって、テレビや映画の吊りシーンではこのような方法が一般的になってきたという。
    「へえ。ドラマの撮影って、そんな技術があるんですか。面白いですね」
    「所詮フェイクだから俺は好きじゃないがな。プロの女優ならワイヤなんぞに頼らず最後まで縄で吊られろ、と言いたいよ。昔の目活映画じゃ、どんな女優も逆さ吊りのまま何時間でも耐えたもんさ」
    「本当ですか?」
    「細かいことは気にするな。えっと、ワイヤ併用するときは、縄の方も注意して掛けないとワイヤが切れたりして危険だから注意が必要だ。せっかくだからハルカもよく見ていけばいい」
    「はい。・・あの、私、今日はそれだけで呼ばれたんじゃないですよね?」
    「おう、そうだ。悪いがあの子についていてくれるか。ここの現場、無神経なことに、衣装からメイクまで全部男しかおらんのだ」
    「あ、本当ですね」
    「17の娘が生まれて初めて縛られるんだ。女のスタッフが傍にいて欲しいと思うだろ?」
    榊の気配りに遥は少し感動する。さすか、私の師匠だ。
    「先生、優しいですね。・・私、今、お嫁さんにして下さいって、お願いしたくなりました」
    「ぶはははっ。アホか。こういうときに調子が良すぎるのがお前の困ったところだ」
    「えへ、すみません」
    「あの子の気持ちをほぐしてくれたら、何なら最初の縛りはハルカにまかせるから」
    「え、させてもらえるんですか!?」
    やったね。テレビでお仕事するのは初めてだ。
    ・・
    少女は近づいてきた遥に気付くと、弾かれるように椅子から立ち上がって挨拶した。
    「おはようございます!! 佐竹由依(ゆい)ですっ。よろしくお願いします!」
    「高院遥です。ハルカって呼んで下さいね。・・あ、そんな堅苦しくしなくてもいいから、座って」
    90度のお辞儀で静止している由依を椅子に座らせる。
    「えっと、由依ちゃんは17才だって? 高校生?」
    「はい。高2です。・・実はテレビのお仕事、初めてなんで、すごく緊張してます」
    うっひゃあ。初々しいなぁ。それによく見たら可愛い子♥。こんな子を縛ってもいいのかしら。
    「私もテレビで仕事、初めてなんですよ」
    「あ、そうですか。えっと、ハルカさんは何のお仕事ですか?」
    「あ、私、緊縛の担当です。由依ちゃんを縛る」
    「え? あたし、縛られるんですか?」
    「そうよ。・・知らなかったの?」
    「何も聞いてません。ただ、事務所でテレビのお仕事やる?って言われて、ハイって応えて来ました」
    由依は急に不安そうな表情になる。
    「あたし、どんな役なんでしょうか?」
    この子はそれも知らないのか。
    「えっと、確か、誘拐された女子高生の役だって聞いたけど、それ以上は私も知らないなぁ」
    「誘拐ですか。・・あ、あの、裸になるんでしょうか!?」
    「それも、聞いてないけど」
    由依は顔を真っ赤にして、自分の胸の前で両手を握り締めた。
    「あ、あ。ハルカさん!」
    「は、はい!」
    「あたし、裸になってもいいですっ。乱暴されてもいいですっ。・・どんな役でも頑張りますから!」
    必死の形相だった。
    「由依ちゃん・・」
    遥は理解した。この子にとってはようやく巡ってきたチャンスなのだ。
    芸能事務所に所属していて17才で初めてのテレビ出演とは、多分、遅すぎるデビューなんだろう。
    だから、再現ビデオでほんの少し登場するだけの汚れ役でも、頑張るしかないのだ。
    「大丈夫」遥は由依の手を両手で握った。
    「今日は最後まで私がちゃんと世話しますから、由依ちゃんは自分のできることを精一杯頑張ってね」
    「はい!」由依はすがりつくような目で、遥の手を握り返した。
    ・・
    遥は麻縄の束を持ってきた。
    まず由依の手首を背中で縛って自由を奪う。
    後は見た目のギチギチ感を表現するために、足首から胸の上にかけて10センチ刻みで徹底的に縄を施す。
    「はぁ~」由依が大きな息をつく。
    「痛くない?」
    「はいっ。大丈夫です」
    突然、由依の姿に妹の絢がかぶって見えた。
    2ヶ月ほど前、遥は偶然再会した絢を縛ったのだった。
    あの子、まだ変なアルバイトしてるのかしら。
    絢も由依と同じ高校2年生だ。そういえば絢ももうすぐ17の誕生日だな。
    プレゼント、贈ってあげようか。
    ・・いけない。今はお仕事。
    遥は頭を振って絢のことを忘れ、由依の緊縛に集中する。
    「この後、目隠しと猿轡もするからね。返事は首を振って頷くだけでいいから」
    「はいっ」
    「じゃ、口開けて」
    「はいっ」
    由依の口にハギレを大量に押し込む。
    「深呼吸、鼻でしてみて。・・はい、大丈夫ね」
    ガムテープを長めに切って口の上から貼った。
    由依は顔を真っ赤にして鼻で呼吸をしている。
    その顔が遥を見上げた。左の目に涙が溢れてぽろりと流れた。続いて右目からも流れる。
    うわぁ。・・駄目だよ由依ちゃん。私、そういうのに弱いのに。
    思わず由依を抱きしめたくなる衝動をこらえた。今、私が抱いたらこの子絶対に大泣きしちゃう。
    心を鬼にして言った。「目隠しします」
    長い白布を折り込んで由依の目を覆った。
    「後は、もう何もしなくていいわ。ただ、なされるがままに従って。・・いい?」
    目隠し猿轡の由依の頭がこっくりと前に振られた。
    よし。大きな声で報告する。
    「緊縛、オッケーです!」
    遥の作業を待っていたスタッフ達が一斉に動き出した。
    ・・
    「3、2、1、スタート!」
    薄暗い倉庫の扉が開き、犯人役の大柄な男性が入ってきた。
    男性は肩に大きな麻袋を担いでいる。
    袋の口から見えているのは、片足だけローファーを履いた女子高生の足。
    どさり。その袋が無造作にコンクリートの床に投げ出される。
    男性は袋の口を解くと、袋の反対側を両手に持ち、乱暴に振って中身を出した。
    全身をがんじがらめに縛られた女子高生がごろりと転がり出た。
    カメラは女子高生の横顔を捉え、そのままズームする。
    少女は目隠しと猿轡を施されていて、その表情を見ることはできなかった。
    ただ、彼女の肩が細かく震えていた。
    横顔から肩、後ろ手に縛られた手首、腰、太もも、膝、爪先。
    少女の全身がゆっくりと舐めるように映し出された。
    「カーット!!」
    スタッフがモニタの回りに集まって映像をチェックする。何度も再生し直して、細かい造作が確認された。
    この間、由依は床に転がされたままである。
    もしNGであれば、即座に麻袋の中に戻されてリテイクになるのだ。
    この撮影はテイク4。つまりもう3回NGとなっていて、彼女は20分近く目隠し猿轡のままである。
    由依が精神的に限界に近づいていることは皆が分かっていた。
    これ以上NGが続くようであれば一度休ませてあげないと、撮影継続は無理だろう。
    「はい、OK!」現場にほっとした空気が漂う。
    遥が駆け寄って、由依の拘束を解放した。
    目隠しを外された由依は涙をぼろぼろ流していた。
    「由依ちゃん、偉いね!!」
    遥が抱きしめると、由依も遥に抱きついて背中を震わせた。
    ・・
    30分休憩して次はワイヤによる吊架のシーンの撮影である。
    由依は制服の下にハーネスを装着させられ、腰の左右に2本のワイヤを架けられた。
    ワイヤ操演スタッフのチェックOKが出ると、今度は縄師の榊の出番になる。
    榊は黙々と由依の身体に麻縄を掛けて行く。その横で遥が師匠の仕事を見ている。
    「い・・」背中で捻った腕に縄が食い込むと、由依が苦しげな声を上げた。
    「すまんな、お嬢ちゃん。ここは緩むと危険だから、ちょっと強く締めるよ」
    「は、はい」
    上半身は胸の上下と二の腕の内側を通る縄で支えるようにし、その上から腕を縛って動かせないようにした。
    そして膝と足首をしっかり合わせて縛り、下半身の体重を受けられるようにする。
    腰は縄は施さずにフリーの状態なので、ワイヤを緩めると支えがなくなって、由依の身体は逆海老にしなるはずである。
    この日初めて縛られる17才の少女には可哀相だが、本番シーンの数分間だけは耐えてもらうしかない。
    「由依ちゃん、頑張ってっ」
    遥が声をかけると、由依は遥を見て少し笑った。
    その目からぽろりと涙がこぼれた。
    「じゃ、吊るよ!」
    ワイヤと縄が同時に引き上げられると由依の身体がふわりと浮かび上がった。
    そのまま上昇し、床から2メートル以上の高さで固定された。

    由依ちゃん待機中 由依ちゃん本番撮影中

    ・・
    ライティングとカメラのポジションの調整、そして犯人役の立ち位置の打ち合わせが続く。
    その間、由依は空中でぽつんと吊られたままである。
    カメラテストが済んで、ようやく本番撮影が始まったのは1時間も後だった。
    なるほど。これは確かにワイヤが必要だわ。遥は納得する。
    プロの緊縛モデルならまだしも、これほどの時間を普通の女の子が吊られて耐えるのは無理である。
    スタッフが由依のワイヤを調整している。
    遥は榊と並んでその様子を見ている。
    「あの娘、難しいかもな」榊がぽつりと言った。
    「難しいって?」
    「んー、縛ってて思っただけだが、ナイーブだし感情が表情に出すぎる。女優としては厳しいかもなぁ」
    「!!」
    遥は驚いた。師匠は縛るだけで、そんなことが分かるのか。
    「・・じゃ、由依ちゃん。腰の支えを外すよー」
    「え? あ、はいっ」(あ、あたし、どうなるの?)
    由依を縛った縄はそのままに、ワイヤだけがゆっくりと降下した。
    え? え? あ、あ、あ・・。
    ワイヤとハーネスで支えていた体重が前後の縄に移動した。
    みし。縄が軋む音が聞こえた。
    少女の身体が残酷な逆海老にしなり、その顔がみるみる苦痛にゆがむ。
    「・・やあぁっ!!」
    すぐにワイヤが引き上げられた。由依の姿勢が元に戻る。
    榊と遥が駆け寄った。「縄は問題ない」縄の状態を見て榊が言った。
    行ける? スタッフが由依に聞く。
    「はぁ、はぁ、すみませんでしたっ。もう一回お願いします!!」由依が答えて、再びワイヤが緩められた。
    「だ、大丈夫ですっ。・・本番、やらせて下さい!」
    逆海老になった由依が言った。今度は悲鳴をあげずに何とか我慢しているようだ。
    大丈夫かね? 皆がそう思ったが、とりあえず撮影を開始する。
    「じゃ、本番っ。・・3、2、1、スタート!!」
    無惨に吊られた女子高生。
    犯人の男性がゆっくり歩んできて、手を伸ばして少女の顎に指を触れる。
    無言で男性をきっと睨みつける少女。
    「カット!! 駄目だよ~」
    由依は、両目をぎゅっと閉じて喘いでいた。
    「由依ちゃん!!」遥が由依の脇に寄って声を掛ける。
    「ハルカさん。・・すみません。これくらい、頑張らないと駄目なのに・・」
    由依の目から再び涙がこぼれた。
    撮影は小休止になり、スタッフが集合した。
    ・・
    「テレビも初めてだっていうし、あの子、難しいんじゃないか」
    「締め切りは9時だぜ。今から代役は間に合わないよ」
    「吊り方を変えようか」
    「後付けでプロデューサーの了解もらえるか?」
    「うーん・・」
    「あ、あの、提案があるんですけど」遥が右手を上げて言った。
    ・・
    由依は相変わらず吊られたままだった。
    もう2時間近く過ぎて身体に食い込むハーネスが痛い。
    短いスカートがまくれ気味なので裾を直したいのだけれど、手足を縛られているのでそれだけのこともできない。
    こうして吊られた自分はモノの扱いなんだと実感する。
    心の中は不安でいっぱいだ。
    あたし、OKが出るまでいつまでも縛られてるんだろうか。そもそもOKなんて出してもらえるんだろうか。
    だいたい、あたしってどうしてこんなに泣き虫なんだろう。
    期待されている演技ができない自分が情けない。どんな役だって受けるって決めたのに。
    気持ちがいっそう落ち込む。
    目の前ではスタッフが集まってずいぶん長く打ち合わせ中だ。
    もしかして別の人に交代させられるのだろうか。
    ・・あれ?
    スタッフが動き始めていた。
    天井から新しいロープを下ろしている。
    遥が上着のジャケットを脱いで、Tシャツとジーンズだけの姿になった。
    そのまま両手を背中で組んだ遥を榊が縄で縛り始めた。
    え、ハルカさん?
    遥はみるみる縛られて行く。由依が縛られたときとは比較にならないスピードだった。
    あっと言う間に遥は全身を縛られて、そのままロープに吊り下げられた。
    スタッフが3人がかりでロープを引くと、遥は跳ね上がるように上昇した。
    遥はしばらく空中で振り子のように揺れていたが、スタッフが押さえて由依の方に顔を向けさせた、
    よく見ると遥の受けた緊縛は由依と同じだった。
    由依のようにハーネスを装着していないので、逆海老に吊られた小柄な身体がいっそうコンパクトになったように見えた。
    「やっほ。由依ちゃん、OKが出るまで私も付き合うわ」遥は眼鏡の中の片目をウインクしながら由依に笑いかけた。
    「ハルカさん!」
    「くぅっ。さすがにきついね~」自分を縛る縄を見上げて、眉をひそめてみせる。
    「ど、どうして・・?」
    「だって、ここの現場、由依ちゃん以外に女は私だけでしょ。こういうときはね、女同士団結して頑張るべきだと思わない?」
    「そ、そんな無茶ですっ。ハルカさんベルトだってつけてないのにっ」
    「大丈夫、耐えてみせるから。これでも私、根性だけは誰にも負けないのよ。可愛さでは由依ちゃんに全然かなわないけどねっ」
    あぁっ。
    由依は胸があふれてまた涙がこぼれそうな気がした。・・でも、でも、ここで泣いちゃ駄目なんだ。
    「あ、あたしだって、根性じゃ、負けませんからっ。一発でOK出して見せますからっ」
    「よし、じゃ、一緒に頑張ろ。負けるなっ、新人!!」
    「はい!!」
    ライトが点灯して由依を明るく照らし出した。
    ワイヤが下がり、由依の身体が遥に負けないほどに逆海老になった。
    「じゃ、テイク2。行くよっ」
    「はいっ。よろしくお願いします!」
    「3、2、1、スタート!!」

    吊りシーン完成映像

    ・・
    午前8時前。
    遥が帰ってくると、裕巳は出かける準備をしているところだった。
    「ごめんね。朝帰りで」
    「いいよ。ちょうど僕が食事当番だったし。・・寝てないの?」
    「うん。完徹だよぉ。む、ふ、ふ、ふ」
    「ハイだねぇ」
    「ね、聞いて聞いて。私、久しぶりにM女しちゃったっ」
    「遥、縛られたの?」
    「うん! 写真見る?」
    遥はケータイのカメラで撮ってもらった写真を裕巳に見せる。
    そこには、逆海老で吊られながら笑っている遥が写っていた。
    「ねえ、これ、すごい厳しい緊縛に見えるけど」
    「うん。きっついよぉ」
    「それなのに、遥は何で笑ってるの?」
    「これはね、一緒に吊られてた女の子の手前、しんどい顔をする訳にはいかなかったの」
    遥は由依の緊縛撮影の顛末を説明した。
    「そうか。女縄師も大変なんだ」
    「分かってくれた? 顔で笑って心で泣いてるんだから」
    「ねぇ、前から聞こうと思ってたんだけど」
    「何?」
    「遥ってSなの? Mなの?」
    「・・うーん」
    「?」
    「私はね、生きとし生ける可愛い女の子の緊縛を愛するの。もちろん、可愛い女の子の中には私自身も含まれるんだけどね!」
    「はぁ?」
    「きゃはは。じゃ、悪いけど、シャワー浴びて寝るー」
    「了解」
    「それからね、今夜は仕事なくてゆっくりできるから、・・その、えっと」
    「何?」
    遥の顔が急に赤くなったようだった。
    「可愛がってほしいな、その、裕己のペニスで」
    「な・・」
    「ごめんなさい! やっぱり私まだそういう言い方無理。今の忘れて!」
    遥はそう言って浴室に駆け込んでいった。
    ・・
    浴室から聞こえていた遥の鼻歌が突然途絶え、替わりに大きな悲鳴がした。
    「きゃぁ~!!」
    「どうしたっ」
    遥が飛び出してきて裕巳に抱きついた。
    「ゴ、ゴキ、ゴキ・・」
    胸に巻いたバスタオルがはらりと床に落ちるのはお約束である。
    「よおし、わかった!」
    裕巳は新聞紙を丸めると、浴室に向かった。
    「うえ上から降ってきたぁ。肩かた肩の上歩かれたよぉ~。・・び、びぇ~ん!!」
    遥の情けない声を背中に聞きながら、裕巳はどうやら今日も遅刻かな、と考えていた。



    ~登場人物紹介~
    高院遥: 20才。訪問緊縛をしている女性縄師。ゴキブリが苦手。
    木場裕巳: 28才。国立大学工学部技官。ただいま遥と同棲中。
    磯川敦子: 27才。自縛オナニーを愛好するM女。
    榊悠然: 35才。縄師。遥の緊縛の師匠。
    佐竹由依: 17才。テレビの再現ビデオに出演する無名タレント少女。

    遥さんのお仕事の情景です。
    いささかハードな24時間になったようです。
    敦子さんと由依ちゃんの二人分、それぞれ濃ゆいお仕事をしたので、本話のボリュームも通常の倍になってしまいました。
    お読みの皆様にも2倍楽しんでいただけたらいいのですが、如何でしたでしょうか。

    今回は2ちゃんねるの二つのスレッドから題材を借りています。
    一つ目は自分を壊すオナニー。そしてもう一つはワイヤーアクションによる宙吊りです。
    どちらも初めて読んだときから大いに興奮させられたネタで、私の脳内で妄想が溢れかえりました。
    私自信に経験がある訳ではありませんので、もしかしたら都合のよすぎる解釈や現実には無理なことも書いているかもしれません。
    この辺りは作者のファンタジーということでお許し下さい。

    ワイヤで吊られた由依ちゃんのイラストは、あれこれ想像しながら描きました。
    ワイヤは腰の左右に2本掛けとしましたが、これだとハーネスは両足の間と腰の回りに装着するようです。こんなに短いスカートだと、多分、パンツの代わりにハーネスが見えてしまうでしょうね。
    ワイヤは背中の上の方に1本だけとする例もあって、その場合は胸部からウエストにかけてハーネスを着用することになるようです。女性のウエストのくびれに締め込んだハーネスはそれだけで体重を支えられるだろうか、などと考えるとまったく興味はつきません。
    こんなことばかり考えて由依ちゃんのイラストを描いていたら、敦子さんのイラストは描く時間がなくなってしまいました^^)。

    なお、ワイヤーアクションのスレッドはPINKちゃんねる系の板ではありません。
    このような成人向けのサイトでネタにされるのはスレッドの意図ではないと思いますので、他所への紹介などされる際にはご留意お願いします。

    さて、次回の Sisters は絢ちゃん主人公のお話です。
    ありがとうございました。




    Sisters 第6話・Early Sisters ~ことはじめ~

    都心に建つ高層マンションの夜中12時。
    トントン。
    高院絢がちょうどベッドに入ろうとするとき、誰かがドアをノックした。
    「絢、あーや、・・ねぇ、起きてる?」
    遥の声だ。妙に控えめな声である。
    「お姉ちゃん? 起きてるよ」
    ドアに向かって返事をしたが、それきり反応がない。
    ハル姉?
    絢は立ち上がってドアを開ける。廊下には誰もいなかった。
    あれ?
    ドアを閉めようとすると、足元から遥の声がした。
    「あ~やぁ~、助けてぇ」
    「きゃっ」
    パジャマの上から全身を縄で縛った姉が廊下を這っていた。眼鏡が顔から半分ずり落ちている。
    「大きな声出さないでっ。母様と父様、起きちゃうよ。・・で、悪いけど、解いてくれる」
    もう。
    絢は遥を縛った縄を掴んで、ずるずると部屋の中に引きずり込んだ。
    「あいたたっ。あんた、いつからそんなに力持ちになったのよ」
    「ハル姉がチビなのよ」
    「ああっ、お姉ちゃん傷ついちゃうなぁ。そんなにはっきり、チビだなんて」
    「それで、解いてほしいの? ほしくないの?」
    「ああ、絢さまっ、お願いします。解いて下さいっ」
    絢は溜息をつきながら、遥の縄を解きにかかった。
    「何でこんなに固く縛るのよ」
    背中で合わせた手首の縄の縛りがなかなか解けない。
    「いやぁ、ちょっと練習してたら、固結びになっちゃって」
    「自縛も大概にしないと、いつか本当に抜けられなくなって死んじゃうよ?」
    「あはは。お姉ちゃんの素敵な亀甲縛り、絢に見せてあげようと思ったんだけどな」
    「あはは、じゃないでしょ」
    「だって、上手になるためには、自分を縛って練習するしかないじゃない」
    遥はあっけんからんと言う。
    「難しい縛り方なら、あたしが練習台になってあげるから・・」
    絢はそう言ってから、しまったと思った。
    「えっ? いいのぉ~?」遥が待ってましたという顔で聞いた。
    「・・ま、また、そのうちにね」
    「なら、今からやろうよぉ」
    「今夜は寝ないと。明日はテニス部の練習だし」
    「おっぱいの上と下、きゅって縛られるの、好きだよねぇ。あーや?」
    どきん!
    「目隠しもしてあげる。・・もちろん、絢は縛られちゃうから、目隠しは自分で取れないんだけどね」
    きゅぅ~ん!
    「お姉ちゃん、・・いじわる」
    「テニスはちゃんと行けるように、無理しないから。ね?」
    絢がこっくりと首を振った。
    遥は妹の手を引いて、隣の自分の部屋に連れていった。
    ・・
    遥は高校2年生。絢は中学1年生。
    姉妹は両親に内緒で緊縛の関係を持っていた。
    遥が初めて絢を縛ったのは、絢が中学に上がって最初の夏休みだった。
    絢が、姉の机に無造作に置かれた緊縛写真集に気づいて、これは何かと聞いた。
    その写真集は遥がクラスの男子生徒からもらったものだった。
    遥は成人向け緊縛写真集を購入しようとして、制服姿で書店のレジに持って行って断られていた。
    それから男子生徒グループの猥談に参加し、ある男子がそのような緊縛写真集を持っていると知ると、交渉して譲り受けた。
    代償として、遥はその男子と1ヶ月デートして、最後にキスを許して分かれたのだった。
    遥は絢に写真集を見せ、この女性モデルのように縛られてみたいか聞いた。
    少し考えて、絢は自分も縛られたいと答えた。
    その夜、姉の部屋で、絢は生まれて初めて縛られた。
    ベッドに仰向けに寝かされた絢は、頭の上で合わせた手首、胸の上下、腰と膝、足首を紐でそれぞれ括られた。
    その縛り方は写真集の見よう見真似だったが、それでも縛られたまま遥に抱擁された絢は甘い声で喘いだ。
    思えば、絢は自慰を覚えるよりも早く姉の緊縛でエクスタシーを感じたのだった。
    ・・
    絢が初めて縛られて4ヶ月経った、その年の冬。
    遥の部屋で、遥が絢をリボンで縛っていた。
    周りには3人の女子高生が座って、目をきらきらさせながらその様子を見ている。
    皆、学校帰りの制服姿で、絢だけがピンクのワンピースだった。
    真っ赤なリボンで縛られた絢はまるでクリスマスプレゼントの梱包のようだった。
    遥は絢の手首を合わせて縛ると、リボンの残りを大きな蝶々結びにした。
    「これで、どうかしら?」
    「ステキ!」「可愛いよぉ~っ」「キレイ♥」
    女子高生3人が揃って歓声を上げる。
    彼女達は『緊縛娘愛好会』、略して緊娘会(きんにゃんかい)の面々である。
    「ね、絢ちゃんにルージュつけてあげていい?」
    一人が自分のバッグから化粧品を出して、絢の唇に朱をさした。
    「きゃぁ~、お人形さん!!」「もう、たまらないわぁ♥」
    女子高生達はそれぞれ両手を胸の前で握りしめて、リボン縛りの絢に萌えていた。
    「絢ちゃんも自分を見る? ・・ほら!」
    絢の前に手鏡を向ける。絢は視線を上げて鏡に映る自分を見た。
    「あぁ、」
    耐え切れないような様子で深呼吸をして、鏡から目を反らし、そして小さな声で言った。
    「・・恥かしい」
    「きゃぁ~!!」
    女子高生達は大きな声を出して喜んだ。一人は床に倒れて足をばたばたさせている。
    萌えまくる同級生達の後ろで、遥はにこにこしながらその様子を見ていた。

    絢ちゃん・中学1年生
    ・・
    遥は、成績もよくクラブ活動(書道部)もきちんとやっていたので、学校の先生には真面目な生徒と受け取られている。
    しかし同級生の間では、遥は少し変わったオタク女子として知られていた。
    いつも鞄の中にコモドオオトカゲの実物大のピンナップを持ち歩いていて、休み時間には『世界拷問大全』を開いて読んでいた。
    男子生徒と平気で猥談もするし、女性用の媚薬の効果について皆の前で熱く語ったりもした。
    遥が緊縛に興味を持ち、緊縛写真集を入手し始めたことも、「高院なら当たり前」と受け取られていたのだった。
    どこから入手してくるのか遥の元には、縛り方の解説書、写真集やDVDなどが集まってきた。
    更に中古のパソコンまで入手すると、遥は両親に社会勉強のためと理由をつけてネットに接続し、SM/緊縛に関する膨大な情報を収集するようになった。
    妹の絢を実際に縛って、様々な緊縛方法を試した。
    もともと凝り性で納得するまで止めないタイプなので、自己流ながら確実な縛り方を繰り返し練習して身につけていった。
    ・・
    ある日、遥が同級生を3人連れて帰ってきて絢に引き合わせた。
    「あなたが絢ちゃん?」
    「きゃあっ。美少女よ美少女♥」
    「可愛い~!!」
    3人は書道部員の同級生で、遥が妹と緊縛の練習をしていると聞いて見物に来たのだった。
    ‥ハル姉っ。書道部って、いつから腐女子の集まりになったの!
    ‥たまたまよ。たまたま。
    ‥どうして、あたしのこと、話したのよ!!
    ‥そんなつもりはなかったんだけど、たまたま、知られちゃったのよ。
    ‥う~っ!!
    ‥だから、あーや、縛らせてね。
    ‥ううう~っ!!!
    ‥絶対に他の人には内緒にするから。ね♥
    こうして、絢は遥の友人の前で縛られることになった。
    緊娘会の始まりである。
    緊縛娘愛好会は女子だけの集まりで、目的は美少女の緊縛を鑑賞すること。
    専属のモデルはもちろん、絢。
    当初は書道部の3人だけだったが、やがて美術部や文芸部、漫研などの女生徒が集まり、ディープな腐女子の巣窟となって行くのである。
    ・・
    「ねぇ、ハル姉。あたし、いつまでこんなコトさせられるの?」
    絢が遥に聞いた。
    緊娘会のメンバーが帰った後で、部屋には遥と絢の二人だけである。
    「まだまだお願いよ。大切なスポンサー様なんだもん」
    「だって」
    「嫌じゃないでしょ? 絢だって」
    「あのね。あたしをこんなにしたのハル姉なんだよ」
    「それにしても、関心しちゃったなぁ。さっき、恥かしいって言ったの、もう、アカデミー賞ものだったよ」
    「あれは本当に恥かしかったんだからね。ま、ちょっと、気持ち込めすぎて不自然だったかなぁ」
    「全然そんなことなかったわよ。・・もう、みんな、イチコロだったじゃない」
    遥がそう言って笑った。絢もつられて笑う。
    「じゃ、ねぇ。二人きりになったんだし、リボンじゃなくって・・」絢が甘えるような声で頼んだ。
    「次は縄で縛って欲しい?」
    絢は黙って首を縦に振った。
    「うふふ」
    遥はホームセンターで買ってきた綿ロープを取り出す。
    「じゃ、後頭両手縛り、やってみようかな」
    引き出しから緊縛写真集を出すと、ページを開いて机に置いた。緊縛の見本である。
    妹の両手を頭の後ろで組ませて、そのまま手首と二の腕を縛った。
    これだけで絢の両手は固定されて戻すことができなくなる。
    「ん・・、」絢が小さな声を上げた。
    「おっぱいの回りにも縄が欲しいよねぇ」
    遥は絢の胸の上下にもロープを巻くと、背中で締め、手首の縄と連結した。
    「腕に力を入れて、もがいてみて」
    言われる通りに腕を動かしてみると、小さな乳房が絞られる感覚がして刺激的だった。
    「はぁ・・」
    「こんなところかなぁ? どう?」
    「ん、いいよ」
    「いいって、どういいの?」
    「わかんないよぉ。でも、気持ちイイ。すごく」
    「そっか。そうだよね。・・自分じゃどう縛られてるか分からないもんね」
    遥は妹の頭を軽く叩いて笑った。
    しばらく絢の回りをぐるぐる歩いて縛り方をチェックしていたが、やがて眼鏡を掛けなおして写真集と比べ始める。
    「ここの割り縄が違うのよねぇ」
    やおら床に尻をついて座り、膝を立てると、自分の右足をロープで縛り始めた。
    膝で折った太ももと脛をまとめて縛り、さらに割り縄を掛ける。
    割り縄の余ったロープを自分の背中に回して、左の前に回してぎゅっと引き、右足を胴に密着させる。
    ・・あちゃぁ~。始まっちゃった。
    絢は半ば呆れて遥を見る。
    こうなると、しばらくは何を言っても姉には聞こえないのだ。
    遥は左足も右足と同様に縛っている。
    短いスカートの制服のまま尻をついて両方の膝を立てているから、パンツが丸見えだ。
    ぶつぶつと何かつぶやきながら無心に自縛している様子には、年頃の女子高生の色気も何もない。
    ・・ま、いいか。あたしはあたしで、気持ちイイし。
    絢は自分を締め付けるロープの感触を味わいながら、ぼうっと姉の様子を眺めていた。
    玄関の鍵の開く音がした。
    「・・遥さ~ん、絢さ~ん。帰りましたよ~」
    いけないっ。母様、帰ってきちゃった!!
    「お姉ちゃん。・・ハル姉っ。もうっ、ハル姉ぇ~!!」
    遥は絢に3回呼ばれて初めて気がついた。
    「何?」
    「早く解いて! 母様だよっ」
    「えっ。・・きゃあ!!」
    遥は慌てて立ち上がろうとして、ごろりと後ろに倒れた。
    両足を膝を立てたまま動かせないように縛っているのだから、転がって当たり前である。
    ・・たしかこういうの、まんぐり返しっていうんだっけ。って、そんなこと考えてる場合じゃないわ!
    「何やってるのっ。ハル姉、早く!」
    「あぁんっ、わかってるよぉ」
    遥はまんぐり返しの状態でしばらくもがいていたが、ようやく起き上がってロープを解いた。
    「・・二人とも、おいでなさいな。お三時のケーキを買ってきましたよ」
    母様の声は玄関から台所に移動している。
    「はーいっ」
    立ち上がって部屋を出ようとした遥を絢が止める。
    「駄目だよっ、ハル姉、足見て」
    言われて遥が自分の足を見ると、ロープで縛った痕が肌にくっきり残っている。
    「あーん、どうしよぉっ」
    「そこのカーディガン、腰に巻くの!」
    「そっか」
    遥は椅子の背に掛けてあった紺のカーディガンを腰に巻いて、膝から上を隠した。
    脛にも痕はついているが、太ももの痕が目立つので、とりあえずそちらを隠せば大丈夫だろう。
    「サンキュ! 待っててねっ」
    姉はばたばたと出ていった。
    「あ、母様。今、絢さんと勉強中なの。だからケーキ、お部屋でいただいてもよろしいかしら?」
    「あらあら、最近よく一緒にお勉強してますねぇ。なら、お紅茶と一緒に持ってらしゃい」
    遥と母親の声が聞こえた。
    はぁ~っ。遥の部屋で絢は大きな息をつく。
    自分はロープで縛られたままだから、姉が戻って解いてくれるまで待ってるしかない。
    それにしても、ホントに、もう、ハル姉ったら、頼りないんだから。
    どっちがお姉ちゃんなんだか。
    ・・
    春になって学年がひとつ上がっても、緊娘会は続いた。
    絢の緊縛を鑑賞するだけでは物足りなくなり、少女達は自ら着飾ってきては遥に縛られるようになっていた。
    「じゃ、鉄砲縛り、やってみます」
    「はいっ。次、あたし!」遥が宣言すると、希望者が手を上げた。
    「あずみちゃん、2回目だったっけ」
    「えへへ。3回目」
    「じゃあ、そろそろ麻縄、いってみるぅ?」
    「きゃあ、ドキドキ♥!」
    遥が鞄から麻縄を出して縛り始めた。
    壁には、墨の雫も黒々と『目指せ緊娘道』と記された書が吊るしてあった。
    書道部のメンバーが作って贈ってくれた掛け軸である。
    壁際のベッドでは、真っ先に縄を受けた絢が縛られたまま転がされていて女子高生達のおもちゃになっている。
    そしてその他に3人のメンバーが綿ロープや麻縄で縛られていて、それぞれ賑やかに喋っていたり、一人で被虐の感触を味わっていたりした。
    遥は真剣な表情で縄をふるって行く。
    もう、資料の写真集と見比べることも少なくなっていた。
    「くぅ~ん、」
    縄を受けている少女が耐えきれないように甘い声を上げた。
    ・・
    遥が絢に聞いた。
    「ねえ、私、縄師になりたいって言ったら驚く?」
    「んー、父様と母様が驚くよ」絢が答える。
    「そうなのよねぇ・・。でもね、母様、きっと縄師なんて知らないでしょ? だから、伝統ある縄を結う工芸職人だって言ったら、信じてくれないかな」
    「あたし、ハル姉のこと、ときどき本当に呆れてしまうわ」
    「それって褒め言葉?」
    「な訳ないでしょ。きゃはは」
    12月も終わろうとしていた。
    1年間続いた緊娘会は受験を控えてお休みになっていたが、姉妹は相変わらず緊縛の関係を続けていた。
    「まあ、どうせ、大学に行かないって言っただけで、絶対に父様には反対されるんだけどね」
    「え? 今、何って言った?」
    「大学に行かない、って言ったわ」
    「えーっ!!! ハル姉、もしかして、粗茶の水に行かないの!?」
    「だから、行かないって言ったでしょ」
    このとき、遥は推進入試で国立大学への進学が決まっていたのである。
    「実はね、今、いろいろなプロの縄師さんに弟子にしてくれって、お願いしてるの。・・なかなか相手にしてもらえないんだけどね」
    「・・」
    「どうしたの?」
    「無茶だよ。・・お姉ちゃん、女なんだよぉ? そんな、なれるかどうかもわからないのに」
    「女性の縄師さんもいるわ。私だってなれないとは限らないでしょ?」
    「でも・・」
    「何で、あんたが泣くのよ?」
    「だって、だって、・・」
    遥はハンカチを出して絢の涙を拭う。
    「ありがと。あーや、優しいんだね。お姉ちゃんのために泣いてくれて」
    「・・」
    「きっと、本当に縄師になるから。・・そしたら、またあーやをモデルにして縛ってあげる」
    「・・」
    絢は姉に抱きついて黙ったまま、首をこっくりと振って頷いた。
    ・・
    遥の夢は父親と母親には理解してもらえなかった。
    結局、遥は高校を卒業すると同時に家を出て行くことになる。
    遥が両親と大喧嘩をした次の週、絢は姉が忽然と姿を消したことを知った。
    置手紙も何もなく、行き先もわからなかった。
    うろたえる両親を前に、絢は不思議と落ち着いていた。
    ハル姉ならきっと夢を実現する、そんな気がした。
    でも、縛りに夢中になってご飯を食べるのを忘れないでね。ハル姉、本当にそれで餓死しかねないんだから。

    絢が遥に再会すれのは、それから2年後のことである。



    ~登場人物紹介~
    高院遥(こういんはるか):17~18才。独学で緊縛術を学ぶ。緊縛娘愛好会を腐女子仲間と設立した。
    高院絢(こういんあや):13~14才。遥の妹。中学1年生の時に姉から初めて縛られた。

    遥さんが高校生、絢ちゃんが中学生だったころのお話です。
    この頃の遥さんはずっと奔放で、妹の絢ちゃんが振り回されていました。
    絢ちゃんに被縛の味を教え込んだのも遥さんです。
    それで立派なM女に育った妹を残し、自分は縄師の修行に行ってしまうのだから罪なお姉ちゃんです。(作者が自分で言ってどうする^^)

    今回、縛られた絢ちゃんを見て喜ぶ女子高生(緊娘会)を登場させました。
    お話の中では極端な方向にデフォルメしていますが、可愛い女の子が拘束された姿には、女性でも萌える人が多いのではないかと思っています。
    別に百合の人ではなくても、緊縛された美少女を見て「いいな」と感じてくれる女性に、私は萌えます。
    あたしもあんなに綺麗に縛られてみたいな、と少しでも思ってくれたら、もっと萌えます(笑)。

    イラストは、ピンク系の衣装であえて露出度を低くしてみました。
    本当はスカートにフリルがたくさんついたイメージなのですが、描ききる根性がありませんでした。
    例によって、心の目でフリルがついていると思って見て下さい。

    さて、次回の Sisters では、女縄師・遥さんの日常を描きたいと思います。
    ありがとうございました。




    Sisters 第5話・マニア夫妻の緊縛プレイ ~姉妹再会~

    はぁ、はぁ。
    全身をハムのように縊(くび)られた女体が喘いでいる。
    太り過ぎとまではいかないものの、豊満なバストとヒップ、むっちりとした手足。
    Tバックのショーツをつけただけの肉体に縄が食い込み、残酷で美しい緊縛である。
    うつ伏せに寝かせて口に咬ませた縄をぐいと後方に引くと、熊澤秀美のぽっちゃりとした身体が逆海老に反った。
    「ん・・、ん~~っ!!」
    縄の下から悲鳴がこぼれる。
    「よっと」
    高院遥はその縄を腰と太ももを縛る縄に繋ぎ、反り返った身体が元に戻れないようにすると、両手をぽんと叩いた。
    「これで綺麗な逆海老になりましたね」
    「素晴らしいです。僕ではとてもこんなに縛れません」
    ビデオを撮影していた熊澤賢吾が感心したように言った。
    んぁ、・・はぁ、・・あん。
    二人の足元で縛られている秀美の息の中に小さな声が混じっていた。
    「家内はそれほど身体が柔らかいって訳じゃないんですけど、こんなポーズもできるんですね」
    「女性の身体ってしなるんですよ。これはちょっと無理、と思うような姿勢でも、縄で補助してあげたら案外平気なんですよ。・・それに」
    遥は秀美の膝を縛る縄に手を掛けて、持ち上げた。
    「奥様の場合は、もっと厳しくされても大丈夫です」
    下半身が持ち上がると、秀美の身体全体がシーソーのように前に傾いて、顔面が床に押し付けられた。
    「ぐっ!!」
    秀美は顔を捻らせ、頬で体重を受けて耐えている。
    床に接する顔面と左右の肩を頂点とする三角形、その中心に重心が来るようにしてバランスをとると、後は遥の指一本だけで支えることができた。
    ちょうどお城の天守閣の鯱(しゃちほこ)のような体勢である。
    「平気なんですか?」
    「ええ、被虐性の高い奥様ですから、今も十分エクスタシーを感じてらっしゃると思います」
    遥は手を離して、秀美を元の姿勢に戻した。
    「ただ背中と腰にダメージが残らないよう、今夜はご主人がよくマッサージしてあげて下さいね」
    「わ、わかりました」
    ・・
    この日、高院遥は訪問緊縛で熊澤の自宅を訪ねていた。
    子供のいない熊澤夫妻は日曜の昼間から堂々とプレイを楽しんでいるのである。
    熊沢は自分でも妻を縛るが、この日はプロに本格的に縛って欲しいと遥を招いていた。
    後刻、同好の友人がM女を連れてやってくることになっていて、遥はその女性の緊縛も依頼されていた。
    ・・
    縄から解放された秀美は夫の呼びかけに曖昧な返事を返すのがやっとだった。
    満ち足りたような表情で、ぐったり横たわって脱力している。
    「どうぞ、抱きしめてあげて下さい」
    「はい。じゃ、ちょっと失礼します」
    熊澤は秀美を抱き起こすと、腰に手を回して強く抱いた。
    「ひぁ、あぁんっ・・」
    秀美はそれだけで大きな声を出して全身を震わせた。まるでまだ何かに縛られているようである。
    髪を撫でてもらいながら、自分から夫にキスを求めている。
    遥はそれを見て微笑み、出されたコーヒーを口に運んだ。
    武者修行を兼ねた女性専門の訪問緊縛を始めて半年あまり。
    最初のうちは、ただ縛ることに一生懸命で、お客様が喜んでくれればそれだけで嬉しかった。
    この頃になってようやく、お客様を観察する余裕が出てきたような気がする。
    縄を受けたM女達は様々な反応を示してくれる。
    被虐の世界に深く静かに浸る女性もいれば、我慢できずに激しく反応する女性もいる。
    縄酔いの程度もM女により様々である。
    縛られている間は性感に喘いでも解放されればすぐに平静に戻る女性がいる一方で、その逆の女性もいる。
    女性によっては、縛られている間よりも縄酔いの余韻の方が好きだという。
    秀美は、そう、縛られている間もマックス、縄酔いもマックス。ちょっと羨ましいと思うくらいの真性マゾだ。
    いろいろM女さんがいて、自分の仕事に一人一人違う感じ方をしてくれる。
    面白いなぁ。
    ・・
    休憩の後、熊澤は遥にある依頼をした。
    「昔、妻が着たことのある衣装なんですが、これをつけて縛ってもらえませんか?」
    それは、皮で作られたボンデージのコスチュームだった。
    肌を覆うというより、露出するための衣装だ。
    「え、これを私が!?」
    「この趣味を始めた頃は、妻がその、責める方をしたこともありまして。・・ま、今では、これを着るのは難しいものですから」
    確かにそれは細身の女性向けで、秀美がこれをつけるのは難しそうである。
    何よりも、かつて彼女がこれを着られる体形であったということが驚きであった。
    「えっと、その・・」
    遥は少し困る。
    縄を受けるときに、セクシーなコスチュームで縛られたいと希望するお客様は多かった。
    また、特に雰囲気を求めるお客様の場合は、縄の使い手である遥にも様々な衣装の着用を要求した。
    プロとして来ている以上、遥はできるだけ要求に応えてサービスしてきた。
    今まで、チャイナドレス、パーティドレス、浴衣、それにレースのボディスーツ姿でも縛ったことがある。
    しかし今回のコスチュームはさすがに恥かしかった。その上、男性の前である。
    「あの、奥様は?」
    秀美は黙ったままだったが、その目がきらきら光っていた。
    このボンデージをつけて欲しいと思っているのは明らかである。
    うぅ、えーん。
    「きょ、今日はコンタクト持ってきてなくて、その、眼鏡をつけたままでも、よろしいですか?」
    「それは、もちろん」
    熊澤が返事すると同時に、秀美がきゃあっと小躍りして喜んだ。
    ・・
    「お待たせーっ」隣室で着替えを手伝った秀美が先に戻ってきた。
    「はい、女王様の登場~!」そう言って扉の陰でもじもじしている遥を引っ張り出す。
    「おー、素晴らしい!」待っていた熊澤が拍手をした。
    黒いレザーボンデージに真紅のハイヒールロングブーツとロンググローブ。
    縄が扱いにくくなるからと、グローブは左手だけにはめさせてもらった。
    「そ、粗末なモノをお見せして、申し訳ありません」遥が真っ赤な顔で言う。
    「粗末だなんて、とんでもない。遥さんは着痩せするタイプなんですね」
    「そ、そんなつもりはないんですけど」
    確かに着衣のときには気付かなかったが、遥のボディはなかなかのプロポーションであった。
    「遥さんの乳首はねぇ、とっても綺麗なピンク♥なんだよぉ」
    「ほう」
    「秀美さんっ、やだっ、そんなこと突然」
    「そうだ、その姿で写真を撮らせてもらってもいいですか」
    「は、はい、・・こんなのでよろしければ」
    遥は片手に縄束を持ってカメラに向かってポーズをとらされる。
    「賢ちゃん。遥さんのおっぱいばっかり、じろじろ見ちゃ駄目っ」
    「だって秀美が乳首がどうとか言うから、気になるんじゃないか」
    あぁ、もう勘弁して。
    恥かしげに身もだえする遥は、まるでこれから縛られる奴隷の雰囲気であった。
    Tバック一枚の上からガウンを羽織っただけの秀美の方がよほど堂々としていて女王様のようである。

    遥さんボンデージ

    ・・
    ピンポーン。玄関のベルが鳴った。
    「来たようですね。ちょっと失礼」
    熊澤が部屋を出ていった。
    熊澤の友人は亀田といい、本日はいつものパートナーの都合がつかなのでレンタルのM女を連れてくるとのことだった。
    レンタルM女? 今はそんなサービスがあるの?
    遥が不思議に思っていると、秀美が話しかけてきた。
    「ね、遥さんって、おいくつですか?」
    そのまま遥の二の腕に自分の手を絡めてくる。妙になまめかしい。
    「あ、20です」
    「え~っ、そんなに若いのぉ?」
    今度は秀美の手が遥の腰に回った。むき出しの脇腹を撫でられる。
    ひぇ。
    思わず身を引いて逃げそうになるのをぐっと我慢した。
    「遥さんの縛り、うちのダンナよりずっと上手で素敵だわ」
    「あ、ありがとうございます・・」
    秀美は遥の前に屈んで膝をついた。
    遥の腹に自分の頬を摺り寄せると、そのまま臍(へそ)の回りに舌を這わせた。
    た、助けて。遥は硬直したまま心の中で悲鳴をあげる。
    ガチャリ。
    熊澤が部屋に戻ってきた。男女のお客を連れている。
    「お、なかなかセクシーですな」亀田が遥と秀美を見て嬉しそうに言った。
    「こんにちわっ。今日は女の縄師さんって聞いて、楽しみにして来ました!」後から入ってきた少女が挨拶した。
    「江田五月です! ・・って、お姉ちゃん!?」
    「え? ・・あ、絢っ。あなた、その姿、何?」遥が絢を見て言った。
    五月はへそ出しローライズのショートカットジーンズを穿き、そこかしこに開いた穴から肌が見えるTシャツを着ていた。
    「は、ハル姉こそ、何て格好してるのよぉ!」絢が遥を指差して言った。
    遥は高露出のボンデージで仁王立ちになっていて、その前に半裸の秀美がひざまずいて遥の足を舐めている。
    「遥さん、この子と知り合いなんですか?」熊澤が遥に聞いた。
    「五月ちゃん、この人、知ってるの?」亀田が絢に聞いた。
    遥の太ももを撫でていた秀美が、きょとんとした顔で振り向いた。
    ・・
    絢と遥が廊下の隅で言い合っている。
    「あんた、高校生でレンタルM女だなんて、何考えてるのよ!」
    「お姉ちゃんだって、似たようなこと、してたじゃない!」
    「あれは、全然違うわ!」
    「だいたい、その格好何よ。いつからそんな露出狂になったの!?」
    「お仕事なのっ。好きで着てるんじゃないわよ。あんたこそ、そんなだらしない格好、まさか家でもやってるんじゃないわね!?」
    「家でこんなの着てたら母様が気絶するわよっ。これがあたしのお仕事なの!」
    「お仕事って、レンタルM女が?」
    「悪い!?」
    二人はしばらく睨み合っていたが、やがてどちらともなく言った。
    「とりあえず、ここは」「ここは、とりあえず」
    「お仕事ね」「うん、お仕事」
    振り返って部屋に戻ろうとする遥に絢が言った。
    「ハル姉、あたし今は『さつき』だからね。江田五月っ」
    「わかった。・・覚悟しなさい。あんただからって、容赦はしないわよ」
    「ふん。こっちこそ、妹だからって手を抜いたら許さないんだから」
    二人は初めて笑って、互いに右腕をぶつけ合った。
    揃って部屋に戻る。
    「えっと、失礼しました」「ごめんなさい」並んでぺこりと謝った。
    「いいけど、お二人、まさか兄弟か何か?」
    「いえいえ!」「違います。全然違います!」二人でぶんぶん首を横に振る。
    「ちょっと前に縛ってもらったことがありまして・・」
    「そーなんです。この子、五月ちゃん、縛ったことがありまして・・」
    「へぇー。五月ちゃん、まだまだビギナーとか言ってたけど、プロに縛ってもらってるなんてヤルじゃないの」
    亀田が面白そうに言った。
    「あはは。いやぁ、そんなこと言いましたっけ?」絢が笑ってごまかした。
    「さあ。始めましょうか」熊澤が言った。
    「もう、息もできないくらいに縛ってね、遥様♥」秀美が甘えるように遥に言った。
    ・・
    遥はTバックを脱ぎ捨てた秀美を再び後ろ手に縛った。
    食卓椅子に座らせると、胡坐に組んだ足首をほとんど胸元まで引き寄せて縛る。
    腰を椅子の背もたれに縄できつく連結した。これで秀美の尻が椅子から落ちることはない。
    絢はセーラー服の衣装に着替えて、姉の仕事を見ていた。
    全裸の女性が縛られる様を見るのは初めてである。
    太っているけれど、セクシーな人だと思った。
    「はぁ、・・はぁ、・・はぁん」
    大きく開脚した両足の間に濡れそぼった茂みと女性器が見えた。
    奥までぽっかりと開いたそれは、息をのむほどに生々しくて、綺麗だった。
    今、この人の『女』が皆の前にさらけ出されている。
    絢は無意識に両手を自分の股間の前に当てていた。
    少し力を入れて押さえると、そこが、じゅん、と濡れる感じがした。
    遥は無言で仕事を続けていた。
    秀美の太ももに新しい縄を巻いて縛ると、後方に限界まで引き絞った。
    「くぅ、あ、あぁあんっ!!」
    締め上がる女体。
    すごい!!
    絢の知っている遥の縄は丁寧で確実だった。
    今は、それに加えて凄みと迫力があった。
    ハル姉、縛りの修行、いっぱいしたんだね。
    遥は涙と涎でぐちょぐちょになってしまった秀美の顔をウェットティッシュで綺麗に拭う。
    そして顔全体に縄を巻きつけ、天井を見上げるように頭を反らせると、そのまま背中の縄に何重にも縛りつけて固定した。
    秀美の頭部は縄で覆われて、その表情は見れなくなった。
    頭から足までぎちぎちに固められた肉体は、もはやもがくことも許されず、ほとんどモノと化している。
    ただ、手足の指だけがぴくぴく動いていて、それがモノではなく意志のある人間なのだと示していた。
    熊澤も亀田も、遥の緊縛に言葉が出ない。
    こんなに小柄で優しそうな女縄師が、これほどの仕事をするとは思っていなかった。
    「次、五月ちゃん」
    遥が絢を見た。
    「あ、・・はい」
    絢はふらふらと立ち上がった。
    今までのアルバイトのように明るくおどけて見せる余裕は既になかった。
    ・・
    遥は、もはや自分がつけたコスチュームは意識していなかった。
    ただ目の前の女子高生を美しく縛る、そのことだけを考えていた。
    後ろ手に縛り、太ももと足首もきつめに縛った。
    「はぁっ」絢は小さくうめく。
    絢の身体、大きくなったな。
    2年前と比べて背が伸びていた。バストとヒップも成長して女性らしい体つきになっている。
    遥は絢の後ろに立つと、片手で胸を押さえ、反対の手をスカートの中に差し入れて下着の上から刺激した。
    「はんっ、ああぁ~っ!!」
    膝の力が抜けて崩れ落ちそうになるのを支え、そのまま床にうつ伏せに寝かせた。
    それに、感度もよくなってる、すごく。
    膝を折らせて足首を引き寄せ、背中の縄と連結して固定した。
    背中を縄の上から足で踏んで押さえつけると、前髪を掴んで強引に引き上げた。
    捻り上げられた絢の顔面。その目が懇願するように遥を見る。
    ・・あぁ、ハル姉。お願い、もう少しだけ優しく。
    遥はその目を見ると、すぐに自分の鞄をとって中からガムテープを出した。
    え、え?
    20センチほどの長さにテープを切り取って、絢の口の上からぺたりと貼った。
    再び絢の前髪を掴んで持ち上げ、反り上げた顔面の鼻の下に指をかざして息を確かめた。
    うん。OK。
    絢は苦しげに目を閉じている。
    遥は絢の頭を戻して髪を撫でた。
    ・・絢、あんた、いい女になったね。ちょっと嫉妬しちゃうな。
    立ち上がって熊澤と亀田に言った。
    「完成です。・・囚われの女子高生、といったイメージですね」
    「おーっ」
    熊澤と亀田が揃って拍手をした。
    ・・
    秀美と絢は、縛られたまま写真撮影のモデルにされた。
    男性二人はビデオとスチルの撮影に夢中になっている。
    秀美は顔面の拘束だけは解かれたが、残りの縄を解くことは首を振って拒否した。
    まだまだ縄を味わっていたいらしい。
    そしてまた絢も、遥の縄に捕らわれて翻弄されていた。
    ん、ふぅ。んっ、ふっ。
    ガムテープで口を塞がれているので呼吸は苦しく、自然と小刻みになる。
    亀田が近づいて、デジカメで舐めるように撮影していることがわかった。
    あたし、本当に誘拐された女の子みたいだ。
    恥かしい姿を写真に撮られて、これからいよいよナブリモノにされるんだ。
    もう何をされても抵抗できないよ。
    身体中を締め上げる縄の感触に願望混じりの妄想が加わって、被虐の興奮が増大する。
    「せっかくですから、スカートを下ろましょうか?」遥が男性陣に聞いている。
    「いいですねぇ」
    制服のスカートのホックが外されて、膝までずりっと下げられた。
    白いショーツが丸出しになる。ちなみにこのショーツは、朝から穿いている絢の私物だ。
    「下着も少し下げます?」
    ショーツが下げられて尻が半分顔を出した。
    ああーん、ひどいっ。ハル姉のいじわる!!
    心臓が弾けてしまうそうなくらいに鳴っていた。
    絢はその音が皆に聞こえているのではないかと心配になった。
    ・・
    絢は亀田の車から降りて手を振った。
    「今日は、すごくドキドキして面白かったですっ。じゃあ、さよなら!!」
    交差点を渡って歩道の脇で立ち止まり、カットジーンズの尻ポケットからメモ用紙を出して見る。
    そこには走り書きで携帯電話の番号とメールアドレスが書かれていた。
    「あんた、もうケータイ持ってるんでしょ? 母様には内緒よ」
    熊澤家の玄関先で、遥が追いかけてきて渡してくれたメモである。
    「わかった。あ、今日は縛ってくれて、ありがと」
    「こちらこそ。・・絢、綺麗になったね」
    遥はそう言って笑ってくれた。
    「遥さん、そんなところで寒くないですか?」
    「え? ・・あぁっ、きゃああっ!!」
    熊澤に声を掛けられて、遥は自分の胸と腹を両手で隠すようにして悲鳴を上げた。
    自分がボンデージのままで表に出ていたことに初めて気がついたらしい。
    ・・ハル姉。ああいうところは変わってなかったな。
    絢は一人で思い出し笑いをする。
    ふふふ、ふ、、は、はっくしょん!!
    大きなくしゃみが出た。
    もう4月も終わりに近いが、さすがに薄手の穴開きTシャツとショートパンツで戸外に出るのは寒すぎるようだった。
    すれ違う人々が奇異の目で自分を見ている。
    えへへ。
    絢は舌をぺろりと出してメモをポケットに押し込むと、鞄を抱えて雑踏の中を走り去っていった。

    絢ちゃん緊縛



    ~登場人物紹介~
    高院絢(こういんあや): 16才。被縛アルバイトをしている高校2年生。アルバイトでは江田五月を名乗る。
    高院遥(こういんはるか): 20才。訪問緊縛をしている女性縄師。絢の姉。
    熊澤賢吾: 30才。緊縛マニア夫婦の夫。
    熊澤秀美: 26才。賢吾の妻。M女。
    亀田: 熊澤夫妻の同好の友人。

    第5話の舞台は、緊縛プレイを愛好する夫婦宅です。
    遥さんは訪問緊縛のお仕事、絢ちゃんは被縛のアルバイト、その最中に二人は偶然再会することになりました。
    第3話の後書きで、私は高露出のボンデージ姿でM男にムチをふるう女王様には興奮できないと書きました。
    今回の遥さんも高露出のボンデージですが、こっちの女王様は遥さんが心の底から恥ずかしがっているという点で、萌えです^^。

    イラストは、ネットで見られるポーズ集を参考にしました。
    絢ちゃんより遥さんの絵の方が楽しかったのは内緒です。
    実はもう一枚、秀美さんの絵も描こうとしたのですが、全裸の緊縛絵はどうしても気に入ったものが描けませんでした。
    すみませんが、ぽっちゃり肉の秀美さんがぎちぎちに縛られた姿は文章から想像して下さい。

    さて、当サイトの次回更新は、ゴールデンウィークに家族サービスで旅行に出ますので、少し遅れるかもしれません。予めご了解の程、お願いいたします。

    ありがとうございました。




    Sisters 第4話・緊縛ライブショー ~マイ姉ちゃん~

    「ありがとうございましたっ。またね!」
    江田五月はショッピングセンターの駐車場で相手の車から降りた。
    派手なプリントのチビTシャツとデニムのマイクロミニで跳ねるように歩く。
    うふふ。今日は初めて吊ってもらっちゃった♥
    コインロッカーで大きなバックを取り出すと、化粧室に入る。
    やがてブラウスとロングスカートに着替えて出てきた。
    髪の毛をとかして後ろで括り、黒縁の眼鏡をかけている。
    先ほどまでの五月とはまったく違う印象になっていた。
    ・・
    地下鉄を乗り継いで自宅に帰ってきた。
    都心の運河沿いにそびえる高級高層マンション。
    郵便受けの表札には『高院』と記されている。
    「あら?」
    玄関に女物の靴が一足並んでいた。この家に来客は珍しい。
    母様は応接でお客様と一緒かな。
    いったん自室にバックを置き、応接間に出て挨拶する。
    「ただいま帰りました」
    「おかえりなさい、絢(あや)さん」
    挨拶を返す母親の向かい側に若い女性が座っていた。
    「絢ちゃんっ。元気してる?」
    「マイ姉さま!」高院絢は北大路舞華に飛びつくように抱きついた。
    「あらまあ、絢さんったら」
    いつもなら、はしたないと叱られるところだが、相手が舞華だと母親もさすがに怒らない。
    「今日は何のご用?」
    「うん、家の母からのお届けもの。それに久しぶりだから絢ちゃんにも会いたいなって」
    舞華の母親と絢の母親は実の姉妹である。つまり舞華は絢の従姉妹である。
    「嬉しいっ。・・ね、ご用が済んだらお部屋に来て下さいね」
    「もちろん、そのつもりよ」
    「いっぱいお話ししましょ!」
    「絢さんは本当に舞華さんが好きなのね」母親が目を細めて笑った。
    ・・
    絢の部屋に舞華がやってきた。
    「去年の夏以来かしら」
    「うん。本当に久しぶりっ」
    「それにしても、その眼鏡、何? 優等生になったみたい」
    「いつもはコンタクトなんだけど、ちょっと、ね。それに、これ掛けてると母様の機嫌もいいの」
    絢は黒縁の眼鏡を外して笑った。
    舞華は絢の部屋をきょろきょろと見回す。
    「相変わらず、可愛いお部屋ねぇ。・・お、パソコン持ってるんだ」
    「えへへ。ばっちり使ってるよぉ」
    「学校はどう? 2年生になったんだよね」
    「うん。まぁまぁ楽しいよ」
    絢は幼い頃は従姉妹の舞華によく遊んでもらった。
    そんな舞華の前では絢もくだけた口調で話す。
    「マイ姉ちゃんこそ、どうなの? 会社って面白い?」
    「面白いとか、面白くないとか言う場所じゃないわ。・・でも、面倒くさいところよ」
    「そうなの?」
    「つまらない男が先輩風吹かせて寄ってくるからヒールで足踏んづけてやったら、部長に見られてお説教よ」
    「うふふ。マイ姉ちゃんらしい」
    「今どき先輩だから偉いなんて、体育会系みたいなこと言ってんじゃないわよ、ってね」
    「でもマイ姉ちゃん、大学じゃ体育系のクラブで上下関係が厳しかったんでしょう?」
    「まぁね。でもチア部は、あたしが仕切ってたようなもんだったからなぁ」
    「そっか」
    「あの頃が一番奔放で楽しかったかなぁ。・・最近は家でもお見合いしろお見合いしろって煩いし」
    「えーっ。マイ姉ちゃん、お嫁に行くの?」
    「行かないわよっ。何で23の若さで結婚しなきゃなんないのよ!」
    舞華は両手を顔の前でぶんぶん振って否定する。
    「絢ちゃんこそ、彼氏の一人や二人くらいはいないの?」
    「そんなのいないよ。 ハル姉じゃないんだし」
    「遥ちゃんか。あの子はいつもモテてたのよねぇ。・・遥ちゃんは元気してる?」
    「分からない。もう2年、会ってないもの」
    「あら、家を出てから一度も会ってないの?」
    「うん。最近は、母様もハル姉のことは何も言わなくなったな」
    遥は絢の4才年上の姉である。
    敷かれたレールを進むのは嫌だと言って、高校を卒業すると同時に両親の反対を押し切って家を出て行ってしまったのだ。
    絢はそれ以来、遥に会っていない。
    まあ、ハル姉が何をやってるのか、だいたい想像はつくけど。
    「ハル姉のことはもういいじゃない。・・そうだっ、あたしのHP見る?」
    「自分のホームページ持ってるの?」
    「うん、ケータイのじゃないよ。ちゃんとしたPCのホームページだからね」
    絢はそう言いながらパソコンの電源を入れた。
    ぴ。パソコンが起動する。
    「マイ姉ちゃんには隠しページも見せてあげるねっ。・・きゃあっ、スタンバイモードだった!」
    「?」
    「駄目ぇ、見ないでっ。横向いてて!!!」
    慌ててディスプレイの前に立ちはだかったが、遅かった。
    前回作業していた画面が再表示されたのを、舞華は見逃さなかった。
    「ねえ、もしかしてそれ、絢ちゃん?」
    それは江田五月の写真だった。五月は制服姿で緊縛されていて、どこかのホテルらしいベッドの上で笑っていた。
    「こういうことに興味を持っても不思議じゃないけど、これが絢ちゃん自身だとしたら、説明してもらった方がいいかしらね」
    ・・
    舞華は説明を聞いてから質問した。
    「で、今まで何回縛られたの?」
    「5回。・・お願いだから、母様には言わないで」
    「言わないわよ。こんなこと言ったら、叔母さん口から泡吹いて卒倒しちゃうわ」
    舞華はいたって真面目な顔で言った。その目は不思議と優しい感じがした。
    マイ姉ちゃん、怒ってないのかな?
    「で、絶対に援交はやってないのね? それに危ない目にもあってないのね?」
    「うん、大丈夫。気をつけてるから」
    「で、そのアルバイトは、これからも続けるつもりなの?」
    「・・駄目?」
    「あたしが決めることじゃないわ」
    「ううん、こうして話した以上、マイ姉ちゃんには許してほしいの」
    舞華はしばらく黙っていたが、やがて答えた。
    「自分で決めてやったことはどんな結果になっても自分で責任を取るのよ」
    「うん」
    「ならよし。叔母さんにも黙っててあげる」
    「ありがとうっ。・・あの、」
    「ん?」
    「あたしが、どうしてこんなアルバイトを始めたのか、聞かないの?」
    「聞いて欲しい?」
    「それは・・」
    「いいのよ。絢ちゃんのココロは絢ちゃんのもの。あなたが縛られたいって望んだのなら、それで理解できるし十分だわ」
    それから舞華はひとり言のように言った。
    「これも一族の血筋かしら。・・ホント、お互い困ったものよね、M女に生まれるなんて」
    「お互いって、どういうこと?」
    「そうだっ。絢ちゃんが変装した女の子の写真って、見せてくれる?」
    「うん、いいよ」
    絢はパソコンの画面に坂本静子と江田五月が一緒に写ったプリクラ画像を呼び出した。
    それは静子が客に会うときに見せている写真で、実は絢が自分で撮った写真を合成したものである。
    「へー、この子達が絢ちゃんの分身。よく化けたわね~」
    静子は髪をきっちりと括って、黒縁の眼鏡をかけている。
    五月は絢に似ているが、化粧が濃く派手だった。
    「いいことあんた達っ。この先絢ちゃんを危ない目に合わせたら、あたしが許さないからね!」
    舞華は画面の二人に人差し指を突きつけて、言い渡した。
    「さあ、お説教は終わりよ!」
    振り返って絢に笑いかける。
    「わかってくれてありがとう、マイ姉ちゃん」
    「もういいのよ。・・さあて、今日は絢ちゃんのものすごい秘密を知っちゃったわ。次は、」
    「?」
    「次は、あたしの秘密も教えてあげないとフェアじゃないわよね」
    そう言って舞華は絢にウインクした。
    ・・
    翌々週の土曜の夕刻。
    絢と舞華は小さなライブハウスに来ていた。
    『KODAI ★ Live』
    入口の案内を見て絢は聞く。
    「マイ姉ちゃん、ここは?」
    「緊縛ライブよ」
    え?
    「ここで女の子を縛るライブショーがあるの」
    えええ~っ!!
    「あの、あたしも入っていいの?」
    「R15だから高校生以上なら入場OKよ」
    うわぁ。こういうところ、初めてだよ。
    それにしても高校生が入れる緊縛ライブって・・?
    店内に入ると、さほど広くない客席は観客でいっぱいだった。
    男性だけでなく女性の客もいる。というか、よく見ると客の7~8割は女性だった。
    場内は椅子がなくてカーペットを敷いた上にそのまま座るようになっていた。
    舞華と並んで座り、膝を抱えて待った。
    やがて会場が暗くなり、スポットライトの中に背の高い男性が登場して一礼した。
    男性は足元に置かれた縄束を拾い上げ、投げ縄のように空中でさばいて見せた。
    きゃ~っ、コーダイさ~ん!!
    黄色い歓声が上がる。あそこでポンポン振ってる女の子達、どう見てもあたしと同じ高校生だ。
    ステージには制服姿の女性モデルが出てきて男性と並んだ。
    セミロングの髪で、紺のブレザーがよく似合う清楚な感じの美少女だった。
    少女は男性に右手を取られ、観客に向かって優雅にお辞儀をする。
    男性が縄束を手にすると、少女は自分から両手を後ろに回して組んだ。
    少女の体躯に縄が絡み始めた。
    男性はみるみる少女を縛り上げて行く。そのスピードは驚くほど速かった。
    少女の足が床から離れ、やがて高く浮かび上がって空中を漂う女子高生のオブジェになった。
    絢はその姿を陶然と眺める。
    宙を漂う少女は目を細めてうっとりとした表情をしていた。
    なんて可愛い人。まるでお人形さんを吊るしているみたい。
    髪の間から見えるうなじや太ももがほんのり紅潮しているのも綺麗だった。
    あの人、きっと全身の肌がピンク色に染まってるんだわ。おっぱいも、お腹も、あそこも。
    ああ、あんな風に吊られたらどんな気分なんだろう。
    少女をじっと見ていて気づいた。
    二人はときどき視線を交わし合っていた。男性が少女を見ると、少女はその度にわずかに微笑みを返していた。
    相手を心から信頼していないとできない微笑みだと感じた。
    まるで恋人同士。ううん、お互い一生を共に歩むと認め合ったパートナー同士みたいな。
    「絢ちゃん、ちゃんと見てる?」
    隣の舞華が声を掛けてきた。
    「うんっ、すごく素敵。 ・・あの縄師さん、格好いいし、モデルさんもすごく可愛い」
    「彼は鴫野広大くんで、女の子は松宮史代ちゃん。二人ともこの春高校を卒業したばかりよ」
    「えぇっ? 高校!?」
    「そうよ。あたしね、あの子達とよく知った仲なのよ」
    「はぁ~、すごい!」
    ふと疑問に思った。
    「ねえ、マイ姉ちゃん。あの人達と知り合いって、もしかしてマイ姉ちゃんも」
    「・・そろそろ出番かな」
    「?」
    縄師の男性がステージの上からこちらに向かって笑いかけていた。
    え? 何? 何?
    隣で舞華がすっと立ち上がった。
    「約束してた秘密を教えてあげるね。・・実はあたし、彼の縄ドレイなの」
    舞華は上着のジャケットを脱いで絢に渡した。
    「ちょっと縛られてくるから、これお願いね」
    えええええ~~っっ!!
    キャミソールとタイトスカート姿でステージに上がる舞華を、男性が両手を広げて迎えた。
    客席から拍手と歓声が巻き起こる。
    絢はぽかんと開けた口を閉じるのを忘れたまま、ステージの舞華を見ていた。
    ・・
    最初に縛った少女を吊るして飾ったまま、舞華の緊縛が始まった。
    少女の緊縛とは対照的に、舞華の緊縛は厳しかった。
    背中で拝むように合わされた手首から胸の上下に縄がまわされる。二の腕に食い込む縄が痛々しい。
    天井から下がった縄を背中に括りつける。
    さらに左の足首に縛った縄を頭上の滑車に通すと、男性は体重を掛けてぐいと引いた。
    舞華の左足が吊り上がる。
    タイトスカートから生える二本の太ももが開き、舞華は立ったままで180度開脚になった。
    上下に広がった左右の足がぴんと爪先まで伸びている。
    観客はその柔らかさと美しさに感嘆する。
    舞華の表情は苦しげだった。
    バランスを崩さずに倒れないでいるためには、下半身のすべての筋肉を張りつめて耐えるしかない。
    男性はそれ以上は何もせず、舞華を放置して椅子に座ってしまった。
    5分程も過ぎただろうか。
    舞華が天井を見上げ、目をぎゅっと閉じた。
    ぴんと伸ばした膝と爪先ががくがくと揺れ始めた。
    すべての人が理解した。限界が近いのだ。
    マイ姉ちゃんっ。両手を口の前にあてて見ているのは絢だけではなかった。
    多くの女性客がまるで自分が責めを受けているような思いで舞華を見ていた。
    縄師の男性は立ち上がると舞華の身体の後ろに回り、左右の乳房を掌で揉みしだいた。
    「あぁあっ!!」
    舞華の喘ぎ声がこぼれる。全身の筋肉の緊張が一瞬緩んだ。
    と、男性はそれを狙っていたかのように、彼女の右足を蹴って払いのけた。
    「きゃあっ」悲鳴を上げたのは舞華ではなく会場の女性達だった。
    支えを失った身体が大きく沈み込む。
    男性は投げ出された舞華の右足を膝で折り、太ももと脛をまとめて縛った。これで二度と床に足をつくことはできない。
    今や、背中と片足首の2点だけで吊られることになった舞華の身体は、逆海老になってゆらゆら揺れていた。
    折れる寸前まで曲げられた竹のように、ぎしぎしと女体がしなっていた。
    ああ、マイ姉ちゃん、何てこと!
    絢はまばたきもせずに舞華を見つめ続ける。
    ・・小さい頃から一緒に遊んでくれたマイ姉ちゃん。
    ・・男の子みたいに元気で活発だったマイ姉ちゃん。
    ・・美人で優しくて憧れていたマイ姉ちゃん。
    そのマイ姉ちゃんが、今、目の前で無惨に吊られて苦しんでいる。
    これと比べたら、あたしのアルバイトなんて子供の遊びだ。
    舞華の瞳が潤んでいた。床に飛び散った光るものは涙だろうか。
    マイ姉ちゃん、すごく酷い目にあってるのに、どうしてそんなに綺麗なの?
    すごく苦しくて辛いのに、どうしてそんなに色っぽいの?
    ああ、切ないよ。
    絢の目からも光るものが一筋、流れた。
    ・・
    帰り道。
    怒った顔で歩く絢を舞華が謝りながら追いかけている。
    「ね。機嫌直してっ。絢ちゃん?」
    「駄目! あたしぜんぜん知らなかったんだもの。マイ姉ちゃん、あんな素敵な縄師さんに縛ってもらってただなんて!」
    「あーん、だって絢ちゃんもあたしと同じだなんて、普通は思わないでしょぉ?」
    「それはそうだけど」絢は立ち止まって振り向いた。
    「あたし、マイ姉ちゃんの腰がぽきって折れて死んじゃうって思ったんだから!」
    「え・・」
    「ねえ、いつもあんなに可哀想な目にあってるの? それなのに、どうしてあんなにセクシーな顔でいられるの?」
    「えっと、正直に答えないと駄目?」
    「駄目!」
    「絢ちゃんの前で嘘はつけないか・・」
    舞華は頭をかきながら少し考えて、そして答えた。
    「あれだけ責められたのは、久しぶりだったわ。・・それに気が狂うほどエクスタシーを感じたのは本当よ」
    「ああ、やっぱり」
    「あの縄師、広大くん、それにモデルで縛られてた史代ちゃんね、もうすぐ結婚するの」
    「結婚?」
    「うん、それでその後、二人はヨーロッパへ修行を兼ねて縄師のお仕事に行くのよ。何年も帰ってこないって」
    「そうなの」
    「あたしね。彼が中学2年のときに初めて縛られたの。それからずっと縄を受けてきたわ」
    「へ、中2から!?」
    いったい、何年前?
    「でも、彼に縛ってもらうのは、今日でしばらくお預け。もしかしたら最後かも」
    「・・」
    「今日の緊縛は、彼からのプレゼントだったと思うわ。あたしが心から満足するように・・」
    すごいな。
    絢はライブでの広大と史代の顔を思い出した。
    あの人達、あたしよりほんの少し年上なだけだけど、すごい大人だ。
    広大に縛られて、とても幸せそうだった史代の姿。
    自分にも、いつか、大事に縛ってくれる素敵な旦那様が現れるのだろうか?
    「本当に、どんどんいい男になっちゃうんだから、あの子」舞華はそう付け加えて笑った。
    ん?
    引っかかるぞ。その言い方。
    「ね、マイ姉ちゃん。もしかして、あの縄師さんのこと、好きだった?」
    「え、あたし? ・・そりゃ、好きよ。あんなに上手に縛ってくれる人はいないわ」
    「そういう意味じゃなくって、男性として、なんだけど」
    「!」
    舞華が息をのむのが分かった。
    「大人をからかうんじゃないの」
    「あたし、真面目だよ」
    「・・」
    「もしかして、マイ姉ちゃん、あの人のこと、昔から好きで、だけどあんなに可愛い彼女がいるから、縄ドレイとかいって我慢してたのかなって」
    「絢ちゃん・・、」舞華はしみじみと言った。
    「ちょっと会わないうちに、そういうこと言えるようになったのね。・・そっか。もう高校2年生だもんね」
    「えへへ、図星だった? ね、図星?」
    「ち、違うわよ!」
    「あたしに言い当てられてドキッてしたんだぁ」
    「うるさい!! やっぱり、あんたは、まだお子様よっ」
    「きゃはは」
    「うふふ」
    二人はしばらく笑っていた。
    「そうだっ」舞華が手を打って言った。
    「・・ねっ、失恋したマイ姉ちゃんを縛ってくれる人を紹介してくれない?」
    「はぁ?」
    「絢ちゃんのお客さんでいいのよ。絢ちゃんと一緒にあたしも縛ってほしいな♥、なんて」
    「七つも年下の従姉妹に何を頼んでるのよ」
    「絢ちゃんみたいに若くてぴちぴちじゃないけど、この舞華さんだってまだまだ縛りがいのあるいい女よ♥」
    「きゃはは。だから、そういう人は自分で見つけなさいって」
    「だったら、あたしもアルバイトしちゃおかな。かっこいい縄師様限定で美女縛り放題、ついでにお嫁さんになって一生縄ドレイのサービス付!」
    「あ、ずるーいっ。それ、あたしもやるぅー!」
    「うふふふっ」
    「きゃはははっ」

    お久しぶりです



    ~登場人物紹介~
    高院絢(こういんあや): 16才。高校2年生。被縛のアルバイトをしている。江田五月はアルバイトをするときの偽名。
    北大路舞華: 23才。絢と仲良しの従姉妹。マイ姉ちゃんと呼ばれている。
    鴫野広大: 18才。縄師。ライブショーに出演。
    松宮史代: 18才。広大の被縛モデル兼婚約者。

    ようやく絢(五月)ちゃんの正体が明かされました。
    といっても、今回の主役は絢ちゃんよりも従姉妹のマイ華ちゃんです。

    お読みいただければ分かるように、このお話は『中学生縄師』の最終回から3年後の世界です。
    せっかく舞華さんが出てきたので、広大くんと史代ちゃんにも登場してもらうことにしました。
    ついこの間、最終回を掲載したばかりのシリーズの登場人物を引っ張り出すのは、いささか節操ないかとも思いましたが、そこは作者の特権です^^。
    その後の彼らの勇姿?をお楽しみいただければ幸いです。

    さて、絢ちゃんと舞華さんはこうして互いの秘密を共有しました。
    絢ちゃんはこれからもアルバイトを続けますが、何かあったときはマイ姉ちゃんは絢ちゃんのよき相談相手になってくれるはずです。

    次回の Sisters では絢ちゃんはお姉さんの遥さんと再会します。
    ありがとうございました。




    Sisters 第3話・訪問緊縛 ~女性縄師~

    チャイムが鳴った。
    来た!
    あたしは椅子から立ち上がった。
    朝から大掃除したワンルームのアパートは綺麗に片付いている。
    玄関のドアを開ける前に、洗面台の鏡でさっと自分をチェックした。
    ここというときに着る真紅のノースリーブワンピミニ。下着はアンプリシットのノンパテッド。
    お化粧も、OK。
    「どうも。デイ・ロープ・サービスから参りました」
    「はい、どうぞ」
    ドアの外に立っていた女性を招き入れた。
    小柄な人だった。緑色のトレーナーにジーンズ。眼鏡を掛けていて、髪を後ろで無造作にくくっている。
    「高院遥(こういんはるか)といいます。遥と呼んで下さいね。・・えっと、初めてのご利用ですよね?」
    「はい」
    「じゃあ、まず、ここを読んでサインお願いしますね」
    渡された書類を見る。
    『~ 誓約書 ~
    私は、私個人の責任で本サービスを申し込みます。
    本サービスの結果生じる、いかなる事態に際しても、異議・苦情を申し立てることはありません。』
    「あの、これって怪我したりしたときのことですか?」
    「いいえ。お客様に怪我させるなんて、絶対にありません」
    「じゃあ、いかなる事態って?」
    「ぶっちゃけて言えば、途中で誰かにバレたりしても責任は自分でとります、ってことです」
    「ああ」
    あたしはサインをした。
    「はいOKです。宮下みなもさん23才と。素敵なお名前。・・みなもさんってお呼びしていいですか?」
    「ええ、どうぞ」
    「じゃあ、2~3確認させて下さいね。えっと、みなもさんは縄を受けるのは初めてですか?」
    「いいえ」
    「経験者ですね。今までどれくらい?」
    「一度だけです」
    「そうですか。・・じゃあ、次の質問は答えにくければ結構です。それは、望んで受けた縄ですか、それとも貴女の意に反して受けさせられた縄ですか?」
    「それは・・、」
    「あ、結構です。ごめんなさいね。いやなこと聞いて」
    「いえ、お話します。・・レイプでした」
    「そうですか」
    「高校2年でした。その人の顔も何も覚えてません。・・ただ、縄で縛られて泣き叫んだことだけ、今でも夢に見ます」
    「可哀相に・・」
    「夢に見るんですけど、その度にドキドキして感じてしまうんです。制服も身体もボロボロにされてしばらく家から出れなくなったのに、今見る夢はドキドキするんです」
    あたしは照れ隠しのように笑ってみせた。
    「恥ずかしいです。こんな女で」
    「心配しないで」
    遥さんはにっこり笑った。
    「恥ずかしいことじゃないです。そんなお客様はたくさんいらっしゃいますよ」
    「そうなんですか?」
    「思い出すのもイヤだって頭では思っていても、心とカラダは刻み込まれたモノを忘れません」
    彼女はあたしの手を取って持ち上げた。
    「私は過去の出来事を消し去ることはできません。・・でも、それを思い出すとき貴女が感じる苦さが少しでも小さくなるように、癒してあげることはできます」
    遥さんの言葉には、上っ面でない優しさと真摯さがあるように思えた。
    「ありがとうございます。・・よろしくお願いします」
    あたしは遥さんの手を両手で握り返した。
    ・・
    「では、早速」部屋に入るなり遥さんは言った。
    「あ、あの、その前にお茶でも」
    「いえいえ、お気遣いなく。みなもさんの準備さえOKなら、すぐに始めますよ?」
    「準備ですか」
    「はい。"覚悟" ともいいますけど」
    はっとした。
    覚悟。あたしの覚悟は、このサービスを申し込むと決めたときから、できている。
    そう。あたしは、一大決心をしてこの人に縛られることを選んだのだ。
    「覚悟は、大丈夫です。・・いっぱい、いっぱい考えて、決めましたから」
    「分かりました」
    遥さんは紙袋の中から縄束を出した。綺麗な、柔らかそうな縄だった。
    「お手洗いは済ませましたか?」
    「はい」
    「留守番電話とか、携帯電話とか、かかってきても大丈夫ですか?」
    そうか。あたしは携帯電話を留守モードにした。留守番電話は、元々置いてない。
    「その素敵なワンピースもそのままでいいですか?」
    「はい。この上からお願いします」
    「じゃあ、ここに座りましょう」
    あたしは部屋の中央に、中央といっても6畳ひと間だから大したことはないけれど、そこに横座りになった。
    「深呼吸しましょう・・。じゃ、縛ります」
    遥さんがあたしの手首を取って背中に導いた。
    「あ」
    無意識のうちに声が出た。
    ・・
    遥さんの縛る縄は、あまり痛くなかったけど、あたしをしっかり締め付けた。
    両手は背中で固定されて、動かせなくなった。
    胸の上下に縄が幾重にも巻きついて、あまり大きくないあたしのバストでも、つんと盛り上がった。
    「はぁ・・」
    上半身が揺らぎ、安定して座っていることが難しくなってきた。
    遥さんは部屋の隅からクッションを取ってくると、そこにあたしをもたれさせてくれた。
    「股縄は欲しいですか?」
    「・・またなわ?」
    「両足の間に割り込ませる縄です」
    「あ、はい。お願いします」
    遥さんは長い縄の途中にいくつも結び目を作って、それをあたしの股間に挟ませた。
    下着の上からでもそれは十分刺激的だった。
    「この結び目の位置が重要なんですよね、女にとっては・・」
    「?」
    遥さんは一人でつぶやきながら、股縄の位置を慎重に調整している。
    「はんっ!!」
    突然、股縄の結び目がクリトリスを突き上げて、あたしはのけぞった。
    遥さんはにっこり笑うと、縄をその場所で固定し、さらに腰の両側から回した縄を股縄にかけて引き絞った。
    あ、ぁ、あぁ!
    あたしは両足の爪先まで力を入れてその刺激に耐える。なんて甘美な刺激なんだろう。
    続いて下半身にも縄が追加されて、膝と太ももが何箇所かで縛られた。
    遥さんの縄は、厳しいけれど優しくて、あたしを包み込んでくれているような気がした。
    いったい何本の縄があたしを包み込んでいるのだろうか。
    「はぁ~・・」
    あたしの心とカラダは、あたしが思っていた以上に遥さんの緊縛を気持ちよく受け入れていた。
    遥さんはどうやら縛り終えたらしく、両手をぱんと叩くと、余った縄を紙袋にしまった。
    「えっと、この後、放置ご希望になってますけど、予定通り1時間でいいですか?」
    この縄。この人の縄ならいくらでも過ごせそうな気がした。
    「あ、あの、・・できたら2時間、お願いします」
    「2時間ですね。えっと、それから目隠しと猿轡ですけど」
    目隠しと猿轡? ああ、それもして欲しい!
    「きっとご希望されると思うんですよね。・・でも、慣れないうちは、長時間の緊縛で目隠しはお勧めしません」
    「?」
    「視界を奪われることは素敵なんですけど、そのままで過ごす時間は実際よりもずっと長く感じるんです。もしかすると、かなり辛い時間になるかもしれません」
    「そうですか。・・じゃあ、猿轡だけ、お願いします」
    遥さんはにっこり笑った。
    「目隠しをしない代わりに、猿轡は一番きついのにしてあげますね」
    口の中に端切れのような布が大量に押し込まれた。
    「んぐっ」
    遥さんは白い布を捻って紐のようにすると、口の上から塞ぐように縛りつけた。
    さらにクリーム色の手拭をその上に被せて縛られた。
    口の中は詰めモノでいっぱい。さらに2重の覆いであたしは口を開くこともできない。
    「まだまだです♥」
    遥さんは薄い水色の大きな手拭を出すと、2重の猿轡の上から鼻と顎の下まで覆うようにして縛りつけた。
    「ん~っ!!」
    強烈な圧迫感だった。
    3重になった猿轡があたしの顔をがっちりと固めていて、いくら力を入れても顎を動かすことはできなかった。
    あたしは首を左右に振った。イヤイヤをするためではない。
    それは首を振ってもがいても決して外れないことを確認するためであり、言葉を封じられた自分を再認識するためでもあった。
    口を完全に塞がれたので呼吸は鼻でするしかない。でもその鼻は手拭で覆われていて空気を吸うのは楽ではなかった。
    あたしが眉をひそめて苦しんでいると、遥さんは床に膝をついてあたしの肩をそっと押さえてくれた。
    「落ち着いて、ゆっくり深く吸って、はいて。そのままで息は十分できますから、心配しないで」
    すぅ・・、はぁ・・。
    ゆっくり呼吸を繰り返した。うん、大丈夫だ。
    あたしは遥さんを見上げて目で頷いた。
    「じゃ、みなもさんは今から放置されちゃいます。たった一人で、切ない時間を過ごして下さいね」
    遥さんはそう言って立ち上がると、部屋を出ていった。
    「玄関の鍵、借ります」
    玄関の扉が開いて、閉まる音。
    そして外から鍵の掛かる音。
    あたしは部屋に一人取り残された。

    みなも緊縛放置中

    ・・
    何度か深呼吸した。
    見上げると天井と窓が見えた。
    窓にはレースと薄いピンクのカーテン、カーテンの横に衣装タンス、テレビ台、小さなテーブルに湯沸しポットとスヌーピーのマグカップ。
    見慣れたいつもの部屋。いつもの生活の空間。
    いつもと違うのは、それらに触れることも、近寄ることもできないこと。
    遥さんは2時間経つまで戻ってこないだろう。
    それまで、あたしはすべての自由を奪われて過ごすのだ。
    どくん、どくん。
    自分の心臓が耳元で鳴っているような気がする。
    生まれて2回目の緊縛だった。でも1回目の緊縛とは何と違うことだろう。
    驚愕と衝撃の中で力ずくで縛られた1回目。男の性欲を満たすための緊縛。
    今は違う。
    あたしは自分から望んで縛られた。女のココロを満たすための緊縛。
    時間はたっぷり。ゆっくりと、じっくりと、今の拘束感を楽しもう。
    くぃ。
    ほんの少し下半身に力を入れると、股間の縄瘤があたしの身体の中心を刺激した。
    あぁ、気持ちイイ。
    あたしはゆっくりと、少しずつ、妄想の世界に入って行く。
    ・・
    黒い影があたしに覆いかぶさろうとしていた。
    自分にのしかかる重量を感じた。
    いやぁーーっ!!
    全力で抵抗する。抵抗しようとするが、できなかった。
    全身に縄が絡みついてあたしの自由を奪っていた。
    いやぁーーっ!!
    悲鳴を上げようとするが声が出ない。
    口の中には柔らかいモノがぎゅうぎゅうに詰まっていて、顎を開けることすらできない。
    黒い影はあたしを弄ぶ。
    あたしの身体を撫で回し、舐め回し、つねり、ひねる。
    あぁ!
    鋭い爪で引っかき、尖った歯で噛み付く。あたしの肌に赤い血が流れる。まるで野獣のようだった。
    ああぁ!
    その衝撃にあたしの精神が震える。とろけてしまいそうに震える。
    この痛みが、傷つけられることが、快感だなんて。
    何かがあたしの両足の間に侵入しようとしていた。
    異物。いやらしさに満ちた異物。もっと犯してほしい。
    ああ、あたしは陵辱されて興奮している。ぼろぼろに貶められて喜んでいる。
    何て恥かしい女なんだろう。
    下半身に力を入れてのけ反ると、刺激が増加した。
    あ、あんっ。・・あんっ。
    あたしはその行為を繰り返した。何度も繰り返してその刺激を味わった。
    何て下品な女なんだろう。
    ・・
    ゆっくりと覚醒する。見慣れたいつもの部屋。
    身体じゅうがエクスタシーに満ちていた。
    一人でするオナニーとは比べようがない快感だった。
    無意識に手を動かそうとして、その腕が縄に阻まれた。
    縄の感触を意識した瞬間、子宮がきゅうっと収縮した。
    ああ、もう我慢できない!
    ん~~っっ!!
    身体じゅうの筋肉にあらんかぎりの力を込めた。すべての縄があたしの身体を締め上げた。
    あたしはそれだけで頂点に達した。
    一度高みに達すると、もうあたしは自分をコントロールする努力を放棄した。
    暴風雨の海で漂う小船のように、あたしは何度も波の頂上を通りすぎては谷間に滑り落ち、とろとろになって漂い続けた。
    ・・
    気がつくと遥さんがあたしの猿轡を外しているところだった。
    いつの間に戻ってきてくれたんだろう。
    口から存分に吸える酸素がとても美味しかった。
    金魚みたいにぱくぱく息をしながら、遥さんに向かって何とか微笑むことができた。
    「みなもさんの顔、とってもセクシーで素敵です」
    遥さんはそう言いながら、あたしの全身の縄を解いてくれた。
    「はぁ、はぁ」
    「大丈夫ですか?」
    「あぁ・・、お願いがあります」
    「はい?」
    「抱きしめて、くれますか?」
    「私、女ですけど、いいんですか?」
    「いいです。お願い」
    遥さんはにっこり笑うと、あたしを抱き起こし、両腕を背中に回してぎゅっと抱きしめてくれた。
    身体に残っていたエクスタシーの余韻が蘇る。
    「あん・・!!」
    あたしも彼女を抱き返した。力いっぱい、抱き返した。
    遥さんは、細くて小っちゃくって可愛らしくって、とても抱き易かった。
    ・・
    ようやく落ち着いて、下着と洋服を着替えさせてもらった。
    「シフォンケーキ食べます? パチンコの景品なんですけど」遥さんが手に持った箱を掲げた。
    「あ、じゃあ、ジャスミンティー入れます」
    あたしは最初に出すつもりだったお茶を用意して、小さなテーブルに遥さんと向かい合って座った。
    「美味しい! パチンコってこんなのもらえるんですか」
    「最近は女性向けの景品も多いんですよ。・・よかったら、これもどうですか?」
    彼女はずっしりと膨らんだ紙袋から、ハンカチとミニタオルのセットとピンクのアロマポットを出してくれた。
    「へえ、可愛い。どこのパチンコ屋さんですか?」
    「駅前にパーラーがあるでしょ? 女性デーだっていうから入ったら大当たりして」
    「あたしもパチンコしてみようかな。こんな景品がもらえるなら楽しそう」
    「でも大当たりなんてめったにないんですよ。今日は本当に久々だったから、2時間過ぎてもずっと打ち続けてようかと思ったくらい」
    「えー! それ、あたしを見捨てて、ですかぁ?」
    「うん!」
    「ひどーいっ」
    「でも、みなもさん、私が戻らなくっても幸せだったでしょ?」
    「・・」
    「正直に答えなさい」
    「・・はい、幸せでした。とっても」
    「・・ぷっ(笑)」
    あたしと遥さんは同時に吹き出して笑った。
    遥さんはとても話しやすい人だった。
    あたし達はケーキを食べながらいろいろお喋りした。
    遥さんは2年前に高校を出てプロ縄師の師匠の下で修行し、それから武者修行を兼ねてこのような訪問緊縛をしていると教えてくれた。
    「私、まだまだ駆け出しなんですよ」
    「でも、とても落ち着いてらして、とても高校出て2年とは、・・えっ。じゃあ遥さんもしかして、ハタチ?」
    「みたいですね」
    「あたしより三つも年下なのっ? すごーい!!」
    ・・
    最後にあたしは遥さんに次の訪問緊縛を依頼し、遥さんは快く受けてくれた。
    「それで、あの・・」
    「はい?」
    「次は・・」
    「次は、何も着ないで縛られたいんじゃないですか?」
    一発で言い当てられてあたしの胸がどきんと鳴った。
    遥さんはにこにこして、うつむいてしまったあたしに言った。
    「いいですよ。みなもさんが今と同じくらい真っ赤になって私の顔も見れなくなるくらい、恥かしい思いをさせてあげる♥」
    ああ・・。あたしは遥さんが大好きになった。
    そのまま黙って遥さんを抱きしめた。
    「きゃっ、みなもさんの気持ちは、よく分かりましたから、・・は、離して」
    「駄目、もう少しだけ」
    ぎゅうっ!!
    「ひゃあ」
    小柄な遥さんは逃れることができずに、あたしの腕の中でもがいていた。



    ~登場人物紹介~
    高院遥(こういんはるか): 20才。訪問緊縛サービスをしている女性緊縛専門の縄師。
    宮下みなも: 23才。一人暮らしのOL。訪問緊縛を申し込んだ。レイプ被害の経験あり。

    今回のお話は私が昔から抱いていた妄想の一つ、"訪問緊縛サービス" をネタにしました。
    被縛の願望はあるけど、縛ってくれるパートナーはいないし、SMバーやクラブで縛られる勇気もない。
    そんな女性のために、ご自宅で緊縛体験を提供します。
    訪問するのは女性の縄師なので、1対1でも怖くありません。
    女性ならではの気配りで貴女を丁寧に縛ってさしあげます・・。

    女性の縄師というと女王様的なイメージを持たれるかもしれませんが、私は、高露出のボンデージファッションを身につけてM男にムチを打つミストレスといった姿にはどうしても興奮することができません。
    その代わり、ごく普通の女性が明るく縄を使う姿は大好きです。あ、もちろん縛られる方も女性でないと駄目ですけど。(笑)

    高院遥さんは、訪問緊縛の仕事をしている駆け出しの女性縄師です。
    小柄で優しい雰囲気の遥さんは、どのM女性にも評判がよく、お仕事は順調のようです。
    ときどき気に入られたお客さんから抱きつかれたり、キスされたりしてますが、遥さん自身は決してレズという訳ではありません。
    実は、遥さんは第1~2話の江田五月ちゃんのお姉さんです。
    五月ちゃんは自称ドMでしたが、遥さんはドS、ではなさそうですね。

    なお、今回は緊縛されたまま取り残されたM女を描きましたが、それはファンタジーだから許されることで、現実には緊縛経験の少ない女性を監視なしで長時間放置するのは大変危険だと思います。
    もしかして遥さんは部屋から出ていったふりをしただけで、実はちゃんとお客様から目を離さなかった、パチンコの景品も仕込みだった、なんてのが真相だとしたら、これはすごいサービスですね。

    次回の Sisters は再び五月ちゃん(『五月』は偽名なので、次回から本名です)のお話です。
    ゲストに私の小説をお読みいただている皆様にはよくご存知の人が登場します。
    遥さんと五月ちゃんが二人揃って登場するお話は、もう少しお待ち下さい。

    ありがとうございました。




    Sisters 第2話・個撮モデル ~二人の秘密~

    SMホテルの個室。
    「えへへ、どうですか?」
    江田五月ちゃんが両手を広げて微笑んだ。
    彼女が着ているのは僕が用意したコスチュームで、某アニメの主人公の学校の制服だ。
    「お~、可愛い」
    「ワタシのキモチ、アンロック!! なんて。きゃはっ」
    五月ちゃんは決めゼリフを言いながらポーズしてくれる。
    「よく知ってるね」
    「あたし、アムちゃん大好きでしたもんっ」
    早速カメラを向けて軽く2~3ポーズ撮影する。
    彼女がノリノリになってくれたところで、僕は紙袋から縄束を出して彼女に見せた。
    「じゃ、そろそろ」
    「あ、はい!」
    五月ちゃんはにっこり笑うと、僕に背を向けて床にすとんと女の子座りをする。
    「あたしを好きにして下さい♥」
    そう言って手首を背中で合わせた。
    ・・
    僕の趣味はコスプレ撮影だ。
    学生の頃からイベントや個人撮影で、レイヤー(コスプレイヤー)の写真を撮ってきた。
    ここのところ、はまっているのがコスプレ緊縛だ。
    コスプレで縛らせてくれる女の子なんて本当にいるのか心配だったけど、思い切って頼めば案外応じてくれる子が多かった。
    それどころか撮影してあげた緊縛コスプレ写真を自分でCD-Rに焼いてイベントで売る子までいるのだ。
    普段の自分とは違うキャラになりきっているから平気なのだろうか。それともレイヤーにはマゾな女の子が多いのだろうか。
    女性の気持ちは僕にはよく分からない。
    ただ、緊縛OKのレイヤーは、コスプレを楽しむのと同じくらい縛られることも楽しんでいる、そんな気がする。
    こうして、場所の確保、機材の準備設営から、女の子の緊縛と撮影までたった一人でするようになって2年になる。
    本当の縄師と比べたらぜんぜんの腕前だけど、自分で納得のいく縛りがようやくできるようになったかなと思っているところだ。
    江田五月ちゃんは、知り合いの緊縛愛好家から紹介された女子高生だった。
    五月ちゃんはコスプレイヤーではなく、普通のコスプレの経験すらないという。
    でもコスプレ緊縛には興味深々とのことで、ちょうど撮影モデルを募集していた僕に紹介してもらえたのだ。
    僕は坂本静子という彼女の友人の面接を受けて、五月ちゃんに会えることになった。
    坂本静子は化粧っ気のない地味な女で、堅苦しい喋り方をする、あまり面白いタイプではなかった。
    でもコスプレ緊縛の話になると急に身を乗り出して、それは五月に向いている、綺麗に撮ってあげて下さい、なんて言われたのだった。
    ・・
    五月ちゃんは後ろ手に縛られても元気だった。
    「手塚さん、お上手ですねー。ぎゅって縛られるの、気持ちイイです」
    「五月ちゃんは縛られるのが好きなんだね」
    「実はドMなんですっ。きゃはは」
    僕は彼女から離れてカメラのファインダーを覗く。
    「無理しないで、できる範囲でポーズと表情をつけてくれたらいいからね」
    「はい」
    「目を大きく見開いて、驚きと戸惑いの表情で」
    「今度はこちらを睨みつけて、怒っているような表情で」
    「そのまま片足を立てて、こっちに向かって飛びかかろうととするみたいに」
    五月ちゃんは僕の指示の通りに応えてくれた。
    カメラ目線でくるくる変化する表情は、撮っていて飽きない。
    短いスカートで開いた足の間から下着が見えていた。
    「うは。スカートの中、見えてる」
    わざとおどけて口に出すと、五月ちゃんは慌てる様子もなく僕に聞いた。
    「パンツ、好きですか?」
    「そりゃ、まあね」
    「うふふ」僕を見て笑いながら、少しずつ開脚・・、と、すぐに両足をぴったり閉じた。
    「見せませんよぉだ。見たいんだったら、あたしが自分で隠せないようにして下さい♥」
    言ったなぁ。僕も笑いながら追加の縄を取り出す。
    五月ちゃんの左の膝を折らせて太ももと脛をまとめて縛り、さらに膝と腰を連結した。
    これで彼女は片膝を立てて開いたまま、その足を閉じられなくなった。
    「さあ、もう隠せないぞぉ」
    「やーん」
    正面から近づいて舐めるように撮影。
    さらに床に転がして、お尻から撮影。
    「五月ちゃん、まだ続けられる?」
    「はい、いけますよ。・・もっとちょっと厳しく縛られても、いいかな? なんて」
    嬉しいことを言う娘だな。
    「じゃ、」
    五月ちゃんの手足で一本だけ自由だった右足の足首に縄を巻いて輪を作った。
    天井から滑車を下ろし、右足の輪にフックを掛ける。
    ロープを引くと、五月ちゃんの右足が天井に向かってぴんと伸びた。
    「あぁん」
    さらに引いてお尻が床から浮き上がったところで、ロープを固定する。
    僕はまだまだ吊りなんてのは出来ないけど、片足を引き上げるくらいなら造作ない。
    五月ちゃんは、左上半身だけを床についた不自然な姿勢になった。
    半ば逆さ吊りの状態だ。
    「はぁ・・」
    口元には微笑みを浮かべているものの、顔を赤らめて視線が定まらない。
    「こ、このポーズ、・・けっこう刺激的、ですねっ」
    困ったように喋る様子が可愛い。
    僕は五月ちゃんの回りをぐるぐる回って写真を撮った。
    にょっきり真上に伸びる16才の健康的な太ももが魅力的だった。

    五月・緊縛個撮

    ふと気がつくと、五月ちゃんが黙り込んで静かになっている。
    「五月ちゃん?」
    「あ、すみません。・・ちょっと、ぼぉっとしてました」
    「大丈夫?」
    彼女は微笑みながら頷いた。
    「ねぇ、そんな風に縛られてどんな気分だい?」
    「気分ですか? んー、えっと、・・すごく恥かしくて、ばくばくして、・・みじめで、・・きゅんってして、・・素敵っ」
    「何だい、それは?」
    「あぁん、あたしも、訳わかんないっ」
    「もしかしてそれは、えっちな気分ってこと?」
    「え~!? もぉ、ばーかっ」
    「あははは。・・あ、しまった!」
    「?」
    「五月ちゃんの色っぽい顔、撮り忘れたよ。・・ね、もう一回、さっきの表情してよ」
    「残念でした。もうダメで~す!」
    五月ちゃんは僕に向かって舌をべ~っと出してきゃははと笑った。
    ・・
    縄を解いて休憩させてあげる。
    ペットボトルのコーラをカップに注いでいると、五月ちゃんは自分のバッグから小さな紙袋を出した。
    「クッキー食べますか?」
    「お、ありがとう。・・もしかして、これ」
    「はい、あたしが焼きました」
    「そんなの、もらっていいのかな」
    「あは。あたし、男の人にサービスするの、好きなんです」
    「そういうサービスしてると、誤解されるよ?」
    「え~、そうですかぁ?」
    「うん。僕だって、誤解しそうになってるから」
    五月ちゃんは、真面目な顔になった。
    「あの、あたし・・、手塚さんだったら誤解されても、いいです」
    「え」
    大きな瞳が僕を見つめている。僕の胸がどきんと鳴った。
    「あたしのこと、キライですか?」
    「ちょ、五月ちゃん?」
    「きゃははっ。どきんとしちゃいました?」
    「こら。大人をからかうと痛い目に会うぞ」
    僕は仕方なく笑いながら、五月ちゃんの頭を軽く叩いた。
    ・・
    後半は別のキャラクターの制服に着替えて、部屋の壁にある十字架形の磔台に五月ちゃんを拘束した。
    「あたし、十字架なんて初めて!」
    すっかり喜んでいる。
    「すごいっ。本当にハリツケなんだー」
    手足を固定する枷を興味深げにがちゃがちゃ動かしている。
    「ねぇ、五月ちゃんは責められているんだから、もう少し、しゅんとしてよ」
    「あ、ごめんなさいっ。縛られて喜ぶ女の子なんて本当は嫌ですよね」
    「いや、別にそういう訳じゃないんだけど」
    五月ちゃんの様子が一変した。
    急に黙り込むと頭を垂れて動かなくなった。
    「五月ちゃん?」
    「いや!」
    僕をちらりと見て顔を反らし、目をぎゅっと閉じた。
    その目元から光る涙がこぼれる。
    やがて、おずおずとこちらを見た。
    「ほ、解いてっ。あたしを、助けて下さい・・。お、お願いだから、もう、許して」
    全身をくねらせるようにして激しくもがき、しばらくして諦めたような声を出す。
    「ああっ」
    「ねぇ、」
    「くっ・・」
    「ね、五月ちゃん」
    「は、はい?」
    「迫真の演技だし、色っぽくてドキドキするけど・・、やり過ぎ」
    「やっぱりそうですかぁ? きゃはは」
    五月ちゃんは両手を広げて拘束されたポーズのまま身体じゅうで大笑いした。
    「ごめんなさい。やっぱり、あたし、こっちが地、なんですぅ」
    僕も一緒になって笑ってしまった。
    ダメだ、どうやら僕はこの娘が気に入ってしまったようだよ。
    その後、彼女の片膝を高く吊り上げたり、スカートをめくって股間にロープをくぐらせたりして、いろいろなポーズを撮影した。
    五月ちゃんは最後まで明るく元気に緊縛モデルを務めてくれた。
    ・・
    五月ちゃんを車で近くの駅まで送ってあげる。
    薄いピンクのブラウスにショートパンツとスニーカー姿の五月ちゃんは私服でも可愛いかった。
    別れるときに料金の半額を彼女に渡した。残りの半額は坂本静子に先渡ししてあった。
    「あと、これはお小遣いに」
    僕はそう言って、万円札を1枚余分に五月ちゃんに渡そうとした。
    「あ、駄目ですダメです。お約束以上は受け取れません」
    「え、だって」
    「いいんです。それは手塚さんがいい写真を撮るために使って下さい」
    「・・わかったよ」
    「じゃあ、ありがとうございました。さよなら!」
    彼女はそう言って車を降りるとぺこりをお辞儀をして駅の中に走っていった。
    ・・
    坂本静子にメールを入れると、すぐに番号非通知で携帯電話が鳴った。
    「坂本です」
    静子の落ち着いた声が聞こえた。
    「手塚です。さっき彼女と別れたところです」
    「そうですか。江田五月はお楽しみいただけましたか?」
    「はい。いい写真が撮れましたよ」
    「それはよかったです」
    「あの、また頼めますか?」
    「いつ頃?」
    「そっちの都合がつき次第、すぐにでも」
    「しばらくスケジュールがいっぱいで、来月終わりくらいまで待ってもらえますか」
    「それでもいいです」
    「分かりました。また私から連絡しますから」
    ピ。
    通話が切れた。
    はぁー。
    僕は携帯電話を耳に押しあてたまま大きく深呼吸をした。
    ・・
    ピ。
    静子は携帯電話を閉じて溜息をついた。
    スケジュールがいっぱいと言ったのはウソだ。
    ただ手塚には江田五月をしばらく会わせないほうがいい、そう考えただけである。
    五月、あなたちょっとお客様に媚び過ぎよ。男の人はすぐに舞い上がるって、この間言われたところでしょ。
    だって、ついノッちゃったんだもん。大丈夫、手塚さんストーカーになるような人じゃないよ、きっと。
    ともかく、次からはもう少し控え目にすること。いい?
    うぅ、わかってるわよぉ。
    静子はしばらく腕を組んで難しい顔をしていたが、やがて仕方ないと両手を広げる仕草をすると、洗面台に置いたバッグを開けた。
    駅の女子トイレには彼女一人だけで、他には誰もいない。
    鏡を見ながら髪をとかして整え、後ろで束ねてくくった。
    口紅を拭き取ってリップを塗った。目元のマスカラは黒縁眼鏡で隠す。
    ピンクのブラウスの上にカーディガンを羽織り、前のボタンをきっちり止めた。
    ブラウスの裾からのぞく手首にはうっすらと縄の跡が残っている。
    下半身は膝丈のスカートにカッターシューズだが、バッグの中にはデニムのショートパンツとスニーカーが入っていた。
    「じゃ、帰ろっか」
    そう言ったのは五月の声だった。
    それからバッグを抱えると、トイレを出てホームに上がっていった。



    ~登場人物紹介~
    江田五月: 16才。自称ドMの高校1年生。緊縛されるアルバイトをしている。
    坂本静子: 五月のマネージャーをかって出たクラスメート、のはずだったけど。
    僕(手塚): 27才。コスプレ緊縛を撮影するアマチュアカメラマン。

    早くも驚愕(笑)の秘密が明かされました。
    おいおい、どうなってるんやとお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが(いて欲しいな!)、彼女たちの正体はこれからの展開の中で明かされるはずですから、引き続き楽しんでいただけたらと思います。
    それにしても、五月ちゃんは前回お客さんに説教されたところなのに、相変わらず賑やかでドM全開の暴走ぎみですね。
    こんな女子高生を1対1で縛るとしたら、嬉しいでしょうか、それとも振り回され過ぎて煩わしいでしょうか。

    五月が着ているコスは、架空のアニメの制服です。
    クール&スパイシーな女の子が登場する某アニメに似ているような気もしますが、それは勘違いです^^。
    決めゼリフも違いますしね。

    さて次回は、五月はお休みで、五月のお姉さんが登場します。
    1~2話とはがらりと雰囲気が変わる予定ですが、どうなるでしょうか。
    ありがとうございました。




    Sisters 第1話・アルバイト ~最初のお客様~

    それはアダルト系SNSの掲示板で見た書き込みだった。
    『都内限定、高1女子レンタル。緊縛用。えっちNG。ayaayaaya@****.****』
    次々と流れる書き込みの中から、たまたま目に止まったメッセージ。
    これは即あぼーんだな。こんなところで高校生とは。
    素人か、それとも素人を装った業者か。
    何となく素人のような気がした。私はそのメアドをコピペして控えた。
    翌日、同じ掲示板を探ってみると、その記事は消えていて代わりに
    『規約違反につき消去しました。管理人』
    という文字が表示された。やっぱり。
    私の中で天邪鬼(あまのじゃく)が頭をもたげる。
    どんな奴がどんなM女を紹介するのか興味がわいた。
    私は捨てアドレスを使ってメールを送信した。
    ・・
    返信が来たのは4日後だった。
    携帯電話の番号を教えれば会うという。少し迷ったが番号をメールした。
    5分後に番号非通知で携帯が鳴った。
    「あの、メールの者です」相手は女だ。しかも幼い感じの声だ。
    「あ、どうも」
    「突然失礼ですが、あなたは、女性を緊縛できますか? それからセックスなしで大丈夫ですか?」
    「確かに失礼だね」
    「気に障ったならすみません」
    「いや、構わないよ。・・そうだね、かれこれ20年以上は縛っているよ。相手は商売女と素人の両方。セックスは別に重要じゃない」
    「20年以上ですか」
    「ちゃんと縛れることが条件なのかい?」
    「はい、一応。次の金曜日の夕方、直接お会いできますか」
    「サラリーマンだからあまり早くは行けないよ。どこへ行けばいい?」
    「じゃあ、西浜駅の東口に△△という喫茶店がありますから7時に。そのときに1万円持ってきて下さい」
    「1万円でいいのかい?」
    「残りは後で」
    「わかった。で、そのあと君と一緒に過ごすのかな」
    「いいえ。私は彼女のマネージャーなので、まずお話しして会わせられるかどうか決めます」
    「そうか。慎重なんだな。本当に高校生かもしれないと思ってしまうよ」
    「あの」
    「はい?」
    「信じてもらえないかもしれないけれど、私も彼女も本当に高校生です」
    ・・
    待ち合わせの喫茶店に現れたのは、膝丈のスカート、ブラウスにカーディガンを羽織った少女だった。
    黒縁の眼鏡をかけて、髪を後ろで括っている。
    今どきの女の子にしては地味だが、それでもまごうことなき女子高生だった。
    「坂本静子といいます」
    「あ、山内です」
    「実はこういうアルバイトは初めてなので、相手を選ばせてもらっています」
    「そうか。それで紹介してくれるのは君の友達なのかい」
    「これを」
    静子は小さなシールを貼ったカードを出して見せた。
    プリクラの写真の中に、セミロングの髪で大きな瞳の少女が静子と一緒に写っていた。

    静子と五月プリクラ写真

    「この子は江田五月(さつき)ちゃん。可愛いでしょう?」
    確かに可愛いかった。
    こんなことを言っては悪いが、隣の静子がいい引き立て役になっている。
    「この女の子が高校1年生で私の相手をしてくれるのか」
    「はい」
    「坂本さん、君も高1なの?」
    「はい」
    「高校生が、こんなアルバイトをしてもいいのかい?」
    「売春じゃありませんから」
    「そりゃそうだな」
    「あの、私から質問させてください。山内さんは、その、緊縛の経験が豊富ということですけど」
    「信じられないかい?」
    「いえ、そうではないんですけど、今まで会った人は、うまく縛れそうにない人が多かったものですから」
    「もしかして、君は連絡してきた奴全員と会ってるのか」
    「はい、一応」
    そんなことをしていたら、返事が来るまで4日もかかるはずだ。
    「その五月ちゃんって子は、そうとうマゾなのかい」
    「それは、会って直接確かめてください」静子は自分のことのように顔を赤らめた。
    「そうか。・・私が縛りのベテランかどうか確かめたいんだったね。いいさ、証拠を見せよう」
    「?」
    「テーブルの下で両手をこっちに出してくれる」
    私は彼女の顔を見て笑いながら、テーブルの下に差し出された手を握って引き寄せた。
    ポケットからロープを出すと、手元を見ないまま、その手首を合わせて手早く縛った。
    「え? やだ・・」
    静子が困ったような声を出す。
    このテーブルは中心にある細い支柱一本で支えられている。
    彼女は左右の手の間にその支柱を挟む形で、手首を縛られてしまったのだ。
    もはや手を引っ込めることはできない。
    「どう? 信用した?」
    「はいっ」
    「本当?」
    「本当ですっ。本当に信用しましたから、外して・・」
    私はロープを解いてポケットにしまった。
    「はぁ、びっくりしました」
    静子はハンカチで自分の頬をぬぐった。その顔がいっそう赤くなっていた。
    「五月ちゃんと会えるかい?」
    「はい。この土日ならいつでも。・・五月、喜ぶわ」
    私は五月との待ち合わせの段取りを決めて、それから前金を静子に支払った。
    ・・
    「こんにちはっ。江田五月です」
    だぶだぶのトレーナーにデニムのミニスカートを穿いた少女がぺこりとお辞儀をした。
    「山内さん、背が高くて素敵ですね。あたし、おじさん、結構好きです♥」
    「いきなりおじさんって決めつけないでくれる」
    「あれ? じゃあ、おいくつですか?」
    「43」
    「思いっきりおじさんじゃないですかー」
    彼女はトレーナーの裾を口の前で振りながらきゃははと笑った。しかたないので私も笑う。
    「じゃあ、行こうか」
    「はい!」五月は私の左腕にしがみついて密着した。
    「こら、こんな人通りの多い場所で」
    「嫌ですか?」
    私を見上げていたずらっぽく微笑む。
    「む・・・」
    私は視線をそらせて歩き始めた。私の方がどぎまぎしているような気がするのは何故だ?
    五月は私の腕にぶらさがったままである。
    「いろいろ面倒くさかったでしょ。静子ったら初めてなんだから相手はよく選ばないと駄目だって聞かなくって」
    「いや、いいよ」
    「静子は山内さんの前に、男の人4人と会ってるんですよ」
    「へぇ」
    「それがね、自分が女子高生に縛られたいって人ばっかりだったって」
    「男を縛るのは駄目なのかい」
    「え~、駄目ですよぉ。縛られるのはやっぱり女の子じゃないと。・・でも、オーノくんだったら縛ってみたいかな。オーノくん分かりますよね? KARASI の」
    「ごめん、知らないよ」
    「ええ~っ、知らないんですかぁ?!」
    明るくて、ものおじしない娘だった。
    私が余計なことは聞かないようにしているのに、自分のことをべらべらと喋った。
    彼女は都内の高校に通う16才。静子は同じクラスの仲良しである。
    このアルバイトは五月から言い出して始めたことで、ネット掲示板での宣伝などは静子がやってくれたとのこと。
    最初の客は、緊縛経験のある中年男性にしようと決めていた。
    「静子、山内さんのこと、すごく気に入ったみたいなんですよ」
    「それはよかった」
    「手首を縛ったんですって? 胸がどきんって鳴ったって言ってましたよ」
    「静子ちゃんもマゾなのかな?」
    「静子は、どっちかと言うとSだけどなぁ。あたしはドMって自覚してますけどねっ。きゃはは!」
    どこか調子が狂う。
    私が今まで縛ったM女はどちらかと言うと寡黙なタイプばかりで、こんなに陽性のM女は初めてだった。
    この子、本当にマゾなのか。それとも高校生くらいの女の子は皆こんな感じなのか?
    まあ、いいか。縄を掛けたら分かることだ。
    私は何度か使ったことのあるビジネスホテルに向かった。
    ここは防音がしっかりしていて、女が多少声を上げた位では外に分からない。
    ・・
    部屋に入ると私は聞いた。
    「五月ちゃんは今まで縛られたことはないのかい?」
    「うーん、あるような、ないような。・・でも山内さんみたいにベテランの縄師の人に縛ってもらうのは初めてです」
    「私は縄師じゃないよ」
    「まあいいじゃないですか」
    「縛り方とか、希望はあるかい」
    「いいえ。どんな縛りでも受けますから、よろしくお願いします」
    「殊勝だね」
    「きゃはは、お客様ですもん」
    再び笑う彼女を前に考える。
    初めて縛られるという女は一度だけ経験があった。
    そのときは喜んで縄を掛けたら、痛いきついの連続ですっかり白けてしまった。
    この娘にどの程度経験があるのか分からないが、とりあえず無理しないことだ。
    私は鞄から綿ロープを出した。部屋に備え付けの足置き用のスツールを鏡の前に置く。
    「ここに腰かけて」
    「あれ? あたし脱がなくてもいいんですか」
    「脱ぎたければ脱いでもいいよ」
    「えっと、・・じゃあ、このままで」
    裸になると思っていたらしい。
    「もうちょっと可愛いの着てきたらよかったかなぁ」
    「五月ちゃんはそのままで十分可愛いさ」
    「そうですか? お世辞でも喜んじゃいますよ」
    「お世辞じゃないよ。・・じゃ、縛るよ」
    「はい!」
    五月は鏡に向いてスツールに座り、背筋を伸ばして両手を背中で組んだ。
    「偉いじゃないか。自分から両手を後ろに回すなんて」
    「えへへ、M女のマナーですから」
    「どこでそんなことを憶えたの」
    締め過ぎないように注意して手首を縛る。そのまま胸の上下にロープを回す。
    は~っ。
    五月が縛られながら深呼吸をした。鏡に映る自分の姿を陶然と見ている。
    私は手にした縄尻を彼女の背中で束ねて括った。ま、こんなところか。
    「あの」
    「どこか痛いかい」
    「いいえ、ぜんぜん。山内さんは、いつもこんなに優しい縛り方なんですか?」
    「いいや。相手によるけど普通はもうちょっと厳しいよ。今日は、五月ちゃんとは初めてだし」
    「あの、いつもみたいに縛ってもらって、いいんですけど」
    「五月ちゃん、もしかして、物足りないのかい」
    「いや、あの。・・まあ」
    彼女の顔が赤い。
    「そうか。じゃあ、もう一回聞くから、五月ちゃんはどうして欲しいか言いなさい」
    「えっと、タカテ、コテで、・・この縄も、白くないのがいいかな」
    「高手小手?」
    「あの、もっと腕を捻り上げてぎゅっと縛るの、高手小手でいいんですよね」
    「痛いかもしれないけど、いいの?」
    「はい。・・駄目ですか?」
    「いや。それなら喜んで縛らせてもらうよ」
    一度解いて、麻縄で縛り直す。
    手首を肩甲骨の高さまで吊り上げて、二の腕と固定し、胸を締める縄も追加した。
    うん。この娘、結構柔らかいじゃないか。
    「あぁ」
    「きついんじゃないの?」
    「ううん。・・ぎゅっと縛られるの、気持ちいい」
    五月は首を後ろに向けて私を見た。大きな瞳が少し潤んでいるようだった。
    「あ、・・あたし変ですか? こんなにされて嬉しいなんて」
    「まあね。高手小手で縛れなんて女の方から要求されたのは初めてだよ」
    「・・」
    「五月ちゃんは本当にドMなんだな。・・だいたい普通の女子高生だったら高手小手なんて言葉、知らないよね」
    「恥ずかしい。そんなに言われたら」
    五月は初めて本当に恥ずかしそうな表情をする。
    「ほう、一応は恥ずかしいのか。縄で縛られて嫌がるどころか喜ぶ自分が。君みたいな子のこと、何ていうんだっけ。・・変態?」
    「や!!」
    顔を反らして、視線を斜め下に向けた。
    「はぁ・・」
    小さな声をこぼしながら深呼吸を繰り返す
    これは面白い。この娘、興味本位の口だけじゃない。本物のマゾか。
    「もしかして、まだ物足りないんじゃないかい」
    「いやっ、そんなこと。・・ああ、その、」
    「その、何?」
    「足も・・」
    「はっきりとお願いしてくれないと分からないよ」
    「・・あ、足もぎゅっと縛って下さい!」
    私は彼女の足首と太ももを縄で繋ぐようにして縛った。
    「はい。これでもう立ち上がることもできないだろう?」
    「あ、ありがとうございます・・」
    あれだけ賑やかだった女子高生が、蚊の鳴くような声で返事をした。
    ・・
    私は五月にそれ以上のことは何もしなかった。
    しばらく放置して、高校1年生の少女が緊縛されて感じる姿を眺めて楽しんだ。
    縄を解くと彼女はすぐに元気になって再び賑やかにお喋りを再開した。
    少し休憩して別の形でもう1度縛り、それから求められるまま彼女のデジカメで写真を撮ってあげた。

    五月緊縛

    ・・
    「ありがとうございました!」
    そう言って五月がぺこりとお辞儀する。
    「山内さん、お客様なのに、あたしの方が楽しんじゃったみたい」
    「いいや。こっちも楽しかったよ。・・じゃ、これを」
    私は残金を出した。
    「あ、それ受け取れません。今日はあたし、ワガママきいてもらいましたから」
    「別に何もきいてあげてないよ」
    「いいえ。優しくぎゅっと縛ってもらって、コトバ責めもしてもらったし。・・あたし自分でも恥ずかしいくらい、えっちな気分になっちゃいました」
    「そうなの」
    金が要らないというなら、こっちは別に構わないが。
    「あーん、下着、まだ濡れてるぅ」
    五月は私の目の前でスカートの中に手を入れてするするとショーツを脱ぐと、ポーチから新しいのを出して穿き替えた。
    「・・これ、どうぞ!」脱いだばかりの下着を両手に載せて私に差し出した。
    おいおい。
    「五月ちゃん、駄目だよ。私にはそういう趣味はない」
    「えーっ? 欲しくないんですか?」
    「あのねぇ」
    目の前の16才の少女のこれからが急に心配になった。
    「あのね、五月ちゃん。これからもこのアルバイトを続けるつもりだったら、無防備に男を挑発するようなことはしちゃ駄目だ」
    「・・?」
    「男はすぐに舞い上がるから、その場で押し倒されても文句は言えないよ。ストーカーになる奴だっている」
    「!」
    「縛られるってだけで相手にすべてを任せてるんだ。それ以外のときは、賢く貞潔でいるのが、いいM女ってもんだ」
    「・・はい」
    「それと、やっぱり自然にしてた方がいいんじゃないかな」
    「自然、ですか?」
    「五月ちゃん、下着を脱いだとき、ちょっと無理してなかった?」
    「・・山内さん、そこまで分かるんですか」
    「まあ、何となくね」
    五月は右手の人差し指を目の下にあてた。
    「五月ちゃん・・?」
    「最初のお客様が山内さんでよかった・・。あたし、ほんとにバカです。男の人はパンツあげたら喜ぶって思ってました」
    五月は脱いだばかりの下着を小さくたたんでポーチにしまった。
    「この下着は机の前に貼って、自戒の印にします」
    「はぁ?」
    「冗談ですってば♥」
    彼女はそう言うなり私の肩に両手をかけると、背伸びをして私に唇を合わせた。
    「わ、こらっ」
    「誰にでもキスするって訳じゃないから安心してください。それに今のはファーストキスじゃないですよっ、きゃはは!」
    ・・
    翌日、静子からメールが届いた。
    『上手に縛っていただき、ありがとうございました。五月から写真を転送するように頼まれたので送ります』
    そこには2枚の写真が添付されていた。
    1枚は私が撮ってあげた彼女の緊縛写真。
    そしてもう1枚は、あのショーツを広げて壁に貼った前でピースサインをしている五月の写真だった。
    ショーツにはマジックで黒々と『祝♥初しばり』と書かれていた。



    ~登場人物紹介~
    江田五月: 16才。自称ドMの高校1年生。
    坂本静子: 16才。五月の親友。五月のマネージャーとして客を探した。
    私(山内): 43才。最初の客。

    新しいシリーズを始めます。
    五月ちゃんは被虐性十分、経験不十分の女子高生です。
    このアルバイトは、どうやら誰にも相談せずに始めたようです。
    危ない目にあわなければいいのですが・・。

    このシリーズでは彼女と彼女のお姉さんを中心にお話を進めて行きます。
    長く続くか、数話で終わるか、作者の私にもまだ分かりませんが^^、楽しんでいただければ幸いです。




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    女性の拘束に関わる小説/SSと
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