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    Bondage Model その4・タマキとボク

    1.
    「行ってくるね」
    タマキはそう言ってボクの頭を撫でると、スタジオの反対側に歩いていった。
    ボクはタマキが使っていた椅子に代わりに座り、彼女の仕事をじっと眺めるのが習慣だ。
    一声だって鳴いたりしないし、ましてスタジオの中を嗅ぎまわって皆の邪魔をするようなことは絶対にない。
    ボクは上品なネコなんだ。

    メイクさんに化粧してもらって髪もアップにまとめたタマキはとても綺麗で、普段の姿とは大違いだった。
    アパートの部屋で過ごすタマキといえば、すっぴんの顔に髪はぼさぼざで乱れ放題。
    ボクの毛並みの方がずっと素敵なくらいだ。
    いい大人になった人間のメスといえば、もっとおしゃれに気を遣うべきだと思うけどね。

    今日の撮影現場は、真っ白な背景幕の前に置かれた木製のアンティークチェアだった。
    タマキはそこに座ると、両手を頭の後ろに回してポーズをとってカメラをにらみつけた。
    カメラのシャッター音に合わせて少しずつポーズを変える。
    タマキは黒のストッキングとガーターベルトを着けていて、その上からTバックのショーツを穿いていた。
    上半身はトップレスだった。
    カメラを睨んだまま左足のガーターのクリップを外し、ストッキングを少しずつ下げて行く。
    片方の足だけ素足になると、その足をぴんと垂直に伸ばした。

    身体が柔らかいのは、タマキの持って生まれた素質だ。
    両手を胸の下で組んで、細身の身体に不似合いなほど大きなおっぱいを持ち上げる。
    そうして口を少し開け、片方の眉を少し上げぎみにして微笑んだ。
    人間のオスはこのポーズと表情に欲情させられてしまうらしい。

    「じゃ、縛るかー」
    カメラマンが声をかけると、スタッフが赤い縄を持ってきた。
    タマキはその縄で後ろ手に縛られた。
    腕だけでなく、全身に縄が巻きついてタマキを締め上げる。

    ボクはぴくりとヒゲを動かしてタマキの胸を見つめる。
    縄が食い込んでぷるんと張ったおっぱいが、ボクの好きな魚肉ソーセージにちょっと似ているんだ。
    でも、ボクは仕事中のタマキのおっぱいに飛びついたりなんかしない。
    そんなことをしたら叱られると知っているし、それに子ネコの時代に何度もタマキのおっぱいにじゃれついてそれが食べ物ではないことも分かっていた。

    「あ・・、んんっ・・」
    タマキが声を上げて、びくびく震えた。
    甘酸っぱい匂いが伝わってくる。
    これはタマキが出す、盛りのついた人間のメスの匂いだ。
    タマキは縛られて発情する。まったく不思議な習性だ。
    縛られて自由を奪われるなんて、ネコにとっては恐怖以外の何物でもないけれどね。

    タマキは首から上をすっぽり覆う全頭マスクを被せられた。
    口の部分にストローくらいの小さな穴が空いているだけで、視界を奪うだけでなく、呼吸も制限されるマスクだ。
    その上からベルトを巻いてピンで固定する。

    「ん・・、ふ・・」
    タマキを縛る縄はどんどん増えて、ほんの数センチ刻みで身体を覆うようになった。
    もはやタマキは身動きひとつできなくなり、床に転がされて喘ぎ声だけを上げている。
    それでも撮影は終わらない。
    カメラマンは転がされたタマキの周囲をぐるぐる回りながらシャッターを切り続けている。

    マスクの下から漏れる声が次第に小さくなった。
    ときおりぴくぴく動いていた指先も動かなくなった。
    たがて、ボクは両方の耳をぴくりと動かした。
    椅子から降りてタマキの側に歩み寄ると、右の前肢をタマキの足にかけて「ナア」と鳴いてみせた。

    タマとボク

    「・・お?」
    カメラマンはボクに気付いてようやくカメラを降ろした。
    「すまんな、ネコくん」

    全頭マスクを外すと、意識を失くしたタマキの顔が現れた。
    股間の部分の縄と縄の間から、甘酸っぱい香りが溢れている。
    ボクは縄に爪をかけて引っかいた。
    何度かカリカリやっていると、縄の隙間が開いて、タマキのまんこが見えた。
    ねばねばした透明な液体が溢れている。ボクはそこに舌を差し込んで舐めた。
    タマキの愛液を舐めるのはボクの習慣なんだ。

    「!!!」
    タマキはびくっと動いたけど、ボクは構わずに舌を使い続けた。
    「あ、あ、ああああっ」
    タマキが大きな声を出した。
    「あぁ・・、あん、あん、あんっ」
    ざらざらしたネコの舌はタマキにとってたまらない刺激のようだ。
    ぎちぎちに縛られた身体を激しく震わせてもがいた。
    もちろんボクはそんなことでタマキから離れない。
    縄に爪を立ててしがみつき、ぺろぺろ舐め続けた。

    「これがタマキちゃんの舐めネコか」
    スタッフの一人が驚いたようにつぶやいた。初めてボクを見たらしい。
    「いい絵じゃねぇか・・。くそっ、撮りてぇなぁ」

    でもボクを撮る人はいなかった。
    こういうシーンにネコやイヌを使うと、動物虐待だとか言ってクレームをつけてくる人がいるらしい。
    だからこの出版社では動物とのカラミの撮影は一切禁止だった。

    どこが動物虐待なんだろうね。ボクは好きでやってるだけなのに。
    だいたい、縄で縛られたタマキの方がよほど虐待されているじゃないか。
    タマキは虐待してよくても動物虐待はNGだなんて、人間は変なところに拘るんだな。

    やがてボクの舌で責められたタマキが二度目の失神をして、撮影は終わったのだった。

    2.
    言い忘れていたけれど、ボクは昔どこかの文豪が書いたネコと同じで名前がない。
    タマキはボクのことをネコちゃんとしか呼ばないからだ。
    まあボクはボクだ。名前がなくても気にしたことはない。

    ボクはまだ目も開かない状態で、公園のベンチの下のダンボール箱の中でミャアミャア鳴いていたところを、まだ高校生だったタマキに拾われた。
    そしてボクはタマキの部屋でミルクをもらい大きくなった。

    高校生の頃のタマキは、・・まあ今も変わりないけど、暇さえあればオナニーばかりしていた。
    だいたい、ボクの記憶にある一番古いタマキの姿が、ベッドの上で制服姿のままパンツを下ろして自分を慰めているところなんだから。
    タマキはオナニーをするたび気持ちよくて幸せそうに見えた。
    子ネコだったボクには、それがそれはお腹がいっぱいで幸せなのか、柔らかい毛布の上だから幸せなのか、それともウンチをいっぱい出せたから幸せなのか分からなかった。

    でもボクがタマキの部屋に来て10ヶ月ほど経った頃、小さな事件があってボクはタマキのオナニーを理解した。
    タマキがいつものように両足の間に指を当てたとき、ボクはそこに漂う匂いに気がついた。
    それは少しつーんと甘酸っぱい香りがして、ボクはとても不思議な気持ちになったのだった。
    ボクの股間から小さな器官が突き出した。
    ボクはタマキのお尻に飛び乗ると、そこに腰を押し付けた。
    「きゃっ」
    タマキが悲鳴を上げ、ボクは彼女のお尻を爪で掻いてほんの少し出血させてしまった。

    成ネコになった今では理解している。
    タマキは発情して、人間のメス特有の液体を分泌した。
    それに含まれるフェロモンが、オスとして成熟したボクを発情させたんだ。
    ボクは今も本物のメスネコの匂いを知らない。
    でもタマキの匂いならどれだけ発情しているかすぐ分かるようになった。

    ボクはタマキの匂いに慣れ、タマキにマウンティングすることは滅多になくなった。
    その替りにタマキから溢れる液体を舐めとってあげるようになった。
    タマキもボクに舐められるのを喜んで受け入れてくれた。

    タマキは高校を出ると、家を出て一人で暮らし始めた。もちろんボクも一緒だ。
    いろいろなアルバイトやパートを転々とした末に、街でスカウトされてモデルになった。
    ヌードや緊縛、ときにはAVの仕事もするモデルだった。

    彼女はボクを撮影現場に連れて行ってくれるようになった。
    タマキはネコと一緒に仕事に来るモデルとして少し有名になった。
    その頃にはボクはとても賢くて落ち着いたネコになっていたから、どんな現場でも皆の仕事を邪魔することはなかった。
    ただ一つ、タマキの愛液を舐め取ってあげることを除いては。


    3.
    この日の現場は、都心にあるホテルの一室だった。
    ボクは窓際のサイドテーブルに座って撮影の様子を見ている。
    タマキがメイクするのに使った椅子は、ちょっと斜めになっていて座り心地がよくなかったからだ。

    大きなスーツケースが床に置かれている。
    そのスーツケースのロックを解除して蓋を開けると、中に後ろ手錠を掛けられたタマキが小さくなって入っていた。
    口元はボールギャグを咥えさせられていて、垂れた涎でぐしょぐしょに濡れていた。
    タナキはこの状態で1時間近くスーツケース詰めにされていたのだ。

    もちろんタマキは発情しまくっていた。
    肩で大きく息をしながら、ときどきビク、ビクと身を震わせている。
    スーツケースを開けた瞬間に、あの匂いがボクのところまで漂ってきたくらいだった。
    でも、まだボクはタマキに駆け寄らなかった。
    タマキの匂いがまだまだマックスじゃなかったからだ。
    タマキはもっと濡れ狂うはずだ。

    「ネコくん、飼い主の具合はどうだい?」
    撮影監督の男がボクを見て聞いた。
    ふん。ボクは首を横に向けて男の質問を無視する。
    タマキ以外の人間の男に返事するなんてありえないことだ。
    男はそんなボクを見て、笑いながら「続行!」と言った。
    憎たらしい人間だ。
    タマキが本当に壊れそうになっときは、ボクが撮影を止めさせると知っているのか。

    スタッフが一斉に動いてタマキの拘束を交換した。
    手錠を外して、薄灰色の拘束衣を着せた。
    拘束衣は刑務所や精神病棟などで使われるジャケットだ。
    長い袖の先を背中に回して固定すれば、着用者の上半身の自由を完全に奪うことができる。

    ボールギャグを外し、開いた口に大量の詰め布が押し込まれた。
    「おぇっ」と嘔吐(えず)くまで詰めると、吐き出せないように折ったスカーフを噛ませ、さらに口全体を別のスカーフで3重に覆って固定した。
    さらに目元にもスカーフで2重に目隠し。
    両足の間には電動バイブレーターが挿入され、抜けないようにベルトで押さえつけられる。

    拘束はそれで終わりではなかった。
    タマキの身長ほども深さがある大きな麻袋が頭からすっぽり被せられた。
    足の甲と土踏まずの部分で麻袋の口を絞り、さらに全体を10センチ置きにベルトで縛った。
    もはやタマキは棒状の荷物だった。
    爪先だけが外に見えていて、中身が人間だと知ることができた。

    「よっしゃ。バイブ行こう」
    リモコンのスイッチが入れられて、タマキの中のバイブレーターが強弱をつけて動きだした。
    くもぐった声で悲鳴が聞こえ、爪先の足指が開いたり閉じたりを繰り返した。
    やがて悲鳴は聞こえなくなったけれど、足指はぴくぴくと動き続けている。
    麻袋全体は微動だにしない状態で、まったく地味な絵柄だけど、マニアにはたまらない状景になるのだそうだ。

    ボクは窓際のテーブルの上に座ってタマキを見ていた。
    被虐の中でじんじん感じるタマキの感覚が伝わってくる。
    何度接しても理解できない不思議な習性だ。
    でもタマキが感じていることが分かるのは、ちょっと嬉しい。
    人間のメスは責められて欲情する。
    そんなことを知っているネコは他にいないだろ?

    どれくらい時間が過ぎたんだろう。
    気がつくとタマキの意識が途絶えていた。
    麻袋の先に見える爪先はぴくぴく動き続けているけれど、
    気絶してしまったようだ。
    おっと、ボクとしたことが。

    ボクはテーブルから優雅に飛び降り、麻袋の側に歩み寄ると前肢をかけて「ナア」と合図した。
    そしてタマキの愛液を舐めるため、行儀良く座って彼女が解放されるのを待ったのだった。

    4.
    その夜は、久しぶりにタマキにマウンティングをした。
    タマキは緊縛の興奮が収まらないときなど、ボクに犯されるのを期待するそぶりをみせる。
    ボクは賢いネコだから、それを察して望みをかなえてあげるんだ。
    もちろん交尾の後に彼女の愛液をぺろぺろ舐めてあげるのも、飼い主に対するマナーとわきまえている。

    モデルデビューして3年。
    タマキは緊縛・ボンデージ系やフェテュッシュ系の仕事が増えていた。
    マニアが集まるSNSやネットの掲示板では、旬のボンデージモデルなんて呼ばれるようになっていた。

    タマキの股間を舐め終わる頃、タマキのスマホにメッセージが着信した。
    メッセージを読んだタマキはボクを抱き上げて喜んだ。
    それは事務所の女社長からで、テレビの深夜番組にタマキの出演が決まったという連絡だった。


    5.
    テレビ局のスタジオに行くと、そこにはタマキ以外の緊縛モデルが三人いた。
    三人とも18~19才で、去年までは高校生だった。モデルデビューしたときのタマキと同じだ。
    彼女たちは45分間の生放送の間、緊縛オブジェになって飾られるという。
    みんな明るくて礼儀正しかった。
    ボクには魚肉ソーセージをわざわざ持ってきてくれて、ボクはこのモデルたちのことを気に入った。

    本番60分前。
    ベテラン縄師による緊縛オブジェの準備が始まった。
    モデルたちは白いショーツ1枚だけのセミヌード。
    全員まず高手小手に縛られ、それから一人ずつ違うポーズで飾られて行く。
    一人目はうつ伏せに寝かせて逆海老縛り。膝で折った足を縛る縄と口に噛ませた縄を上から吊られて、彼女の身体は大きく反り返っている。
    二人はあぐら縛り。前で組んだ足首と胸を連結する縄が引き絞られて彼女はほとんど真二つに折り畳まれてしまった。
    最後に三人目は腰に巻いた縄で一本吊りにされ、さらに両足を閉じ合わせて何箇所も縛られた。長時間の吊りに備えて腰部の縄は体重が一箇所に掛からないように配慮されていている。

    オブジェが完成すると、次はタマキの番だ。
    番組のオープニングでは緊縛オブジェの手前にタマキが吊られて登場するのだ。
    タマキの衣装は真っ黒なブラとタイトミニのセパレートで、後ろ手に縛られた上で1.5メートルほどの高さに斜め横吊りにされた。
    頭が下に下がったきつい緊縛になるが、スタンバイの時間を含めて10~15分程度耐えればよいので、タマキなら問題なしと判断してのポーズだった。

    ライトの調整などすべてのセッティングが完了したのはオンエア7分前。
    スタジオを暗くしてスタンバイだ。
    ボクはスタジオの隅の丸椅子の上に座って、いつものようにタマキの仕事を見物する。

    番組が始まった。
    明るい音楽が流れ、スポットライトの中に緊縛された女性たちが浮かび上がる。
    モニタ画面に空中に浮かんだタマキの姿が映った。
    司会の若手芸人と女子アナが出てきて挨拶した。一緒にタマキたちを縛ったベテラン縄師もいる。
    この人は映画やドラマだけでなく、いろんなイベントやネット上で一般の女性を緊縛する活動をしていて若い女性に人気があるそうだ。

    司会と女子アナが興味深げに緊縛オブジェを見て回った。
    縄師が一体一体の縛り方を解説する。
    オブジェの一人が「キツくないですか」と聞かれて、「あ、大丈夫です」とか応えたりしている。
    タマキは宙吊りにされたままで紹介された。
    縄師に尻を撫でられて身を捩りながら 「やんっ。私、お客さんなのに、何でこんな目に会うんですか~」 とか叫んでいる。
    もちろん台本通りのセリフだ。

    コマーシャルタイム。
    タマキは急いで下され、全身を縛る縄はそのままにソファに座らされた。
    乱れた髪とメイクを手直しされる。
    横に縄師、さらに隣のソファに司会者と女子アナが並んで座り、トークのコーナーが始まる。
    緊縛されたタマキは縄師に腰を抱かれて逃れようがない。
    「いやぁ羨ましい」と司会者が言い、「私も縛られたい」と女子アナが口にする。

    ふわ・・。あくびが出た。
    スタジオの中はとても暖かくて、ボクは眠くなってきた。

    縄師が女子アナを縄で縛り始めたようだ。
    台本になかったことなのか慌てている司会者。とろんとした表情で縄師になすがままにされる女子アナ。

    後は記憶がなくなった。
    ボクは丸くなってすっかり眠りこけてしまったのだった。

    ・・
    ・・

    夢の中。
    ぎちぎちに縛られたタマキにあの縄師がムチを打っていた。
    ひと打ち受けるたびに、肌に刻まれる赤い痕。
    「きゃぁ!!」「あああ・・っ」
    激しく悲鳴を上げてもがくけれど、両足の間には透明な粘液がじくじく流れていた。
    タマキにとっての悦楽の時間。

    ・・
    ・・

    ボクは目を覚ました。
    あの甘酸っぱい匂いを感じた。

    「くっ」「ひぃ!!」
    スタジオの中央で、カメラに囲まれてタマキがムチを打たれている。
    夢の中のように緊縛はされていなくて、ショーツ1枚だけになって巨乳を両手で押さえていた。
    そして床に膝をついて、縄師の振るうムチを背中で受けているのだった。

    こんな進行だったっけ?
    ボクは少し考えたけれど、タマキからほんの少し聞いただけの番組進行などほとんど覚えていなかった。

    脇で司会者と女子アナがムチ打ちパフォーマンスを見ていた。
    女子アナは両手を胸に当てて責められるタマキを見ている。その目に光るのは涙だろうか。
    後方には、緊縛オブジェの三体が変わらないポーズで飾られている。
    あの三人は、もういったいどれくらいの時間放置されているんだろう。

    さっき感じた甘酸っぱい香り。
    それはボクが知っているいつものタマキの匂いとは違っていた。
    タマキの匂いだけではない、別の匂いが混じっていた。
    すぐにオブジェの三人の匂いだと分かった。
    よく見ると、三人とも肌を薄くピンク色に染めて小さく震えているのだった。

    ぶるぶる。
    ボクも身を震わせ、耳をぴんと立てた。
    もっと近くでよく嗅ぎたい。許してくれるなら舐めてみたい。
    ボクはタマキよりも、オブジェの三人の方をじっと見ていたのだった。

    ・・
    ・・

    「お疲れ様でしたー!!」
    放映が終了して、タマキがボクを手招きした。
    ボクはタマキの元に走り、タマキの胸に抱き抱えられた。
    タマキはトップレスだから、おっぱいを隠すブラの代用にされたのかもしれない。

    そこはタマキのメスの匂いに満ちていた。
    ボクは我慢できずに抱かれたまま暴れ、前肢を伸ばしてショーツに爪をかけた。
    「きゃん!」
    ショーツがずるりと膝まで下りた。
    ボクはひらりと飛び降り、その場で尻餅をついたタマキの股間に顔を埋める。

    おお~っ、始まったぞ。
    スタッフたちがにやにや笑いながら集まってきた。
    「こらっ・・。や、やめ。・・ああぁん」
    タマキの身体から力が抜けて、ボクの思いのままになった。
    とろとろ流れる愛液を舐め取る。
    昔から良く知っているタマキの味だった。

    「あっ・・」「はぁ・・」「くぅっ・・」
    別の声が聞こえた。
    顔を上げると緊縛オブジェの三人が解放されていた。

    そうだ、あの匂い!
    ボクはタマキの両足の下から飛び出して、三人の元へ走っていった。

    「あら♥」
    ぐったり座り込んでいた一人が嬉しそうな声を上げた。
    ボクは彼女の膝に前肢をかけた。
    「やだぁ♥ この子」
    笑いながら両足を開いてくれたところに鼻を突っ込む。
    タマキよりもずっと峻烈な匂いだった。
    これがタマキとは別の人間のメス。
    期待を込めてショーツの隙間から舌を差し入れた。

    「ぴぎい」
    全身の毛が逆立った。
    すさまじい苦味と酸味にボクは1メートル以上ジャンプして下がった。
    ボクは初めて知ったのだった。人間のメスが発情して分泌する液体は、一人ひとり違う匂いと味だということを。

    皆が大笑いしている。
    タマキも、ついさっきまで緊縛展示されていたモデルたちも、ボクを見て笑っている。
    ボクは何が面白いんだという顔でスタジオの反対側まで駆けて行き、物陰で丸くなると必死に前肢を舐めたのだった。



    ~登場人物紹介~
    ボク  : 5才のオスネコ。タマキに拾われて育った。
    タマキ : 22才。高校を出てヌード/緊縛モデルになった。
    緊縛オブジェたち : 18~19才の女の子三人。

    久しぶりの更新です。
    11月中は更新しなかったのにもかかわらず、アクセス解析を見れば今までと変わらないPVをいただいたようです。
    ありがとうございました。
    本話は出張中のホテルで書いたものです。
    自宅ではほとんど書けない状況ですが、出張先のホテルなら(飲み会をホドホドにしさえすれば^^)書けると判りました。

    さて、動物が主人公のお話は初めてかもしれません。
    ネコの語り口は有川◯さんの小説を真似(わわわ)インスパイアされました。
    いろいろな拘束シーンはネットで見た緊縛イベントなどを元ネタにしています。
    深夜番組の緊縛も、私の小説がお好きな人なら「あれか」とお判りになるかもしれません。
    最後に挿絵のネコは、ネットのフリー画像を参考にさせてもらいました。

    緊縛した女の子を飾る(触ったり苛めたりぜすに、眺めるだけ)妄想はやはり楽しいですね。
    こういう妄想は男だけがするのかと思っていたら、某SNSで「女の子をずらりと柱に縛って、お茶を飲むパーティしたい」(意訳)なんて書き込みを女性がしているのを見て、大いに喜んでしまいました。

    <追記>
    別記事でも書きましたが、記事の公開でブログ更新不可の状態が続き、更新がさらに遅れました。
    大変申し訳ありませんでした。




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    Bondage Model その3(1/2)・氷の美女

    1.
    毎年恒例の雲島市サマーフェスティバル。
    昼間は野外ステージでミニライブやパフォーマンス。夜は1万発の花火大会。
    他にも屋台や路上イベントなど、町をあげてのお祭りでたくさんのお客を集めている。

    今、商店街のアーケードでは『氷の彫刻展』が開催されていた。
    巨大な氷の板から削り出された動物、アニメのキャラクター、有名建造物のミニチュアなど様々な作品が並んでいる。
    使用されている氷は、純水をゆっくり凍らせて作った気泡のない特別な氷で、真夏の屋外でも融けにくく4~5時間は形を保つことができた。
    そのおかげで周囲に涼しげな空気が漂って、人々はゆったりと彫刻の美しさを楽しんでいた。

    展示されている中に、特に見物人を集める作品があった。
    『氷の美女』とタイトルがついたそれは、一辺1メートルほどのただの四角い氷であった。
    はたして彫刻と呼べるかどうかも分からない代物に人気が集まる理由は、そこに水着の女性が埋め込まれていたからである。

    女性は、透明な見えない椅子に腰掛けるような姿勢で、膝上からお腹までの下半身が氷の中に入っていた。
    手前には、にょっきり突き出した素足の膝小僧。
    そして上面には、黄色いビキニのブラ一つだけ着けて微笑む女性の上半身。
    もちろんマネキンなどではない。
    生きた本物の美女の氷詰めだった。

    氷の美女

    行き交う人々のほとんどが驚いて作品の前で立ち止まる。

    「ママ、見て! どうなってるの、これ?」「うわぁ、分からないわ」
    指差して聞く子供と、答えられない大人。
    「きゃあっ、あたし、やりたい!」「涼しそー!!」
    きゃあきゃあ騒ぎながらスマホで写真を撮る女子高生の集団。
    「冷えないのかしら」「よく見なよ。氷の中は何か着けてるぜ」「あ、ホントだー」
    質問する彼女に説明するアベックの彼氏。

    この彼氏が正解だった。
    女性はちょうど氷に埋もれる部分に肌色のスパッツを穿いていた。
    おそらくスパッツが防寒の機能を備えているのだろう。

    ただし、それだけで女性が無事に過ごせるとは思えなかった。
    非常に融けにくい、よく締まった氷である。取り囲んでいるだけで冷気を感じる程だった。
    スパッツで肌が直接氷に触れないとはいえ、ほとんど身を覆うものもない彼女がどうして平気でいられるのか不思議だった。

    2.
    広告代理店でイベントの企画をしている遠藤くんから電話があったのは、先月のことだった。
    「ミーアちゃん、モデル辞めたって本当?」
    「辞めてないよ。事務所移っただけ」
    「辞めてないんだね? よかった! 頼みたい仕事があるんだ。田舎町のイベントなんだけどね」
    「ちょ、今は夏だけど?」
    「分かってるよ。新しい事務所の連絡先を教えてくれない。ちゃんとオファー入れるからさ」
    「りょーかい」
    「仕事が済んだら一緒に飲もうぜ。じゃあね!」

    アタシは電話を切ってから苦笑した。
    遠藤くんが持ってくるのはいつも「寒い系」のお仕事なのだ。
    彼はアタシと同い年で、タメ口で話しあえる10年来の仕事仲間だった。

    初めて一緒にやったお仕事は、信州の某スキー場のTV-CFとポスターの撮影だった。
    遠藤くんはまだ下っ端の撮影助手で、レフ版を持って走りまわっていた。

    今でもはっきり覚えている。
    アタシを含めてスキーの得意な女の子が4人集められ、全身に日焼け止めを塗って、マイクロビキニでスキーをさせられた。
    よく晴れてはいたけれど、ゲレンデの気温は摂氏1度。
    何度もテイクを繰り返す中、他の子は寒イボをたてて震えているのに、アタシだけ平気だった。
    それがディレクターの眼に留まって、「本当はウェアを着て滑るんだけど」と、ビキニのままでダウンヒルコースを滑って欲しいと頼まれた。
    アタシはもちろん「やります」と答えた。断るなんて考えもしなかった。

    カメラマンとディレクターはコースの途中でスタンバイし、アタシと遠藤くんだけがリフトで頂上まで上がった。
    スタート地点に立つと、目の前に崖を駆け下りるようなコースが見えた。
    アタシはスキーブーツ、手袋、サングラスの他は、小さなマイクロビキニを着けただけの格好。
    もし転倒したら絶対に無事で済まないと思った。
    ハンディカメラを構えた遠藤くんが合図した。
    アタシはエイヤと雪を突いてスタートし、そのまま4000メートルのコースを麓まで滑りきった。

    それからアタシ此花美亜(このはなみあ)は、「酷寒ミーア」なんて呼ばれるくらい寒さに強いモデルとして名が知れた。
    冬になると、雪や氷の上で水着やヌードになるお仕事に呼ばれた。
    遠藤くんはだんだん偉くなってイベントプランナーなんて仕事をするようになり、アタシ向けのお仕事があれば必ず声をかけてくれるのだった。

    ・・遠藤くんと電話で話した数日後、事務所からサマーフェスティバルのお仕事の連絡が入った。

    3.
    サマーフェスティバルの朝。
    アタシは商店街の精肉店の冷凍庫にいた。
    温度はマイナス18度。
    外は朝から30度以上の猛暑だけど、ここは別世界。
    みんな防寒着と手袋を着けている。

    集まっているのはアタシと事務所の小木社長、遠藤くん、そして氷彫刻職人の氷室さんと助手の人。
    遠藤くんの会社はサマーフェスティバルの企画運営を請け負っていて、遠藤くんは彫刻展の目玉に『氷の美女』を出すことを提案したのだという。
    もちろんアタシを念頭に置いてのことだった。
    この冷凍庫を借りて、これから『氷の美女』を製作するのだ。

    「すごいわっ。女の子の氷詰めなんて初めてよ!」小木さんがうれしそうに言った。
    「アタシだって初めてです」
    「え~? 大丈夫なの? ・・未亜ちゃんにもしものことがあったら、それはそれで楽しみだけど」
    「あのですねぇ」
    この女性社長は何にでも子供みたいにはしゃいで喜ぶところがある。

    そもそもアタシが事務所を移ったのは、小木さんがいたからだ。
    モデルのお仕事をするようになって10年。
    頑張ってシェイプアップしてるからボディは若い子に負けない自信がある。
    でも、いつまでも酷寒ミーアだけでやれるはずもないし、アタシはこの先どうしようかと迷っていた。
    そんなとき、モデル仲間の紹介で知り合った小木さんが誘ってくれた。
    「・・緊縛モデル、やってみない?」

    前の事務所はアダルト関係のお仕事は基本NGだったから、アタシは本格的な緊縛を知らなかった。
    だから小木さんの事務所でイベントを見学させてもらって衝撃を受けた。
    涙、嗚咽、絶叫。苦辱の中でオーガズムを感じて乱れ狂うM女。
    ビジュアルだけの世界にはない凄さに圧倒された。
    そして自分も縛られて、意識が飛びそうなほど被虐に感じた。

    アタシは小木さんの事務所に移籍を決めた。

    4.
    「じゃ、作りましょう」
    遠藤くんが宣言して、氷室さんたちが作業を始めた。
    氷室さんは遠藤くんが頼んで来てもらった氷雪造形のプロで、いままでいろいろなイベントで雪や氷の彫刻を作ってきた人だ。
    そんな氷室さんといえども人間の氷詰めは経験がなく、今回は事前にいろいろ検討してもらったそうだ。

    使用する氷は、製氷工場で純水を3日かけて凍らせた一つ135キロもある氷の板だった。
    長さ108センチ、幅56センチ、厚さ28センチ。
    表面にアルミ板を当ててアイロンをかけると、その面が平滑になって氷同士を接着することができる。
    こうして氷板を2列×3段に積み上げ、大きな立方体を形成してゆく。

    目的の大きさまで積み上げると、次にアタシの腰を埋める空間を削り出す作業だった。
    氷室さんはドリルと電動ソーを使ってみるみる氷を彫り込んでゆく。
    大体の形ができると、ノミで小さな角を削って丸くした。

    「座ってみて下さい」氷室さんが言った。
    アタシは穿いていたスキー用のハーフパンツを脱いで、削り出された窪みの中にスパッツの腰を下ろした。
    それはアタシのお尻からおへそまでが収まるだけの深さがあった。
    スパッツはダイビング用のドライスーツと同じ素材で、完全防水の防寒構造になっているから、氷の中に座っても特に冷たくは感じなかった。
    氷室さんはアタシを何度も立たせたり座らせたりしてアタシの下半身がぴたりと収まるように細かく調整した。

    「上を乗せます」
    膝の上に別の氷板が乗せられた。
    その氷板も氷室さんが削ったもので、裏面にはアタシの膝の形、手前には胴体のカーブに合わせた切り欠きが彫り込まれていた。
    上に乗せた氷板をハンマーで軽く叩いて安定させた後、継ぎ目に水を垂らした。
    その水はたちまち凍りついて全体が一つになった。
    最後に積み上げた氷の周囲をグラインダーで軽く削って、全体を綺麗な立方体に仕上げた。

    「できました。しばらく置いて氷を安定させます。今さらこんなことを聞くのは何ですけど、寒くないですか?」
    アタシは笑って大丈夫と答えた。
    上にはアノラックと手袋、膝から下には毛皮のブーツを着けている。

    「すごい手さばきでしたね。ありがとうございました」
    「いえ。人を埋めるなんて僕も初めてですからね。ドキドキしながらやらせてもらいました」
    遠藤くんがお礼を言うと、氷室さんは初めて笑って答えてくれた。

    ・・2時間後、アタシは外に運び出され、大きな白布で覆われて台車で移動した。
    展示会場について白布を外されると、見物人がわっと寄ってきた。

    5.
    設置作業が済んでから、アタシはいつまで飾られるのか聞いていなかったことに気が付いた。
    周囲を見回しても遠藤くんや小木さんの姿は見えなかった。

    「お姉さん?」
    小学生くらいの男の子が不思議そうな顔で見上げていた。
    「はい、こんにちは」
    笑って挨拶すると「わ、生きてるぅ!」と叫んで逃げられた。失礼ねっ。

    ま、いいか。
    見世物になるのがお仕事。
    どうしたって、もう自分では動けないんだしね。

    6.
    ・・どれくらいの時間が過ぎたんだろう。
    商店街を行きかう人々、自分を取り巻く観客の様子に変わりはない。

    スパッツ越しに冷たさが気になってきた。
    穴が開いて水が入ってきたのではない。
    身体が全体に冷えかけていた。

    運動量が足りないせいだと思った。
    今までどんな寒さでも平気だったのは、身体を動かして体内から発熱していたからだ。
    とりあえず、お客さんに向って振る手に必要以上の力を込めた。
    下半身の筋肉にも力を入れたり緩めたりした。
    少しだけ冷たさが和らいだような気がした。

    アタシを閉じ込めた氷は、表面はしっとり濡れているけれど、まだまだ融けそうになかった。
    膝も腰もしっかり固まったままだ。
    耐えられるかしら?
    ちょっと不安になった。

    「あの、エフエム・Kですっ」
    「はい?」
    「インタビューさせて下さいっ」
    目の目にマイクを持った女の子がいた。
    Tシャツの袖に『報道』と書いた腕章をつけている。

    「あ、はい。どうも」
    「雲島サマーフェスティバルっ、氷の美女になったご気分はいかがですか?」
    んなこと急に聞かれても。

    「あ、えっと、光栄です」
    「みなさん汗だくになっているところ、お一人だけ涼しい気分を味わえてうらやましいです!」
    ならアンタが代わりにやってよ。

    「い、いえ、ずいぶん涼しいというか、冷たい思いをさせてもらってます」
    「最後に、あなたの彼氏に、一言!」
    何それ。彼氏なんていねーよ。
    一瞬、遠藤くんの顔が浮かんだ。どうしてアイツ。

    「そ、そうですね。・・アタシのこと冷たい女だって嫌わないでね!」
    「は?」
    女の子のバックに「?」マークがいくつか浮かんで消えた。

    「あ、氷の美女だから、冷たい。・・なるほどなるほど! ありがとうございました~っ」
    そんなリアクションされたら、答えたこっちが恥ずかしくなるでしょ。

    7.
    何時間か過ぎていた。
    身体が芯から冷えて、アタシはぶるぶる震えていた。

    通り過ぎる人々の会話に「花火大会」の単語が聞こえた。
    そうか花火があるのかと思ったけど、それ以上に思考が続かない。
    ただ早く時間が過ぎて欲しかった。

    うーっ。
    カチカチと歯が鳴りそうになる口を無理に閉じた。

    「・・もしもし、大丈夫ですか?」
    「あ、いえっ。ご心配なく!」
    親切そうなおばあさんに聞かれて、慌てて返事をした。

    その瞬間。
    股間がほんのり暖かかくなり、すぐに冷たくなった。
    あー、やっちゃった。ずっと我慢してたのに。
    アタシは慌てた拍子に、スパッツの下につけていたオムツにおしっこを漏らしたのだった。

    8.
    遠藤くんたちが来てアタシを回収してくれた。
    氷はすっかり角がなくなって、アタシが腰掛けた部分が20センチも沈み込んでいた。
    氷室さんが氷を割ってアタシを出してくれた。
    アタシは地面に座り込んで、そのまま動けなかった。

    「よく耐えたね」
    遠藤くんがアタシを抱えるようにしてアノラックを着せてくれた。
    「頑張ったよ~。今、何時?」
    「5時だよ。ミーアちゃんは6時間氷詰めになってたんだ。最初から含めると」
    「へ、6時間!?」
    「さすがの酷寒ミーアも参ったみたいだね」
    「えへへ。アタシも歳かなぁ」
    「いいさ。もう酷寒じゃないんだろ?」
    「ん?」
    「小木さんに聞いたよ。緊縛モデル始めたこと」
    そうか。遠藤くんに知られちゃったか。

    「よっ」
    遠藤くんはやおらアタシを抱き上げると、そのまま歩き出した。

    「何するの」「歩けないだろ?」
    「いいよ、気を遣ってくれなくて。・・それに」「それに?」
    「オムツ濡らしてるから、遠藤くんの服、汚しちゃう」「だ、大丈夫だよ」
    「今、引いたでしょ」「引いてない」
    「ウソ、このおしっこ女って思ったくせに」「自分で言ってどーする」「えへへ」
    「・・俺さ、ミーアちゃんのこと、冷たい女なんて思わないから」
    「はあ? どういう意味」
    「覚えてないの? さっきのインタビュー」
    「ああ、聞いてたの?」
    「うん、あれ、地元のコミュニティFMだし」
    「アンタ、もしかしてアタシの彼氏のつもりじゃないでしょーね!」
    「え? 違うの?」
    「下ろせー」「やだ」

    遠藤くんはアタシを抱いたまま商店街を歩いていた。
    皆が見ている。
    やがてアタシは黙って遠藤くんにしがみついた。
    この歳になって、まさかお姫様抱っこされるのが嬉しいとは思わなかった。

    続き




    Bondage Model その3(2/2)・氷の美女

    9.
    さて、これで氷詰めのお仕事は終わりと思ったら、そうではなかった。
    1ヶ月後、雲島市にまた呼ばれた。

    「『氷の美女』が大評判だったと聞きまして、こちらの議員諸氏と商工会議所の役員が是非拝見したいと」
    要するにもう一回見せろ、ということだった。

    話が来たとき、遠藤くんは断ろうとした。
    地方のイベントではこんなことが時々あるらしい。
    一度引き受けてしまうと、真っ当な対価の支払いもなく何度もやらされてしまうそうだ。

    「やりましょ」胸を叩いて引き受けたのは小木さんだった。
    「一度だけやって、びっくりさせればいいのよ。どうかしら? 美亜ちゃん」
    「はい。やっちゃいましょう!」

    現場はひっそりとした倉庫の中だった。
    そこに高そうなスーツを着た恰幅のいいおじさんたちが揃っていた。

    「サマーフェスティバルの実行委員会は解散しましたから、本日は株式会社ジャイ・アイ・ケーの主催で『氷の美女』をご披露します」
    最初に小木さんが挨拶した。
    アタシはビキニのブラとスパッツを着けて、遠藤くんの横で待機している。
    氷室さんたちがビニールシートを敷き、冷凍車から氷板を下ろして作業を始めた。

    すると、もう一人別の男性が現れた。
    小木さんが紹介する。
    「氷の準備には時間がかかりますから、その間、特別オプションとしまして弊社の鮫島照男による緊縛ライブをご覧いただきます」

    鮫島さんは皆がテルさんと呼んでいるベテランの縄師だ。
    テルさんはアタシに近づくと手を引いた。アタシは逆らわずについて行く。
    え、と驚く遠藤くんの顔がちらりと見えた。
    このオプションは遠藤くんには内緒にしてたんだ。

    テルさんはアタシの両手を背中で組ませると高手小手に縛った。
    小木さんが可搬式の吊り床を押してきた。
    一見、洗濯物干しみたいだけど、ちゃんと人間を吊るすことができる鉄パイプ製の台だ。
    背中に縄を繋がれて爪先立ちにさせられた。
    縄がどんどん増えて全身に絡みつく。

    ぐい。
    片足が高く吊り上げられて、アタシはバランスを崩した。
    背中の縄に体重がかり胸縄が強く絞まった。
    「あぅっ」
    声を上げた。
    そのまま頭を斜め下に向けてゆらゆら揺れた。
    なんて惨めなんだろう。なんて気持ちいいんだろう。

    テルさんはアタシのもう一本の足も吊り上げ、身体全体をくるりと返して逆海老にした。
    口にも縄を噛ませて、後ろに引いて固定した。
    アタシの身体は無残に反りかえった。

    「んんんーっ!!」
    もう一度声を上げた。
    演技じゃない。本当に苦しかった。
    たまらなく苦しくて、助かりようもない状況。
    この事務所に来て初めて知った、堕ちる快感。

    離れたところに遠藤くんの姿が見えた。アタシをじっと見ていた。
    ごめんね。アタシ、もうこっちの世界の女になったんだ。

    10.
    「氷の準備ができました」
    氷室さんの声がした。
    立方体の氷の塊にアタシを埋め込むための窪みが削り込まれていた。

    テルさんは吊床の縄を解き、アタシを肩に担いで氷室さんのところへ運んだ。
    氷室さんは緊張した顔でアタシを受け取った。
    この人は今日、アタシが緊縛されることは了解している。
    でも生身の女が縄で縛られるのを見るのはきっと初めてなんだろうな。

    氷室さんはアタシを何度か氷の中に座らせて窪みの形を調整してくれた。
    前のときよりずっと丁寧で優しかった。
    「いいでしょう」
    「よっしゃ」
    テルさんは短く頷くと、アタシをお客に向かせて立たせ、後ろからスパッツを膝まで下してしまった。
    「!!」
    お客さんたちが息をのむのが分かった。
    アタシはスパッツの下に何も穿いていなかった。
    両手を縛られているから、さらけ出された恥毛を隠すこともできない。
    ただ、両目をぎゅっと閉じて耐える。

    スパッツを全部脱がされた。
    そのまま氷の中に座らされた。
    むき出しの臀部に氷が押し当たって、氷温がダイレクトに伝わった。
    「やぁ!!」
    アタシは叫んだ。首を左右にぶんぶん振った。

    「頼みます」テルさんが氷室さんに言った。
    「本当にいいんですね?」
    「構いません」

    膝の上に氷板がはめ込まれた。
    それは膝とお腹の形にぴたりと密着し、アタシはもう一度叫んだ。
    氷室さんは小型のトーチで氷の表面をさっと炙った。
    氷はたちまち融けて一体になった。

    「さあ、緊縛版、氷の美女です。近くに寄って、まじまじと見てやって下さい」
    おじさんたちは互いに顔を見合わせ、それから近づいてアタシを見た。
    どのおじさんもズボンの前が膨らんでいた。

    「こんなことをして、この女性は安全なんでしょうな?」おじさんの一人が聞いた。
    「危険ですよ。皮膚に凍傷のリスク、それと体温を奪われて命に関わる可能性すらあります」氷室さんが答えた。

    「・・いかがでしょうか?」小木さんが聞いた。
    「長くは放置できません。皆様の中には、このモデルが死ぬまでご覧になりたいとお望みの方もおいでかもしれませんが」
    そう言って、一人ひとりを見た。
    笑っているのか、怒っているのか、どちらとも取れそうな顔だった。

    「いえ、そんなことは望みません。すばらしいショーでした。はやくこの人を出してあげて下さい」
    しばらくして、さっきのおじさんが言った。
    たぶん、この人が一番偉いんだろう。

    テルさんが目で合図すると、氷室さんがトーチの炎を氷に当てた、
    融けた水が周囲に流れ、氷はたちまち小さくなった。
    それから電動ソーを使って氷を割った。
    アタシは床に転げ落ちた。

    11.
    気がつくとアタシは毛布の上で眠っていて、小木さんが下半身に緩くマッサージしてくれていた。
    上半身は自由になっていた。ビキニのブラも外されて全裸だった。

    「気がついた? ・・よくがんばったわね。素敵だったわ」
    「はい。他の人は?」
    そこにはアタシと小木さんしかいなかった。

    「お客さんは帰ったわ。当方の男性陣は外で待機中。美亜ちゃんハダカだからね」
    そうか。
    無意識に腕を抱くと、くっきり刻まれた縄の痕があった。

    「あの、遠藤くんを呼んでもらえますか?」
    「いいわよ。何か着る?」
    「いえ、このままで結構です」

    小木さんがその場を出て行き、代わりに遠藤くんが入ってきた。
    遠藤くんはアタシが裸でいることに驚いたようだけど、そのまま側に来て膝をついた。

    「刺激的だったよ、かなり」
    「それ、氷詰めのこと? それとも緊縛の方?」
    「両方。どっちも俺の知ってるミーアちゃんとは違った」
    「ごめん」
    「どうして謝るの」
    「だって。・・アタシのこと、嫌にならなかった?」
    「ならないさ。ミーアちゃんが選んだ道だろ?」
    「うん、ありがとう」
    「ものすごく綺麗だった。それとエロかった。ミーアちゃんがあんなに色っぽいとは知らなかったよ」
    「えへへ、見直した?」
    「正直言うと、今、君を押し倒したくてうずうずしてる。その格好じゃ、もう押し倒されたのと同じだけど」
    「うん」
    いいんだよ。このままアタシの上に乗って。膣(なか)に入れて。

    「でも、それをやっちゃ、さっきのエロオヤジどもと同じだ」
    「・・」
    「俺、これからもミーアちゃんを応援する。ときどき、そっちの事務所のショーを見せてもらってもいいかな」
    「うん。歓迎する」
    「ありがとう」
    遠藤くんはアタシの身体に少し触れて、それから立ち上がって離れていった。

    12.
    小木さんが戻ってきた。
    「駄目だった?」「すみません」
    「いいのよ。彼、いい男なのにね」
    「アタシもそう思ってました。10年もお預けして悪かったかなって。・・さっきまでは」
    「さっきまでは?」

    小木さんは不思議そうな顔でアタシを見た。
    「あら美亜ちゃん、顔真っ赤じゃない。どこか具合でも」
    「そんなんじゃありませんっ」

    アタシは、はあはあと息をしていた。
    我慢できずに両方の膝を立てて指を入れた。
    その指で自分を慰めた。
    そこはマグマのように熱くなっていた。
    どんな氷だってすぐ融けてしまいそうに熱かった。

    「んっ、あぁ。・・あのヤロー、一番敏感な場所を!」
    アイツは、離れるときにあたしのクリを刺激していったのだ。
    よくもまあ、あの短い間に位置を突き止めて、ピンポイントで摘んだものだと思う。

    おかげでアタシは一瞬で濡れた。
    全身に甘いモノが溢れて、脳味噌と心臓と子宮が破裂しそうになった。
    緊縛と氷詰めを受けた感覚が蘇り、アタシは高みに放り上げられた状態から下りてこれなくなった。

    「美亜ちゃん。それ、遠藤くんにされたのね?」小木さんがアタシの様子をじっと観察して言った。
    何でも面白がるくせに、こういうときだけは真面目に看護婦さんみたいな顔になるんだから。
    「テクニシャンね。彼と一緒になったら、きっと喜ばせてもらえるわ」

    「あ、あぁっ。・・そ、そんなこと、どーでもいいです!!」
    あたしはぷりぷり怒りながら言った。
    「は・・、はあんっ。・・今度会ったら許さないんだからっ。・・あぁん!」
    今度会ったら、ちゃんとセックスしてあげて、それからいっぱい喜ばせてもらって。
    アタシはとろとろと濡れながら、小木さんの言った通りのことを考えた。



    ~登場人物紹介~
    此花美亜(このはなみあ): 29才。緊縛モデル。寒さに強く酷寒ミーアの異名を持つ。
    遠藤: 29才。イベントプランナー。美亜の昔からの仕事仲間。
    氷室: 氷の彫刻職人。
    小木洋子: モデル事務所『ジャイ・アイ・ケー』社長。
    鮫島照男: ベテラン縄師。

    今回は美女の氷詰めです。
    イベントで女性の氷詰めを展示する発想は、数十年の昔、私が小学生のときに見た某新聞の小さな囲み記事に影響されたものです。

    まず、腰の部分を氷の中に埋められた白人女性が寒そうな顔をしている写真。そして次のような記事。
    『ドイツの産業ショーで現地の冷蔵庫業者が出展した氷詰めの美女。
     ストッキングで防寒しているとはいえ、ガチガチと震えっぱなしのモデル嬢。
     「ボーイフレンドが私のことを冷たい女って嫌わないか心配だわ!」』
    (何十年も前の記憶なので正確ではありません)

    ドイツの産業ショーとは、ハノーバー・メッセでしょうか。
    本当に氷詰めにしたのか、それとも何かトリックがあったのか、今となっては分かりません。
    ただ、掲載された写真のイメージと記事の内容を今でも覚えているほどですから、当時の私が感じた衝撃がいかに大きかったか、しのばれます。

    挿絵は、記事の写真と同じ構図で書きました。
    線画の段階では、積層した氷の接着面や腰回りのスパッツがあったのですが、色を塗ると分からなくなってしまいました。
    一見ノーパンに見えてもちゃんとスパッツを穿いていますから、心の目で補完して下さい^^;。

    氷詰めの作り方は作者の妄想です。
    高性能な装置で一気に固める方法は他所様であると思ったので、氷板を積み上げて女の子を埋めることにしました。
    こういう職人的な作り方が私の好みでもあります。
    難しいのは、氷詰めにされた女性を寒さから守ることですね。
    防寒機能のあるスパッツと寒さに強いモデルという設定で逃げましたが、実際にやるとしたら、全身を防寒着で覆うことになって色気も何もなくなりそうです。
    多少トリックがあってもよいですから、どこかで水着美女の氷詰めを本当にやってくれないかなと思います。

    ありがとうございました。




    Bondage Model その2・縄けっと

    1.
    同人誌イベントを明日に控えた深夜。
    伽耶(カヤ)、多美子(ターミ)、そして紅緒(ベニオ)の腐女子3人が、疲れ果てた顔で座り込んでいた。
    汚れたジャージ、化粧っ気のない顔にばらばらの髪、ベタと修正液にまみれた手。
    ここは3人の中で唯一人、親と同居していないターミのアパート。
    3人の前には、ミューズコットン紙にプリンタで印刷した表紙40枚、そして近所のコンビニ3軒で分けてコピーしてきた本文ページ1350枚が揃っていた。

    「修羅場も4日。ようやくここまでこぎ着けたか」カヤが眼鏡を外して拭きながら、感慨深げに言った。
    「あとは製本だけ。頑張ったねー」ターミが両方の目の下をごしごしこすりながら、眠そうに言った。
    「もうひと踏ん張りねっ」ベニオがショートパンツの足を手でさすりながら、嬉しそうに言った。

    それから表紙込みで40Pの同人誌150部を綴じた。
    搬入用のバッグに詰め、売り子衣装とイベント参加証、その他の準備物を確認したのは午前4時。
    皆で拍手する。

    「何時に行くのー?」
    「10時に会場入りぢゃから9時に出かければよかろう。朝餉(あさげ)はコンビニで仕入れて向こうで食すとしよう」
    「変な喋り方は止めなよ、カヤ」
    「むはは。テンション上がり過ぎて止まらんのぢゃ!」
    「ふにゃあ~、4時間寝れる」
    「こらターミっ、まだ寝こけるでない」
    「いいじゃない、カヤ。あたしも落ちるー」
    「では、わらわも」

    そうして全員の意識がなくなった。

    2.
    3人は、いわゆる同人誌仲間である。
    高校時代はそれぞれ個人で活動していたが、イベントで知り合い意気投合して合同誌を出すことになった。
    みんな同い年で、大学1年になったばかりだった。

    「・・なら、R18で出す?」
    「いいねー」
    「やった。夢に見たR18デビュ~ww」

    実は3人とも、高校生のときからエロイラストは描いていた。
    カヤはBL女体化とロリショタ、ターミは百合。ベニオはNL/GL/BL何でもOKの雑食。
    それぞれ嗜好は違うけれど、えっちなネタが大好きだった。

    そしてもう一つ、3人に共通の趣味があった。
    女体化キャラの緊縛、女同士のSM関係、そして美少女のピンチシーンなど、緊縛や拘束モノを描いていたことである。
    初のR18誌のテーマは女子高生の学園緊縛モノに決まった。
    各人が漫画8Pを描いて持ち寄り、それ以外に合同で漫画8Pとイラスト2Pを描く。

    実際に製作が始まると遅れが大きくなって合同漫画は8Pから4Pに減り、その分イラストでページを埋めたものの、イベントには何とか間に合わせることができたのだった。

    3.
    目を覚ますと10時半だった。

    「きゃー!!」
    「きゃー!!」「きゃー!!」
    一人が時計を見て叫び、他の二人も仲良く叫んだ。
    身だしなみを整える間もなく荷物を抱えて部屋を飛び出した。
    電車の中から主催者に電話して謝った。

    「12時半までに設営できたらOKですって」
    「ぎりぎりセーフかのう」
    「お腹空いたぁ」「我慢するのよターミ!」
    「それよりシャワーだけでも使いたかったなー」
    「匂うかしら、あたしたち」「心配無用。こういうときのために超強力デオドラントを持っておるぞ」
    「さすが、カヤ!」

    電車を2度乗り換え、会場の△△会館に着いたのは12時前だった。
    『縄けっと』
    と書かれた看板が立っていた。

    4.
    受付で出品者の手続きを済ませると、ホールの即売エリアに駆け込んだ。
    そこには、折りたたみ式テーブルがゆったりと間隔を開けて並べられていた。

    ちょっと変わっているのは、どのスペースも後方に高さ2メートルほどの柱が2本ずつ並んで立っていることである。
    柱の上端には、同じ太さの梁が水平に渡されていて、全体ではカタカナのコの字を立てたような形になっている。
    梁の中央には、金属のリング(環)がくくりつけられていた。
    何だこれ。
    ベニオが立ち止まって眺めかけたけれど、カヤとターミに急かされて準備を始める。
    割り当てられたスペースで、まず荷物を開いた。

    「あと何分?」「30分っ」
    一人ずつ更衣室に行って着替え、その間に他の者がスペースの準備をした。
    テーブルクロスの入った紙袋を忘れたことに気付いたけれど、仕方ないのでテーブルの上に直接置くことにする。
    完成したばかりの同人誌を並べて積む。ベニオが1枚だけ持ってきたカラーボードをPOP代わりに立てる。
    菓子缶に釣銭用のお金を準備する。

    時間ぎりぎりに設営が完了した。
    3人の売り子衣装は、それぞれの高校時代の制服である。

    「出たとこにコンビニがあったのう。おにぎりでも買ってこよう!」カヤがそう言って、自分のポーチを掴んだ。
    「私も行く」「じゃ、あたしも」
    「いかんっ、一人は留守番ぢゃ。ベニオ、頼むぞよ」「了解!」
    カヤとターミが制服のままで走って行く。

    残されたベニオは椅子に座って大きく息をついた。
    はぁ~。ホント、よく間に合ったなぁ。
    両手を上に伸びをしながら、初めて周囲を見渡した。

    スペースの数は、ひぃ、ふぅ、・・、18か。案外少ないね。
    女性サークル限定でSMモノオンリーだっていうから、こんなもんかなぁ。

    あらあの人、コスプレ?
    レザーのワンピース着てるっ。ボンデージ? 色っぽい!!
    あっちの人なんて、黒の下着だけ!!
    きゃ~っ。すごい、すごい!

    5.
    ピンポンパンポーン。
    場内放送が流れた。
    「開場30分前になりました。ただ今から縄師さんが各スペースを回りますから、モデルの準備をして下さい」

    へ? 縄師?
    縄師って、あの、女の子を縛る人?
    モデルって、何のこと?

    「縄師さんは3人です。それぞれ、A列、B列、C列を番号順に回ります。最初は、A-1、B-1、C-1からです。スムーズに作業が進行するよう、ご協力をお願いします」
    ベニオは自分のスペース番号を見た。A-2番だった。
    番号順って、A-1の次ってことかしら。

    隣のA-1のスペースに人だかりがした。
    紺の作務衣を着た男性が女性を縛っていた。
    あれ、縄師さんとモデルさん?
    人だかりは他のサークルから見物に集まってきた連中だった。

    モデルはさっき見た黒の下着の女性だった。
    プロポーション抜群のボディに小さなブラとショーツがよく似合ってとてもセクシーだった。

    縄師の男性はモデルを後ろ手に縛った。まるで魔法のような速さだった。
    そしてその背中から縄を伸ばし、頭上の梁のリングに掛けると軽く引いた。
    モデルの背筋がぴんと伸びた。
    はっきり見えなけれど、踵も浮き上がっているかもしれない。
    縄師はモデルの耳元で何かをささやいた。そのモデルはにっこり笑って応える。

    「ほい、出来上がり!」
    縄師が大きな声で宣言してモデルのお尻をぺちんと叩いた。
    一斉に起こる拍手。
    ほとんどの見物人がスマホやデジカメで写真を撮っている。

    すごい!!
    ベニオは驚くばかりだった。
    縄師の手際のよさ。縛られたモデルさんの美しさ、色っぽさ!
    緊縛写真や動画はネットで見ているけれど、実際の緊縛を見るのは初めてだった。

    6.
    縄師の男性がこちらに向かって歩いてきた。後からぞろぞろギャラリーが続く。
    ・・やっぱり。次はウチ?

    「ほう、セーラー服か。なかなか可愛いで」べたべたの関西弁で話しかけられた。
    「ここは、お嬢ちゃん一人か?」
    「あ、いえ。すぐに二人帰ってきます」
    「そうか。なら早速やらせてもらうで。まだぎょうさん縛らなあかんのや」
    え、あ、いや、ちょっと。

    「手ぇ後ろで組んで」
    そ、そんな。あたしが縛られるなんて。
    腕を掴まれた。手首に縄が絡みつく。
    その手首が吊り上がったと思うと、腕と胸の周りに縄が巻きついて、きゅっと締まった。
    あ、あ、あ。

    「お嬢ちゃん、緊縛は初めてやな。そないに緊張せんでもええ」
    「あ、はい・・」
    何が何やら分からなかった。
    気がつけば上半身が固められていた。

    「吊床、使うか?」
    「吊床って?」
    「後ろの柱や。初縄が『吊り』ちゅうんもオツなもんやな。うまいこと縛らんと長丁場はキツうなるけどな」
    つ、つ、吊りぃ?!
    長丁場って何。

    「よっしゃ。絶対に痛うないようにしたる。ええ思い出にし」
    腰のまわりに縄を掛けられているようだ。
    ミニスカートの足も上から順に何箇所も縛られた。

    え、え、え、え。

    腰と背中にぐいっと力がかかった。・・ぐらり。
    きゃ!

    足が床を離れ、宙に浮かんだ。
    慌ててもがこうとしたら手も足も動かせなかった。

    「ほいよ、完成っ」男性の声。
    カシャ、カシャ、カシャ。一斉にカメラ音が聞こえた。

    ぎょえ~っ。あたし、吊られてるぅ!
    縛られて、吊られて、写真、撮られてるぅ~!!

    絵師緊縛
    絵師緊縛

    7.
    「おや、もう縛られたか」「縛られるとこ、見たかったぁ」
    カヤとターミの声に目を開けると、二人が前に立って自分を見ていた。

    「済まぬのぉ。コンビニが混雑して遅うなった」
    「そんなことより、何よこれ」
    「何って、ボンデージモデルでしょ」
    「は?」
    「縄けっと名物『絵師緊縛』ぢゃ。ベニオは知らぬのか?」
    「知らないよぉ」
    「ほれ、見よ。あちこちで女子が縛られておるであろう。あらかた、我らと同じ同人絵師ぢゃ」

    カヤに言われて見回すと、どのスペースでも女性が緊縛されていた。
    椅子に座って縛られている人。立ちポーズで縛られている人。ベニオのように吊られている人。
    数は少ないが男性が縛られているところもあるようだ。

    「ウチはイケメンモデルを頼む余裕などないからのう。オーソドックスに絵師緊縛ぢゃ」カヤが説明する。
    「これがオーソドックスぅ?」
    「うむ。美女が3人もおるからモデルには困らぬしの」
    「え、3人って」
    「自分だけ縛られると思っておったかベニオよ。一人だけ楽しむのは許さぬぞ。ベニオの後はターミとわらわも縄を受けるのぢゃ!」
    「私、すっごく楽しみにしてたんだから。縛られるの♥」横からターミが言った。
    「ターミは自他ともに認めるドMぢゃからのう」「カヤだって、わくわくしてるんでしょ?」
    「むはは。プロの縄師にタダで緊縛してもらえると聞いて心躍らぬ腐女子はおらぬわ」

    お気楽すぎるわよ、あんた達。
    妄想は現実と別なんだから。
    実際に縛られてみたら、どれだけ辛いか分かるわ、・・って、あれ? どこも痛くないぞ?
    こんなにぎちぎちに縛られてるのに。

    突然、さわさわと太ももを撫でられた。

    「きゃあ!!」「おお、可愛い反応ぢゃ」
    「カヤっ!」
    「じゃ私はおっぱい触る!」
    「タ、ターミっ!!」
    後ろから乳房をむにっと揉まれた。

    「ひゃん!!」
    「あれ? ブラしてるの、ベニオ」
    「ったり前でしょっ」「なーんだぁ、残念」
    ターミはベニオの胸を揉む手を止めなかった。
    ベニオは必死に逃れようとするが叶うはずもなく、ただ空中でうごめいて揺れるだけであった。

    「うーっ、あんたが縛られるときは、思い知らせてあげるからね!」
    「きゃあ、楽しみにしてるわん」
    「それで、あたしいつまで縛られてるの?」
    「1時間ぢゃ」
    えぇ、1時間もー?
    あの縄師さんが言ってた、長丁場って、そういうことか。

    「じゃあ、あたしお客さんの前で、このまま?」
    「当たり前じゃない」
    「写真撮影も自由であるから、いい顔で写るのぢゃぞ」
    そんなあ。

    8.
    午後1時。
    女性作者限定、SM系のR18同人誌/イラスト即売会『縄けっと』が開場した。
    このイベントは、各スペースごとに緊縛コーナーを設け、サークル側で用意したボンデージモデルを緊縛展示するのが特徴である。
    モデルは男女問わず誰もでもよい。
    女子受けするイケメンモデルを用意するところ、知り合いのコスプレイヤーに来てもらって縛るところ。
    そして一番多いのが、絵師緊縛と称して同人誌/イラストの作者自身が縛られるサークルだった。
    絵師の中には、自分の緊縛イメージをイラストに描いてきて、これと同じに縛って欲しいと縄師に頼む者までいた。

    ドアが開いて一般入場者が入ってきた。
    みるみる内にスペースの前は人で溢れる。

    「おおっ、JK斜め吊り!」「可愛い~」「写真撮らせて下さい!」
    どの客もまず目当ては緊縛展示だった。

    「モデルさん、視線こっち下さいーっ」
    「ちょっと困った顔してもらっていいですか」
    「あ、苦しそうな顔も!」

    ベニオは忙しかった。
    ひっきりなしにカメラを向けられ、話しかけられ、並んで写真を撮られたりした。
    ときどきスカートの中を撮ろうとする輩がいて、その度に悲鳴を上げるとカヤかターミが排除してくれた。

    全身を縛られて、ずっと吊られているのに、どこも痛くなかった。
    自由を奪われた姿を晒されるのは、ものすごく恥ずかしいけれど、それも刺激的で楽しかった。
    ・・絶対に痛くないようにしてやる。いい思い出にし。
    そう言ったあの縄師さん、ホントに凄腕だー。

    同人誌に描いた自分の作品を思い出した。
    ここ数日の修羅場は作品を完成させるだけで精一杯だったけど、今ならゆっくり感情移入できる。
    後輩に騙され生徒会室で縛られた美人生徒会長。
    学校の帰りに拉致され、暗い部屋に監禁された美少女たち。

    あたしも同じだ。緊縛された美少女。
    これからどんな責めをうけるのか、恐れおののき、震える女の子。
    悪くない。ううん、ちょっと嬉しい。この感じ。
    どき、どき、どき。

    絵師緊縛スペース

    9.
    1時間の緊縛展示はあっという間に終わった。
    あの関西弁の縄師がまたやってきて縄を解いてくれた。

    「どや、楽しんでくれたか?」
    「はい、とっても!」
    縄師はにやっと笑って、カヤとターミの方に向いた。

    「よっしゃ、次は誰や?」「ハイっ。私です!」
    ターミが右手を挙げた。

    新しいモデルが縛られるぞ。
    ギャラリーが集まってくる中、縄師がターミを縛り始めた。

    「あの、あの、もしかして鮫島照男さんでしょうか」カヤが縄師に聞いた。
    「ワシを知っとるのか、お嬢ちゃん」縄師は手を止めずに答える。
    「はいっ。後でサインを下さい!」
    「ええで。待っとり」
    「ありがとうございます!」

    喜んぶカヤを脇に見ながら、ベニオはそっと椅子に座った。
    全身に浮遊感が残っていた。
    ゆらゆら、ゆらゆら。まだ吊られているみたい。

    「ひゃ~んっ!」
    ターミの悲鳴が響いた。
    振り返ると縄師がターミを吊り上げたところだった。
    小柄なターミは吊床から真横に吊り下げられていた。

    「あ、あ・・っ。気持ちイイですー!!」再びターミの歓声が響く。
    うん、あたしも気持ちよかったよ。
    ベニオはターミの感覚を理解する。
    正直、縛られてあんなに素敵な気分になれるとは、想像もしていなかった。
    こんな体験させてもらったら、どんな女の子だって本物のマゾになっちゃう。
    この気持ち、次の原稿コンテ描くときまで忘れないようにしなきゃ。

    「ベニオちゃん、縄酔いかな?」カヤが戻ってきて、隣に座った。
    「な、縄酔いって何よ。あたし、知らない」
    「そのように真っ赤な顔になって、図星ぢゃな」
    え。

    「気にせずともよい。めくるめく被虐の快感に酔いしれた乙女であれば、当然のことぢゃ」
    「あんた、そんなセリフ、よく恥ずかしげもなく言えるわね」
    「ふははは。見よっ、このサインを!」
    同人誌の裏表紙に書いてもらった縄師のサインを見せられた。

    「あのおじさん、有名なの?」
    「縄師、鮫島照男と言えば、この世界うん十年の超ベテラン。あの、ヌメヌメの関西弁で責められて、あそこをヌメヌメにしたM女は数知れぬという」
    「聞いてるこっちが恥ずかしいわい」
    「ぶははは、は、は、は、はっ。・・げほ、げほ」

    カヤは一人で笑いまくり、少しむせてからベニオに言った。

    「それよりベニオは少し休むことぢゃ。何なら場内を見物してくるがよい」
    「カヤ一人でも大丈夫?」
    「うむ。我らが同人誌はすでに完売したから、むしろヒマなのぢゃ」
    「えぇ、すごい!」
    150部も作った同人誌が1時間たたずに売り切れたのか。

    10.
    ターミの世話をカヤに任せて、ベニオはしばらく場内を見て回ることにした。

    どのスペースも緊縛展示は刺激的だった。
    イケメンモデルやセクシーコスプレもよかったけれど、ベニオはごく普通の腐女子たちの緊縛に惹かれた。
    ちょっとぽっちゃりしていたり、チビだったり。それでも嬉しそうに恥ずかしそうに縛られている姿はとても可愛くて色っぽかった。
    ベニオは、またもや自分の緊縛中を思い出してぽうっとなってしまう。
    みんな、素敵な時間を過ごしてるんだね。

    あ、あの人!
    とあるサークルのスペースに目が行った。
    そこには、メイド服を着た女性が一人で何種類かの同人誌とイラストCDを売っていた。
    大人っぽい雰囲気でショートボブの黒髪がよく似合う美女だった。

    「・・あ、そっちは500円です。CDとセットで200円引きです。ありがとうございます。こっちに積んだのから取って下さい」
    「・・お金はこの箱にお願いします。お釣りも箱の中から取って下さい。すみませんねー、全部させちゃって」
    女性は椅子に座って受け答えするだけで、商品や代金の受け渡しは客に自分でさせていた。
    よく見ると、その人は背中で合わせた手首を縄で縛られているのだった。

    「ホーセンカさんっ、こんにちわ」ベニオは女性に声をかけた。
    「あらベニオちゃん。特大祭以来かしら」
    この女性はベニオより10歳以上年上の同人作家で、ベニオが高校生で個人活動を始めたときからの知り合いだった。

    「一人でスペースやってるんですか?」
    「ええ。売り子頼んでた子が熱出して来れなくなっちゃって。しかたないから、こんな風に縛ってもらって一人運営中」
    「そんな、縛られてて、お金のトラブルとか大丈夫ですか?」
    「大丈夫よ。お客さんのほうが気を遣ってくれるみたいで。・・それより、どうしてベニオちゃんが縄けっとにいるのかな?」
    「えへへ、あたしも大学生になったんですよ。初めてR18出したんです」
    「うふふ、そうかぁ。・・あ、写真ですか? はい、どうぞ♥」

    ホーセンカはすっと立ち上がると、写真を頼んだ客に向かって、縛られた手首がよく見えるようにポーズをとった。
    自然で美しい身のこなし。涼しげな笑顔。
    ベニオはその姿を見て、カッコいい人だなと思う。

    「・・それで、ベニオちゃんも縛られたのね」
    「分かりますか?」
    「分かるわよ。そんなステキな縄の痕、見せつけてくれるんだもの」
    「きゃ、やだ!」

    今まで気付いていなかった。
    ホーセンカが指差す自分の生足には、くっきりと縄目が刻まれていたのだ。

    「見たかったなぁ。ついこの間まで現役JKだった女の子の緊縛」
    「それならウチのスペースに来たら見れますよ。友達ですけど」
    「今はここ離れられないから、また写真ででも見せてもらうわ。・・それより、近くに来てくれる」
    「え、・・これでいいですか?」
    「もっと」
    「・・こう、ですか?」
    「もっと。息がかかるくらいに近くまで」
    「・・これで、いいですか?」

    ベニオは椅子に座ったホーセンカの近くに顔を寄せた。
    本当に吐息がかかりそうな距離だった。
    ホーセンカはにっこり笑うと、後ろ手に縛られたまま身を伸ばし、ベニオの唇にキスをした。

    「ひゃ!」
    ベニオはあわてて身を引く。

    「だって、ベニオちゃん。キスしたくなるくらいに可愛いんだもん」
    「ホ、ホーセンカさん!!」

    11.
    1時間が過ぎ、ターミが解放された。
    ターミはふらふらとベニオの脇にくると、床に尻をついて座り込んだ。

    「あー、幸せ♥」そう言いながらベニオの腰に手を絡める。
    「ターミ、椅子に座りなさいよぉ」
    「いーの。・・あ、そーだ。ベニオ。私を苛めるって言ったのに、どっか行っちゃったでしょ」
    「忘れてた」
    「今からでもいいから、私にキスしなさい。おっぱい揉みなさい。何でもいいから、苛めなさい~」
    ターミの手がベニオの尻を撫で始めた。
    太ももの間にまで手を入れられそうになって慌てて逃げる。

    「あや、や、や、や」
    カヤの声が聞こえた。
    変なクスリでもやったのではないかと心配したくなる声であった。

    「動けないよー。なすがままだよー。・・アタシアタシアタシ、もう、もう、・・びえーん!!」
    最後のぴえーんは泣き声ではなく、雄叫びである。
    縄を持つ鮫島が苦笑していた。

    「あいやい、やいやい、やい」
    「きぇ~っ、たまらん!」
    その後も、カヤは縛られたまま一定時間おきに奇声を発したり、白目をむいて暴れたりして、通報を受けたイベント事務局が様子を見にきたりした。
    後半はベニオとターミの方が恥ずかしくなって、カヤを放置して逃げ出したほどだった。

    12.
    カヤが解放されたとき、縄けっとの終了時刻まであと1時間を切っていた。
    次はベニオが緊縛される番だったけど、鮫島からは初縄ならこれ以上は無理しない方がいいと言われた。
    たしかに疲労が溜まっていた。皆で相談して、これで撤退することにした。

    13.
    「あー、心ん中はまだ縛られてるよー!!」
    帰りの電車の中でカヤがまくしたてていた。
    「うへへ~。鮫島さん、ステキぃ。ケッコンしたい。緊縛妻ー」
    よだれをぬぐいながら妄想を振りまく。

    「平常運転に戻ったね」ターミが言った。
    「うん。あの変な喋り方が続いてたらどうしようかと思ったけどね」ベニオが応える
    「あの喋り方も粋なのぢゃ! ・・ああぁ、あかん、ワテやっぱり縄の虜になったやで!」カヤが再び叫んだ。
    「はいはい。結局カヤが一番のMだったってことね」「そうだね」
    「認めますよ。もぉドマゾのカヤちゃんと呼んじゃってくんなはれ」
    「だから止めなさいってば、今度はその変な関西弁」

    3人で笑っていると、カヤのスマホに通知音が鳴った。

    「きゃぁ~!!」スマホを見たカヤが叫んだ。
    「どーしたの?」
    「鮫島さんから LIME!!」
    「あんた、いつの間に鮫島さんと」
    「いーから、ほらっ」

    カヤが見せたスマホの画面には、こんなメッセージが表示されていた。

    『お嬢ちゃんたち、今日は楽しかったわ。君らには緊縛モデルの素質があるな。
    一度3人で事務所のスタジオに遊びにおいで。思う存分縛ってあげます』

    3人は互いの顔を見合った。
    「き」「き」「き」・・「き」
    しばらく「き」を繰り返してから、揃って叫んだ。
    「きゃああぁぁ~~っ!!」
    込み合う電車の中で他の乗客の眉をひそませながら、腐女子3人組は何度も叫ぶのであった。



    ~登場人物紹介~
    紅緒(ベニオ):18才、大学1年生。同人腐女子。
    伽耶(カヤ):18才、大学1年生。同人腐女子。
    多美子(ターミ):18才、大学1年生。同人腐女子。
    鮫島照男(さめじまてるお): 54才。ベテラン縄師。
    ホーセンカ:29才、ベニオの知り合いの同人作家。

    最近知ったSM系/フェティッシュ系のイベントに、複数の女性クリエーターによるアート作品展で、作品と一緒に作者ご本人を縛って飾るものがありました。
    作者さんだけでなく一般来場の女性希望者も縛られているのですが、私は、作者の女性が自分もオブジェにされるシチュエーションに強く興奮させられたのでした。
    本話は、それをアマチュアの同人誌即売会でやったらという妄想です。

    すべてのスペースに吊床がついていて、プロ縄師が縛ってくれる豪華イベント。
    いくらM属性の女の子たちとはいえ緊縛初体験で1時間も吊るすなんてのはあり得ませんが、10分20分でモデル交代だと縄師が何人いても足りませんから、そこは気付かないふりで見過ごして下さいww。
    ベニオちゃんたちの緊縛を担当した鮫島さんは、前回登場したベテラン縄師さんです。
    この先3人組は洋子さんの事務所に誘われて、アルバイトをするかもしれません。

    挿絵は久しぶりに3人も描いたので小説本文よりも時間がかかりました。
    スペースにテーブルクロスを敷かなかったのは、カヤちゃんとターミちゃんの足を隠したくなかったため。
    同人誌表紙とカラーボードの絵は過去拙作の流用です。
    調子に乗ってPOPもたくさん描きましたが、さすがにやりすぎなので Pixiv でだけ掲載することにします。

    ではまた。
    ありがとうございました。




    Bondage Model その1.5 ・緊縛デッサン会第二部

    ~ ご案内 ~
    本話には 「その1・緊縛デッサン会」 をお読みいただかないと理解できない描写があります。
    どうぞ、まずそちらをお楽しみいただいてから、本話をお読み下さい。



    テルさんの縄があたしの身体に掛かった瞬間、集まった女性たちに衝撃波が伝わった。

    「えぇっ?」「ちょ・・」「やだ」

    スケッチブックを取り落とした人。
    驚いて周囲をきょろきょろ見回している人。
    潤んだ目を天井に向けて、じっと耐えている人。

    ここは緊縛デッサン会第二部。
    お客さんは女性ばかり23人。20~30代くらいの綺麗な人が多かった。

    テルさんはそ知らぬ顔で緊縛作業を続けている。
    括った手首を高い位置に持ち上げて固定する。
    上腕と胸の上下に縄を巻く。
    脇の縄に割縄を施してきゅっと締める。
    ひと縄ひと縄、あたしの心と身体が縛られるのに合わせ、「あぁ」とか「くぅ」とか誰かの声が聞こえた。

    はっきり、空気がピンク色に変わった。

    ・・

    長襦袢の襟をはだけられて、右の乳房が露出された。
    「!!!」
    たったそれだけのことで、女性たちが息を呑んだ。

    その乳房をテルさんの手が押さえた。
    わざと指を食い込ませながら、ぎゅっと強く掴まれた。
    「ああぁぁっ!」あたしと女性たちは同時に叫んだ。

    どうしてこんなに感じるのか、誰も理解できないだろう。
    どの女性も、こんなイベントに参加するくらいだから多かれ少なかれ緊縛に興味があるはずだ。
    被虐願望を持つ人も多いだろう。
    でも、まだ始まったばかり。まだまだこれからだ。
    なのに、いったいどうして、こんなにダイレクトにエクスタシーを感じてしまうのか。
    目の前のモデルに感情移入してしまうのか。
    モデルが少しずつ縛られるたびに、自分も縛られている気持ちになってしまうのか。

    デッサンタイムになっても、その感覚は止まらなかった。
    1ポーズ目のスケッチ中に4人お手洗いに立って、そのうち1人は休憩時間になるまで戻ってこなかった。

    ・・

    2ポーズ目にかかる前、テルさんがお客さんたちに向って聞いた。
    「この後、もうちょっと刺激が強うなりますが、よろしいですか?」
    女性たちは、一瞬びくりとして、それから頷いた。
    誰も拒む人はいなかった。
    皆、何かに憑かれたような、妖しい目をしていた。

    ・・

    「はぁっ・・ん!!」
    あたしは鴨居から横吊りになって揺れていた。
    腰の回りに縛りつけた縄、そして左の膝を折って太ももと脛をまとめて縛った縄の二本で吊られていた。
    上半身は1ポーズ目のときに高手小手に縛られたままだから、自由なのは右足だけだ。
    その右の足首をテルさんが掴んだ。
    ぴしり。
    長襦袢の裾からむき出しになった太ももを狙って、鞭を打った。
    「きゃあっ!!」
    あたしより先に、お客の女性たちが悲鳴を上げた。

    ぴしり。
    ぴしりっ、ぴしりっ。
    太もも、脛、肩、乳房。肌が露出した箇所を狙って打たれる。

    「やっ!」「あっ、ああっ、あああっ・・」

    鞭が鳴る度、一緒にびくびく震える女性。
    隣の人と両手を握り合って固まった女性。
    ぼろぼろ流れる涙を拭おうともしない女性。

    皆、あたしを見上げながら、自分も鞭を打たれる気持ちを味わっていた。
    やめてっ、やめてっ。
    ううん、止めないで。
    もっと続けて。もっと、じんじん感じさせて。

    2ポーズ目のデッサンが始まったとき、スケッチブックを持った女性は半分くらいだった。
    あとは、呆然と見ているだけの人。座り込んだまま動けない人。
    お手洗いに行ったきり、戻ってこない人。

    ・・
    長めの休憩をとって皆が少し落ち着いた。

    3ポーズ目の緊縛は、前日と同じ押し潰されたカエルの形だった。
    あたしはうつ伏せに寝かされ、手足を縛られて動けなくされた。
    かなり屈辱的なポーズ。
    再びあたしの気持ちが伝わって、女性たちは陶然とした表情を浮かべている。

    緊縛デッサン会

    テルさんが聞いた。
    「えー、ご希望あれば、さらに着物を剥いで裸にしますが」

    脱がされる?
    このポーズでさらに全裸は惨めだよ。
    いくら女の人ばかりとはいえ、・・いや、同性の前だからこそ恥ずかしい。
    たちまち女性たちの間に恥辱感が伝わった。
    もう誰も声を上げたりしなかったけれど、全員がたまらなく恥ずかしくて、たまらなく惨めな気分になっていた。

    「今日のお客さんは、感受性のいい方が揃っているようですな」
    テルさんはにやにや笑いながら言う。
    「・・どうですか? ここで堕ちる気持ちを味わうのも、滅多にできんことですわな」
    このおじさん、お客さんにまでサドだ。

    女性たちはしばらく黙っていた。
    「あの、私、一緒に味わいたいです。堕ちる気持ち」やがて一人が言った。
    「わたし、も」「せっかく女に生まれたんだし」「惨めな姿、見せてください」他の女性たちも口々に賛成した。

    ・・

    あたしは縛られたまま長襦袢を脱がされた。
    腕が抜けないところは、布切ハサミでじょきじょき切られた。
    腰につけていた女性用の褌(ふんどし)も外された。

    緊縛デッサン会

    あたしは生まれたままの姿にされた。
    身動きひとつできない恥ずかしいポーズで、すべてをお客さんの前に晒された。

    ぞく、ぞく、ぞく。
    もう我慢する必要はない。
    被虐の甘美に溺れていい。
    この惨めさ、恥ずかしさを存分に味わい、そして濡れても構わない。

    じゅく、じゅく、じゅく。
    ぐず、ぐず、ぐず。
    「あぁ・・ん」息の中にに声が混じった。
    「はぁ・・ん」取り囲む女性たちからも声がこぼれた。

    ついに一人がスケッチブックを床に置き、自分の両足の間をスカートの上から押さえた。
    続いて何人か、自分の胸や股間を擦り始めた。
    片手に鉛筆だけは握りながら、反対の手はシャツの中に入れて乳房を揉んでいる女性もいた。
    両足をぎゅっと閉じて擦り合わせながら、身を捩っている震えている人もいた。

    「はぁ・・、はぁ・・、」
    「ん・・、はぁ・・、あん」
    「ふぅ、・・あぁ、・・ふぅ」
    さながら集団オナニーだった。
    皆が快感を共有して、まるで熱病にかかったように熱くなって、昇りつめて、そして。

    「あ、あ、あ、ああぁぁ!!!」
    女性たちのエクスタシーがこれ以上ないところまで高まり、そして崩れ落ちるようにあたしに襲い掛かってきた。

    「ああぁぁ・・・っ!!!」
    初めてのことだった。
    女性たちの性感はあたしの中で交じり合い、共鳴し合い、そしてそのエネルギーは一瞬で全員を絶頂に導いた。

    ・・

    あぁ~、幸せだった。




    ~登場人物紹介~
    あたし(雨宮佐和): 特殊能力を持つ緊縛モデル。
    テルさん(鮫島照男): ベテラン縄師。

    緊縛デッサン会のおまけで、第二部の状況を妄想しました。
    20人以上の女性が一斉にアクメを迎えたら、それはもう半端ない迫力でしょうね。
    品のない妄想で申し訳ありませんww。

    ありがとうございました~。




    Bondage Model その1(1/2)・緊縛デッサン会

    1.
    「お待たせしました。ジャイ・アイ・ケー主催、緊縛デッサン会の第一部を開催します」
    事務所の布施くんが挨拶した。
    「緊縛は鮫島照男、モデルは雨宮佐和(さわ)が務めます。・・写真撮影は禁止です。それから縄師の作業中は離れてご覧になって下さい」

    ここは、古びた和風旅館の二階。16畳の大きな部屋。
    中央にテルさんとあたし。
    回りを囲むお客さんは9人。全員男性で、40~60才くらいの人がほとんどだった。
    この種のイベントには女性の方が多いのはもう常識になっているけれど、女ばかりだと集中できないという男性の不満を受けて、第一部は男性客限定で開催しているのだ。

    縄師のテルさんは50才を過ぎたおじさんで、緊縛30年の超ベテランだ、
    あたしは27才の緊縛モデルで、イベントモデルをするときはもっぱら男性向けで縛られている。
    今日の衣装は、薄桜色の長襦袢に真っ赤な腰紐。
    髪をきりりとアップに纏めてくれたのは、美容師の卵をしている展子ちゃん。
    襟首が綺麗でしょ?
    白いうなじはあたしの自慢なんだ。

    テルさんが立ち上がって、風呂敷包みから麻縄を取り出した。
    正座したあたしの両手を後ろで縛り始める。
    きゅっきゅっと縄の撓る音が聞こえた。
    背中で十字に交わる手首は高く吊り上げられ、胸の上下に巻きついた縄があたしを締め上げた。

    ・・ふぅ。気持ちいい。
    縄に身を預けるのは快感だ。
    縛られる程に、締め付けられる程に、あたしの中のオンナの部分は少しずつ感じて行く。

    「よっしゃ。ええやろ」
    テルさんはあたしを高手小手に縛ると、縛り目を何箇所か調整した。
    そうしてから、やおら長襦袢の右の襟元を掴んで引き下ろし、肩までむき出しにした。
    「ほぃっと」
    さらに胸縄の部分の襟も広げて、右の乳房を露出させられた。

    ぞくり。
    被虐感がぐっと増加した。
    でもあたしは何も反応しない。
    ただ静かに目を閉じて、縄師のすることに身を任せている。
    モデルが高ぶる様子、呼吸に混じる声や目ににじむ涙は、普通の撮影会なら素敵なサービスになるけれど、デッサン会では禁物だ。

    あたしは静物にならないといけない。
    何分でも何十分でも、動かずに変わらない姿でいなければならない。
    そうして、お客さんに描いてもらうのだ。
    静かに正座した姿を。絡みついた縄、捻り上げられた手首、そして呼吸に合わせてうゆっくり上下する肩と乳房を。

    「では、ただ今から15分間デッサン時間とします。5分ごとに場所を変わりますから、互いに譲り合ってお願いします」
    一斉にスケッチブックを開く音がした。

    2.
    紙に鉛筆を走らせる音がする。
    あたしはずっと目を閉じているけれど、お客さんの視線、特に乳房への視線は痛いほど感じた。

    「・・はい、場所を代わって下さい」
    途中で声が掛かる度にお客さんたちは行儀よく場所を移動している。
    音と振動、そして乳房とうなじを撫でる風でそれが分かった、
    このとき、女のお客さんならお喋りがあって明るい雰囲気になるんだけど、男はムッツリスケベだから黙ったままなんだ。

    「・・はい、もう一度場所を代わって下さい」
    あたしは動かない。
    子供のときから、お茶のお稽古と日本舞踊で鍛えてるから、正座は何時間だって耐えられる。

    「お疲れさまでした。5分間休憩します。モデルの緊縛はこのままにしますから、ご希望の方はデッサンを続けていただいて結構です」
    一瞬ざわついた空気がすぐに静まった。
    みんな、ぎりぎりまでデッサンを続ける気なんだろう。

    ・・1回目の休憩は緊縛継続。
    それは最初から取り決めしていたことで、文句を言う筋合いはない。
    あたしの仕事は緊縛されることなんだから。

    あたしは今までと変わらず、目を閉じて正座していた。
    テルさんが掛けた縄はどこも緩んだりせず、あたしを締め付けている。
    お客さんはデッサンを続け、やがて短い休憩時間が終わった。

    3.
    2ポーズ目の緊縛にかかった。
    高手小手の縄を解かれることなく、その場に立たされる。
    目は閉じたままでいた。
    腰のまわりと左の足首に縄が掛かった。
    長襦袢の裾を割られて、左足を高く吊り上げられた。
    短い時間、足首の縄だけに体重が掛かって痛みが増した。

    ぐらり。
    引力の方向が回転して、あたしはようやく目を開けた。
    景色が逆さまになって見えた。
    あたしは鴨居から斜め横吊りでぶら下げられていた。

    あたしを縛るテルさん。その後ろに座ってあたしを見ているお客さんたち。
    さらにその後ろに立つ、布施くん。
    そして展示ちゃんがメークしてくれるときに使ったお化粧台。衣装を入れてきたスーツケース。
    いろいろなモノが上下逆で揺れていた。

    むき出しの太ももに麻縄が巻きついていた。
    さらに膝と脛にも縄が追加されている。
    それらは自分でも驚くほどに締まって括(くび)れていた。
    あたしの足、ソーセージみたい。

    ぞく、ぞく。
    あたしは空中で震えた。
    「・・あぁ」
    呼吸に甘い声が混じりかける。

    あっ、いけないっ。
    あたしは慌てて気持ちを引き締めた。
    少しでも早く落ち着こうと、胸いっぱいに空気を吸い込む。
    その瞬間。

    ぴしり。
    むき出しの右の乳房に衝撃があった。
    いつの間にかテルさんが小さな一本鞭を手にしていた。

    ぴしり。
    ぴしり、ぴしり。
    太もも、脛、肩、乳房。
    素肌が露出した箇所ばかり狙って打たれた。
    大して痛くはなかった。でもそれは、落ち着こうとしていたあたしの心を乱した。
    ・・逃げられない。
    あたしは、もう好きなだけ鞭で打たれる。
    打たれて、そのたび惨めに震える姿をお客さんに見られる。
    どろりとした感情が込み上がった。

    あぁ、駄目っ。
    「は、はぁっっ。・・ああぁぁ~んっ」
    とうとう声を出してしまった。それも特大の声で。

    「よっしゃ。ええ鳴き声や」
    耳元でテルさんが囁いた。この意地悪オヤジめ。
    伊達にあたしのこと、3年も縛ってない。

    「そろそろ、あきらめて、あっちの子に移したらどうや?」
    「あ、・・はぁ、・・はぁ」
    悔しいなぁ。
    もう少し、あたし一人で頑張るつもりだったのに。
    でも、このままじゃとろけて流れてしまう、あたし。
    テルさんの方が一枚も二枚も上手だと痛感する。

    展子ちゃん、ごめんっ。
    あたしはカケガネを開放した。

    4.
    壁際に立てて置かれたスーツケース。
    それが突然ぱたりと倒れるのが見えた。
    布施くんが駆け寄って、元の通りに立てている。
    ずっと後ろの方のことだから、それに気付いたお客さんは誰もいないようだ。

    はぁ~っ。
    あたしは深呼吸をしなおした。
    元の無表情に戻って、テルさんとお客さんをゆっくり見やる。
    よし、もう大丈夫。

    テルさんがにやっと笑った。
    「よっしゃ。今度の縛りはこれでええわ」
    それを受けて布施くんが言った。
    「では、2ポーズ目のデッサンを開始します。時間はさっきと同じ、5分ずつ、3回」

    それから15分のデッサンタイムの間、あたしは静かに吊られていた。
    斜め下を向いた頭に血がゆっくり上って苦しいけれど、耐えられない程じゃない。

    「・・時間です。デッサンを終わって下さい。15分休憩します」
    布施くんが立ち上がって宣言しながら、テルさんの方を見た。
    テルさんはあたしをちらりと見て言った。
    「かまへん。放置」
    おい、せめてあたしの意見を聞けよ。

    「えー、引き続き休憩の間、モデルはこのまま飾りますから、ご自由にご覧下さい」
    お客さんたちが一斉に立ち上がって、近寄ってきた。

    5.
    「お姉さん、大丈夫?」お客さんの一人に聞かれた。
    「あ、はい。平気です」とりあえず明るく返事する。
    「このモデルは、本物のマゾですわ。これくらい何ともありません」テルさんが横から言った。
    ほお~。
    お客さんたちが感心したように頷いている。

    「そうですな。せっかくの機会やし、縄の締まり方とか、肌の具合とか、好きなだけ触って確かめて下さい」
    「いいんですか?」
    「弄ばれれば弄ばれるほど喜ぶ、そういう女ですよ」
    テルさんは、あたしの太ももをぴたぴた叩いて笑った。

    この人は、口は悪いし、すぐにあたしを苛めるけれど、本当はあたしのことを一番分かってくれている。
    だからあたしもテルさんを信じている。
    テルさんになら、何をされてもいい。
    どんなに苦しめられても、恥ずかしい思いをさせられても、エッチなキモチにさせられても。
    ・・あ、誤解しないで。何をされてもいいって、あくまでお仕事の上の話だからね!

    それからあたしは、あちこちお客さんに触られた。
    むき出しのおっぱいも、最初は控えめに、すぐに遠慮なく堂々と揉まれた。
    乳首がころころになっているのが自分で分かった。
    たまらない状態だった。普通なら大きな声を上げて乱れてしまうところだった。

    展子ちゃんは、どうなっているかしら。
    あたしは部屋の隅のスーツケースをちらりと見る。
    もちろんそれはそこに置かれたままで、何も変わりがないように思えた。

    そのとき、廊下に面した襖(ふすま)が開き、スーツ姿の女性が入ってきた。
    事務所の小木社長だ。
    社長は吊られっぱなしのあたしと客さんを見て笑いかけたけど、次の瞬間よろめいた。
    まるで何かの衝撃を受けたかのようだった。
    ・・ああ、社長もオンナですものね。
    今、あたしの近くに来るのは危険ですよ。

    休憩時間が終わった。
    お客さんが元の位置に戻って座った。
    あたしはようやく畳の上に降ろされて、全身の縄を解いてもらった。

    はぁ~。
    自由に動かせる手で胸を押さえて深呼吸する。
    全身が火照っている感じがした。
    大丈夫だ。うん、平気。
    あたしはまだまだ大丈夫。

    6.
    3ポーズ目の緊縛が始まった。
    括っていた髪が解かれた。
    畳にお尻をついてM字開脚のポーズで座り、右の手首を右の脛に、左の手首を左の脛に縛り付けられた。
    指の一本一本に縄が巻きついて固定され、こぶしを握ることもできなくなった。

    そのまま前に倒されて、左右の足首にそれぞれ縄を繋がれた。
    両側に立ったテルさんと布施くんがそれぞれの縄の端を持つ。
    「よっしゃ、引くで」
    テルさんの合図で縄が引かれ、まず足首、それから両足全体が伸びて左右に開いた。
    あたしは柔軟性にも自信がある。左右180度で全開した開脚だって平気だ。
    もっとも手首が脛に連結されているから完全に180度には開かず、あたしはまるで押しつぶされたカエルのような格好になった。

    テルさんは持っていた縄の端を窓の桟に縛り付けた。
    それから反対側に回って布施くんの持っていた縄を受け取り、畳に膝をついてもう一度強く引いた。
    脛と太ももの筋肉がぴんと伸びた。
    足首の縄が強く締まったけれど、それよりも手首の縄の方が痛かった。

    「平気か?」
    「あ、・・たぶん」
    真顔で聞かれ、そう返事した。
    あんまり平気でないかもしれない。

    「ふむ・・」
    テルさんは縄を強く引いたまま、布施くんに向かって言う。
    「おう、布施よ。そのケツの上に乗れ」
    「こう、ですか?」
    腰の上に足を乗せられた。さらに体重を掛けてぐりぐり踏まれた。
    「ぐぅっ!」
    つぶれたカエルがいっそうぺちゃんこになった。
    足首が左右にさらに数センチ広がった。
    テルさんは手にした縄を廊下に面した柱に縛り付けた。

    それから新しい縄を出して、あたしの腕と太ももを何箇所か連結して縛った。
    これであたしの手足はがっちりと固まり、手首の痛みは不思議とやわらいだ。

    緊縛デッサン会

    「よっしゃ、ええやろ・・」
    テルさんはつぶやきながら、後ろからあたしの長襦袢の裾をめくり上げた。
    あたしは普通の下着ではなく、股ぐりの浅い女性用の褌(ふんどし)を絞めていた。
    その褌の紐を解いて、脱がされた。
    お客さんの目の前にあたしの下半身がさらけ出された。
    おじさんたちが息を呑むのが分かった。
    こんな風に女の秘所を眺めるのは、きっと珍しいんだろうね。

    緊縛デッサン会

    「ほい。完成」
    あたしのお尻をぴしゃりと叩いて、テルさんは言った。
    「さあ皆さん。この子のマンマン、じっくり見ながら描いて下さいや」
    「では、デッサンを始めます。5分ずつ。・・あ、こっちばかり座らないで、順番に入れ替わって!」

    場が静かになって、お客さんがデッサンを始めた。
    あたしはつぶれたカエルの格好のままで転がされている。
    カエルというより、茹でられるのを待っているカニかもしれない。

    どちらにしても、もうあたしは無力だ。
    情けないポーズで平らに押しつぶされたまま、指一本動かすこともできず、男の人たちにむき出しの股間を見られ続ける。
    この惨めさ、恥ずかしさ。

    ぞく、ぞく、ぞく。
    じゅく、じゅく、じゅく。

    「・・濡れてるぞ」
    お客さんの声が聞こえた。
    いけない!

    また被虐の甘美に溺れるところだった。
    あたしはトロトロになりかけた気持ちを振り払う。
    ちゃんと開け、あたしのカケガネ!
    この気持ちを、エッチでたまらない感じを、展子ちゃんに受け取ってもらうのだ。
    人形にならなくちゃ。
    無表情で無意識な人形に。

    再び会場が静かになった。
    聞こえるのは、鉛筆を走らせる音。スケッチブックのページをめくる音。ときたま誰かの咳払い。

    ぱたん。
    スーツケースが倒れた。
    何人かのお客さんが振り返っている。
    布施くんはというと、苦笑しているだけで、もうそれを倒れたままにしておくようだった。

    続き





    Bondage Model その1(2/2)・緊縛デッサン会

    7.
    全部で3ポーズの緊縛デッサン会が終了した。
    あたしはようやく自由の身になった。
    お客さんが帰った後、スーツケースを部屋の中央に運んで蓋を開けた。
    中には小柄な女の子が丸くなって入っていた。
    じっと眠ったように動かない。

    「展子ちゃんっ、・・展子ちゃん!!」
    声をかけて肩を揺すると、ゆっくり目を開けた。
    「あ、佐和姉さん、すごかったですぅ」
    展子ちゃんはそう言って、弱々しく笑った。
    「あたし、死ぬかと思った」

    布施くんに手伝ってもらって、ぐったりした展子ちゃんを出してあげた。
    Tシャツと膝丈のミニスカート姿。汗で全身がぐっしょり濡れている。
    スカートの下から匂いがした。展子ちゃんの女の匂いだ。
    多分、ショーツの中は洪水のようになっているんだろう。

    「・・あぁん」
    毛布を広げて寝かせてあげると、すぐに甘い声がこぼれた。
    仰向けに寝ころんだまま、膝を立て、両足の間に手を挟んでゆっくり出し入れしている。
    まだ余韻が残っているようだ。

    「ホント、大した威力だったわ」
    「社長!」
    後ろに小木社長が立って微笑んでいた。妙に色っぽい表情だった。
    そうか、この人もアレを味わったのね。

    「社長はどうもなかったんですか?」布施くんが聞く。
    「おほほほ。あれくらいで参ったりしないわよ」
    「ホンマかね?」テルさんがぽつりと言う。
    「本当よ! 確かに凄まじかったけれど、それで腰抜けになる程ヤワな女じゃありませんからね、この洋子さんはっ」

    この人、小木洋子社長はノイローゼになって辞めた前の社長の後任で来た人だ。
    年齢は分からないけれど、かなりの美人。
    新しい企画を次々ヒットさせて事務所の収益に貢献しているらしい。

    「佐和ちゃん、こっち来て」テルさんが手招きした。
    「はい」
    「ちょっと、ここに立っとれ」
    テルさんはあたしの後ろに立つと、あたしの長襦袢の腰紐を解いた。
    「!?」
    そのままするすると襦袢を脱がせてしまった。
    元々ノーブラだし褌もさっき外されたから、あたしは全裸になった。
    「な、何するんですか!」

    むんず。
    ごつごつした手があたしの左右の乳房を掴んだ。
    「ひゃんっ」
    思わず声を上げた。
    痛くも、気持ち悪くもなかった。それどころか快感だった。
    甘い衝撃が、きゅん! と広がった。

    ゆっくり揉みこまれた、
    初めは静かに、次第に早く、強く。
    「・・あ、・・あっ」
    しつこく、ねっちりと、丁寧に。
    「・・ああっ、・・あぁんっ、・・ああぁぁん!!」
    逃げられなかった。
    あたしはテルさんに胸を揉まれながら、ただ喘ぐしかなかった。

    「・・や、・・やっ、・・やぁっ」展子ちゃんも喘いでいた。
    「・・な、・・まっ、・・はぁっ」社長も喘いでいた。
    どちらもセクシーな声だった。

    テルさんは、女たちの様子を観察しながら、真剣な顔で手を動かしていた。
    まるで何かのタイミングを計っているようだった。
    「職人だなぁ」布施くんが感心したようにつぶやいた。

    「よっしゃ、今や」
    やおらテルさんは親指と人差し指の間に乳首を挟んだ。
    そこはつんつんに尖って、最高に敏感な状態になっていた。
    「や、やめ、・・そこは」
    「わははは。ここが佐和ちゃんの弱点や」
    全身に電撃が走った。
    左右同時に乳首を抓られたのだ。

    「あぁぁ~ぁ!!」あたしは叫びながらその場に膝をついてびくびく震えた。
    「ひゃぁ~ぁ!!」展子ちゃんも叫んで、寝転んだままぷるぷる震えた。
    「ぎゃあ~ぁ!!」社長も叫んで、尻餅をついてわなわな震えた。

    8.
    あたし、雨宮佐和には、ちょっと変わった能力(ちから)がある。
    それは自分の性感をそっくりそのまま周囲の女性にも感じさせることだ。
    簡単に言うと、あたしがエッチな気分になってキモチよくなると、近くにいる女性もエッチになってキモチよくなるのだ。
    この能力が効くのはだいたい半径10メートル以内にいる非処女かつ閉経前の女性だ。

    あたしが初めてそれを知ったのは、あたし自身が処女でなくなった高校3年生の夏休みだった。
    そのとき、あたしは付き合っていた彼氏と並んで歩いていた。
    あたしの膣(なか)にはワイヤレスのリモコンで動くバイブが挿入されていて、コントローラーは彼の手の中にあった。
    彼は気の向くままにバイブを動かしてあたしの反応を楽しみ、あたしは彼の指先の操作ひとつで感じさせられることに興奮していた。

    バイブがオンになると、あたしの意識はそこに集中し腰に力が入らなくなる。
    他の人にばれないよう彼の腕にしがみついて必死に歩いていた。
    ふと、隣を歩くOL風の女性の様子がおかしいのに気がついた。
    もじもじしながら、しきりと腰の周りに手をやっている。とても色っぽい表情をしていた。
    彼がバイブをオフにして、あたしがほっとすると、その女性もほっとした表情になって安心したように歩いて行くのだった。

    別の子供を連れたお母さんの近くでバイブをオンにされると、そのお母さんは突然両目を見開いた。
    大きな胸を両手で押さえながら、何かを我慢するように大きな呼吸を繰り返している。
    「どうしたの?」
    子供に聞かれて「何でもないのよ」と答えながら、そのお母さんは「はぁ・・」とため息をついていた。

    制服姿の女子高生グループの横でバイブをオンにされると、何人かが「きゃ」と声を上げた。
    「やば、急にエロい気分」「ウチもぉ」「えっちしたいぜよ」
    「どーしたの? いきなり」「あんた、感じないの?」
    「ぶっとい◯◯◯◯、欲しいぜよ~っ」「あたしはおっぱい揉まれたい~っ」
    「きゃはは、変態っ」「欲求不満~?」
    女の子たちは周囲の視線も気にせずに、下品な言葉を乱発して騒いでいた。
    気になったけれど、彼が手を引いたので、あたしは振動するバイブを股間に挟んだままよたよたとアヒルみたいに歩き続けたのだった。
    遠くに離れてから振り返ると、その子たちはきょとんとして、不思議そうに互いの顔を見合っていた。

    そのとき確信した。
    あたしのせいだ。あたしがエッチな気持ちになったせいだ。

    それから、いろいろな失敗を繰り返して、この能力をコントロールできるようになった。
    あたしはそれを『カケガネ』と呼んでいる。
    カケガネを閉めておけば、えっちな感覚はあたしの中に閉じ込められる。
    カケガネを少し開けば、その感覚は周囲の女性に伝播する。
    カケガネを全開にすれば、すべてを他の女性に与えて、あたし自身には残らない。

    大人になり緊縛モデルという職業を選んで、あたしはこの能力に感謝するようになった。
    もともと柔軟で、縄目や痣も残りにくいモチ肌だから、この仕事には向いている。
    ただ、被虐に対する性的な感度が極端に高過ぎるために、すぐにエロエロになって平静でいられない。
    つまりドMすぎて、簡単な責めを受けるだけで激しく乱れたり、失禁したり、ときには気絶したりするのだ。

    だから、お仕事のときは、今日の展子ちゃんのように性感の依り代(よりしろ)を使う。
    やり方は難しくない。
    責めを受ける近くに、非処女の女の子を置いておくだけだ。
    その女の子にはエロの嵐をたっぷり味わってもらい、あたしはエロ抜きで被虐を味わう。

    9.
    テルさんが大笑いしている。
    「わははは。社長はんかてアカンやないか」
    「不意打ちは卑怯よ!」社長が怒っている。
    ほっぺたを大げさに膨らませて、まるで子供みたいだ。
    「だいたいね、こんなすごい子を、こういうやり方で使うのがいけないんだわ!」
    「でも展子ちゃんみたいな子がいてくれないと、佐和さんは最後まで持たないですよ」布施くんが言った。
    「方法はいろいろあるわ」
    「?」

    社長は怒るのを止めてにっこり笑った。
    「あのね、今日は噂の佐和ちゃんのお仕事を見に来たのよ。それと明日のお仕事、お願いしようと思って」
    「お仕事ですか?」
    「明日の第二部だけどね、花絵ちゃんが熱出して駄目になっちゃたの」

    花絵ちゃんとは、明日の緊縛デッサン会でモデルをするはずだった子だ。

    「えぇっ、どうするんですか?」布施くんと展子ちゃんが同時に聞いた。
    「だから、佐和ちゃんを縛るのよ。花絵ちゃんの代役に」
    「え~!」
    社長以外の全員が叫んだ。

    第二部は女性客限定のデッサン会だ。
    女性ばかりのところで緊縛なんかされたら、依り代の展子ちゃんがいてくれたって役に立たない!

    「明日のお客さんは20人よ。佐和ちゃん、カケガネっていうの? それ最初から全開でお願い」
    「えぇ~!!」
    「問題は処女には効果がないってことよね。さすがに20人の処女率は分からないからリスクがあるけど、大丈夫よ。きっと処女だって感じるわ、空気感染で♥」
    「えええぇ~!!」
    「ねぇ、あなたたち。えぇ~!!だけじゃなくって、ちょっとは感心してよ」
    社長は両手を前で合わせてすりすりしながら得意顔でいる。
    「もしかして阿鼻叫喚? うふふ。・・でもね、絶対に悪く言う人はいないから。きっと大評判になるわ!」

    どうやら覚悟するしかなさそうだった。
    いったいどうなるんだろうか?
    こんな能力のせいで、あたしは女性の前で縛られた経験が少ない。
    20人もの女性の前で緊縛され、ずっと飾られて、じんじん感じる感覚を発散する。
    お客さん、皆さんエッチになって、デッサンなんてできなくなって。

    胸がきゅんと鳴るのが分かった。
    ぞくぞくとした感覚に包まれ、あそこがじゅんと濡れ。
    「やん! 佐和さんっ」展子ちゃんが両手を股間に当てて叫んだ。
    「ぎゃん! 佐和ちゃん!」小木社長も股間を押さえて叫んだ。
    テルさんと布施くんが笑いこけた。

    10.
    次の日、緊縛デッサン会の第二部が同じ旅館の部屋で開催された。
    お客さんは女性ばかり、当日飛び込みも含め23人。
    座ってデッサンをするスペースが足りなくなるほどの盛況だった。

    お客さんには何も伝えず、あたしはカケガネを開放した。
    そしてその結果は、小木社長が予言した通りになったのだった。



    ~登場人物紹介~
    雨宮佐和(あめみやさわ): 27才。緊縛モデル。性感を近くの女性に感じさせる特殊能力を持つ。
    鮫島照男(さめじまてるお): 54才。ベテラン縄師。
    根府川展子(ねぶかわてんこ): 20才。美容学校生でメーク担当。佐和の特殊能力の依り代。
    布施保(ふせたもつ): 25才。モデル事務所『ジャイ・アイ・ケー』社員。
    小木洋子(おぎようこ): モデル事務所『ジャイ・アイ・ケー』社長

    新シリーズを始めます。
    緊縛/拘束専門のモデル事務所に所属する、いろいろなモデルさんを描きます。

    最近は、緊縛や拘束を題材にした展示会や体験会などがたくさん開催されていますね。
    そんなイベントはどれも明るくオープンで、ごく普通の女性が男性以上に参加するようになりました。
    昔なら口にするのもはばかられたM的願望を公開して、明るくプチ被虐を楽しむ女性たち。
    ・・すばらしいです。もう、私などの妄想小説より現実の方がはるかに進んでいるではありませんかww。

    このシリーズでは、そんな現実の出来事にほんの少し妄想を味付けして、ストーリーにして行こうと思います。
    現実の出来事はごく最近のものとは限らず、過去のイベントなども取り上げるつもりでいます。
    今回の妄想はモデルさんの特殊能力。
    とても美味しい能力ですから、緊縛デッサン会第二部の様子も少し描いてアップしようと思います。

    最後に、事務所の社長さんは、もちろん「あの方」です。
    再登場は期待しないで下さいと言った気もしますが、内なる衝動に負けて描いてしまいました。
    シリーズの世界感を壊さないよう注意して、今後も活躍していただくつもりです。

    ではまた。
    ありがとうございました。




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